2009/1/25

今回のイチ押しは衝撃的なリアルサスペンス。
目をそむけてはいけない事実がそこにあります・・・

誰も守ってくれない  監督:君塚良一  出演:佐藤浩市、志田未来、松田龍平
Nobody Watch Over Me  2008年 日本映画
今週のイチ押し:1月24日、上司の坂本に呼ばれた刑事の勝浦は同僚の三島と共にある任務を言い渡された。1ヶ月前の小学生姉妹殺人事件の容疑者である18歳の少年の家族の保護すること。自分の立場がよく分からず、容疑者の家を訪ねた勝浦。家の前の夥しい数の報道陣、野次馬が溢れ騒然としていた。勝浦はその時に初めて、自分が容疑者の家族をマスコミと世間の目から守ることだと気付く。容疑者の妹の沙織を預かることになった勝浦は、彼女を連れて自分のアパート、知人のマンションなど転々とするがマスコミは執拗に彼らを追いかけてくる。自分の状況がまだ理解できずに固く口を閉ざす沙織を連れて、勝浦は東伊豆のあるペンションを訪ねた。そこのオーナーは勝浦とある事件で関係をしていた。しかし、インターネットで容疑者家族を誹謗中傷する輩はすごい勢いで増え、沙織のこと、そして勝浦の過去までも暴かれていく・・
私評:背筋がゾッとしたよ・・・強烈な映画でした。まあ、最初からハッピーな映画でないことは分かっていたのですが、あまりの辛さに胸をギュッと締め付けられるようでした。自分の身の回りには犯罪者はいないのですが、もしも身内にそんな人がいたら??今まで考えてもみなかったのですが、きっとこの映画のようになってしまうんだろうな〜と考えてしまった。無神経なマスコミの取材、そして面白半分に騒ぎ立てるネット族。映画の中で彼らがとった行動はあまりに酷いのですが、これは真実なのでしょうね。しかも、勝浦と沙織を更なる悲劇が襲います。これはかなり辛いシーンでしたね・・・。しかし、最後にはちょっと希望が持てるシチュエーションがあるのでご安心を・・。主演は出演作が目白押しの佐藤浩市。そして容疑者の妹役は志田未来ちゃん。このふたりは最高のキャスティングでした。そしてこれまた適役だった勝浦の相棒役の松田龍平。こういう軽いキャラクターはピッタリですね。その他、木村佳乃、柳葉敏郎、石田ゆり子、佐野史郎、佐々木蔵之介など、超豪華な面子。監督は「容疑者 室井慎次」の君塚良一。
007 慰めの報酬  監督: マーク・フォスター  出演:ダニエル・クレイグ、 オルガ・キュレンコ
007 Quantum Of Solace  2008年 イギリス、アメリカ映画 
愛した女、ヴェスパーを操っていた男・ミスター・ホワイトを確保したボンドはMI6の隠れ家へと向かう。そこでホワイトはMI6でさえ把握をしていない巨大な組織について口にする。次の瞬間ボンドの上司のMを長年に渡って警護してきたミッチェルが、いきなり銃を放った。彼が持っていた紙幣からスレイトと男の名前が浮上。彼を追ってボンドはハイチへと向かった。ホテルの部屋でいきなりボンドを襲ってきたスレイトを倒し、ボンドはあるアタッシュケースを入手。ホテルの外でカミーユという女と出会う。彼女は元ボリビアの諜報部員で幼い頃に独裁者のメドラーノ将軍に家族を惨殺され、復讐の機会を狙っていた。その目的を果たすため彼女は慈善団体のCEOのグリーンに近づいた。しかし、グリーンは裏でボリビア政府を転覆させる計画を進めていた。ボンドは巨大な組織を追い詰めるべく、そしてヴェスパーの仇をとるため、着実に敵に近づいていた・・
私評:喉が渇いたらこれを飲め・・・・前作の「カジノ・ロワイアル」の1時間後から始まる今回の作品。それゆえに前作を見ていない人は、まったく分からないまま話が進んでしまいますので、予め勉強しておきましょう。しかし、今回の007もすごいアクションの連続です。新ボンドになってから作品のカラーがガラリと変わってしまいましたが、それが良い方に進んでいると私は思います。(以前のボンドが好きな人からは非難の声もあるようですが・・)とにかく、初っ端から凄いカーチェイス。そして前作を彷彿させる肉体を駆使した追いかけっこ。今回は壮絶な戦いのバックに競馬のシーンやオペラのシーンを挟むという荒業を使っているのですが、これが見事にマッチしています。私はかなりお気に入りです!主演は前作に引き続きダニエル・クレイグ。彼って最近スティーブ・マックイーンに似てきたと思うのですが・・・。ボンドガールは「ヒットマン」のオルガ・キュレンコ。めちゃめちゃ美しいです・・。監督は「チョコレート」「ネバーランド」などの見事な人間ドラマを手掛けたマーク・フォスター。近作の上映時間は107分と007映画では最短だそうです!
禅   監督 : 高橋伴明  出演:中村勘太郎、内田有紀
ZEN  2008年 日本映画
あの世で浄土に行くのではなく、生きているこの世で浄土を見つけたい。そう言い残して道元の母は死んだ。成人になった道元は中国の宋に渡り、仏道の師を探していた。しかし、ここでも政治家との癒着などが横行していて、道元の求める師にはなかなか出合えない。そんなある日、道元の死んだ友人にそっくりの僧・寂円と出会う。彼の勧めで会った如浄禅師と会い、道元はついに深い悟りに辿り着く。帰国した道元は「善勧坐禅儀」の執筆を行う。しかし、道元の周囲には堕落した僧たちも多く彼らからは迫害を受けるが、道元のもとには彼の教えに共感し、彼と共に歩む事を求める者たちも続々と現れる。その中には中国で会った寂円もいた。しかし、宗派を否定した道元の教えに比叡山から邪教の烙印を押され叡兵たちに襲われてしまう。そんな道元を救ったのは、鎌倉幕府六波羅探題の波多野義重だった。やがて、道元の元には多くの門弟が加わり、彼らの指導に精をだすが・・・・
私評:春は花、夏ほととぎす、秋は月、冬雪さえてすずしかりけり・・・この映画がお年寄りを中心にヒットしています。しかし、なぜこの時代に「禅」なのか?映画を見ていて、その理由は理解できました。人間の欲望は限りない。この映画の舞台の鎌倉時代は人を踏みつけにしなければ生きてもいけない時代。人は人を殺し、飢えを満たすために盗みを働くのが日常行われていた。そんな時代だから受け入れられた「あるがまま、自然の流れに身を任せる」という誰もができる修行。そして時の権力と「教え」を心に戦い、万人を救うために奔走した道元禅師。その崇高な姿になんだか私もひと皮むけたような気が・・・・。道元役は歌舞伎界の中村勘太郎。彼に惹かれて帰依して出家する遊女役に内田有紀。その他、藤原竜也、勝村政信、哀川翔、西村雅彦、、笹野高史、高橋恵子・・という超豪華なメンバー。監督は「光の雨」「火火」の高橋伴明。しかし、日本人しか出てこないのだから中国のシーンも日本語にすれば良かったと思ったのは私だけでしょうか??
レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで  監督 : サム・メンデス  出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット
Revolutionary Road  2008年 アメリカ映画
1950年代、アメリカ。フランクとエイプリルは郊外の閑静な住宅地レボリューショナリー・ロードで二人の子供と一緒に暮らしていた。エイプリルは元々女優志望だったが、その夢も破れ落ち込んでいた。そんなエイプリルを気遣い優しい言葉を掛けるフランク。しかし、二人の会話はすれ違い大喧嘩になってしまう。ふたりは仲違いの日々を送っていた。しかし、フランクの30回目の誕生日に二人の関係は一転した。昨日までの不機嫌が嘘のようににこやかなエイプリルの口からとんでもない提案が飛び出した。貯金を叩いて家族でパリに移り住もうというのだ。仕事はエイプリルがするので、フランクは自分のやりたい事を見つければいい・・・。そしてフランクはその提案を受け入れた。移住のための手続きを着々と進めていくふたり。しかし、引っ越しが近付いたある日、エイプリルは妊娠していることに気付く・・・・
私評:どうしてこんなことに・・・・夢はいつまで追い続ければ良いのでしょう?夢は夢で、いつかは現実を見つめ妥協してしまう。ほとんどの人はそんな妥協に甘んじて(?)、現実の中に小さな幸せを見つけていくのでは?しかし、そんな中でもいつまでも理想を追い求めると・・・。しかし、この映画は私にとってはただのソープドラマ。倦怠期の夫婦のドロドロしたドラマでしかないのです。ところが、この退屈なドラマをしっかり見られたのは、主演の二人の演技です。名作中の名作「タイタニック」で共演して、世界中にその名前を轟かせたレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが実に11年ぶりの共演。演技には定評がある二人だけあって、退屈なドラマをじっくりと見せてくれます。共演は「ミザリー」のキャシー・ベイツ、「ワールド・トレード・センター」のマイケル・シャノン。監督はケイトの夫でもある「アメリカン・ビューティ」のサム・メンデス。私がこの映画で一番印象的だったのは、フランクの通勤シーン。この頃の男はみんな帽子を被っていたんですね・・・。


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