今週の4本は、全てイチ押しにしたいくらい良い映画ぞろいでした。
中でも一番衝撃的だったこの映画を敢えてイチ押しに・・・・
光の雨 | 監督 : 高橋伴明 | 主演:山本太郎、裕木奈江、萩原聖人、大杉蓮 | |
Rain of Light | 2001年 日本映画 | ||
若き映画監督の阿南は,新作映画「光の雨」のメイキングの監督に指名される。彼を指名したのは希代のCM監督樽見の初監督作品だ。さっそく、オーディションが始まる。彼らにインタビューをするが,誰もこの映画の主人公たちの属した連合赤軍など知らない。映画がクランク・インした。キャスティングされた20名以上の若者たちは、実在した連合赤軍のメンバーの気持ちを理解できないまま、必死にその役を演じようとする。そんなある日、監督宛てに1通の手紙が届く。それに書かれていた,謎の言葉がきっかけで、監督は失踪してしまう・・・・。 | |||
私評:革命をしたかった・・・、生きるすべての人が幸福になる世の中を作りたかった・・・・。30年前、連合赤軍による「浅間山荘事件」があった。小学生だった私は、よく意味も分からず機動隊と若者の戦いを見ていた。そして鉄球が山荘に打ち込まれ、事件はあっという間に終結した。今年になって私は連合赤軍幹部の永田容子の本を何冊か読み、久能靖の「浅間山荘事件の真実」という本を読んだので,この映画はすごくタイムリーだった。しかし、映画は私が思っていた内容とはちょっと違った。これはその事件の事実を追うのではなく、当時の赤軍派メンバーと現代の若者がどう繋がって行くかが描かれている。革命の夢を抱いて結束したグループのはずが、どこかで歯車が狂い始める。仲間内での制裁が始まる辺りから、かなり恐い内容になってくる。徐々に暴走して行く倉重を演じる山本太郎と彼の思想に追随する上杉を演じる裕木奈江がすごく良かった。良かったというか,恐かった・・。 あの頃、自分が大学生だったらどう考えただろうか?少なくとも今の自分は、革命を起せるなんて思っていない。しかし、そんな思想が蔓延っていた当時に、自分がいたら・・・。強烈なパンチを食らったようでした。 | |||
バンディッツ | 監督 : バリー・レビンソン | 出演:ブルース・ウィリス、ビリ−・B・ソーントン、ケイト・ブランシェット | |
Bandits | 2001年 アメリカ映画 | ||
決して銃を使わない,通称「お泊り強盗」のジョーとテリー。しかし、ついに警察隊に包囲され絶体絶命・・。彼らの出会いは刑務所の中。ジョーの咄嗟の脱獄にテリーも便乗してしまったのだ。その日から,二人は独特の手口で銀行強盗を開始する。そんなある日、テリーはケイトの運転する車にぶつかってしまう。退屈な結婚生活に飽き飽きしていたケイトは、二人に付いていく事を決意。最初は怒っていたジョーもすっかりケイトにメロメロになってしまう。しかもテリーまでがケイトに惚れて3人は危険な三角関係に。しかし、彼らは銀行強盗を続けていく・・・・・。 私評:私には二人のうちの一人なんて選べないわ。だって、あなたたちは二人でワン・セットなのよ・・・。面白い〜。二人の男に一人の女の取り合せは「明日に向かって撃て」か、伝説の銀行強盗は「ボニーとクライド」?、はたまた銀行で警察隊に囲まれるシーンは「狼たちの午後」? いえいえ、この映画はまったくのオリジナル。とにかく、ブルースとビリー・ボブのコンビが絶妙です。特にビリー・ボブはこんなにコミカルで、神経質な男を演じられるなんて・・。二人のどつき漫才は最高です、ところが,この二人を完全に食っているのがケイト・ブランシェット。前々から,彼女は良いと思っていたけど、この映画のケイトは最高。ブルースとビリー・ボブがメロメロになるのは当然です。私だってメロメロです(笑)。果たして警官隊に包囲された二人の運命は?? 上手く逃げるのか?それとも・・・??そして最後に笑うのは誰だ??それは見てのお楽しみと言う事で・・。 損はさせません!! |
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スパイ・ゲーム | 監督:トニー・スコット | 主演:ロバート・レッドフォード、ブラッド・ピット | |
Spy Game | 2001年 アメリカ映画 | ||
長年CIAのスパイとして活躍をしてきたネイサンも、今日が最後のお勤め。そんな彼の耳に,かつてネイサンがスパイの仕事を教え育てたビショップが中国で、ある囚人を脱獄させようとして捕まり,投獄されている事を知る。正義のためには、どこまでも冷徹になれるネイサンとは、何度もぶつかり合ったビショップだったが・・・。しかし、CIA本部の中のがんじがらめの状況で、ネイサンはなんとかビショップを助け出そうとする。救出に向けてネイサンのとんでもない作戦が実行される。果たしてビショップの救出は成功するのか?? 私評:Operation What?? It's Operation Out-dinner,sir・・・・。 「外食作戦」は見事に成功するのか?CIAの本部内でのミッション遂行のため、ネイサンは一体何をするのか??一緒になって脳細胞をフルに使いましょう。ネイサンとビショップの過去の映像が挿入されて行くのですが、この中にキーワードになるネタがいっぱい!それを見逃すな!しかし、ロバート・レッドフォードはカッコイイ〜。 やっぱりこういうインテリの役が似合うんですよね。また,ブラッド・ピットには知性は感じないものの、要領の良さや行動力が覗える。この辺りの二人のコンビネーションが,この映画の大きな見所。もちろん,ビジュアル的にもこの二人のツーショットはタマリマセン!監督のトニー・スコットはスローモーションや早送り映像を巧みに取り入れ、すごく動きのある小気味良い展開になっています。さあ、このとんでもないミッションの行方を予想できるか??? |
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ジェボーダンの獣 | 監督 : クリストフ・ガンズ | 主演:サミュエル・ル・ビアン、ヴァンサン・カッセル、モニカ・ベルッチ | |
Le Pacte Des Loups | 2001年 フランス映画 | ||
1764年,フランスはジェボーダン地方で惨劇が続いた、被害者はいずれも女か子供ばかり。そしてズタズタに噛み殺された死体。その”獣”を狩るべく集められたハンターたちも、狼の群れを追い詰めるのが精一杯だった。次々と惨事が続く中、ルイ15世は優れた科学者であるグレゴワールを”獣”の調査に送った。グレゴワールの独特な捜査が続く中、徐々に姿を現しはじめる”獣”。その邪悪で、危険な悪魔を倒すべく、グレゴワールと従者のマニの生死を賭けた戦いが繰り広げられる・・・・。 私評:本当にフランス映画??ハリウッド映画も顔負けのパワフルな映像。そしてふんだんに盛り込まれた特撮、そしてカンフー。その映像はまるで、ハリウッド映画と香港映画の融合だ。しかし、舞台はフランスの美しい田舎町。このアンバランスさが,私はとても好きです。シナリオは、ちょっとは捻りがあるものの,すごくストレートな内容なので、とにかく映像に集中できた。主演は今まで名前すら知らなかったサミュエル・ル・ビアン。ちょっとコミカルでワイルド、でも知的でしかも武術の達人と言う役所を見事に演じた。彼と恋に落ちるジェボーダンの名士の娘は「ロゼッタ」のワガママ娘エミリエ・デュケンヌ。 あのドン臭かったロゼッタとはまったく対照的な女性役で、同じ人とは思えないくらい。ロゼッタは苦手でしたが,この映画の彼女はすごく良かった。そしてほとんど,主演と思われているヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチはどちらかと言うと脇役です。どんな怪物が現れるかは,見てのお楽しみ。まあ、そんなにビックリするほどの「獣」ではないかもしれないけど、私は好き。試写会の当日、ヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチと監督のクリストフ・ガンズが舞台挨拶に立ちました。モニカ・ベルッチの美しさと言ったら・・・。彼女が会場に向かって投げキスをした時、私と目が合った・・(ような気がする・・) |
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プラットホーム | 監督:ジャ・ジャンクー | 主演:ワン・ホンウェイ、チャオ・タオ | |
站台 | 2000年 香港=日本=フランス合作 | ||
1979年。中国の山西省の小さな村で文化劇団に所属する4人の若者がいた。彼らは毛沢東首席を称える舞台劇を行っていた。チャンジュンとチャンピンは恋人同士だが、女好きのチャンジュンにチャンピンはいつもハラハラしている。ミンリャンとルイジュエンは、親の反対もあり曖昧な関係だった。そんな彼らにも時代の波がやってくる。急速な近代化が進む中国では、ラッパズボンが流行り、海外の映画を見て,最新の音楽も聞けるようになる。文化劇団の出し物も、時代とともに変わっていく。そして4人の関係も時代とともに変化を遂げる。しかし、いつの時代も彼らの故郷,フェンヤンは変わることなく彼らを受け入れるように見えた・・・。 私評:今日の8時にこの村にも電気が来ます。共産主義に感謝しましょう!・・・1980年代の中国では、まだこんな事が大事件になっていたのですね。中国映画を見ると、いつもカルチャーショックを受けます。日本が進んでいるのではなく,中国が遅れているんですね。土地が広いだけに,進んでいる土地と遅れている土地の差は非常に激しい。彼らの近代化の象徴になっているのが,ラッパズボンだったり、テレサ・テンの歌だったり、そして女性はパーマだったり。日本人が見るとけっこう笑ってしまうかも? しかし、それらを時代の最先端として受けとめ、時代の流れに身を任せる彼らが、だんだんと大事なものをなくして行くようで・・。でも、そんな彼らの故郷が、時代の流れとは逆行するかのように,静かに(それこそ時計が止まっているかのように)、そしていつも同じ表情で、その街に戻ってくる若者を優しく迎え入れてくれる。なんて、やさしい映画なんだろう・・。そんな様子をいつも、醒めた目で、1歩引いて見つめ続けるカメラの視線も不思議な感じがした。しかし、この映画は長い・・。私が苦手な無意味に長いワンシーンを多用している。これで自然な感じを出そうとしているのかもしれませんが・・。役者陣も無名の人ばかりです。 しかし,この映画の中のルイジェンを演じるチャオ・タオが、昔の私の恋人にそっくりで,妙な気分だった・・・(苦笑) |
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