今回は面白い映画が勢ぞろい。イチ押しが3つになりました。
私が好きなキング原作のホラー(?)、黒澤映画のリメイク、
そして生きる伝説B・ディランに迫る・・・
ミスト | 監督:フランク・ダラボン | 出演:トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン | |
The Mist | 2007年 アメリカ映画 | ||
今週のイチ押し:すごい嵐の一夜が過ぎた。デヴィッドは翌朝、荒れ果てた我が家を見て愕然とする。そして家族は湖の上にどんどん広がっていくミスト(霧)に一抹の不安を覚えた。彼は息子のビリーと隣家の弁護士ノートンとともに町まで買出しに出た。彼はその人の多さに驚いてしまう。しかし、次の瞬間血だらけの男が店に駆け込んでくる。「霧の中に何かがいる」・・・。人々が外を見ると、濃い霧があっという間に店を包み、まったく視界が効かなくなってしまう。次の瞬間、ものすごい衝撃が店を襲う。熱を出してしまったビリーのために倉庫に毛布を取りに行ったデヴィッドは、そこで不気味な物音を聞く・・ | |||
私評:ネタばれがあります。読まれる方はドラッグしてください。俺は自分でどうにかする・・・この映画についてはあまり書かないようにしようと思ったのですが、そうすると想いが伝わらないので・・。原作はあのスティーブン・キング。もちろん、原作は読んでいましたが、これが映像になるとすごい!霧に包まれたスーパーマーケットに閉じ込められた町の人たち。霧の中には得体の知れない恐ろしい何かが・・。そして店の中でも不協和音が起こり始める。そしてなんともやるせない気持ちにさせるラスト。(原作では描かれていない、驚愕のラストです)思わず「え〜!マジかよ!!」と声に出してしまいそうになりました。これがキングらしいといえばキングらしいのですが・・・。主演は「ドリーム・キャッチャー」でもキング作品に出演したトーマス・ジェーン。そして店の中で聖書を読みまくり、あれよあれよと言う間に信者を作ってしまう狂信女にマーシャ・ゲイ・ハーデン。彼女が違う意味でこの映画の中の”恐怖“のひとつなんですよ・・。マーケットの技術係で口ばかりの小心男にキング+ダラボン監督の映画の常連、ウィリアム・サドラー。監督は「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」のフランク・ダラボン。 | |||
隠し砦の三悪人 | 監督 : 樋口真嗣 | 出演:松本潤、長澤まさみ、阿部寛 | |
The Last Princess | 2008年 日本映画 | ||
今週のイチ押し:時は戦乱の世。秋月、早川、山名と言う国境を接する3つの国があった。早川攻略を目論む山名は、攻略の1歩として秋月を攻め、城を落とした。しかし、そこにあるはずの黄金百貫と秋月の血筋を引く正統な跡取り雪姫の姿はなかった。消えた軍資金を探すため強制労働をさせられていた武蔵(たけぞう)と新八は地中からのガスが爆発するどさくさに紛れて城外へ脱出。川沿いで彼らは偶然、秋月の金を発見した。しかし、その直後、彼らはふたりの野伏せりに捕らえられてしまう。実は彼らは秋月の雪姫とその忠実な家臣、六郎太だった。実はふたりは軍資金を早川に運び、秋月の再興の時期を探るという密命を持っていた。この土地に詳しい武蔵と新八を供に、雪姫と六郎太の旅は始まった。しかし、彼らを山名の侍大将・刑部が追っていた・・・ | |||
私評:裏切り御免・・・黒澤明の名作リメイクと言うことで期待半分、不安半分。しかし、不安はあっという間に取り除かれてしまった。平成版では昭和版のおいしいところを残しつつ、違う切り口で作り上げた別の映画になっていました。無駄を思い切り削ぎ落として、エンターテイメントに徹したアクション映画にです。「椿三十郎」みたいな失敗だけはして欲しくなかったのですが、これは良い意味で期待を裏切る映画でした。黒沢明組の完璧に近いシナリオ+現代のCG+新たな展開・・。これが面白くないわけがない!武蔵役は「嵐」の松本潤。彼を主役に置いた所からして前作とは違う映画ですよね。これがけっこう成功しています。雪姫役はすっかり大人になった長澤まさみちゃん。前作の上原美佐も良かったですが、私的にはまさみちゃんの方が断然良かったです。こういうキリリとした役もできるんですね〜。六郎太役は阿部寛。三船敏郎と比較する必要はまったくなし。その他、宮川大輔、椎名桔平など。監督は「日本沈没」の樋口真嗣。 | |||
アイム・ノット・ゼア | 監督: トッド・ヘインズ | 出演:ケイト・ブランシェット、ヒース・レジャー | |
I'm Not There | 2007年 アメリカ映画 | ||
今週のイチ押し:アチュール・ランボーと名乗る男。映画の語り手でもある。ランボーと言えばディランの作詞に多大なる影響を与えた男だが・・。ウディと名乗る少年はギターを抱えて貨物列車に。白人女性に助けられ、ギターの才能を見出されるが、彼は鑑別所の脱走者・・。ジョンはフォーク・プロテストの担い手。アリスと共に時代の声となって行った彼はある事件を境に姿を消す。しかし、20年後彼は牧師として信者の前でゴスペルを・・・。フォークシンガーからハリウッドスターに転進したロビー。彼は美大生のクレアと出会い、即結婚。俳優として成功を収めたロビーだったが結婚生活は・・・。ロックバンドを従えフォークフェスティバルに登場したジュードは観客からブーイングを受ける。精神的に負いつめられたジュードはやがてドラッグに・・・。西部の町でのほほんと過ごしているビリー。久々に町に出たビリーは住民がハイウェイの建設のため立ち退きを迫られていることを知る・・・ | |||
私評:歌で世の中が変わるなんて思っていないさ・・・・。ボブ・ディランとの出会いは小学校6年生のとき。仲の良かった従兄弟のお兄ちゃんが、ボブ・ディランのファンで、無理やり聞かされたのが「コーヒーもう一杯」。正直、全然良いと思わなかった。しかし、中学生になって再度、彼の曲にチャレンジした。それは当時のシングルレコードのA面とB面で1曲になっている「ハリケーン」という曲。日本語の訳詩を見ながらなんとも言えない力強いメッセージを感じ取った。以来、ボブ・ディランは何度となく私の人生に現れては消え、また現れる不思議な男です。彼を最後に見たのは「ウイ・アー・ザ・ワールド」かな・・。そんな生きる伝説ディランを最強の6人がそれぞれ演じ分けます。彼らはディランを演じるのではなく、彼にゆかりのある人物や彼に影響を与えた人物を演じるのですが、その中にディランの本質が見え隠れします。もちろん、そこに「答え」があるわけではない。そこにあるのはディランの「イリュージョン」なのです・・。演じるのは、この作品でアカデミー助演女優賞にノミネートされたケイト・ブランシェット。「パフューム」のベン・ウィショー、1月に亡くなったヒース・レジャー、「バットマン ビギンズ」のクリスチャン・ベイル、リチャード・ギア・・。そして彼を取り巻く女役にジュリアン・ムーア、シャルロット・ゲンズブール、ミシェル・ウィリアムズ。監督はトッド・ヘインズ。 | |||
相棒 絶体絶命!42.195km | 監督:和泉聖治 | 出演:水谷豊、寺脇康文、西田敏行 | |
2008年 日本映画 | |||
テレビ塔に吊るされた男・仲島が発見された。彼は元・テレビのニュースキャスター。そこには“f4”の文字が残っていた。続いて、若き女性議員の片山の元に小規模な爆弾小包が送られた。彼女の護衛に付いたのは特命係の杉下右京と亀山薫。そんな彼女が車で移動中にラジコンに積んだ爆弾で襲われるが、間一髪、亀山が対処をした。その現場では“d5”という文字が残されていた。そんな二人の元に捜査一課の陣川が”ある情報“を持ってやって来る。会員制のSNSのサイトに「処刑リスト」というものがあり、そこには仲島、片山の名前があり殺人の方法まで書かれているという。やがて、杉下と亀山はこのサイトを買い取ったという男を突き止める。そして現場に残されていた”記号“がチェスの駒の位置を示す物だという事がわかる。犯人とのチェス上での攻防の末、彼が東京で行われる大きなマラソン大会で何かを起こそうとしている事が発覚する・・・・ | |||
私評:でも、あなたのやり方は間違っています・・・・テレビでも大人気のこの作品がついに映画化。GW公開されて大ヒットばく進中の映画ですが、私はTV版も見た事がなくて、映画館で初めての「相棒」体験と相成りました。思っていた以上によくできた映画でしたが、私は最後の「お涙頂戴」的なくだりがイマイチでした・・。そして伏線を置きすぎてしまった為、真の犯人がすぐに分かってしまったのもちょっと・・。でも、この映画の杉下、亀山というコンビのキャラクターは面白くて良いですね〜。ちょっと、TVシリーズも見たくなりました。杉下役は水谷豊。私くらいの年齢の人は「傷だらけの天使」のアキラ役や「熱中時代」が印象的でしたよね〜。彼もしぶとく頑張っていたんですね。亀山役は寺脇康文。その他、(恐らくテレビではもっと出番が多いのであろう)鈴木砂羽、高樹沙耶。そして西田敏行がベテランらしいすごい演技を見せます。彼の娘役の元仮屋ユイカちゃんもすっかり大人になりました。監督は「さらば愛しのやくざ」の和泉聖治。 | |||
P2 | 監督 : フランク・カルフーン | 出演 :レイチェル・ニコルズ、ウェス・ベントリー | |
P2 | 2007年 アメリカ映画 | ||
クリスマスイブのNY。残業をしていたアンジェラはようやく仕事を片付け、家族とのパーティに向かう予定だった。地下2階の駐車場“P2”についたアンジェラは車に乗り込むがエンジンがかからない。仕方なく警備員室に出向くとトムという男が現れる。トムは車の修理を試みるがエンジンはかからず、アンジェラはタクシーで帰宅することにした。やがてタクシーがビルにやってくるが、なんと入り口のドアが開かない。せっかく来たタクシーも帰ってしまった。しかも、駐車場に戻っていたアンジェラを更なる不幸が・・。なんと照明が全部消えてしまったのだ。携帯の明かりを頼りに出口を探すアンジェラの後ろに、トムの姿が・・。目を覚ましたアンジェラは警備員室にいた。ドレスに着替えさせられ、しかも、足を手錠で填められたアンジェラはこれらが全てトムの仕業だと知る。最初は優しかったトムだったが、やがて彼の本性が露になっていく・・・・ | |||
私評:僕はただ君に優しくしたいだけなんだ・・・・この映画を見た女性は深夜の地下駐車場には行けなくなるでしょう!?地下駐車場は、ひとりで行くとすごく孤独な場所ですが、そこでひとり働く男がいたら彼の孤独は筆舌に耐えないでしょう。そこで働く男の歪んだ愛情、そして孤独なゆえにずっと描き続けてきた彼女との妄想。なんとなく犯人のトムの気持ちも分からないでもないのですが・・・。「ストーキング」「盗撮」「監禁」そして凄まじいスプラッターシーンでこの映画は18禁になっています。でも、このシチュエーションってけっこうリアルにありそうな気がする。それがこの映画の恐怖を高める要因のひとつなのですね。主演はTVシリーズ「エイリアス」のレイチェル・ニコルズ。彼女の恐怖の演技も凄まじいのですが、セクシーな衣装で甚振られる姿はかなりそそられます。トム役は「アメリカン・ビューティ」でも覗きをしていたウェス・ベントリー。監督と共同脚本を手がけているのは「ハイ・テンション」「ヒルズ・ハブ・アイズ」のアレクサンドル・アジャ。監督はフランク・カルフーン。 | |||
ネクスト | 監督:リー・タマホリ | 出演:ニコラス・ケイジ、ジュリアン・ムーア | |
NEXT | 2007年 アメリカ映画 | ||
ラスベガスの寂れたクラブでマジックをしているクリスは予知能力を持っている。しかし、自分自身に関わること限定で、しかも2分間先だけ。しかし、その力に目をつけていたのがFBIのカリーだった。なんと核兵器を持つテロリストがロスの爆破を企んでいる事をFBIは嗅ぎつけたのだ。カリーの話を聞いても面倒なことに関わることを避けて、彼女の依頼を断った。そんな折、クリスの頭になんどもよぎった夢の女性リズが現れる。彼女を口説きラスベガスを彼女の車で去ることにしたクリス。しかし、FBIはどこまでも彼を追ってくる。しかも、カリーは密かにリズに接触し、クリスは危険な男であると警告する。しかし、リズは土壇場でFBIを裏切る。クリスはリズを巻き込むまいと、一度彼女の元を去ることを決意するが、リズはテロリストに拉致されてしまう・・・・ | |||
私評:どれも最悪の未来だ・・・・2分だけ先に未来が見えたら、どんなことに力を使うだろう。主人公のクリスは実に地味に、だけど確実に力の恩恵を受けていた。そんな彼が図らずも国家の存亡にかかわるほどの大事件に巻き込まれていく。ところが・・・途中から彼に変な力が加わる。自分に関わることは2分先なのに、リズの事になるともっと先まで見えてしまう。それってちょっと卑怯じゃない??昨年、アメリカで公開された時の評価も散々でしたが、かなり温いSF映画でしたね。まあ、最後まで飽きずに見られたので、けっしてつまらない映画ではないのですが・・・。主演はこういう映画にはピッタリのニコラス・ケイジ。FBIのカリー役はジュリアン・ムーア。「ハンニバル」の時のクラリスとちょっとイメージがかぶりましたが、彼女はやっぱりイイです。リズ役はナイスボディのジェシカ・ビール。そしてチョイ役ですが「刑事コロンボ」で有名なピーター・フォークも登場します。監督は「ダイ・アナザー・デイ」のリー・タマホリ。 | |||