今回は素晴らしい作品のオンパレード。
みんなイチ押しになりうる作品です。イチ押しになった2作は
超・異色のSF作品と元気いっぱいのカールズムービーです。
第9地区 | 監督:ニール・ブロムカンプ | 出演:シャルト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ | |||
Ditrict 9 | 2009年 アメリカ映画 | ||||
今週のイチ押し:1982年。突如として巨大UFOが訪れた。現れたのは南アフリカのヨハネスブルグ。まったく動きを見せないUFOに、ついに政府は行動を起こした。しかし、UFO内で彼らを待ち受けていたのは、不衛生で弱り切った無数の宇宙人たち。彼らはただの難民で地球侵略に来たわけでなかったのだ。処遇が決まるまでエイリアンたちを「第9地区」の仮施設に住まわせることにした。しかし、ヨハネスブルグの市民は彼らを疎み、やがて「第9地区」はスラム街へと変貌していく。何の対処もできぬまま年月だけが過ぎていく。エイリアンたちの管理は民間企業Multi National United(MNU)に委託された。市民とエイリアンの対立が激化する中、MNUはエイリアンを郊外の「第10地区」へ強制移動させることを決定。その交渉役に選ばれたのはヴィカスという平凡で人の良い男だった。彼は第9地区内の小屋を調査中に、謎の黒い液体を浴びてしまう。病室で目覚めた彼は自分の腕を見て絶叫する。そこにはなんとエイリアンの腕が・・・。しかし、彼のエイリアン化した腕は、今までエイリアンにしかできなかった「あること」ができると実証される。しかし、ヴィカスは、そこを逃げ出し「第9地区」に身を隠すことにした・・ | |||||
私評:ここは俺に任かせて、息子と早く逃げろ・・・予告編だけを見ても、あまり内容が伝わってこないのですが、これはとんでもない映画です。正直、この映画でこんなショックを受けるとは想像もしていませんでした。今までのUFO映画、エイリアン映画にはない、新たな展開が待っています。おいおい!とツッコミを入れたくなるシーンもありますが、そこはSF映画。しかも、けっこう笑えるんです。またヴィカスが「第9地区」に逃げ込んでからの展開が私は好きですね〜。そこでヴィカスが発見するとんでもない物、そしてエイリアンのクリストファー・ジョンソンとの親交・・・。だけど、この映画はとにかく情報をシャットアウトして観に行きましょう。「そんなこと分かっているよ!」という人も最大限の注意を怠らないように!(笑)主演のヴィカスを演じるのはシャトル・コプリー。南ア訛りで “FUCK!”を連発。(フォック!)彼は監督の旧友だとか・・。その他の役者も南アの人たちで有名人は出ていません。監督はVFXの一人者で、人気CMを手掛けるニール・ブロムカンプ。そしてその才能を見出し、本作のプロデュースをするのは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン。 | |||||
ローラーガールズ・ダイアリー | 監督・出演:ドリュー・バリモア | 出演:エレン・ペイジ、ジュリエット・ルイス | |||
Whip It ! | 2009年 アメリカ映画 | ||||
今週のイチ押し:17歳の女子校生ブリスはテキサスの小さな田舎町に住んでいる。美人コンテストに夢中の母親は、かつて自分も出場した事がある地元の“ミス・ブルーボンネット”で優勝することが娘の人生を豊かにすると信じて疑わない。しかし、そんな母親の考えに違和感を持っているブリスは、今日も悪友のパシュと大きなブタの看板が目印のレストランで、バイト中に愚痴を続けている。実際にミスコンの予選を前に髪を青く染めてしまったブリスは母親に大恥をかかせたばかりだった。しかし、ブリスの穴は妹のシャニアがしっかりと埋めていて入賞を果たしていた。そんなある日、ブリスはパシュと一緒に隣町のオースティンに出かけた。それは偶然知った「ローラーゲーム」の試合を観るためだった。そこでブリスはすっかりローラーゲームにはまってしまう。必死の練習を重ね、年齢も偽り、そして両親に嘘をついて参加したオーディションで、ブリスは天性のスピードを買われメンバーに選ばれてしまう。試合のたびにブリスはメキメキと頭角を現し、一躍人気者になるが、なんと彼女がメインになっているポスターを両親に見つかってしまう・・ | |||||
私評:あの子が選んだ道を信じてあげたいんだ・・・・70年代に当時の少年少女を夢中にしたテレビ番組「ローラーゲーム」!私も例外ではなく、ローラースケートを履いて「ローラーゲーム・もどき」のような事を友達として、転んで怪我をした記憶があります。この懐かしいスポーツが、まだアメリカでは生きていたのです。しかも、「ガールズ」!これは興奮ですよね。映画の中では実際に出演者たちが吹き替えなしでこのゲームに挑んでいます。その迫力はかなりホンモノ!!それもそのはず?監督はハリウッドの元気姉さん、ドリュー・バリモア。実はこの作品は彼女の初監督作品なのです。アクション大好きの彼女らしく元気いっぱいの映画になっています。しかし、その中に美しいラブシーンが挿入されていたり(プールでのラブシーンはサイコー!)親子の感動的なドラマが入っていたりと、ドリュー嬢の才能を感じさせます。そんな彼女の元に集まってきたのは・・・、主演は「JUNO/ジュノ」「ハード・キャンディー」のエレン・ペイジ。彼女は鈍くさいイメージがあったのですが、すごい迫力のスケーティングを見せてくれますよ!そしてチームメイトとして監督のドリュー・バリモア自身も登場。そして最強のチームメイトは「デス・プルーフ in グラインドハウス」に出演したスタントウーマン、ゾーイ・ベル。ブリスの憎たらしいライバルには「ギルバート・グレイプ」のジュリエット・ルイス。彼女がまた、素晴らしいんです。両親役は「ミスト」のマーシャ・ゲイ・ハーデンと「ホーム・アローン」のダニエル・スターン。女の子だけに見せるのはもったいない。男の子もそしておっさんもみんなで見て元気をもらいましょう! | |||||
ハート・ロッカー | 監督 : キャスリン・ビグロー | 出演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー | |||
The Hurt Locker | 2009年 アメリカ映画 | ||||
2004年、イラク駐留軍の中隊に所属するサンボーン軍曹とエルドリッジ技術兵はバクダッドの市街地で爆弾処理をしていた。うだるような暑さの中、ロボット荷車を使った作業を進めていたが、荷車の車輪が外れ、隊の班長のトンプソンは自ら爆弾に近付いて行った。ところが事故は起きた。大爆発が起こりトンプソンは即死してしまう・・。3日後、トンプソンの後任として赴任したのはジェームズ二等軍曹。新たなリーダーを迎えての初仕事で、ジェームズは恐るべき行動に出る。本来なら遠隔ロボットで下見をするところ、ジェームズは防護服を纏い、足取りも軽く爆弾に近付いていく。現場に飛び込んできたタクシーにも冷静な対処で追い返した。そして地面に埋め込まれた6個の爆弾の起爆装置をあっという間に取り外してしまう。サンボーンはルールを守るようジェームズに促すが、彼はまったく意に介さなかった。任務明けまであと38日。危険と隣り合わせの彼らの任務は終わることはない・・・。・・ | |||||
私評:戦争は麻薬だ・・・・Hurt Lockerとはアメリカ軍の隠語で「苦痛の極限地帯」「棺桶」を意味する。一つ手順を間違えたら大爆発。しかも、その爆弾を仕掛けたテロリストからも狙われている「現場」は筆舌では語りつくせない「本物の恐怖」の最前線。息詰まるような爆弾除去作業が毎日続くのだ。そんな極限の世界では人間の精神も壊れていく。主人公のジェームズは日に日に恐怖に対する意識が薄れ、ついには心のどこかで恐怖を追い求めてしまう。そんな男と組んでしまったサンボーンとエルドリッジはさらなる恐怖を味わうことになるのだ。この映画は戦争映画としては壮絶な銃撃戦があるわけでもなく、アクション映画としては小粒な感じがする作品。しかし、手持ちカメラでギリギリまで近づいて撮影する手法によって、観客は戦場の真っただ中に放り込まれたような体感を味わえるのです。アカデミー賞でオスカーを獲った監督が「戦地にいる全ての兵士たち。無事に帰ってきて!」というメッセージを残していましたが、これはこの映画の製作を通して監督自身が感じた「戦争の恐怖」がそう言わせたのではないでしょうか?主演は「28週後・・・」のジェレミー・レナー。彼もこの作品でオスカー候補になりました。サンボーン役は「8Mile」のアンソニー・マッキー。そして脇役で「ナイロビの蜂」のレイフ・ファインズ、「モンテクリストフ」のガイ・ピアースが出演しています。監督は初の女性オスカー監督「K−19」「ハート・ブルー」のキャスリン・ビグロー。 | |||||
しあわせの隠れ場所 | 監督 :ジョン・リー・ハンコック | 出演:サンドラ・ブロック | |||
The Blind Side | 2009年 アメリカ映画 | ||||
マイケルは寝る場所もない孤独な青年。麻薬中毒の母と引き離されて以来、ずっとひとりで生きている。しかし、その巨体とは裏腹に優しい心を持ち、スポーツにも長けていた。そんなある冬の日、リー・アンは夫のショーンと車で帰宅途中、薄い半そでシャツに短パン姿のマイケルを見つける。彼には寝る場所がないと知ったリー・アンは、何のためらにもなく彼を自宅へと連れ帰った。裕福なリー・アンの一家の豪邸で一夜を過ごしたマイケルは、そっと立ち去ろうとしていたがリー・アンはマイケルを呼び止めた。ショーンの了解の元、リー・アンはマイケルのための部屋を用意。そしてマイケルをリー・アン、ショーンだけでなく娘のコリンズ、息子のS.J.も温かく迎えた。やがて、リー・アンはマイケルの正式な後見人となることを決意する。生まれて初めて温かい家族を手に入れたマイケルは最低だった学校の成績もメキメキ上昇。そしてフットボール部の入部試験にも合格する。実はリー・アンはアメフトの大ファンで、マイケルの活躍を期待していたのだ。ところが心優しいマイケルはタックルをする事ができずにいた・・・・ | |||||
私評:チームの味方を守るのよ。チームは家族、私だと思って守って・・・・この映画は実話なのですが、なんだかすごい話です。文無しの少年を金持ちの家族が偶然拾って、彼の良さを見出し、後見人になり、少年はなんと超有名なアメフト選手に・・・。まさにアメリカンドリームです。そしてマイケルを受け入れるリー・アンの家族が全員良い人なのですね。まあ、物語の結末は分かっているのですが、実に面白い作品でした。しかし、このドラマを思い切り牽引するのが主演のサンドラ・ブロックです。この作品のリー・アン役は、まさにサンドラに打ってつけの役でした。けっこう強引で、ユーモアのセンスも抜群、行動力があり正しいと思ったことにはまっしぐら=サンドラ・ブロックですよ。先日見た「あなたは私の婿になる」で、彼女の復活を確信した私の勘は間違っていませんでした。彼女の優しい夫役は役者としてよりカントリー・シンガーとして超有名なティム・マッグロウ。マイケル役は「僕のミライへ逆回転」のクイントン・アーロン。マイケルの家庭教師役で名女優キャシー・ベイツが出演しています。監督は「オールド・ルーキー」のジョン・リー・ハンコック | |||||
ニューヨーク、アイラブユー | 監督 : 岩井俊二、チアン・ウェン 他 | 出演:オーランド・ブルーム、スー・チー | |||
New York, I Love You | 2008年 アメリカ・フランス映画 | ||||
ニューヨークの雑踏を携帯で話しながら歩く紳士に若い男がぶつかった。彼の名前はサム。紳士の懐から財布をいただいたのだ。中には若く美しい女性の写真がでてきた。町を歩いているとインスタント写真のボックスの中から偶然、写真の彼女が現れた。あとを追いかけると彼女はレストランの中に消えていく。彼女に続いてレストランに入り、巧みな手技で話のきっかけを作ったベン。しかし、そこに現れたのはさっき、ベンが財布をいただいた中年の紳士。彼は全て見抜いていたのだ。あえなく店を退散することになったサムだったが・・・チャイナタウンでお茶と漢方薬の店に勤める中国人女性。彼女に創造力をインスパイアされた画家は部屋で彼女の画を描くがどうしても目だけが描けない。意を決して彼女にモデルになって欲しいと頼むが、困惑した彼女はその依頼を断ってしまう。その後、姿を見せなくなった画家を気にした彼女は、画家のアパートを訪ねてみると、彼はすでに死んでいた。そしてそこには彼女の肖像画が・・・・ | |||||
私評:結婚記念日に妻を殺したいの??・・・・2006年に公開された「パリ・ジュテーム」が大好きな私は、同じコンセプトを大都会ニューヨークで描いたこの作品を楽しみにしていました。いや〜・・、やっぱり面白い。ニューヨークの街を舞台に繰り広げられる様々なラブストーリー。文化の坩堝であるニューヨークだからこそ描ける作品でもあると思います。短い一個一個の作品に、それぞれの監督の個性が光っていて、しかも出演する役者たちも超一流の人たちばかり。これはとっても贅沢な作品でもあるのです。私は上にも書いた中国人女性と画家の話、失恋した青年がプロムに知り合いのおっさんの車椅子の娘を連れていく作品と、老夫婦の散歩の話が好きですね〜・・。キャストは・・ヘイデン・クリステンセン、アンディ・ガルシア、ナタリー・ポートマン、オーランド・ブルーム、クリスティーナ・リッチー、マギーQ、イーサン・ホーク、アントン・イェルチン、オリビア・サールビー、ジェームズ・カーン、シャイア・ラブーフ、ジュリー・クリスティー、ジョン・ハート、スー・チー、ロビン・ライト・ペン、クリス・クーパー、イーライ・ウォラック・・・などなど監督も「鬼が来た」のチアン・ウェン、「その名にちなんで」のミーラー・ナーイル、「ぼくの妻はシャーロット・ゲンズブール」のイヴァン・アタル、「ラッシュ・アワー」のブラット・ラトナー、「エリザベス」のシェカール・カプール、女優のナタリー・ポートマンも1作品を監督、そして日本代表で「リリィ・シュシュのすべて」の岩井俊二監督が参加しています。スタッフ・キャストの名前だけでこんなに長くなってしまいました・・・。次回はぜひ、日本で「東京、大好き!」という作品を作っていただきたい!! | |||||
シャーロック・ホームズ | 監督 : ガイ・リッチー | 出演:ロバート・ダウニー・jr 、ジュード・ロウ | |||
Sherlock Holmes | 2010年 アメリカ映画 | ||||
ある館に潜入するひとりの男。その館の地下では怪しげな儀式が行われていた。黒マントに身を包んだ男を取り押さえ、台座の上に寝かされた若い女性を助け出したその男こそ、かの有名な名探偵シャーロック・ホームズ。そして彼の傍らにいるのは医者でありながらホームズの相棒でもあるジョン・ワトソンだった。彼らが取り押さえたのはロンドンで起こっていた連続殺人事件の犯人ブラックウッド卿だった。黒魔術を駆使して5人の若い女性を生け贄にしてきた凶悪犯だった。事件を解決したのにホームズはなぜか浮かない顔をしている。それは相棒のワトソンが結婚を控え、ホームズと暮らしていた家を出てコンビも解消するからだ。ブラックウッドの絞首刑に立ち会い、それ以降は本業の医者として生計を立てるという。しかし、死刑を宣告されてもブラックウッド卿は看守や囚人たちに「呪いをかける」と脅し、処刑日に面会を希望したホームズに対しては、自分は復活すると宣言する。予定通り刑は執行され。ワトソンによって死亡が確認された。しかし、数日後ホームズの元に信じられないニュースが飛び込む。なんと、ブラックウッド卿が復活したというのだ。墓地に辿り着いたホームズとワトソンは信じられない光景を目の当たりする・・・・ | |||||
私評:それじゃあ、急いで止めなくちゃな・・・世界的に有名な作家コナン・ドイルが生んだ名探偵シャーロック・ホームズ。彼って名探偵の中でも特に変わったキャラクターで冷徹でいつも眉間にしわを寄せているイメージがあったのですが、映画のホームズはちょっ違う。だけど、バイオリン好きだったり、暇になると壁を銃で撃ったりするエピソードは映画の中でそのまま使われていたりします。しかし、この映画はあまりにテンポが速すぎるので、付いて行くのがけっこうたいへんでした。しかも、突拍子もない行動をとるホームズの理由や、ワトソンとの関係なんかもある程度知識がないと分かりづらいかもしれません??(逆に知っていると思わずニヤリとしてしまうかも??)しかし、キレのいいアクションやコミカルなシーンがイイ感じでばら撒かれていて飽きさせない展開になっています。だけど、私が不満なのは謎解きです。なんというか・・あまり論理的じゃないんですよ。あとから取ってつけたみたいに無理があるんですね。小説のトリックが完璧なだけに勿体ない気がしました。主演は乗りに乗っている「アイアンマン」のロバート・ダウニー・Jr。ワトソン役は「マイ・ブルーベリー・ナイツ」のジュード・ロウ。悪女(?)アイリーンを演じるのは「きみに読む物語」のレイチェル・マクアダムス。監督は「ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」のガイ・リッチー。 | |||||