2008/9/23

今回は私好みの映画がたくさん。
しかし、ホラー好きの私のイチ押しは・・・

おろち  監督:鶴田法男  出演:木村佳乃、中越典子、谷村夕月
 2008年 日本映画
今週のイチ押し:100年に一度眠りにつき、老いる事なく美しいまま人間界をさ迷い歩く少女。彼女の名前は「おろち」。彼女の正体を知る者はどこにもいない。そんなある夜、彼女は大きな屋敷に入り込んだ。そこで彼女は幼い姉妹一草と理沙を見つけ、彼女たちを見守ることにした。ふたりの母親は有名な女優・門前葵。高飛車な態度とは裏腹に彼女は何かに怯えていた。おろちはお手伝いとしてこの家に住むことになった。しかし、葵はなぜか一草にだけ厳しく当たるのだった。そんなある日、葵は自動車事故に遭ってしまう。その時間一髪で葵を救ったのはおろち。しかし、彼女は事故で大量の出血をしてしまい、予定よりも早く深い眠りについてしまう。門前一家の行く末を見届ける事なく・・。眠りから覚めたおろちは貧しい流しの夫婦に佳子という名で育てられていた。そんな彼女を大金を払って身請けするという女が現れる。それは10年前におろちが見届けたいと願っていた姉妹の妹の理沙だった・・
私評:お姉さま、私たちも29歳になったらお母様のように・楳津かずおのホラー漫画が実写化された。この漫画は子供のときに読んでいて、けっこう怖いけど悲しいという印象を受けました。と言うのも、おろちという少女は死なないため人間たちの悲しい運命を幾つも見なければならない運命。しかし、彼女の正体はまったく分からないのです。楳津かずおのあの独特の絵も印象的。彼の作品は何度か映画化されましたが、今回はその中でもかなり良いできです。29歳になるとある事が体に起きてしまう門前家の娘の悲しみ、そしてエゴ。そんな人間の醜い部分がこの映画の恐怖なのです。そしてとんでもないどんでん返しが・・・・。門前葵と成人した後の一草を演じるのは「ジャンゴ」の木村佳乃。彼女の鬼気迫る演技は必見!そしてそれに負けないくらいの悲しく、そして恐ろしい演技を見せるのが「コワイ女」の中越典子。このふたりの殴り合いはすごいです。そしておろち役は若手の注目株の「リアル鬼ごっこ」の谷村美月。彼女も先輩ふたりに負けなくらいのすごい演技を見せます。監督は「リング0」の鶴田法男。ちなみに彼女たちのポスターの写真を撮影したのは蜷川実花です。
落下の王国  監督:ターセム  出演:リー・ペイス、カティンカ・アンタルー
the Fall  2006年 アメリカ映画
LAのとある病院。家業のオレンジ畑で木から落ちた少女アレクサンドリアは左腕を骨折してここに入院している。元気いっぱいの彼女は病院内を走り回っている。ある日、彼女は仲の良い看護婦に書いた手紙を窓から彼女に向けて投げたが、手紙は方向を逸れて下の階の病室に飛び込んだ。下の病室に駆け込んだアレクサンドリアはそこで足に怪我したロイという男と出会う。彼は彼女の名に因んで「アレクサンダー大王」の話を始める。物語が大好きなアレクサンドリアは夢中になってしまう。翌日も彼女はロイの病室を訪ねた。そしてロイが話し始めたのは絶海の孤島に集まった5人の戦士の話。彼らは一様に総督オウディアスへの復讐を誓っていた・・。アレクサンドリアはロイの話に夢中。しかし、ロイはアレクサンドリアを使って「モルヒネ」を盗ませ自殺を試みようとしていた・・・・・
私評:僕のお話はハッピーエンドじゃないんだ・・・・2000年に公開された「ザ・セル」は私の中ではどうもいただけない映画でした。映像に懲りすぎていてシナリオが置き去りにされたような感じがした。しかし、今回はそんな失敗(?)を踏まえてすばらしいできになっていました。ストーリーもすごく良くできているし、しかも映像が本当に素晴らしい。そこに描かれている映像はCGで作られたものではなくすべて実写。しかも、4年の歳月をかけて世界各国で撮影された各地の絶景。今年見た「アース」の映像もすごかったけど、『落下の王国』は勝るとも劣らない素晴らしい映像でした。最近流行のCGでのすごいスピードの映画に対抗するかのように、美しい実在の建物や自然をじっくりと見せつけてくれるのです。これはまさに映画という名のアートです。ロイ役は「グッド・シェパード」のリー・ペイス。そして驚くべき演技を見せるのはアレクサンドリア役のカティンカ・アンタルーちゃん。ルーマニア出身の新人です。
グーグーだって猫である  監督: 犬童一心  出演:小泉今日子、上野樹里、森3中
 2008年 日本映画 
人気漫画家の麻子は原稿の締め切りに追われていた。彼女と4人のアシスタントナオミ、加奈子、咲江、美智子は3日間徹夜でようやく原稿を書き終えた。しかし、その日の朝、麻子が飼っていた猫のサバが死んでしまう。サバの死からなかなか立ち直れない麻子を心配するナオミたち。そんなある日、ナオミはペットショップの前に佇む麻子を発見する。吸い込まれるように店に入っていった麻子はそこで1匹のアメリカンショートヘアを見つける。この猫との出会いでようやく麻子に笑顔が戻った。猫はグーグーと名付けられた。そんなある日、麻子はグーグーの避妊手術に出かける途中でグーグーが逃げ出してしまう。必死にグーグーを探す麻子にグーグーを手渡してくれたのは沢村という青年。その瞬間、麻子の中にある想いが湧き上がってくる・・・・
私評:グーグーってどういう意味ですか〜??・・・・最近、「犬」の映画が多かったのですが猫の映画だってないといけませんよね。そしてついに真打が登場!しかし、この映画は猫と主の話だけではなく、彼らをとりまく人々との心温まる交流、そして彼らが住む街までもが一体となったエコ映画(?)。この映画を観ると地元を歩いてみたくなります。空を見上げてみたくなります。草の上に寝転がってみたくなります。それはなんだか得体の知れない安らぎ。しかし、この映画はそんな軽い展開だけではなく『命』についても考えさせてくれます。「あなたはじっくり人生を生きていますか?」そんな問いかけが・・・。主演は最近すっかり女優として定着した小泉今日子。彼女のフワフワした感じがこの映画には合っています!そしてナオミ役は私の大好きな上野樹里ちゃん。彼女の溌剌とした演技がこれまたグッド。そしてアシスタントの3人を森3中が演じているのですが、これまたピッタリ!自然な感じで良かったです。そして沢村役は加瀬亮。監督は「ジョゼと虎と魚たち」の犬童一心。
アリア  監督 : 村松亮太郎  出演:井坂俊也、原田佳奈、田中伸子
Air  2008年 日本映画
長野県諏訪市。ここに住む高校生のミチ。彼女はステンドグラス作家と言う別の顔も持っていた。彼女はクラスメイトの啓吉から「つき合って欲しい」と告白され、勢いで「いいよ」と答えてしまう。そんな折、この街に上京していたミチの幼なじみのいとこ俊太郎が帰ってきた。しかし、彼はひとりではなく綾乃という女性が一緒だった。ミチは俊太郎に対して不思議な想いを抱いていた。それは恋とも憧れともつかない想い。しかし、彼女は再び俊太郎と一緒にいられる事に幸せを感じていた。俊太郎は絵本作家として一躍有名になっていたが、今はスランプに陥りまったく仕事ができていなかった。しかも、俊太郎はある重大な秘密を抱えていた。そして俊太郎はミチとの思い出の場所「ホテル555」にミチを呼び出すが・・・・
私評:私は東京の俊太郎を知らない・・・5年間に撮られた映画がついに陽の目を見る事になりました。しかも、今までビデオ化されることもなく、お蔵入りしていた作品が劇場公開です。諏訪の美しい風景の中で紡がれるとてもピュアな恋愛。しかし、それは恋愛とは言えないくらい儚い想い。しかも、彼らにはとんでもない悲劇が待ち受けています。そんなやり取りをじっくりと描いていきます。ローバジェットの映画ではあるのですが、カメラワークと美しい諏訪の風景でその辺りをカバーしています。主演は「パッチギ! LOVE & PEACE」の井坂俊哉。そしてミチ役は「ラストゲーム 最後の早慶戦」の就活女優こと原田佳奈。ふたりが若い!!監督は本編に出演も果たしている「ヘイジャパ!」の村松亮太郎。


前回の記事も読んでね〜!



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