2001/2/12号

今回ははっきり言って「アンブレイカブル」以外はみんなイチ押しにしたいくらい。
そんなわけで敢えて私はゴダールをイチ押しにしました。これは面白かった!!

はなればなれに  監督 : ジャン・リュック・ゴダール  主演:アンナ・カリーナ、サミー・フレイ、クロード・ブラッスルー
Bande A Part  1964年 フランス映画
今週のイチ押し作品!: アルチュールとフランツはパリに住む若者。 金も職もない彼らは密かに企んでいた事があった。マルヌ川の向うの家に住む娘オディールをなんとか落とそうとという算段だ。英会話教室に通う彼女に、フランツは前々から目をつけていたのだ。 アルチュールも彼女を一目見て不思議な魅力に惹きつけられていた。ある日、オディールは伯母の家に住んでいるストルツの部屋で、大量の札束を発見する。彼女はそのことを、フランツについ話してしまう。そして3人はその金を盗み、しけた人生にサヨナラしようと企むのだが・・・。

私評:これが私の好きなゴダールの映画だ!ストーリーなんてあってないようなもの。しかし、ワンカットワンカットがとてもカッコ良いんだ。洒落たセリフ、小粋なジョーク、スタイリッシュな映像、そしてキザなポーズ。 左の写真にもあるマディソン・ダンスのシーンもめっちゃカッコイイ。60年代の古臭さは、今の世情に欠けている色んなカッコ良さを持っていると思う。 ファッション一つ取っても、決して金持ちじゃないアルチュールとフランツは着ている物も高価ではないけど、帽子やネクタイでちょこっとおしゃれに気を使っているし、車も中古車で幌が壊れているけどオープンカーでアクセル全開でふっ飛ばす。こういうところもすごく好き。 クロード・ブラッスリーなんて見た目は全然カッコ良くないのに・・・。 ヌーヴェルバーグの永遠のヒロインアンナ・カリーナは、とにかく魅力的だった。二人には「バカ女」扱いされているのですが、それが、またキュート。すごく子供っぽく見えたり、淑女に見えたりもする。 今回も掴み所のない不思議な魅力を振り撒いていました。この映画の最後にゴダールの作ったこの映画の予告編がありました。良く見ると本編の映像とは違うんです。いくつ見つけられた?? 映画館は空いているだろうと余裕で行ったら、なんと満席!しかも、若い女性がたくさん見てました。彼女たちもこの映画をカッコイイと思えたかな??? 「勝手にしやがれ」を面白いと思った方にはお薦めできる映画です。

ホテル・スプレンディッド  監督:テレンス・グロス  主演:トニー・コレット、ダニエル・クレイグ
Hotel Splendide  2000年 イギリス映画
私評:アダムスファミリーみたいな予告編につられて・・・。アイルランドの孤島にひっそりと佇む「ホテル・スプレンディッド」は健康と長寿を求める人々が集うホテル。今は亡き女支配人フランチェスカが定めた厳格なルールによりゲストの健康は管理されていた・・?彼女の後を継いで長男のデズモンドが支配人、次男のロナルドはシェフ、そして長女のコーラはエステシャンとして働いていた。冬が近づき母が発明した宿泊客のウンコから出るメタンガスを利用したボイラーに火を点す頃、一人の女が島に辿りついた。彼女は元ここの従業員だった・・・。 これは拾い物でした。 オバカでお下劣な映画ではあるのですが、登場人物の一人一人が実にユニークで、それぞれ色々なトラウマを持っている。従業員もそうだけど、宿泊客も・・。 そしてもっと怪しいのがこのホテル。母親の意思がそのまま乗り移ったような・・・。主演は島に帰ってきた女のトニー・コレット。「シックス・センス」のお母さん役でオスカーにノミネートされましたね。あとは特に有名な顔ぶれは揃っていません。こんなホテルがどうやって商売をしているのか?? そして先代の支配人が陰で何をしていたのか? 色々な謎が解けてきます。 ただ一つ、コーラの謎だけは映画で明かされなかったんです・・・。 映画館に入るとちゃんと「ホテル・スプレンディッド」のパンフレットが貰えるんですよ。(これは先着者だけかな??)前売り券には部屋の鍵がついたキーホルダーが付いていたそうです。 ちなみに左の写真は横のパンフレットを縦にスキャンしました(笑)
バガー・ヴァンスの伝説  監督:ロバート・レッドフォード  主演:ウィル・スミス、マット・デイモン、シャリーズ・セロン
The Regend of Bagger Vance  2000年 アメリカ映画
私評:なんて気持ちの良い映画なんだ・・・・。1931年、ジョージア州サヴァンナ。ゴルフの天才と謳われた一人の男がいた。彼の名はジュナ。しかし、戦争で受けたショックから立ち直れずゴルフも恋人も捨て世捨て人のようになっていた。彼の恋人アデールの父は全財産を注ぎ込みゴルフ場を作ったが折りからの不況で、客が集まらず自殺してしまう。後を引き継いだ彼女は当時の有名ゴルファーウォルター・ヘーゲンとボビー・ジョーンズを土地に呼びゴルフマッチを企画する。そして地元の代表としてジュナを強引に引きずり出す。自分のスイングを忘れてしまったジュナの前に、キャディーを名乗り出る男がいた。彼の名はバガー・ヴァンス・・・。一度は失ってしまった自信、名声、恋、そして生きる意味をゴルフを通じて取り戻して行くストーリーです。ゴルフはプレイをされた方はご存知と思いますが、すごくメンタルなスポーツ。気持ちの揺れはボールの曲りを意味する。 映画の中では2日間で72ホールを周るというハードな戦いですが、一つ一つのホールにドラマがあり、それがジュナの人生と重なり合って行きます。そんなジュナに小さなアドバイスを与え、人生を取り戻すためのナビゲーターになるのがバガー・ヴァンス。彼を演じるのはウィル・スミス。今回ダンスシーンはほんのちょっとしかないし、アクションもない。 彼もしっかりとした演技ができるんだと確認。 ジュナ役は主演作が目白押しのマット・デイモン。でも、彼って主演でも本当に華がないですね。今回もウィルとシャリーズ・セロンの引き立て役になってた。でもそこが彼の良い所かも?? そして輝くばかりに美しいシャリーズ・セロン。今回は気性の荒い南部のじゃじゃ馬娘と言う役でしたが、これがまたピッタリでした。 ちょっとコミカルな演技も良かったです。レッドフォード作品にはハズレなしの私です。 
処刑人  監督:トロイ・ダフィー  主演:ショーン・パトリック・フラナリー、ノーマン・リーダス
The Boondock Saints  1999年 アメリカ・カナダ映画
私評: 主演の二人がとにかくカッコ良すぎる〜!! ボストンに住む兄弟マーフィーとコナーに神からの声が届く。町に巣食うワルたちに法の裁きは行き届かない。汝、悪人どもに制裁を!!二人の行き付けのバーもマフィアから立ち退きを迫られていた。偶然彼らが飲んでいる席に、マフィアの手下がやってきた。次の日、マフィアの手下たちは無残な姿で殺されていた。事件を追うFBI捜査官の元に、二人は自首してきた。しかし彼らの正当防衛が認められ釈放。 だが彼らはその日から、自らの手でマフィアの撲滅のために処刑を開始した・・・。 十字架を胸に悪人どもをやっつける姿がなんともカッコイイ!!聖書の言葉を囁きながら銃をぶっ放す兄弟を演じるのはショーン・パトリック・フラナリーとノーマン・リーダス。 ちょっと過激で、コミカルでそしてクールで・・・。 映画の最初からもうこの二人のファンになってしまった。そして彼らを追うのがウィレム・デフォー。彼が思いきり笑わせてくれます。デフォーが捜査をしていくうちに段々と彼らの心情に近づいて行く。 そして・・・、これ以上は言えません。 そして最強の殺し屋にビリー・コノリー。 こいつもすごいぜ〜! この映画ははまる人が多いはず!!! 
小さな目撃者  監督:ディック・マース  主演:フランチェスカ・ブラウン、ウィリアム・ハート
Do Not Disturb  1999年 オランダ・アメリカ合作
私評:B級映画とバカにしちゃあだめですよ!! 父の仕事のため、アムステルダムにやってきた10歳の少女メリッサ。彼女は口がきけないけど、元気で頭が良い女の子。 ホテルの中で迷子になってしまった彼女は偶然殺人現場を目撃してしまう。犯人に気づかれた彼女は、迷路のようなアムステルダムの町を逃げ惑う。果たして犯人の魔の手から逃げ延びる事ができるか??・・・ 全然期待してなかったのですが、思いきり楽しませてもらいました。 サスペンスだけじゃなくて、所々に笑いも散りばめてあるので、見ていて飽きない。 また、アムステルダムと言う街が良いんですよ。 メリッサを演じるのはこれがデビューとなるフランチェスカ嬢。アクションシーンでも見せ場がいっぱいです。 父親役はオスカー俳優ウィリアム・ハート。 想像力豊かなメリッサの言葉を作り話と信じて疑わないが・・。 彼も後半のカーチェイスでは見せ場がいっぱい。手に汗握るシーンなのになぜか笑えたりします。 母親役は(全然似合わないけど)ジェニファー・ティリー。 彼女のクサイ演技も私は笑うツボでした。 しかし、100分にも満たない映画の中に楽しめる要素がぎっしり詰まっています。 これぞエンターテイメント映画!! 楽しめました。 
ローサのぬくもり  監督:ペニト・サンブラノ  主演:マリア・ガリアナ、アナ・フェルナンデス
SOLAS  1999年 スペイン映画
私評:1999年の東京国際映画祭で「アローン」というタイトルで上映されました。 マリアは35歳。田舎を離れ一人都会暮らしをしているが、酒に溺れ、好きでもない男の子供を宿し、失意のどん底にいた。そんな時手術を受けるために入院した父の看病のために、母親のローサがやってくる。マリアの部屋に居候する事になったローサは娘の事が気がかりでならない。しかし、マリアはそんなローサの愛情をことごとく跳ね除けた。というのも、マリアはローサのようにだけはなりたくないと、頑なに思っていたからだ。そんなある日、ローサはマリアのアパートに住む老人と出会う。彼は一匹の犬だけが身寄りと言う寂しい男。いつしか二人の間には友情を、少し超えた感情が芽生える。 ほどなく父は退院し母は田舎に帰っていった・・・。90分くらいの映画の70分くらいは大きな動きはなく、物語は淡々と進んで行く。 特にローサはどちらかと言うと寡黙で、多くを語らない。 それに引き換えちょっとヒステリックな娘のマリアは好対照だ。 父の言いなりだった母をずっと見て育ち、ローサとは違う人生を希望してきたのに、どうしても幸せになれない。 しかし、マリアはローサの優しさ、心の広さに気づいて行くんですね。 母親の愛情の大きさ、深さを体現したマリア・ガリアナの演技は素晴らしかった。 でも、彼女が映画の中で言いかけた言葉があるのですが、それの続きは映画の中で語られていなかった。 とても気になる所です。そして同じアパートの老人が、また良い味を出しています。残り少ない人生で出会ったローサと言う女性に惹かれて行く。 これは小さな小さな家族の物語。 国や言葉は違っても母親の愛情は変わらない。 監督の母親に対する感謝の気持ちを映画にしたのだそうです。 なるほど、納得・・・。
アンブレイカブル  監督:M・ナイト・シャマラン  主演:ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン
Unbreakable  2000年 アメリカ映画
私評:シャマラン監督、勝負だ!! 悲惨な列車事故が起こった。乗客132人のうち131人が死亡。生き残ったのはたった一人。彼の名前はデビッド・ダン。 なぜか彼はかすり傷一つ負っていなかった。 そして彼の元に1通の手紙が届く。「これまでの人生で病気に掛かった日数は??」 そう言えば、デビッドには病気になったと言う記憶がない。 メッセージの送り主はマンガのギャラリーのオーナーイライジャ。 彼はデビッドとは逆にひ弱で、今まで何十回も骨折をし、病院の入退院を繰り返していた。イライジャはデビッドに「君は自分の対極にいる人間であり、弱気者を助けるヒーローなのだ」と説明する・・・。 あまり、書かないようにしましょう! 「シックスセンス」では最後の最後で「やられた〜!」と言う感じだったので今回は映画が終わる前に謎を解いてやろうと意気込んで映画館入りしました。 まず、最初の段階でデヴィッドの運命はすぐ分かりますよね。 この辺りに捻りがなくてちょっと残念。 そして最後のイライジャの謎も映画の中の某人のセリフに、しっかりヒントがあってその時点でわかってしまった。 途中途中に色々な伏線があるというので、その辺りも探してみたのですが、こちらはまったく分からずじまい。映画館に置いてあった「解読マニュアル」を読んで、「ふ〜ん・・・」って感じでした。 と言うのも私的には、物語の大筋とは関係なくすごく抽象的なシーンばかりだったから。確かにそう言うシーンが多いな〜とは思っていましたが・・。 ブルースは落ちついた演技で、安心して見ていられましたね。 もう、マッチョなイメージだけではありませんでした。 サミュエルはシャマラン映画の静か〜な雰囲気の中で、ちょっと浮いていたような気がします。 あの髪型は笑えた・・・。 そしてデビッドの妻はロビン・ライト・ペン。すごく良い女優さんなのにもったいない使われ方でした。 彼の息子役のスペンサー・トリート・クラークは良かったです。 シャマラン監督は子供の使い方が上手い! 彼も「グラディエーター」に続いての大作の出演で今後が期待されます。 


前回の記事も読んでね〜!



I Love Movieに戻る