2002/6/7号

ワールドカップの合間を縫って?、映画館&試写会場に通っています。
今週のイチ押しは、超アクション&ホラー映画と韓国映画です。

ブレイド2  監督:ギレルモ・デル・トロ  出演:ウエズリー・スナイプス、クリス・クリストファーソン
Blade 2  2002年 アメリカ映画
今週のイチ押し:今日もヴァンパイアを狩る一人の男がいた。彼の名前はブレイド。ヴァンパイアの父を持ち、人間の母を持つ彼は、太陽の元でも死なない体を持っていたため、ヴァンパイアたちからは「デイ・ウォーカー」と呼ばれていた。しかし、彼の宿敵であるはずのヴァンパイアから彼の元へと休戦の申し込みが合った。ヴァンパイアに新たな敵が現れたのだ。突然変異のヴァンパイア「リーパーズ」により、ヴァンパイアは次々と殺され、ヴァンパイアの次に狙われるのは人間だという。彼らと手打ちをしたブレイドは、ヴァンパイアの精鋭チーム「ブラッド・パック」と組み、リーパーズに戦いを挑む。しかし、予想を遥かに上回るリーパーズの強さに、ブレイドも絶体絶命のピンチに陥る。ところが、リーパーズの発生には意外な人物が絡んでいた・・・・・。
私評:俺が倒せるか!!・・・・・めちゃ面白い!!ブレイドもメチャメチャ強いけど、今度の敵「リーバーズ」がまた強いんだ。それゆえ、戦闘シーンはスゴイ迫力。ヴァンパイアは「銀」に弱いけど、リーパーズには全然効かず、結局彼らを倒すために必要なものは●●だけ。ウエズリー・スナイプスのシブイ演技、華麗にしてパワフルなマーシャル・アーツ、そして香港映画のアクション監督ドニー・イエンが描き出すライブ・アクションのカッコイイのなんのって・・。しかも、今回はアクションだけではなく、チョッとしたラブストーリーも盛り込まれている。しかもしかも、背後で糸を引く意外な敵に辿りつくまでのどんでん返しに継ぐどんでん返しのシナリオも面白い!監督は「ミミック」のギレルモ・デル・トロ。残酷シーンが多い中、美しい映像もふんだんに盛り込んでいる。女ヴァンパイアとブレイドのラストシーンなんか、涙が出るくらいの美しさでした。共演は前作で死んだはずの(?)クリス・クリストファーソンが復活!「処刑人」の2枚目スターノーマン・リーダスがブレイドの相棒役で登場。そしてめちゃインパクトが強いのが、ヴァンパイアの一人を演じるロン・パルマー!音楽もノリノリだし!こう書いてみると貶し所が見当たらない。
エンジェル・スノー  監督:ハン・ジスン  主演:コ・ソヨン、イ・ソンジェ
Angel Snow  2001年 韓国映画
今週のイチ押し:ソギュンとジヌォンは結婚6年目を迎える中睦まじい夫婦。そんな彼等も重大な問題を抱えていた。それは子供ができない事だった。真の親の愛を知らず、叔母に育てられたジヌォンにとって「我が子」を持つ事は生涯の夢であり、ある種の使命のようなものがあった。どうしても子供ができないのでソギュンは養子を貰おうと切り出すが、その言葉はジヌォンを深く傷つけるだけだった。しかし、長年続けてきた不妊治療により、ジヌォンが妊娠したのだ。喜びを噛み締める二人は、我が子の誕生を思い、それぞれの夢を馳せるのだった。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。ジヌォンのお腹の子供は不治の病で、生まれても長くは生きられないという。中絶を勧める医師たち。しかし、ジヌォンは子供を産みたいと訴えるのだった・・・
私評:映画のクイズで次々と答える君を見ていて、君と一緒になれば映画みたいなドラマチックな人生が送れると思ったんだ・・・・泣いた〜・・。この映画の泣所っていわゆる、普通のお涙頂戴と違って悲劇を見せるだけではないのです。もちろん、悲しい出来事が二人を襲うけど、この映画の良さって主演の二人が支え合い生きて行く瑞々しい姿なのですね。実際、私の友人で子供がなかなかできなかった夫婦がいたので、この話も他人事には思えなかった。彼らの苦労はさんざん聞かされたけど、今では2人の子供に恵まれ幸せに暮らしています。映画の中で二人の間にできた子供の事については「産む」のか「堕ろす」のかという究極の選択を強いられるけど、果たして自分だったらどうすると思う??本当に欲しくて欲しくてやっとできた二人の子どもが、不治の病だったら・・ジヌォンが選択する「産む」ことをエゴと言えるだろうか?「堕胎」する事が子供に対しても「愛」なのだろうか?この受け止め方しだいでは、ジヌォンをただのセルフィッシュな女と受けとめられてしまうかも?でも、実際に韓国では彼女に賛同する女性がこの映画を盛り立て、興行成績も、そして韓国のアカデミー賞をも与えてしまったのだから・・・。韓国映画の質の高さはお墨付きですからね。でも、この映画のヒットは韓国というお国柄もあるのかもしれないです。ジヌォンが流した涙の分だけ,私も涙を搾り取られました。でも、映画を見た後はなんだか爽やかな気分。このストーリーは実際にイタリアで起きた実話が元になっています。ジヌォンの叔母役のユン・ソジョンがまた,良いんですよ〜。
裸のマハ  監督:ビガス・ルナ  出演:アイタナ・サンチェス=ギヨン、ペネロペ・クルス
Volaverunt  1999年 スペイン=フランス映画
1802年。スペインは輝いていた。時の王妃マリア・ルイーサが絶大なる権力を持っていたスペイン宮廷。一方で名家の出身のアルバ公爵夫人も社交界の華として君臨していた。公爵夫人の屋敷では夫人の姪の婚約の宴が開かれていた。席上には野心家の総理大臣マヌエル、彼の妻チンチョン伯爵夫人、マヌエルの愛人ペピータ、婦人を疎ましく思っている皇太子らが顔を揃えていた。そして彼らに混じって宮廷画家のゴヤも同席していた。その翌朝公爵夫人が危篤になり、あっという間に他界してしまう。失意に沈むゴヤ。そして彼女のグラスの中から猛毒の緑の絵の具が発見される。果たして公爵夫人は自殺なのか?複雑に交錯する人間関係が紐解かれる。そしてマヌエルがゴヤに依頼した世紀の絵画「裸のマハ」が、女たちを翻弄する・・・・・。

私評:コバルト紫は砒素酸、ナポリ黄とヴェネローゼ緑は猛毒の青酸カリです・・・・。極上のミステリー映画でした。登場する女たちをことごとく、食い物にして行くマヌエル。そして女たちは互いのプライドと嫉妬を抱えている。犯人が誰か??それはこの映画の中ではどうでも良い事かもしれない。誰もが犯人になりうるのだから。この映画のタイトルにもなっている「裸のマハ」については、ほとんど知りませんでしたが、謎が多い絵画らしいですね。いったいモデルは誰なのか?一般にこの絵画のモデルは公爵夫人らしいのですが、この映画の中では意外な仮説を立て、それが物語を盛り上げて行きます。また、王妃と公爵夫人の諍いは実に面白く描かれています。監督は「ハモンハモン」のビガス・ルナ。遥かに連なる霞みがかった山々や、煌びやかな宮廷などの本当に美しい映像がドラマ意外の部分でも類稀な才能を見せます。また、この映画が劇場向けだと思ったのは、囁き声の会話が多い事だ。息遣いまで拾うくらい音声には気合が入ってます。主演は公爵夫人を演じたアイタナ嬢。財には恵まれていたものの、寂しい女という役所なのですが、これがすごいインパクト。マヌエルの愛人役が、ハリウッドデビューする前のペネロペ嬢。今回は主役ではないのですが、やはり魅力的。情熱的なダンスも披露します。これは拾い物の映画でした!
マジェスティック  監督:フランク・ダラボン  出演:ジム・キャリー、マーティン・ランドー
The Majestic  2001年 アメリカ映画
1951年。映画の脚本家のピーターは、車の事故に遭い、ローソンの浜辺に流れつく。しかも、彼は過去の記憶をなくしてしまう。ところがその町で、彼は別の男と間違えられてしまう。街の人々もピーター自身も半信半疑のまま、街での生活を始め、そしてしだいに馴染んでくる。この町にとって彼は戦争で死んだ多くの若者たちの代わりで、そして彼の帰還はふたたび街に活気を与えるのだった。その象徴は彼の住む家の映画館「マジェスティック」の復興だった。街も、そしてピーターも幸せを噛み締めていたそんな時、ピーターを追って男たちが街に乗り込んできた・・・・・。

私評:彼ならば嘘をついたりしない。だから、嘘の答弁はしない・・・・。良いお話でした〜。ダラダラした展開だと言うご意見が多いけど、私は無駄のないシナリオだと思った。記憶をなくした男が、別人として町に受け入れられる過程が好きだ〜。本当に暖かな街の人々に囲まれ、自分自身のためでなく街のために働き、そして街に住む人々に「希望」を与えて行く展開。この街は戦争で多くの若者を亡くし、1度は死んだ。しかし、一人の男の生還により息を吹きかえして行くんですね。まさにダラボン監督の3作品に共通するテーマ「希望」が描き出されている。見ていて私もワクワクしてきました。そして彼の記憶が戻り、希望の灯は1度は消えてしまうのですが・・・。大きな大きな感動で私を包んでくれました。しかし、このラストにいたるまでの小さなエピソードの一つ一つの積み重ねが、ラストで大きな花を咲かせるのです。主演は初の(?)お笑いなしの演技を見せるジム・キャリー。ハイテンションな彼が、グッとテンションを押さえ真実味溢れる演技を見せます。また,彼の爽やかな笑顔がこの映画にピッタリなんですよ。そして彼の父親(?)のマーティン・ランドーがまた,グッドです。その他にもこの映画に出てくるたくさんの人たちが、それぞれ印象的。こんな暖かい人々が住む、ローソンという街に,私も住んでみたい。この映画のクレジット上の主演はジム・キャリーですが、本当の主演はローソンの街の人々なんですよね・・。
しあわせ色のルビー  監督:ボアズ・イェーキン  出演:レニー・ゼルウィガー、クリストファー・エクルトン
A Price Above Rubies  1998年 アメリカ映画
幼い頃、ソニアは誕生日に兄のヨシからルビーを貰う。しかし、それはイミテーションであり、ソニアは兄に雑言を吐いてしまう。その夜、兄は行方不明になり、以来彼女の傍には当時のままの兄がいつもいた。大人になったソニアはユダヤ人の男と結婚をし、男の子を出産する。伝統を守り、閉鎖的な社会を形成するユダヤ人の社会に、ソニアは必死に馴染もうと努力をしていた。しかし、彼女にはそれらの仕来たりは窮屈なだけで、次第に精神的に苛立ちを覚える。そんな折、義理の兄の勧めで、彼女は宝石の鑑定の仕事を始める。今まで押し殺してきた自分らしさを取り戻したソニアは仕事にのめり込んで行くが、夫を初めとする周囲からは冷ややかな視線を投げかけられる。そしてついにソニアにユダヤ人社会の制裁が下るのだった・・・・・。

私評:あなたはみんなから彼を奪った。でも、一晩、妻の元に返してくれた・・・・。映画の中でユダヤ人の長老が亡くなり、その妻がソニアに対して掛けた言葉です。このエピソードはすごく好きです。人はそれぞれ、生まれつき向き不向きというものがありますよね。今、私が送っている人生は宗教の束縛(または戒律による規制?)もなく、自由気ままだけど国や宗教によっては数々の規制や束縛がありますよね。でも、そう言うものを当たり前として捉えられる人もいるけど、そうでない人もきっといるはず。それらの社会や宗教に良い悪いはないけど、向き不向きは絶対にありますよね。この映画のソニアはそんな社会が自分に不向きだと言う事を悟り、自立して行きます。地味だった彼女が、仕事を始めてから段々と輝きを取り戻して行きます。そんな役どころをレニー嬢が実に上手く演じています。この映画は1998年の映画なので、レニー的には『ザ・エージェント』で演技を認められ、『ライアー』を経ての出演となります。私はコメディエンヌの彼女が好きだけど、この映画の毅然とした女もすごく良いと思いました。でも、劇場に入りは悲惨だったようです・・・・。良い映画なのに・・・。
拳神  監督:アンドリュー・ラウ、コリー・ユン  出演:ワン・リー・ホウ、スティーブン・フォン
Kenshin  2001年 香港映画
人類がヒトゲノムの解読に成功して以来、遺伝子事業は驚異的な進歩を遂げた。そして開発されたのが「パワーグラブ」だった。このグラブをはめる事により、普段は10%くらいしか稼動していない脳の眠った部分を覚醒させる事ができた。100人の警官がこのグラブの開発実験に参加したが、この実験により一人の男を世界征服の野望に駆り立てた。それから20年後、サイバー・シティ香港で、二人の若者クァンとティロンが出会う。クァンは生まれる前に死んだ警官だった父親が生み出した「神拳道」を習得した猛者。そして彼は父親の友人というダークから、パワーグラブを手に入れる。それはあまりに危険な遺産だった・・・・・

私評:パワーグラブの副作用で太ってしまった・・・・サモ・ハン・キンポーが可哀想すぎる・・・。香港映画得意のワイヤーアクションで、みんなが飛ぶ飛ぶ。サモ・ハンまで飛びます。近未来の映像はまるで「フィフス・エレメント」と「ブレード・ランナー」の世界。でも、舞台が香港なんですね〜。映像はハリウッド映画に負けないくらいの迫力、そしてふんだんに使用されたCGと生身のアクションが融合しスゴイ映画になっちゃってます。とにかくアクション・アクションのつるべ打ちで、これでもかってくらいのパワーには脱帽です。私的にはラストが訳が分からなくなってしまったのが残念。めちゃくちゃな終わり方でした(苦笑)。主演のワン・リー・ホウ、スティーブン・フォンは若い女の子に人気なんでしょうね。会場は意外や、若い子たちがワンサカいました。そして売店のグッズ売り場でなにやら買い漁っていました。私的には悪役のロイ・チョンがめちゃカッコ良かった〜。「ミッション」の時の彼とは全然違うけど、こんな派手派手映画でもしっかり演じてます。そしていまや香港映画の大御所になったサモ・ハン・キンポーとユン・ピョウが重要な役で登場(けっこう、笑っちゃうんですけど・・・)。そしてサモ・ハンの若い頃の役をイーキン・チェンが演じています。イーキンがサモ・ハンになるのか??色々とツッコミ所も満載ですが,こういう映画は楽しければ良いのだ!私は大満足でした〜。 


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