2001/9/10号

今回は週末にまとめて鑑賞。かなり手応えのある映画がいっぱいありました。
でも、私はやっぱりホラーアクションが好きです〜。

VERSUS  監督 :北村龍平  出演 : 坂口拓、榊英雄、松田賢二
VERSUS  2001年 日本映画  
刑務所を脱獄した2人の男。彼らは森の前で男たちと落ち合った。しかし、彼らの前に現れた男たちは、バックに控える何者かによって、囚人の二人と記憶のない一人の女を捕らえるよう指示されていた。しかし、囚人の一人の銃が火を吹いた。血飛沫を上げて倒れた男。しかし、彼らの目の前で信じられない光景が・・。今,目の前で死んだはずの男が生き返り彼らを襲ったのだ。森へと逃げた囚人と女。そして彼らを追う男たち。しかし、その森は黄泉返りの森と呼ばれ、この世とあの世の結界が存在する場所だった。あっという間にゾンビ軍団に囲まれる。しかも、囚人を追ってやってきた刑事たち、そして謎の男を倒すべく集められた武道家たちを巻き込み、怒涛の殺戮が繰り広げられる・・・。

私評:この衝撃、問答無用! けっこう過激な映像のオン・パレードなので、誰にでも推薦できる映画ではありませんが、私は超・はまった! カメラが回る回る〜。 目にも止まらぬ,スピーディーな映像。そして有無を言わさぬ、怒涛のストーリー展開。映画を見ながら思わす「ウオー!」っと叫びたくなるような、強烈なインパクト。しかも、めっちゃ笑えます(笑)。 登場人物がかなり多いのですが、それぞれが個性的で,その描き方も上手い!登場人物に名前がないのですが,主人公の脱走犯は坂口拓。声に迫力がないのが,ちょっと気になりますが,動きは最高。「俺は絶対に負けないんだよ・・。」 そしてすべてを知る謎の男は、映画の前のダイヤモンドのCMで有名な榊英雄。この二人は注目です!! 最後のオチは最高に笑えました・・。 迫力満点のこの映画を体験してみよう! 
 ブロウ  監督:テッド・デミ  主演:ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、フランカ・ポテンテ
BLOW  2001年 アメリカ映画
1960年代。お人好しの父親を見て育ったジョージは金に対しての執着心は人一倍。青年になった彼は、さっさと家を出て,カリフォルニアにやってきた。そこで彼が目を付けたのが,マリファナだった。カリフォルニアで,仕事に成功した彼は次第に勢力を伸ばして行った。あっという間に富を手に入れたジョージだったが、警察の手入れで投獄されてしまう。釈放されたジョージが次に目を付けたのはコカインだった。コロンビアの麻薬王と手を結び、純度の高い麻薬を次々とアメリカに持ち込み、彼はまたしても巨万の富を手に入れる。 すべてを手に入れた彼だったが、最後まで手にいれる事ができないものがあった・・・。

私評:金なんて一時のイルージョンさ・・・。とにかく,テンポが良い。彼の人生の浮き沈みが、心地良いテンポで語られて行く。とんとん拍子に成り上がっては,叩き落され、そしてまた這いあがって・・。 しかし、最後の最後で彼は人生で本当に大事なものに気付く。それまでの2時間3分は、息をもつかせぬ展開だった。 主演はジョニー・デップ。 まさに,はまり役を得て乗りに乗った感があります。彼の最初の恋人役は、「ラン・ローラ・ラン」のフランカ・ポテンテ、そして後の彼の妻がペネロペ・クルス。(ペネロペの出演シーンは、1時間以上経ってから・・) 今回のペネロペは,はじけてます!そしてジョージの父親役のレイ・リオッタが,良い味を出してます。お人好しで家族は貧乏を強いられるのですが、彼が常に大事にしていたものにジョージも気づくんですね・・。 オープニングでコカインの作り方を見せてくれるのですが、これがまた・・・。 あまり期待をしていなかった作品だけに、超・拾い物でした〜。 面白い”!”
イルマーレ  監督:イ・ヒョンスン  主演:イ・ジョンジェ、チョン・ジヒョン
Il Mare  2000年 韓国映画
クリスマスを目前に控えた1999年。ウンジェは、今まで住んでいた家を去ろうとしていた。しかし、連絡がつかない恋人からの手紙が来るかもしれないので、その家のポストに1通の手紙を残した。しかし、その手紙は不思議な事に1997年にこの家に住んでいた男ソンヒョンの手に渡る。手紙の日付を見て悪戯だと思った彼だったが、彼も手紙を書いてポストに入れると、その手紙は1999年のウンジェに・・。そして二人の不思議な文通が始まる。次第に心を開いていく二人。 そして二人は2000年3月11日に会う約束をする。それはウンジェにとってはすぐ先の事だが、ソンヒョンにとっては2年先にこと。果たして二人は・・・・。

私評:「誰かを愛してその愛を失った人は、何も失わない人より美しい・・・」 私はどちらかと言うとこういうラブ・ストーリーは苦手なんですが,この映画はめちゃはまった。SFチックな展開も面白いのですが、この不思議な体験をする二人に”2年”という、中途半端な時代のギャップがあるというのがおもしろい。だから1997年のソンヒョンは、何度かウンジェに会うのですが,その時はまだ彼女はソンヒョンのことを知らないんです。そんな展開にドキドキしながら、二人のやり取りをけっこう楽しんでしまった。 最後の最後にどんでん返しがあるのですが、それは私的にはちょっと・・・。また、2年の時を隔てて同じ所を歩きデートするシーンとかはすごく好きだ。 そして音楽の使われ方もすごく良いです。主演のチョン・ジヒョンがすごく良いです。シム・ウナに1歩も劣らぬ清純派女優。とても好印象でした。 イル・マーレとは、イタリア語で「海」の意味。 映画の中では二人が住んだ家の名前なんです。 めちゃ泣けました・・。
魚と寝る女  監督:キム・イドク  主演:ソ・ジョン、キム・ヨソク
 2000年 韓国映画
女は水上に浮かぶ小屋船の管理人。釣り人たちに魚の餌,コーヒーなどを売りながら、時には体も売っていた。彼女の過去はわからない。そして世間との交流を断ち、そして一言も話さない・・。ある日、小屋船に一人の男がやってくる。元・警官の彼は恋人の浮気現場を見て、二人を殺してしまいここに逃げてきたのだった。そして彼はここを死に場所にしようとしていた。そんな二人はなんとなくお互いを意識し始めていた。ある日,別件でやってきた警察を見て、覚悟決めた彼は手元にあった釣り針を飲んで自殺を図るが、女は彼を匿い、そして命を救った。 二人の間には確実に何かが芽生え始めていた・・・・。

私評:めちゃ痛〜い映画です。この映画はR18指定です。 主人公のソ・ジョンは映画の中では一言もセリフがないのです。彼女の声を聞いたのは、セックスシーンのよがり声と、激痛のための悲鳴だけ・・。 これはすごく怖い映画です。世捨て人のような男と女が紡ぎ出す,灰色の恋物語。お互いの醜い部分を曝け出しあっても、尚且つ惹かれ合う二人の間にあったのは恋というより,同情っぽい気がした。 世捨て人のような二人は、現実から逃げながらも、きっと心の拠り所を探していたのでしょう・・。しかし、その表現の仕方が下手な女が、彼のためにする行為が怖い。究極は、彼女の元を去ろうとする男を引き止めるためにとった行為・・・。 それはもう想像を絶するものでした。 ソ・ジョンは疲れた娼婦のような顔、可愛い少女のような顔、そして鬼のような恐ろしい顔を持った女。最初に書いたとおり、彼女はセリフがないのでとても難しい役柄なのですが、見事に演じています。目を閉じずに、正視することができますか?? 
ラッシュアワー2 監督: ブレット・ラトナー  主演:ジャッキー・チェン、クリス・タッカー、チャン・ツィイー
Rush Hour 2  2001年 アメリカ映画
LAの刑事カーターは休暇を利用して香港警察のリー刑事を訪ねていた。 しかし、そこで二人は爆弾事件に遭遇する。香港警察はこの事件の主犯を,香港マフィアのタンと睨む。カーターとリーは単独でタンを追うが、そこには美しい殺し屋フー・リが立ちはだかる。しかし、タンが主催する船上パーティーの席でタンはフー・リに撃ち殺されてしまう・・。事件は意外な方向へと動き出した。そして二人は事件の謎を追いLA、そしてラスベガスへと渡り、大活劇が展開される。果たして本当の黒幕は誰だ??

私評:制作費100億円?? パート2は1を超えられるのか? ジャッキーのアクション、クリス・タッカーのしゃべり、チャン・ツイィーの出番・・・、全てが中途半端な感じ。 それでもそれなりに楽しめてしまうのがこの映画。 やっぱりジャッキーの映画は安心マークですね。香港での竹のやぐらでのバトルシーンは最高でした。今回はジャッキー,クリスのコンビ以上に、チャン・ツィイーを楽しみにしていたのは私だけではないでしょう?時代劇とモンペ姿しか見た事がなかったので,今回の現代劇は・・・??彼女の良さがほとんど出てませんでした。とっちゃん坊やになってしまった、ジョン・ローンが、笑えました〜。 でもっぱりこの映画の一番の見所は、ラストのNG集。 ここではネタバレはしませんが、絶対笑えます!この映画パート3もできるのかな??
大河の一滴 監督:神山征二郎  主演:安田成美、三國連太郎、セルゲイ・ナカリャコフ
A Single Drop of Water in a Mighty River  2001年 日本映画
雪子は故郷の金沢を離れ東京でブティックに勤めている。ある日,彼女の元に一本の電話が掛かってきた。相手はロシアに旅行した時にガイドをしてくれたニコライだった。実は彼はトランペット奏者で,今回はオーディションのため来日したのだ。しかし,彼はオーディションに落ちてしまう。そんな折、雪子の父親の伸一郎が倒れたという連絡が入る。伸一郎はガンで半年の命と宣告される。しかし、そのことを知りながらも、平然と毎日を過ごす伸一郎。 落ち込んでいた雪子は、ふとニコライの事を思い出す。そして金沢でもトランペットのオーディションがあることを知り、彼を金沢に呼ぶ事にした。雪子は幼なじみの昌冶の愛を痛いほど感じていたが、ニコライへの想いも日増しに膨らんでいくのだった・・。

私評:人間は生きているだけで,美しい・・・。 私がこの映画を見た日は、けっこう年配の人たちで映画館はいっぱい。映画が終わるとみんな泣いていた。 (私は全然泣けませんでした・・) この映画は家族の繋がり、そして人を愛する事をじっくりと見せてくれます。しかし、主演の安田成美が演じる雪子のキャラが、どうも私には理解できなかった。彼女を愛している昌次(渡部篤郎)の心を弄ぶかのような、後半の展開は腹立たしい〜。それに引き替え素晴らしいのは三國連太郎と倍賞美津子の夫婦。死を間近に控えた夫婦の会話は一つ一つがとても重く、そして美しい。人を愛す事を伝える時、日本語って実に美しい言葉だと思った。 そして臨終を迎える三國の演技は、ちょっと怖いくらいリアルだった。私的にはちょっと苦手な映画でした・・。
ザ・ミッション 非情の掟  監督:ジョニー・トー  主演:アンソニー・ウォン、フランシス・ン
The Mission  1999年 香港映画
裏社会のボス,ブンが何者かに命を狙われた。九死に一生を得たブンは弟のフランクに、ボディーガードを依頼する。そして彼が集めた5人の男たち。氷の男と恐れられたグァイ、銃のエキスパートのフェイ、凄腕のスナイパーのマイク、そして成り上がりの殺し屋ロイとその弟分のシン。ロイとシン以外は,以前にブンの世話になっており,今は組織からは足を洗ったものの、ブンのためにカンバックしてきた男たちだ。彼らのミッションはブンのボディーガードと犯人の割り出しだ。最初のうちは衝突を繰り返していた彼らだったが,次第に絆を深めて行く。そしてついに敵が動き出した・・・。

私評:これぞハードボイルド・・。 最近のマフィア映画やヤクザ映画はどうもエンターテイメント化しているが、この映画はあくまでもリアルで、そしてその緊張感たるや・・・。選ばれた男たちのそれぞれのキャラもすごく面白い。リーダー格のグァイは宍戸錠に似てるアンソニー・ウォン。ちょっと切れやすいロイ役は萩原流行に似てるフランシス・ン。いつも豆ばかり食べてるが、ここ一番の動きが良いデブがラム・シュー。そして若手のロイ・チョンとジャッキー・ロイ。みんなめっちゃカッコイイ。 そして銃撃戦も、ただむやみやたらとぶっ放すのではなく、しっかり形作られている。そんな展開の中、ハラハラドキドキの60分が過ぎた頃、いとも簡単に事件が解決、そしてあれあれ?って感じのラストでちょっとガックリきた。でも、上映時間81分の凝縮版のハードボイルドは見所がたくさんあります。カッコイイ、そしてシブイ男たちを見たいと思っている方たちには,超・お薦め映画です。監督のジョニー・トーの映画は「暗戦 デッドエンド」の方が好きだな〜。 
魔王  監督:フォルカー・シュレンドルフ  主演:ジョン・マルコヴィッチ、アーミン・ミューラー・スタール
The Orge  1996年 フランス・ドイツ合作映画
幼い頃から内向的だったフランス人のアベル。 彼はある日「学校なんか全て燃えてしまえ!」と願った。すると、その願いは聞き届けられ,学校は全焼。しかし、彼はたった一人の友達を失ってしまう・・。アベルは成長し自動車工になる。子供好きの彼は美少女のマルティネスと仲良くなるが,彼女の嘘がきっかけで逮捕される。ところが折りしも戦時中だったため,彼は戦線へと送られるが、すぐにドイツ軍の捕虜になってしまう。様々な経験を重ねたアベルは,自らドイツ軍の幼年学校へと移る。少年たちとの夢のような日々を送る彼だったが、ドイツ軍の戦況の悪化と共に,彼は軍人となる少年のスカウト役を任ぜられる。そしていつしか彼は「鬼(ORGE)と呼ばれるようになる。しかし、彼はその後の悲劇をまったく予想していなかった・・・。

私評:あまりに理不尽な世界・・。先日,手塚治虫の「アドルフに告ぐ」を読んだばかりの私には,すごくタイムリーな作品だった。ヒットラーの政権下で、戦闘マシーンに洗脳されて行く少年たちを目の当たりにしたからだ。しかし、主人公のアベルは大好きな少年たちのためにと,せっせとスカウトを続けるのです。監督のフォルカー・シュレンドルフと言えば、「ブリキの太鼓」が有名ですよね。この映画では大人に成ることを拒み、少年の姿のままで居続ける男が主人公だったが、この映画のアベルは少年時代の無垢な心を持ちつづけたまま、体だけ大人になったような男。この男をジョン・マルコヴィッチが演じています。あまりに無垢で純粋であるが所以に、第2次世界大戦下の世情では,彼は悲劇の中心になってしまう。後半でソ連軍が城に攻めてくるシーンはすごく悲惨だ。 そこでアベルがとった行為には、涙が溢れ出た。かなり重いテーマの映画ではあるけれど、目を逸らしたくない映画でした。 


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