2006/8/15

残暑お見舞い申し上げます。とにかく毎日暑い!!
そんな時は感動と、笑いと、スリルで暑気払い?イチ押しは
不思議なロードムービーと、まさかの邦画話題作!!

トランスアメリカ  監督:ダンカン・タッカー  出演:フェリシティ・ハフマン、ケヴィン・ゼガーズ
TransAmerica  2005年 アメリカ映画
今週のイチ押し:LAでひとりひっそりと暮らしているブリー。実は彼女は最後の性転換手術を間近に控えていて、まもなく『女』になる。そんなある日、NYの警察から電話が入りトビーと言う青年が拘置されていて、彼の『父』を頼っているという。そう、トビーはブリーがまだ、完全に『男』だった時に作ってしまった彼の実の『息子』だったのだ。彼を引取に行ったブリーはひょんな事で彼をLAまで送ることになった。事実を隠したままの『父と息子』のアメリカ大陸横断の旅(トランスアメリカ)で、ふたりは次第に距離を縮めていく。しかし、途中でブリーはまだ彼の体に残っていた男の部分をトビーに見られてしまう。しかも、ヒッチハイカーに車を盗まれたふたりはブリーの実家を訪ねるが・・
私評:神様も認めてくださるわ・・・ロードムービーってやっぱり良いよね。今回は女になろうとする父親と、父に憧れる青年のアメリカ横断の旅。ふたりだけの不思議な旅が、彼らに色々なことを教えてくれる。女になることだけで人を愛することを忘れていたブリーと、苛酷な家庭環境で愛を知らずに育った青年が、それぞれの「愛」を見つけ出す。あまりに異常な関係だからこそ育まれるものもきっとあるんです。そしてお互いがお互いを思う気持ちが芽生えた時・・・。最初はどう考えても、彼らに共感はできないだろうと思っていた私も、いつしかふたりに心からエールを送っていました。ブリーを演じるのは(マジで男かと思った・・)フェリシティ・ハフマン。彼女の演技はサイコー!そしてトビー役は『ドーン・オブ・ザ・デッド』でゾンビに噛まれた(笑)、ケヴィン・ゼガーズ。そしてエンドクレジットでエグゼクティブ・プロデューサーとしてウィリアム・H・メイシーの名前を発見。なんと彼はフェリシティ・ハフマンの夫なのです!監督はこの作品が長編デビューのダンカン・タッカー。
ラブ☆コン  監督:石川北二  出演:藤澤恵麻、小池徹平
Love Complex  2006年 日本映画
今週のイチ押し:身長170センチのリサと身長159センチの大谷は、互いに失恋をして自分と身長が会わない相手と恋はしないと心に決めていた。しかし、運命はふたりを引き寄せた。口では互いを貶しているが、会話のテンポも音楽の趣味もピッタリ。お互いをちょっと意識しだした時、大谷の元カノが登場。しかも、未練たっぷりのようす・・。しかし、一人ぼっちでクリスマスライブに出かけたリサを追って大谷が現れた瞬間、リサは大谷にすっかり惚れ込んでしまう。まさに『キュン死』寸前のリサは、友人の信子と千春の協力を得て、夏祭りの夜に大谷に告白しようと決意する。しかし、宇宙最強のドンカン男、大谷にリサの言葉は見事に跳ね返されてしまうのだった・・
私評:よろしQUEE〜N・・・予告編を観た時から気になって仕方がなかった映画。しかし、170センチの女は全然「デカ女」じゃないし、159センチの男も「ちび男」じゃないでしょう?私の感覚がずれているのかな??この映画、とにかく笑えます。当日の映画館は女子校生で溢れていて、スーツ姿は私ひとりだったのですが、女子校生もオヤジも一食単に笑わせてくれる映画。久々に映画を観ながら大声で笑ってしまいました。この映画で注目は主演の藤澤恵麻ちゃん。『奇談』の時は陰気な女子大生、そしてNHKの朝ドラ主役とスタートは良かった物の、イマイチインパクトに欠けた彼女が今回はぶっ飛び女子高生役。しかも、顔面全体を使う『変顔』のインパクトは強烈!!ひと皮向けた彼女は今後が楽しみです。そして大谷役は相棒のウエンツ瑛士に負けるなとばかり大活躍の小池徹平。彼も好感が持てる青年です。そしてこの映画で大注目は恐るべき脇役陣たち。谷原章介、温水洋一、南海キャンディーズのしずちゃん、寺島進、田中要次、そしてムツゴロウさん・・・。彼らがどんな役なのかは言いません!!ちなみにウエンツ瑛士もチョイ役で登場。そしてご機嫌な音楽も要チェックです。少女マンガの映画とバカにして、見逃したら損しますよ??
ハード・キャンディ  監督:デイヴィッド・スレイド  出演:パトリック・ウィルソン、エレン・ペイジ
Hard Candy  2005年 アメリカ映画

出会い系のチャットサイトでふたりは出会った。男の名前はジェフ。彼は写真家。そして女の名前はヘイリー。彼女はなんと14歳・・。ジェフの巧みな言葉は冒険心が強いヘイリーを刺激した。そしてふたりはついに実際に会うことになった。そしてジェフはヘイリーを自宅へと招き入れた。緊張を隠せない様子のヘイリーに飲み物を差し出したジェフ。そして今度はヘイリーがジェフのために特製のスクリュードライバーを作って差し出した。しかし・・、そのスクリュードライバーには薬が盛られていたのだ。意識を失ったジェフが目を覚ますと手足が拘束されている。朦朧とした意識にヘイリーが問いかける。『あれはどこにあるの??』そして彼の股間には氷袋が乗せられていた。果たして彼女の目論見は何なのか??そして彼の局部に冷たい刃物が・・・・

私評:飲み物には注意するように言われているから・・・なんとこの映画の題材は日本の女子校生の『オヤジ狩り』なんだそうです。しかし、この映画『14歳の少女が中年男のイチモツをチョン切ってしまう』事が前面に出ていて、スプラッター映画みたいに思っている人がいるみたいですが、実は怖いのはあれを切ったあと。計算高く、しかも残酷な少女の仮面が剥がされ、実に恐ろしい行動に出ます。そして最後の最後に彼女が吐くセリフ・・・。背筋がゾッとしました。なんとなくシチュエーションが「SAW」に似ている気がしたのは私だけかな??ヘイリーを演じるのは撮影当時17歳だったエレン・ペイジ。彼女は全然美人じゃないけど、メチャメチャセリフが多いこの作品で演技力を見せつけます。ジェフ役はオペラ座の怪人のパトリック・ウィルソン。彼の『玉』の行方はあまりに残酷で・・・?監督はこの作品が長編デビューのデヴィッド・スレイド。最後にこの映画の日本語字幕を担当した稲田嵯裕里さんの翻訳サイコーでした。若者コトバの使い方も完璧です!
ユナイテッド93  監督:ポール・グリーングラス  出演:デイビッド・アラン・ブッシェ、リチャード・ベキンス

United 93

 2006年 アメリカ映画


2001年9月11日。ニュージャージー州ニューアークの空港は活気付いていた。ユナイテッド航空93便のクルーたちは出発の準備に大忙し。そして晴天の空に向かって乗客40数名を乗せて飛行機は旅立った。しかし、その時ワールド・トレード・センタービルに2機の飛行機が激突した。そのニュースはすぐに93便にも届いたが、それが同時多発テロだとは思いもしなかった。穏やかに航行を続けていた機内で4人のテロリストが動き始める。ひとりがトイレで体に爆弾らしきものを巻きつけて出てくる。そして乗客のひとりはナイフで刺し殺される。コックピットも彼らに乗っ取られ、パイロットは殺されてしまう。機内から電話で地上とコンタクトを取っていた乗客はWTCビルの事故を知らされ、さらにペンタゴンにも飛行機が落ちたというニュースも知らされる。何もせずにいれば自分たちも・・・。そして乗客たちは密かに反撃を試みるが・・・ ・・

私評:機体が上がらない・・機体が上がらない・・・今でも強烈な印象を残して、一生涯私の脳裏に焼きついて離れないであろう2001年9月11日の同時多発テロ事件。飛行機の2機がWTCビルに、そして1機がペンタゴンに突っ込んだ。そしてもう1機、ユナイテッド93便は乗客とクルーの転機で、テロの目標に到達する前に落ちた。乗客・乗員は全て死亡。その事件が5年経って映画になった。その恐怖たるや想像を絶します。緊迫する機内の様子がハンディカメラで縦横無尽に描き出される。そしてその状況を追うべく必死に事件の収拾をしようとする管制官、そして軍。それらがすごい緊迫感で描かれていきます。物語の最後を知っていて観ても恐ろしいです。ましてや事件を目の当たりにしたアメリカ人には、私たち以上の刺激があるでしょうね・・。この映画には有名人はまったく出ていません。そのことがこの映画のリアルさを増しています。目を背けてしまう事もできますが、最後まで正義のために戦った乗客・乗員の勇気を、ぜひ大画面で見て欲しいと思います。

上の映画の他に、アメリカのFOX TVが作った「エアポート ユナイテッド93」という映画もあります。この作品は劇場公開されず、10月にビデオレンタルが始まります。最初は「ユナイテッド93」のバッタ物みたいなものだろうと高を括っていたのですが、観始めたら・・・目が離せませんでした。映画版とは違い機内の乗客と地上の家族の電話でのやり取りや、地上の家族の行動が中心になっています。ハイジャックされた飛行機から電話を受け、何もできずにテレビに釘付けになっている家族たち。もう、涙なしには見られません・・。こちらも併せて紹介させてください。この作品は10月6日レンタル開始。(販売元 株式会社アルバトロス)
ザ・フォッグ  監督:ルパート・ウェインライト  出演:マギー・グレイス、セルマ・ブレア
The FOG  2005年 アメリカ映画
アントニオ・ベイはオレゴン州の小さな港町。その町で周年祭が行われようとしていた。今回の祭りではこの町を築いた4人、ウィリアムズ、マローン、キャッスル、ウェインの銅像の落成式も執り行われる。この町の灯台でラジオのDJをしているスティーヴィー・ウェインは、この町の天気の情報も担当している。彼女の元に届いた情報によると、海上に濃い霧が発生し町に向かっていると言う。しかも、風に逆らって進行している。町が霧に完全に覆い尽くされた時、霧の中に幽霊船が現れる。そして次々と現れる幽霊たち。実は彼らは1971年にこの地に夢と希望を抱いてやってきた移民たちの霊だった。彼らは街を築いたとされる4人の男たちに騙され惨殺されたのだ。過去の恨みを晴らすべく、そして彼らの子孫に復讐をするため、今宵町を修羅場に変えていく・・・・
私評:この恨み 晴らさずにおくものか・・・こんなセリフは映画の中にはありませんでしたが、『ザ・フォッグ』と言えばこの文句でしょう!ジョン・カーペンターが1980年に作った『ザ・フォッグ』はホラー映画の名作中の名作。それが25年の時を経て、最新の映像技術で蘇った。映画のシナリオや人物などはオリジナルとほとんど同じ。しかし、今回のバージョンで決定的に違うのはCGを駆使した映像の数々です。つまり、オリジナル版の良さを継承しつつ、迫力も増しているのでリメイクとしては成功の部類だと思います。全米では公開1週目は第1位を獲得したのですが、日本では扱いも小さくてホラー映画ファンの私としてはちょっと寂しい限りです・・。主演のニック役はTVシリーズの『ヤング・スーパーマン』で活躍中のトム・ウェリング。そして数奇な運命を辿るヒロイン役は、やはり大ヒットTVシリーズ『LOST』に出演中のマギー・グレイス!(私、彼女のことめっちゃ好きです!!)そして灯台のDJ役には『ヘルボーイ』のセルマ・ブレア。監督は『スティグマータ 聖痕』のルパート・ウェインライト。
森のリトル・ギャング  監督:ティム・ジョンソン  声の出演:役所広司、武田鉄矢
Over The Hedge  2006年 アメリカ映画
アライグマのRJは自動販売機からチップスを獲ろうとするが失敗。空腹に耐えらなくなったRJは危険を覚悟で冬眠中のクマ、ヴィンセントの蓄えた食糧を盗みに行くが・・・。怒り心頭のヴィンセントにRJは全ての食料を1週間以内に取り戻すと約束した。ヴィンセントが住む山のふもとの森にはカメのバーンをリーダーとする一行が仲良く家族のように暮らしていた。春が来て目を覚ました彼らは、森が半分になっていて人間の住宅地になっていることを知る。「これからどうやって食料を集めればいいんだ!?」そこにやってきたのがRJ。彼は森の仲間に人間から食料を奪取する方法を説く。そして彼らは次々と食料を集めていく。しかし、RJは彼らを利用してヴィンセントへの食料を集めるつもりだったのだ。しかし、家族としてRJを優しく迎え入れてくれた森の仲間たちに罪悪感を抱き始める・・・・
私評:そうじゃないでしょう、バカチンが〜・・・今回は甥っ子と一緒だったので日本語吹き替え版で見てきました〜!!さすがにドリーム・ワークスのアニメはディズニーとは違って『毒』があります。でも、そんなギャグばかりではなくスリルあり、そして最後には感動ありというお徳版。キャラクターもそれぞれが際立っていて良いんですよ。しかし、吹き替えの声優はしっかりした人をお願いしたいですね。RJ役のオリジナル版はブルース・ウィリスなのですが、日本版は役所広司。これは思いのほかキャラに合っていてグッドでした。そしてなんとも良かったのがバーン役の武田鉄矢。まさに金八先生の口調なのですがキャラクターにピッタリ!そして鬼のような主婦役は夏木マリ。ここまでは良い配役だったのですが、友近、カンニング竹山なんて・・・最低。BoAに至っては日本語が変じゃない??まあ、人気のある人たちで固めたのは良いけど、もうちょっとレベルを高くして欲しかったですね〜。今度はオリジナル版を見ようっと。


前回の記事も読んでね〜!



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