2008/10/13 その1

すっかりレビューを溜めてしまったので
今回は2つに分けてアップします。こちらのイチ押しは荒野に夢を抱いた
青年の壮絶な旅を描いた感動作。

イントゥ・ザ・ワイルド  監督:ショーン・ペン  出演:エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン
Into The Wild  2007年 アメリカ映画
今週のイチ押し:1990年に大学を優秀な成績で卒業したクリストファー・マッカンドレスは裕福な家庭で育った。やがて彼はコツコツと貯めた24,000ドルの貯金を慈善団体に全額寄付して家族には何も告げずに家を出た。アリゾナで鉄砲水に遭い愛車を失った時から、彼はアレクザンダー・スーパートランプと名乗る事にした。彼の旅の目的は「あらゆる物質社会から脱出して新たに生まれ変わり、いかなるルールにも拘束されることのない自由を得る」事だった。いくつかの出会いと別れを体験し、19925月にクリスはついに旅の最終地点のアラスカの山岳地に到着した。まさに『荒野』と呼ぶにふさわしいアラスカの大地を奥へ奥へと進んでいくクリス。そして彼は風に曝されボロボロになっているバスを発見する。そしてそこはクリスがまさに求めていた絶対的な孤独が支配するワイルド=荒野だった・・
私評:幸福が現実になるのは、それを誰かと(SHERE)分かち合ったときだ・・・この映画は実話に基づいて作られている。実際にクリスは2年以上もアメリカ大陸を旅して彼が求めるものを探す旅を続けた。そこで彼はある答えに辿り着くのだが・・・。この映画は、私には本当に刺激的だった。物質文明の申し子のような私にはワイルドな世界は馴染めないが、たとえ映画を見ている間だけでも私の周りを取り巻く数々の束縛から解放されたような気がした。しかし、「社会」からは解放されても、そこには「自然」という新たなる敵が待ち受けている。そしてクリスが最後に学んだことは人間という生物の本質・・・。めちゃめちゃ感動しました。そして泣けました・・。主演は「スピードレーサー」のエミール・ハーシュ。彼ってなんとなくなよなよした感じがあったのですが、この映画のエミールは素晴らしかった・・。そして共演はウィリアム・ハート、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ジェナ・マローン、キャスリン・キーナー、ヴィンス・ヴォーン、クリステン・スチュワート、そして今年のオスカー助演男優賞候補にあがったハル・ホルブルックという超豪華な顔ぶれ。それもそのはず。この映画の監督はあのカリスマ俳優のショーン・ペン。本当に素晴らしい映画でした・・・。
ふみ子の海  監督:近藤明男  出演:鈴木理子、高橋恵子、遠野凪子
 2007年 日本映画
昭和のはじめ。貧しさからくる栄養の欠如でふみ子は視力を失った。それでも彼女は持ち前の明るさと勤勉さで人生を前向きに生きていた。そして見えない彼女の脳裏には母に連れて行ってもらった海の不思議な映像が残っていた。8歳になったふみ子の元に、盲学校で勉強をしないかという誘いが舞い込んでくる。しかし、貧しいふみ子の家はそんな費用を捻出する事ができない。本家の大旦那に頼むが、彼はふみ子に働くことを勧めた。ふみ子も母への負担を考え、学校に行くことを断念して新潟の按摩の師匠の元に住み込みで弟子入りした。その日から師匠の厳しい修行が始まる。やがて、ひとりで客を取れるようになったふみ子は、自分を盲学校に誘ってくれた高野りん先生と再会する。りんの勧めで仕事の傍らに点字を勉強するふみ子。そんなある日、りんが以前に話して聞かせてくれたヘレン・ケラーが来日することになった・・・・・
私評:あん時のにおいだ。かあちゃん、海だ・・・・今回、私の勤めている会社の仕事の関連で『二人のふみ子の会』というイベントでこの映画を見ました。ひとりはこの映画の主人公のふみ子。そしてもう一人は昭和の名女優山路ふみ子さんが作った『山路ふみ子財団』とのコラボイベント。こうしてそれまでまったく知らなかったこの映画を見ることができました。大手の映画会社が関わっていないからローバジェットの映画だと思っていたら大間違い。全編新潟ロケを敢行し、しかも四季折々の美しい映像を交えたしっかりとした映画でした。しかし、この映画のいちばんの見所は主演の鈴木理子ちゃんです。彼女の演技が絶品です。とにかく可愛い。そしてとにかく泣かせます。当日、彼女が会場に来ていたので近くで見たのですが、映画を撮っていたときよりはちょっぴり大人になっていました。共演は高橋恵子、藤谷美紀、遠野凪子、遠藤健一、あおい輝彦、中村敦夫、水野久美、・・という豪華なメンバー。今、全国の小さな劇場を巡回しているので、なかなか見るチャンスがないかもしれませんが・・・。監督は増村保造や市川崑らの助監督として活躍した近藤明夫。
アイアンマン  監督: ジョン・ファブロー  出演:ロバート・ダウにーJr、グウィネス・パルトロウ
Iron Man  2008年 アメリカ映画 
武器開発で巨万の富を得た実業家トニー・スタークは発明家としても天才的な力を発揮している。彼は新兵器の実験のためにアフガニスタンへと向かった。実験は大成功するが、その直後に武装テロの攻撃を受けてしまう。爆発に巻き込まれ瀕死の重傷を負ったスタークだったが、テロに監禁されていた医師のインセンによって救われた。テロのリーダーのラザはスタークに最新・最強のミサイルを製造させようとする。しかし、スタークは彼らの目を盗み、まったく違う物を作っていたのだ。それは彼の『人工心臓』を動力とするパワードスーツだった。その威力は絶大で、スタークはなんとかアジトから脱出しアメリカへと帰国を果たした。帰国したスタークは幹部役員のステインの反対を押し切り、兵器産業から撤退を発表。自宅の作業室で新しいパワードスーツの開発を始めた。そしてそれを使い、世界中の悪との戦いを決意するが・・・・
私評:こらからが本当の戦いだ・・・最近のハリウッド映画はアメコミ出身のスーパーヒーローが目白押しだけど、アイアンマンはその決定版でしょう。とにかくあのハイテクなパワードスーツがすごい。というか、あのスーツが欲しい!!このスーツって古くは『マジンガーZ』、そして『ガンダム』『ヱヴァンゲリオン』にも繋がる自分で操縦するスパーロボットの究極の形なんですよ。しかも、その作り方から装着された最強の武器に至るまで凝りに凝っています。そしてクライマックスのガチンコバトルのすごいのなんのって・・・。とにかく観てください。主演はすっかりマッチョになった『チャーリー』のロバート・ダウニー・Jr。そして彼の優秀な秘書にグウィネス・パルトロウ。会社の役員役にはジェフ・ブリッジズ。そしてスターク理解者で米軍の大佐役には最近登場作が目白押しのテレンス・ハワード。この映画はエンドクレジットの前に『クレジットの後に映像があります』というインフォメーション付。これって大事なサービスですよね。しかも、そこには次回作への伏線が・・・監督は『ザスーラ』のジョン・ファヴロー。
アキレスと亀  監督・出演 : 北野武  出演:樋口可南子、麻生久美子、柳憂怜
 2008年 日本映画
裕福な家に生まれた真知寿は幼少の頃から絵を描くことが大好き。しかし、なに不自由ない生活だった彼の人生は一変した。それは父の会社の倒産、そして自殺。彼は母の兄の家に預けられる。しかも、母親も身を投げて自殺してしまう。真知寿は心の拠り所をなくし、ますます絵に没頭していく。そんな彼も青年となり新聞配達をしながら生計を立てていたが、本格的な絵の勉強をするために印刷工場に就職し、働きながら勉強を続ける事に。そんな彼を見つめる女性がいた。印刷工場で事務員をしていた幸子だ。やがて、ふたりは結婚し娘も生まれるが、真知寿は相変わらず絵ばかり描いている。中年になっても彼の絵はまったく売れず家計は幸子が支えていた。しかも、彼女は家計だけではなく真知寿の作品作りのパートナーになっていく・・・・
私評:ずっと一緒にいたい・・・北野武の映画って頭で理解しようと思うと着いていけないシチュエーションが多い。今回の物語の設定も尋常ではない。それゆえに映画の流れに身を任せて『何か』を感じ取れるか取れないかが評価の分かれ道になります。正直、私はこの作品には何も共感できずじまい。しかし、そんな支離滅裂な作品の中でも名優は光を放つことができると言う事を、いまさらのように悟りました。まずは樋口加南子、麻生久美子の2女優。このふたりは数々の名画で実績を積んできているが、北野作品は初登場。しかし、私はこのふたりが映画を救ったと思っています。そして少年時代の真知寿を演じる吉岡澪皇クンは、とにかく彼は『目』がイイです。映画内のエピソードの中でも、彼の登場する少年時代が一番面白かった。しかし、この映画もヴェネチアでは大絶賛されたとか・・。私には理解できない世界かも?? 


前回の記事も読んでね〜!



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