2007/4/1

ようやく春らしくなって来ましたね。私も映画館に足を運びやすく
なってきました。今回は今回はアメリカ、フランス、オランダ映画と
国際色豊かです。今回私が選んだのは小粋なパリの映画・・

パリ、ジュテーム  監督:ガス・ヴァン・サント、他  出演:ジュリエット・ビノシュ、ニック・ノルティ
Paris Je T'taime  2006年フランス/ドイツ映画
今週のイチ押し:モンマルトルの坂道で駐車スペースを探す男。やっとの思いで車を停めたが男は浮かない顔。そんな彼の車の傍で女性が倒れた。救命士の免許を持つ彼は・・・。セーヌ川のほとりでナンパに精を出す3人の少年。その中の一人、フランソワはひとりのアラブ系の女の子に見とれていた。目の前で彼女が転んだのを助けたフランソワはひととき彼女と話をし、惹かれてしまう・・・地下鉄のチェイルリー駅で男はガイドブックを読んでいた。向かいのホームで熱烈なキスをしているカップルを見ていた彼は、相手の男と目が合い因縁をつけられるが、フランス語が分からない。逆上する男をなだめていた女もついにはキレてしまう・・カルチェラタンレストランの初老の男女がやってくる。男は別居中の彼女と離婚するためにここにやってきたのだが、ふたりともどこか煮え切らない・・・
私評:こうして私はパリを愛し、そしてパリも私を愛するようになったの・・・パリというのは世界中のどの街とも違う、お洒落でハイソな感じがする街。実際に私は行ったことはないのですが、この映画を見ていてやはり「パリ」だから成り立つ映画だと思いました。(これが「NY、アイ・ラブ・ユー」や「東京、大好き」じゃ、この映画の雰囲気は醸し出せない)この映画の中に18のエピソードが描かれているのですが、どの話も面白い。ちょっと笑えて、ちょっと泣けて・・・。まさに、小粋な映画なんですね〜。2時間の映画なのですが、すごく短く感じました。スタッフ・キャストを全員挙げることはできませんのですが、誰もが素晴らしいです。そしてこういうオムニバス映画として初の試みかもしれませんが、日本語の翻訳スタッフも石田泰子さん(「ダンサー・イン・ザ・ダーク」、「キル・ビル)、寺尾次郎さん(愛の世紀、中国の小さなお針子など)、戸田奈津子さん(この方は皆さんご存知ですよね)、古田由紀子さん(「ギター弾きの恋」「あの頃、ペニー・レインと」など)、松浦美奈さん(「チョコレート」「戦場のピアニスト」など)&松岡葉子さん(「原色パリ図鑑」「ポンヌフの恋人」など)と超豪華な顔ぶれ。面白かったです!!
ホリデイ  監督:ナンシー・メイヤーズ  出演:キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット
Holiday  2006年 アメリカ映画

LAで映画の予告編製作をしているアマンダは、BFのイーサンが若い受付嬢と浮気をした事にキレて、ひとり旅に出たいと思っていた。一方、ロンドンで結婚関係の記事を書いているアイリスは、3年間も一人の男に引きずられている。ところがその相手は彼女にそられしい素振りを見せておきながら、他の女と婚約発表。彼女もひとり旅を考えていた。そんな時、運命の女神はこのふたりを引き寄せた。すんでいる部屋を交換するというインターネットサイトでふたりは意気投合し、さっそく期限付きの部屋の交換を行った。アマンダはアイリスが住んでいるおとぎ話に出てくるような田舎のコテージに大満足。一方のアイリスはビバリーヒルズの豪邸にビックリ。アマンダが到着した日の夜、アイリスの兄のグラハムが酔って訪ねてくる。アマンダは心のうちをすべて打ち明けると、心が高揚してそのまま一夜をともにしてしまう。一方のアイリスは近所に住む、かつての名脚本家のアーサーと意気投合。そしてアマンダの仕事仲間のマイルズと出会う。無邪気な彼の性格はアイリスの心の隙間を満たしていく・・・・

私評:私がいつもこんなことを言う女だとは思わないで欲しいのだけど・・・この映画を見終わった後はなんだか心がウキウキしちゃいました。(一番最後のパーティシーンはちょっと退きましたが・・)メインに4人がそれぞれ孤独に苛まれていたのですが、”Home Exchange”がきっかけで新しい恋を見つける。この4人を到底「孤独」や「失恋」とは縁がなさそうな役者が演じているのも、ポイントが高いのかもしれません。ヒロインのふたりがとにかくキュート。演じるのはキャメロン・ディアスとケイト・ウィンスレット。キャメロンはなんとなくこんなキャラクターを演じてきたと思いますが、ケイト・ウィンスレットがこんなに可愛く見えたのは初めて!(笑)そしてロンドンの孤独なプレイボーイ、実は・・??を演じるのはジュード・ロウ。そしてハリウッドのオタク青年?はジャック・ブラック。このジャック・ブラックがなんとも温かみのある良いキャラクターなんですよ。しかも、ジャックらしさも映画の中で存分に味わえます。監督は「恋愛適齢期」のナンシー・メイヤーズ。アーサーが演壇で語るハリウッドへの苦言は彼女の思い、そのままなのでしょうね・・

ブラックブック  監督:ポール・ヴァーホーヴェン  出演:カリス・フォンハウテン、セバスチャン・コッホ
Black Book  2006年 オランダ・独・伊・ベルギー映画
1944年、占領下のオランダ。ユダヤ人のラヘルはオランダ人の家に身を潜めていたが、爆撃で家を失ってしまう。その夜、一人の男が彼女の元にやってきて、この場を離れるように警告する。彼はナチに抵抗するレジスタンスだという。翌日、ラヘルは公証人の巣マールの元を訪ね、父親が預けた現金を受け取った。そして男の手引きで水路を使って南部へ逃げることになったラヘルは船着場で両親と弟に再会した。しかし、彼らの船はドイツ軍の船に見つかり銃弾の雨を浴びてしまう。辛うじて船から飛び出したラヘルは、ただひとり生き残るが、目の前で家族全員を殺されてしまう。その時の将校の顔を目に焼きつけ、彼女はその場を去った。やがて、ラヘルはレジスタンスの1員となる。いくつかの作戦に加担してきたラヘルだったが、次の彼女への指令はドイツ軍の親衛隊将校ムンツェに近づくことだった。そしてムンツェに誘われたパーティの席でピアノを弾いていたのは、家族を皆殺しにした将校だった・・・・
私評:私に失うものなんか、もうないわ・・・・「氷の微笑」「スターシップ・トゥルーパーズ」のポール・ヴァーホーヴェン監督の最新作は、彼の故国オランダで撮った渾身作。バイオレンスとエロスが売り物のこの監督が、第2次世界大戦中の悲劇をどう描くのか?私の興味はそこだけでしたが、今回の作品は芸術性の高い感動作でした。この映画がスピルバーグの「シンドラーのリスト」やポランスキーの「戦場のピアニスト」と比較されていますが、私は勝るとも劣らない映画だと思いました。逆にこの監督特有な遊び心が、まったくないので彼のハリウッドでの作品が好きな人にはちょっと物足りなさがあるかもしれません。しかし、この作品で彼が描こうとしているのは戦争の悲劇と、戦火に咲いた恋。これがすごくストレートに描かれていました。ヒロインのラヘルを演じるのはオランダ映画祭で主演女優賞を獲った事もあるカリス・フォンハウテン。ムンツェ役は「飛ぶ教室」のセバスチャン・コッホ。レジスタンスの戦士ハンス役は「ドッグヴィル」のトム・ホフマン。しかし、所々で分からないシチュエーションがあるんですよね。オランダ人には分かることなのかも??


前回の記事も読んでね〜!



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