第15回東京国際映画祭 特別招待作品


2002/11/04号

映画祭の楽しみは最新映画をイチ早く見れることでもあります。
今回は4作品を見ました!!

K-19  監督 :キャサリン・ビグロー  出演:ハリソン・フォード、リーアム・ニーソン
K-19 The Widowmaker  2002年 アメリカ・イギリス・ドイツ映画
イチ押し:1961年。ソ連が誇る最新型原子力潜水艦K−19が完成した。進水式を済ませ、処女航海に出たK−19は新艦長のアレクセイの元で過酷なテスト航海が続いていた。元艦長のミハイルはアレクセイの無謀とも思えるテストに業を煮やしていた。しかし、予定されていたテストは全て成功を収めた。しかし、事件はその直後に起きた。原子炉が異常な高温になり、このままでは艦もろとも爆発してしまう。しかも、ここはアメリカよりの大西洋。極秘で行われた航海のため、アメリカに救援を求めるか、もしくはここで危険な修理をするかの選択を迫られる。もし、この潜水艦が爆破すれば広島に落ちた原爆と同等の規模の爆発が起こり、核戦争の引き金にもなりかねない。国家を優先するのか?それともクルーの命を優先するのか??・・・・
私評:君たち、全員がヒーローだ!!・・・これは実話に基づいて作られた映画です。それゆえの緊張感は半端じゃないです。米ソの冷戦下で起きたこの事件は、アメリカのキューバ危機と同じくらい危険で、一触即発で第3次世界大戦という状況。そんな米ソの「緊張感」こそあるものの、この映画に戦闘シーンはありません。これは潜水艦クルーたちの「勇気」と「恐怖」を描いた作品なのです。潜水艦映画といえば、「Uボート」「U571」などの映画がありますが、共通して言えるのはあの狭い艦内での圧迫感、そして深く潜行したときの恐怖。この映画でもそれらは実に上手く描かれています。この映画にはほとんど女性は出てきません。潜水艦のクルーはもちろん全員が男。しかし、こんな男臭い作品を撮りあげたのはなんと女性監督です。この監督は元・ジェームズ・キャメロンの奥さん。それゆえ、彼譲りといえそうな迫力シーンが次々と登場します。また、この映画の見所はクルーたちの友情、尊敬、そして犠牲です。彼らから反感を浴びながらも、艦長としての任務に燃えるハリソン・フォードと、クルーたちから絶大なる尊敬を集める元艦長のリーアム・ニーソンにお二人が最高です。二人の微妙なかけ引きがこの映画を盛り上げます。そして最後には最高の感動が待っています。私はこういうタイプの映画が好きなんですよ・・・・
ゴジラ x メカゴジラ  監督:手塚昌明  出演:釈由美子、中尾彬、宅麻伸
Godzilla Vs Mecha Godzikka  2002年 日本映画
イチ押し:1999年。千葉県の房総半島に突如としてゴジラが襲った。対特殊生物自衛隊は、今まで数々の巨大生物を倒してきた武器で応戦するが、まったく歯が立たない。戦いのさなか特生自衛隊の茜は、自分の運転する車が接触事故を起こし仲間をゴジラに踏み潰されるというショッキングな体験をし一線から退いた。日本政府はゴジラ対策として新兵器の作成に着手した。2003年、ついに、対ゴジラ兵器が完成する。1954年に芹沢博士によって骨にされたゴジラの残骸からDNAを摘出し、それらを組み込んだ最新兵器、メカゴジラは「機龍」と呼ばれた。そして内勤の職に勤しんでいた茜が「チーム機龍」に抜擢される。機龍のテスト中、神奈川県の八景島にゴジラが上陸した。さっそく、機龍が現場へと出動するが・・・・。
私評:生きてちゃいけない命なんてないんだ・・・。ここ数年は年中行事の一つになってきた、この「ゴジラ」シリーズの鑑賞。「ゴジラ2000 ミレニアム」「ゴジラVsメガギラス」と2年連続で空振りをしたあと、昨年監督が金子修介になり最高のゴジラが復活した。ところが今年は「メガギラス」の監督の手塚昌明ということで不安がいっぱいでした。ところが蓋を開けてみたらめちゃ面白かったです。時間を88分とコンパクトにまとめ無駄なシーンを極力カット。そしてゴジラの戦闘シーンも開始5分からあるという大サービス。メカゴジラについては色々とつっ込みどころがあるのですが、私は目いっぱい楽しませていただきました。やっぱりゴジラは強くなくちゃね。ヒロインを演じるのは「修羅雪姫」の釈由美子。当日は彼女の舞台挨拶があったのですが、普段はふにゃふにゃした女の子なんですよね。ところがスクリーンでは寡黙な女性戦闘員を見事に演じきりました。きりっとした表情がすごく似合います。そしてメカゴジラの生みの親は宅麻伸。彼が軟派な男なんですよ・・・。どうも似合わない。今回の内閣総理大臣は中尾彬。威厳と貫禄がある彼にはピッタリの役でした。また、年末に甥っ子と一緒にこの映画を見ると思います、そのときは「ハム太郎」と2本立てです・・とほほ。
 
マイノリティ・リポート  監督・主演:ウディ・アレン  出演:ヘレン・ハント、シャーリズ・セロン
The Curze of the Jade Scorpion  2001年 アメリカ映画
近未来。ワシントンDCの警察は殺人予知システムを導入し犯行前に犯人を逮捕するという犯罪予防局を設置していた。プリコグという預言者を純粋培養し、彼らの受け取る未来のビジョから犯行現場へと飛ぶのだ。これによってワシントンの犯罪発生率は限りなく0に近づいていた。この組織の主任アンダートンは、エリート中のエリート。そしてこのシステムを信じ、犯罪防止のために戦ってきた。ところが、ブリコグはこともあろうかアンダートンの犯罪を予言する。逃亡を図ったアンダートンはこの事件の裏で何者かが暗躍していることを知る。それはプリコグの一人、アリスが度々見るビジョンがヒントだった・・・・・。
私評:誰でも逃げる・・・・先日、フィリップ・K・ディックの原作を読みました。ページ数にして約70ページの短編です。しかも、内容も全然違うんですよ。その話を大きく膨らませたのがこの映画です。近未来の町の風景、テクノロジー、そして乗り物など目を見張るような映像の洪水。まさにSF映画の真骨頂です。しかし、なぜか新鮮さは感じられない。この映画を見終わった後の率直な感想は「良い映画なんだけど、一味足りない・・」。それはトムとスピルバーグという強い個性がぶつかり合い、結局トムが勝ってしまったせいだと思います。最初からトム・クルーズの映画だと思って見に行けば、けっこう楽しめる映画です。でも、スピルバーグの映画を期待していくと肩透かしにあってしまうかも??やっぱりトム・クルーズはすごいです。 アンダートンのボスを演じるのは「エクソシスト」のマックス・フォン・シドー。渋い役どころなのですが無難にこなしています。そして司法省から遣わされ、このシステムについての調査をするのが「ジャスティス」のコリン・ファレル。プリコグの一人アリスを演じるのは「ギター弾きの恋」のサマンサ・モートンと良い面子が揃っていますが、結局はトムの一人舞台です。まあ、それがこの映画の良さかもしれませんが・・・・。当日、トムとスピルバーグの舞台挨拶があり、それを見れただけで私はお腹いっぱいでした。
トランスポーター  監督:ルイ・レテリエ、コーリー・ユン  出演:ジェイソン・ステイサム、スー・チー
The Transporter  2002年 フランス映画
プロの運び屋のフランクは、完璧主義者。今日は銀行強盗犯を乗せ、警察の追跡をまいて目的地に届けたばかりだ。ある日、フランクは高額の報酬で運びを請け負った。トランクに積んだ荷物が動いているのを見て、彼は自分の中のルールを破り依頼品の中身を覗いてしまう。大きなバッグの中に入っていたのは一人の東洋人の女だった。彼女を目的地に届けたフランクは、その場で小さな荷物の運びを依頼されるが、なんとそれは爆弾で危うく命を落としそうになる。怒った彼は、依頼主の家を襲撃するが依頼主は不在。しかもその家から盗んだ車には、さっきの東洋人の女が乗っていた。ひとまず、家に戻ったフランクだったが、何者かの銃撃を受ける・・・。
私評:ルールその1 契約どおりの事しかしない・・・・めちゃ分かりやすい映画で良かったです。いきなりのカーチェイスから、銃撃戦、カンフーアクション、そしてラストのトラック上でのアクションと93分間とにかく突っ走リ続ける映画です。そのテンポの良さと豪快なアクションであっという間に時間が過ぎていきました。オープニングのカーアクションも新たな手口で、もう手に汗をびっしょりかいてしまいました。主演のジェイソン・ステイサムは元オリンピックの飛び込み選手というだけあって鍛え抜かれた体。そして格闘シーンもめっちゃカッコイイです。次々と繰り出す回し蹴りはど迫力。そしてクライマックスの超ド級アクションは、見応えがありました。ヒロインは台湾のスー・チー。彼女もチャーミングで良い感じでした。この映画のプロデューサーはリュック・ベッソン。彼は脚本も手がけています。とにかく何も考えずアクションを楽しむなら、この映画はオススメですよ。スカッとしました!!



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