2002/5/6号

3日間で6本の映画を観たので記事をためないために早急にアップ。
今回は面白い映画のてんこ盛り。イチ押し作品はかなり迷いました・・・

バーバー  監督:ジョエル・コーエン  出演:ビリー・ボブ・ソーントン、フランシス・マクドーマンド
The Man Who Wasn't There  2001年 アメリカ映画
今週のイチ押し:エド・クレインは無口な理髪師。義兄の店で黙々と仕事をしている。妻はスーパーの経理係。どうやら経営者とは良い仲のようだ。ある日,一人の客が彼にドライクリーニングのフランチャイズ化の話をする。なんとなくその話が気になった彼は、今までの平凡な自分の殻を破るかのように、その話に乗った。そして運用資金の1万ドルを用意すると約束する。エドは妻の勤務先のボスのデイヴに脅迫状を出し、まんまと金を手に入れることに成功。しかし、デイヴに脅迫状の事がばれてしまい、彼のオフィスで取っ組み合いになり、はずみでエドはデイヴを殺してしまう・・・・。
私評:苦しみを与えた人には悪いが、何一つ後悔はしていない・・・・寡黙でマジメな男が、たった1度思い立って行動を起こしたことが思いもよらぬ事態に発展していく。しかし、この映画の展開は読めなかった。でも、それが理路整然と進んで行くので具の音も出ない。まさに完璧なシナリオだ。私がこの映画で好きなところは,独特のテンポです。映画の画面の移り変り、ビリー・ボブのナレーション、そしてベートーベンのピアノソナタ・・・。どれもが、せかせかと生きている私には微妙に遅いのですが、その独特のリズムが心地良くなって行く。2時間近い映画なのですが、終始心地良いリズムなのです。そしてコーエン兄弟らしい,ブラックな題材もいっぱい。「そう来たか〜!」っと心の中で何度も唸ってしまった。それにしてもこの映画のビリー・ボブ・ソーントンはめっちゃカッコイイ。私には到底なれない無口で生真面目な男(笑)。それがまた様になっているんです。彼の妻役はコーエン兄弟の「ファーゴ」でオスカーを獲ったフランシス・マクドーマンド。ちょっとイヤな女の役なのですが、ピッタリとはまった!そして注目はエドが心惹かれる知り合いの弁護士の娘のスカーレット・ヨハンスン。「ゴースト・ワールド」でソーラ・バーチを嫉妬させた(?)友人役が印象的。今回もビリー・ボブを狂わせます。(?) とにかく,この映画はめっちゃお気に入りです・・・。余談ですが、この映画はモノクロなので、オープニングのアスミックエースのロゴもモノクロでした。(笑)
ウイークエンド  監督:ジャン・リュック・ゴダール  主演:ミレイユ・ダルク、ジャン・ヤンヌ
Week-End  1967年 フランス・イタリア映画
今週のイチ押し:ブルジョアな夫婦コリンヌとロランは、コリンヌの両親の遺産をいただこうと週末のドライブに出かける。途中で何度も障害を乗り越え、やっと辿りついたが,そこには想像を絶する陰謀が・・・・・。
私評:じゃあ,後でおかわりするわ・・・・。ミレイユ・ダルクのこの台詞に辿りつくまでの約2時間。私はゴダールのマジックにはまった。この映画ははちゃめちゃなコメディだ。ストーリーは上に書いたとおり。だけど、ここに辿りつくまでに数々のエピソードがあります。大渋滞、交通事故、乱射事件、ヒッチハイカーによる脅迫、レイプ、そして殺人・・・。この頃のゴダールの作品って,やっぱりカッコイイ。でも、この映画の主人公の二人は、とにかく鬼畜みたいなヤツら。人に迷惑をかけるのなんて当たり前。超自己チューの二人の大暴れぶりに退いてしまう人も多いと思いますが、私はどんどんのめり込んでしまった。可愛い顔してめちゃ悪女のミレイユ・ダルクには惚れました。車の事故で車は大破、夫は怪我をしているの気になるのはセリーヌのバッグの事だけ・・。このシーンは大爆笑だった。途中で男に一本背負いはされるし、浮浪者にレイプはされるし・・・。でも、この女は強いのだ!あのコケティッシュな顔から想像できない,悪魔のような女。でも、それがまた良いんですよ。とにかく、終始信じられないような映像のオン・パレードで,私の中の常識は完全に覆されてしまった。しかし、この映画って35年前の映画なんですよね。今、観てもかなりのインパクトがありますよ。時代はまだまだ,ゴダールに追いついてないのかも知れません???そして私も・・・・。
スパイダーマン  監督:サム・ライミ  主演:トビー・マグワイヤ、ウィレム・デフォー
Spader-manl  2002年 アメリカ映画
叔父夫婦と暮らすピーターは,苛められキャラ。勉強は得意でも気が小さい。ある日彼は課外授業で遺伝子組換えをしたスーパースパイダーの見学に行く。あろう事か、そこで彼はクモに噛まれてしまう。すると,彼の体に変化が起きた!体力,視力、そして跳躍力が驚異的にアップし、しかも手首からは強靭なクモの糸が出るようになる。指先は壁を這いあがれるほどの細かなとげが・・。彼はその力が正義のためのギフトだと信じ、NYの悪人どもを次々と懲らしめる。その頃、ピーターの友人の父ノーマンは自らの体で人体実験を行い、強靭な体を手に入れるがもう一つの悪の人格に体を乗っ取られてしまう。グリーン・ゴブリンと呼ばれ始めたノーマンはNYの破壊王となり、大暴れ。そこで立ちあがったのはピーター=スパイダーマンだった・・・・

私評:大いなる力には、大いなる責任がともなう・・・・・。待ちに待ったこの作品をついに観てきました。いや〜、めちゃ面白かったです。スピード感溢れる映像、度肝を抜く特撮、コミカルなキャラクター・・・。見所がいっぱいでした。コミック雑誌のキャラと言う事で、サム・ライミの監督起用はずばり当たりましたね。「死霊のはらわた」「XYZマーダーズ」「クイック&デッド」でも多用された、いかにもコミックという感じの映像が多用され、それがまたすごく効果的でした。クモの糸でNYの街中を飛びまわるシーンや、縦横無尽にビルの壁をよじ登るシーンなどは、迫力満点!!主演のトビー・マグワイアはピッタリでしたね。苛められッ子のキャラもピッタリだし、正義感溢れる青年というのも、まさにピッタリ。そして悪役はこれまた適役のウィレム・デフォー。ヒロインは久々に大作に出演のキルスティン・ダンストが元気一杯に演じてます。期待以上のできに大満足の一本でした!!
Laundry  監督:森淳一  出演:窪塚洋介、小雪、内藤剛志
Laundry  2002年 日本映画
僕の名前はテル。小さい時にマンホールに落ちて頭に傷がある。その時脳みそにも傷がついた。僕の仕事はコインランドリーの見張り役。ある日、コイン・ランドリーに寂しい目をした女性が訪れた。彼女の名前は水絵。彼女が忘れた洗濯物を届け,僕たちは仲良くなった。ところが、彼女はこの町を去って行った。血だらけの洗濯物を一つ残して。しかも、このコイン・ランドリーが乗っ取られてしまう。僕は仕事をなくした。僕は洗濯物を届けるために水絵の住む町を目指した。道中はサリーと言う男と一緒。彼は僕に「愛」について教えてくれた。そしてついに水絵の町にたどりついたけど・・・・

私評:こういうのを地球では「愛」っていうんだよ。宇宙では知らないけれどね・・・誰もの日常にあるような何気ない風景。そして夕方のニュースでも放送されないような小さな事件。そんなどこにでも転がっていそうな話を淡々と語る、この映画の雰囲気に酔っていた。それはひとえに窪塚洋介のキャラが成せるマジックだった。闇雲で無軌道な彼の行動は、ピュアと言う言葉で表すのはちょっと危険かもしれない。でも、結果を求めず心の命ずるままに水絵を訪ねる彼が「愛」について語るセリフがすごく好きだ。(もともと、サリー役の内藤剛志が言ったセリフなのですが)この映画も思いきり心地よい、そしてこの映画のタイトル通り日々の暮らしの中で蓄積した「胸のつかえ」を洗い流してくれるような映画でした。でも、このテルと水絵のキャラって人選を間違えると、とんでもないヤツらになってしまうのですが、窪塚洋介、そして小雪は最高のキャスティングでした。この二人以外には、考えられないくらいピッタリでした。また、Bonie Pinkが歌うエンドクレジットの曲「Under The Sun」がまた,イイ曲なんです。
パコダテ人  監督:前田哲  出演:宮崎あおい、萩原聖人、大泉洋
Pakodatejin  2002年 日本映画
函館に住む日野ひかるは普通の高校一年生。しかし、ある朝目が覚めるとお尻にシッポが生えていた!驚きとショックを隠せないひかるだったが親友の千穂と姉のみちるにだけは打ち明けた。ファッションデザイナーのみちるはひかるのためにシッポ付きのファッションを流行らせるがその姿を地元の新聞記者に撮られ、シッポ人間のニュースはたちどころに函館中に広まる。家族の愛情を知ったひかるは自らTVで自分のシッポを公表し、彼女は一躍時の人となる。自称「パコダテ人」にひかるは超有名人になるが・・・・。

私評:函館生まれのパコダテ人、ピノピカルです!・・・・・パコダテ語は「は行」に〇をつけて喋ります。と言う事は私はピデ??ちょっと幼い少女コミックのようなお話なので,正直言って私はこの映画をかなりバカにしてました。ところが,けっこうこの映画が面白くて、最後までしっかり楽しんでしまいました。(まあ,ミーハーな映画には違いないんですけど・・) このシッポの原因となる物があるのですが、お尻につけないで腕や足に使用していたらどうなるのか??という素朴な疑問を抱きながらも、軽い乗りと笑い、そしてちょっぴり感動で突っ走る映画でした。(他にもツッコミどころは満載) 函館市が全面的にバックアップした、観光案内映画でもあります。(しかも、音楽はホワイトベリーという徹底ぶり!)主演は「ユリイカ」「害虫」で良い演技を見せてくれた宮崎あおいちゃん。正直言って彼女はこういう軽い映画には出て欲しくなかった・・・。でも,かわいかったから許します。(笑) 脇役人も萩原聖人、松田美由紀、引越しのサカイの徳井優と、良い面子が揃ってます。お気楽映画の決定版です!!
鬼が来た!  監督・主演:チアン・ウェン  出演:香川照之、澤田謙也、チアン・ホンポー
Devils on the Doorstep  2000年 中国映画
第2時世界大戦末期の中国華北の寒村。日本軍の占領下に置かれたこの村に住むマーの家に、「私」と名乗る何者かが麻袋を2つ置いていった。中には日本兵と通訳の中国人が入れられていた。とりあえず、彼らを預かる事になったマーは村人に相談し、彼らを家の物置に囲い込んだ。数日後に引き取りに来ると言った「私」は待てど暮らせど帰ってこない。半年が過ぎようとしたある日、ついに村人は彼らの殺害を決定するが、心優しいマーは彼らを別の場所に匿った。捕らわれの身の日本兵も、ここに連れてこられた頃の自暴自棄が薄れ、ついには村人に感謝をするようになる。そして村人たちは彼らを釈放することにするが・・・・・

私評:お兄さん、お姉さん、新年おめでとう!あなたは私のおじいさん、私はあなたの息子・・・・モノクロの映像が一昔前の寒村の雰囲気を盛り上げる。オープニングから独特の雰囲気を醸し出す。前半はかなりコミカルな展開で大爆笑。とぼけた村の人々と、一人気を吐く日本兵,香川照之とのチグハグなコミュニケーションがめちゃ面白いです。笑って笑って思い切り盛りあがったところでこの映画は急転直下、悲惨な物語へとひた走ります。今までニコニコと笑って見ていた分、その反動の大きさは何倍にもなるのです。この演出はすごく上手いですね。あまりに理不尽な物語の展開に、怒りを押さえられずにはいられない。例えそれが作られた物語であっても・・。だから、この映画はいかに完璧な良い映画でも,私は嫌い。この胸糞の悪さは「ダンサー・イン・ザ・ダーク」以来。かなりブルーになっちゃいました。ゴダールの映画でめっちゃテンションが高くなっていたのに、この映画に鎮火されてしまった・・・・・・・。


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