今回は全部イチ押しですよ。ひとつだけ青枠にしましたが・・。感動しまくりでした!
今回イチ押しの「BOX」は市原隼人の映画ではありません。
そういえば「運命のボタン」の原題も「BOX」なんですよね・・
樺太1945年夏 氷雪の門 | 監督:村山三男 | 出演:二木てるみ、丹波哲郎、藤田弓子 | |||
1974年 日本映画 | |||||
今週のイチ押し:第2次世界大戦も末期の樺太。戦火を浴びない北の島では緊張の中にも平和が続いていた。広島、長崎の原爆投下で戦局がさらに悪化するなか、突然ソ連が日本に対して宣戦布告をする。北緯50度の防御線が破られ、ソ連は戦車で怒涛の南下を開始した。人々は南の港町の真岡を目指し長い旅を開始する。真岡の郵便局内にある電話交換局には多くの女性が働いていた。戦局の悪化は彼女たちが受ける電話の内容で一目瞭然。そんな中で彼女たちは運命の8月15日を迎える。天皇が終戦を告げる放送をしたのだ。樺太全土には疎開命令が出され、交換手の女性たちはひとり、またひとりと本土へと引き揚げていく。しかし、その命令には従わずに交換手の職務を遂行しようとする乙女たちもいた。しかし、終戦を迎えたはずなのにソ連の侵攻は止まることを知らなかった・・ | |||||
私評:勲章などいらない。彼女たちは生きたかったはず・・・1974年に5億円もの巨費を投じて製作されたのに、作品の内容ゆえにソ連からの圧力(?)で上映が禁止になったという曰く付きの映画が公開されます。確かにこの映画の中でのソ連軍は非情で、戦争が終わったために無抵抗の日本に対して銃を放つシーンもあります。そして次々と殺されていく人たち。かなり惨いシーンや、理不尽な事もこの映画には描かれています。そしてこの映画の主人公である女性交換手たちの話は、青春真っただ中の若い女性の(戦時中にしては)賑やかな日常から一転、悲惨な最期まで見せつけられて、なんだかとっても切ない気持になりました。しかし、こんな映画が埋もれていたとは・・・・出演者は「あかひげ」の二木てるみ、藤田弓子、「サインはV」の岡田可愛、栗田ひろみ、鳥居恵子、南田洋子、千秋実、黒沢年男、丹波哲郎という70年代のオールスターたち。監督は「あゝ零戦」の村山三男。7月17日公開。 | |||||
BOX 袴田事件 命とは | 監督:高橋判明 | 出演:萩原聖人、新井浩文 | |||
2010年 日本映画 | |||||
今週のイチ押し:昭和41年6月30日、静岡県清水市で味噌製造会社の専務宅が放火され、一家四人が殺害された。警察は従業員で元プロボクサーの袴田巌を容疑者として逮捕した。彼は頑なに犯行を否認していたが、拘留期限の3日前に突然犯行を認めた。主任判事としてこの裁判に関わることになった熊本は、裁判が進むにつれて警察の捜査に疑問を感じ始める。もしかして、これは冤罪事件では??しかし、警察は1年後に新たな証拠を提出する。しかし、その証拠品はどう見てもねつ造された物だった。判決の決定は困難を極めるが、最終的に裁判官の合議による多数決で、巌は死刑を言い渡された。熊本は巌の無罪を確信しながら、死刑の判決文を書いた・・。苦悩を抱える熊本は裁判官を辞職して、巌の無罪を実証するために動き始める・・ | |||||
私評:○ですか?×ですか?・・・死刑が決まっていながら、未だに冤罪を叫び、再審請求が行われているこの事件については知っている方も多いでしょう。しかし、この映画で描かれている事が事実であり、袴田巌さんが無実であったら、警察はどうやって彼に対して謝罪をするのでしょう?しかし、この作品は熊本の目線からしか事実を捕らえていないので、一概に”警察が悪”とは言えませんが・・・今も袴田巌さんは塀の中の小さな部屋で、死刑執行人の足音に怯えながら毎日を過ごしているのです。陪審員制度が導入され、私も裁判の白黒に関与する可能性がある今日、この映画はかなり衝撃的でした。この作品の主人公である元裁判官の熊本典道さんの衝撃的な”告白”。これは映画という媒体にして広く伝えなければいけない題材なのかもしれません。そして人を裁くという事の重大さを認識させ、命の尊さを今更のように教えてくれる映画なのかもしれません。主演は「光の雨」でもこの監督とタッグを組んでいる萩原聖人。そして袴田役は個性派俳優「松ケ根乱射事件」「青い春」の新井浩文。そして石橋凌が憎々しい刑事を見事に演じています。その他、葉月里緒奈、ダンカン、村野武範、塩見三省、保坂尚希、大杉漣など豪華な脇役が勢揃いです。監督は「禅」の高橋判明。 | |||||
書道ガールズ | 監督 : 猪俣隆一 | 出演:成海璃子、桜庭ななみ、山下リオ | |||
2010年 日本映画 | |||||
今週のイチ押し:四国中央高校の書道部部長の里子は書道家の父の教えもあって、数々の書道展で賞を獲ってきた。まじめな里子は「書道は自らと向かい合うもの」とワンマンの姿勢を崩さない。そんな里子とは対照的に社交的で元気いっぱいの副部長の香奈は書道展で団体賞が欲しいと訴えるが、里子は乗り気になれなかった。そんなある日、臨時教員として池沢という男が高校に赴任してきた。彼は書道部の顧問になるが、まったく教える気がない。しかし、池沢が生徒たちの前で音楽に合わせて書いた書に里子は心を動かされる。そのパフォーマンスを気に入った書道部の清美は池沢の真似をして音楽に合わせて大きな半紙に「愛」という字を書き始める。実は清美の父が営む文具店が閉店することになり、その閉店セールのイベントとしてパフォーマンスを考えていたのだ。清美の思いに打たれた部員たちだったが・・ | |||||
私評:みんなで一つの書を書き上げる事が、今は楽しいのよ・・・実話をもとにした感動の青春映画です。正直、ミーハーな気持ちでこの映画を見に行ったのですが、活き活きした少女たちの心意気とパフォーマンスに「超」が付くほど感動してしまいました。ひとつのことに熱中する事ができるって、ほんとうに素晴らしい。そして私が大好きなアンジェラ・アキの「手紙―拝啓十五の君へー」に合わせての書道甲子園でのパフォーマンスは最高でした。そしてこの映画の注目はキラキラ輝いている美少女たち。里子役は出演作が目白押しの「山形スクリーム」「罪とか罰とか」の成海璃子ちゃん。香奈役には「サマーウォーズ」での声優が印象的だった桜庭ななみちゃん。そして里子の友人でもありライバルでもある美央役には「ムウ−MW-」の演技が印象的だった山下リオちゃん。この1992年生まれの美少女トリオにオジサンはメロメロです。彼女たちは吹き替えなしで書道パフォーマンスをこなしました。監督は「マリと小犬の物語」の猪俣隆一。 | |||||
告白 | 監督 :中島哲也 | 出演:松たか子、岡田将生、木村佳乃 | |||
2010年 日本映画 | |||||
今週のイチ押し:今日は中学の終業式。雑然とする教室の中で担任教師の森口悠子が語り始める。「私の娘の愛美は殺されました。愛美はこのクラスの生徒に殺されたんです」雑談に花を咲かせる生徒たちにはお構いなく悠子は話し続ける。未成年の犯罪に対して甘すぎる日本の法律。そんなものに頼っていては愛美の復讐はできない・・・。この中学校は「全国中高生乳製品促進運動」のモデル校になっているため生徒たちには牛乳が振舞われる。悠子は愛美を殺したふたりの生徒の牛乳に恐ろしい物を混入したのだ。そして犯人が明らかにされる・・。その二人の生徒のひとりは翌日から登校拒否。モンスターペアレントである母親の過激なまでの愛情に包まれているが・・・。そしてもう一人の生徒は登校を続けた。たび重なるいじめに耐え、ある野望を進めていたのだ。それは有名になって、ある人の気を引くことだった・・ | |||||
私評:私にも聞こえましたよ。大事なものが消える音が・・・1昨年の「本屋大賞」を獲得したこの原作は私の超お気に入り。このホームページの掲示板でも大騒ぎしましたが、それがなんと映画になった。この原作は1人称で、各章の主人公が独白を続けるという独特な作品。それをどうやって映画にするのだろうと不安と期待を胸に劇場に出掛けました。しかし、これがとんでもなく素晴らしい”映像”になっていました。原作の良さを損なうことなく、さらに”ビジュアル”という添加物で作品は更なる向上を遂げました。しかし、あのエンディングはオチを知っている私でさえあれだけの衝撃があったのですから、原作を読まなかったひとには凄いショックだったでしょうね・・・。女教師の悠子役は「K−20怪人二十面相・伝」「HERO」の松たか子。熱血教師ウェルテル役は「ホノカア・ボーイ」の岡田将生、そして過保護すぎる犯人の母親役には「おろち」の木村佳乃。監督は「パコと魔法の絵本」「下妻物語」の中島哲也。この監督はほんとうにハズレなし! | |||||
処刑人U | 監督 : トロイ・ダフィー | 出演:ノーマン・リーダス、ショーン・パトリック・フラナリー | |||
The Boondock Saints 2 All Saints Day | 2009年 アメリカ映画 | ||||
コナーとマーフィー兄弟とその父ノアがイタリアンマフィアのボスを処刑してから8年が経った。彼らはアイルランドに逃亡し、羊飼いとしてひっそりと暮らしていた。そんな彼らにひとりの神父が殺されたという情報が舞い込む。その神父は兄弟も良く知っている善良な神父。しかも、殺害方法はかつて兄弟が行っていた処刑を模倣していた。これは明らかに兄弟に対する挑発だった。ついに兄弟は農夫の仮面を脱ぎ棄てアメリカへと向かった。彼らをアメリカにおびき出したのは、かつて彼らが処刑したイタリアンマフィアのボスの息子、コンセイシオだった。コナーとマーフィーのふたりはファミリーが中国人マフィアと共同でヘロインの密売をしているアジトを襲撃。さらには各地域を牛耳る街の顔役たちをメキシコ料理店に集め一網打尽にした。そんな彼らをFBIの女性特別捜査官、ユーニスも追っていた・・・・ | |||||
私評:父と子と聖霊の御名において、こいつらを地獄へ送る・・・問答無用の超ド派手アクション映画が帰ってきた!!1作目の「処刑人」はかなりのお気に入り映画なので、その続編を見逃すわけにはいきません!今回も「それはやり過ぎでしょう!」と言いたくなるような想像を絶するアクションシーンが満載。しかも、この映画はかなり笑えるのがイイです。でも、この作品はジョン・ウーを絶対に意識していますね。あのスローモーション、両手に拳銃でスライディングしながらの乱射・・・。でも、面白ければ良いんです。私はかなりの量のアドレナリンを分泌しました!!主演は前作同様「ブレイド2」のノーマン・リーダスとショーン・パトリック・フラナリー。そして彼らの父親役は「ラストサムライ」のビリー・コノリー。新たな処刑人(こいつがめちゃめちゃ面白いキャラ)に「カポーティ」「バベル」のクリフトン・コリンズ。ファミリーの黒幕には「イージー・ライダー」のピーター・フォンダ。前作で殉職したウィレム・デフォーの部下の美人FBI捜査官に「ランボー 最後の戦場」のジュリー・ベンツ。監督は「処刑人」だけで食いつないでいるトロイ・ダフィー。 | |||||