2010/4/18

この時期に黒澤明生誕100年の映画祭があり、通いまくり。
だけど、新作も一応押さえてます。
今回のイチ押しは青春感動作とアカデミー賞で話題になったドラマ。

ソラニン  監督:三木孝浩  出演:宮崎あおい、高良健吾
 2010年 日本映画
今週のイチ押し:都内の会社に勤める芽衣子はフリーターの恋人、種田と同棲中。ふたりは大学の軽音楽部で知り合った。ふたりは付き合い始めて6年になる。芽衣子は職場での自分に嫌気が差していた。種田に相談をすると「辞めちゃえばいい。俺が何とかするから・・」という頼もしい返事が。芽衣子は翌日に辞表を出した。自由な日々を取り戻した芽衣子は久々に種田のバンドの練習を見に行った。メンバーはドラムのビリーとベースの加藤。ビリーは親が経営している薬局を継ぎ、加藤はいまだに大学に居座り6年生になっていた。そして加藤の恋人のアイは芽衣子の親友でもあった。その帰り道、種田は今の生活、そして将来の不安をぶちまけた。しかし、芽衣子はそんな現実のプレッシャーに押さえつけられ、種田が本来やりたいと思っている「音楽」を諦めている事が歯痒かった。そしてついに芽衣子は種田に「逃げているだけだ」というきつい言葉を投げかけた。それに触発されてか種田はバイトを辞め、バンド活動に専念する。そしてようやく1枚のCDを完成させた。彼らは音楽会社などにCDを送り、反応を見たが結果は悲惨なものだった・・
私評:絶対に離しちゃダメだよ・・・ほろ苦い青春物語でした。この映画を20代のときに見られたら、かなり心に刺さっただろうな〜・・。将来への不安からいつしか夢を諦め、そして誰かに敷かれたレールの上を歩くしかなくなってきた人は大勢いるでしょうね。そして種田がようやくそのプレッシャーから開放され、自らの進むべき道を見つけたとき悲劇が襲います。そこからこの物語は矛先を変えて、がむしゃらに種田の夢を継ぐ芽衣子の話に転換します。その迫力たるや・・・。そして登場する若者たちのツイッターような「呟き」がけっこうリアルで、私も考えさせられました。私はかなりお気に入りの映画です。主演はどんな役でも見事にこなす若き天才女優、「少年メリケンサック」「剱岳 点の記」の宮崎あおい。彼女の最後のライブはめっちゃ良かったっす。種田役は「蛇にピアス」「フィッシュ・ストーリー」の高良健吾。ビリー役は「ROOKIES 卒業」の桐谷健太、そしてベーシストの加藤役は人気バンドサンボマスターの近藤洋一、アイ役には「BANDAGE バンデージ」の伊藤歩。監督は音楽業界で数多くのPVを手掛けた三木孝浩
マイレージ、マイライフ  監督:ジェイソン・ライトマン  出演:ジョージ・クルーニー、ヴェラ・ファーミガン
Up In The Air  2009年 アメリカ映画
今週のイチ押し:年間322日が出張で飛行機の中が我が家の男ライアン。彼の仕事は企業に依頼された人材にリストラを告げ、後腐れのないよう対処すること。彼にとっていちばんのステータスはアメリカン航空で1000万マイルを超えると貰える「コンシェルジュ・キー」で、その達成も目の前に迫っていた。そんな彼は人生の大荷物は背負わず、お気楽に見えるが、彼なりのポリシーを胸に人生をエンジョイしていた。そんな彼の前にふたりの女性が現れる。ひとりはライアンと同じように出張で全国を飛び回っているアレックス。同じ価値観を持つふたりは意気投合し、気軽な大人同士の関係を築いた。もうひとりはライアンの会社に新入社員のナタリー。現代っ子のナタリーは直接対面で行っていた解雇通告をネットで行う事を提案していた。ライアンはナタリーの教育係に任命され、彼女と同行で出張を続ける。そこでナタリーはリストラに遭った人たちを目の当たりにして衝撃を受ける・・
私評:ぼくの作った歌を良かったら君の映画で使ってくれ・・・エンドクレジットで仕事を失った監督の友人の作った歌が流れるのですが、これがけっこうシュールな歌詞で・・・。アカデミー賞にも多数ノミネートされていた期待作がようやく公開された。しかし、この映画の内容は私のような独身中年にはかなりキツイ内容の映画でした。確かに私もこの映画の主人公のライアン同様、お気楽な独身生活をしているのですが、時折、一抹の寂しさを感じる事があります。しかも、このご時世で私の周りでも“リストラ”に遭って苦労をしている人が何人もいるんですよね〜・・。なんとも、私的にはタイムリーな内容で、個人的にはかなりの衝撃作品でした(苦笑)。主演は私と同級生で同じく独身、「フィクサー」「オーシャンズ11」のジョージ・クルーニー。モテモテの彼が演じるからこそ、この話はリアルなんですよ。彼がアカデミー主演男優賞にノミネートされていたのは納得です。そして注目は助演女優賞にノミネートされたふたりの女優。まず、アレックス役は「エスター」のヴェラ・ファーミガン。イケイケのキャリアウーマンなのですが・・・??そしてナタリー役は「トワイライト〜初恋〜」「ニュームーン トワイライト・サーガ」のアナ・ケンドリック。気の強さと若さゆえの心の脆さを両方演じた彼女の演技は素晴らしかった。監督は出す作品がみんな面白い「サンキュー・スモーキング」「JUNO/ジュノ」のジェイソン・ライトマン。そういえば、今年のアカデミー賞で彼の父親で「ゴーストバスターズ」の監督アイバン・ライトマンが「息子は私を越えた」とスピーチしていましたね。
ナイン 9番目の奇妙な人形  監督 : シェーン・アッカー  出演:イライジャ・ウッド、ジェニファー・コネリー
Nine  2009年 アメリカ映画
古びた研究室の片隅で一体の人形が目を覚ました。麻の布を縫い合わせた体の真ん中には大きなジッパーが付いている。そして背中には「9」という数字が書かれている。そんな彼の視界に彼と同じような麻の布の人形が入った。必死に彼の後を追いかけた「9」は、彼の背中の「2」を見つけた。「2」は「9」を自分の仲間だと告げた。しかし、突如現れた機械の怪物・ビーストがふたりを襲う。「2」は「9」をかばいビーストに連れ去られてしまう。気を失っていた「9」は他の番号を付けた人形たちに救われる。彼らはビーストの襲撃に怯えながらひっそりと暮らしていたのだ。「9」は「2」の救出に行こうとみんなに告げるがリーダーの「1」はそれを断った。「9」はそこの住人のひとり「5」とこっそりとそこを抜け出し「2」の救出に向かった。なぜ、自分は人形なのか?人類はなぜ、滅んだのか?そして自分はいったい誰なのか?その謎が次第に明らかになっていく・・・・
私評:生きている意味を知りたいんだ・・・「チャーリーとチョコレート工場」のティム・バートン監督が出会った衝撃的な短編作品が、彼のプロデュースによって長編映画になった。麻布の人形たちが最新のCG技術で、まるで本当に生きているかのように画面狭しと大暴れ。ビーストとの戦いは本当にすごい迫力です。そして背景の画がとてもリアルです。人間と機械の間に何があったのか?そしてなぜ、人形になったのか?徐々に解き明かされるストーリーも面白いです。私が観た試写会では、本編の後にオリジナルの11分の短編も上映されました。低予算のため、映像はちょっと雑ではあるのですが、内容は本編とは違うのですが、これまたすごく面白いです。この作品の声優陣がまた最強です。「9」は「ロード・オブ・ザ・リング」のイライジャ・ウッド、その他、クリストファー・プラマー、マーティン・ランドー、ジョン・C・ライリー、クリスピン・グローバー、ジェニファー・コネリー・・。どうです!監督はシェーン・アッカー。
シャッター・アイランド  監督 :マーチン・スコセッシ  出演:レオナルド・ディカプリオ、ベン・キングスレイ
Shutter Island  2010年 アメリカ映画 
1954年。連邦保安官のテディと彼の新しい相棒のチャックは孤島にある精神病院に向っていた。そこはシャッター・アイランドという異名を持っている。レイチェルという女性患者が忽然と消えたため、捜査を依頼されたのだ。密室状態で彼女はどのようにして外に出たのか?テディは彼女の部屋で謎のメモを発見する。病院の院長であるコーリーを尋問すると、レイチェルの担当の医師はテディたちとは入れ違いで休暇のために島を出たという。その夜、テディは死んだ妻の夢を見た。彼女は夢の中で「レディスはそこにいる」とテディに告げた。翌日、テディとチャックは患者たちにも尋問を行う。その中でテディは「レディス」という名前を繰り返す。不思議に思ったチャックは「レディス」とは何者なのかをテディに聞くと、テディに口から思いもよらない答えが返ってきた・・。レイチェルの捜査が一向に進まず苛立つテディの元に、レイチェルが発見されたという知らせが届く・・・・
私評:悪のまま生きるか・・・・・全編が謎だらけという触れ込みで、映画の開始前にはご丁寧に「手の動きや視線にも注意して・・」などという能書きまで現れる。私は目を皿のようにして、画面を見ていたのですが何の謎も発見できずじまい。謎というより「あれはいったい何だったんだ?」という不可解な演出が幾つかあり、私はなんとも釈然としないまま劇場を後にしました。最後のオチは、どこかで見たことのあるような展開で、私の心には刺さりませんでした。しかし・・・・、映画を見終えた後、オフィシャルサイトなどで一部ネタバレがされていて、それを読んでいたらなんだかとっても気になってしまいました。もしかしたら、それを確認すべくまた劇場に足を運ぶかも??これでは映画の宣伝マンの策略にまんまと嵌ったようでちょっと悔しいのですが・・・(苦笑)主演はすっかり貫禄が出てきた「ブラッド・ダイヤモンド」「タイタニック」のレオナルド・ディカプリオ。この映画のいちばんの見所は彼の演技だと思います。怪しい病院長を演じるのは「シンドラーのリスト」のベン・キングスレイ。そしてテディの妻ドロレスを演じるのは「ブロークバック・マウンテン」「彼が二度愛したS」のミシェル・ウィリアムズ。監督は「ディパーテッド」でオスカーを受賞したマーチン・スコセッシ。
噂のモーガン夫妻  監督 : マーク・ローレンス  出演:ヒュー・グラント、サラ・ジェシカ・パーカー
Did You Hear About The Mogans?  2010年 アメリカ映画 
誰もがうらやむ超セレブなカップル、ポールとメリル・モーガン夫妻は大きな問題を抱えていた。夫のポールが浮気をしたため、ふたりは別居中。ポールが必死にふたりの仲を留めようと努力はしているが、メリルは彼が許せなかった。そんなある日、食事を共にしたポールとメリルは殺人事件を目撃してしまう。しかも、犯人に顔を見られてしまう。FBIはモーガン夫妻が犯人に狙われると考え、「証人保護プログラム」を適用し、ふたりをワイオミングの片田舎にとりあえず一週間だけ住まわせることにした。電話もネットも許されないふたりは仕事からも切り離され、最初は戸惑っていたものの、都会では決して味わうことのできない生活に、徐々に馴染んでいった。喧嘩ばかりだったNYでの生活が嘘のように、ふたりは距離を縮めていく。しかし、殺し屋はメリルのオフィスに盗聴器を仕掛け、ついにはふたりの居所を突き止めてしまう・・・・
私評:結婚は理屈じゃない。くだらない事は忘れて前に進め・・・ヒュー・グラント、大好きです。この人のダメ男ぶりが良いんです。今回もキャリアこそ立派な男なのですが、私生活は自分勝手で言い訳ばかり。しかし、そのユーモアな台詞はとにかく笑わせて貰えました。しかし・・・、私が苦手なのは「セックス・アンド・ザ・シティ」のキャリーをそのままこの役に置き換えたようなサラ・ジェシカ・パーカーです。あれだけポールに文句をタラタラ言っていたくせに●●!?ふざけんじゃねーよ!!って感じです。映画の作りはお気楽でサクサクとテンポがいいので、飽きはしないのですが、ヒロインに憎くしみに近い感情まで抱いてしまった私・・・。しかし、この映画ですごく良いのが避難先の保安官夫婦を演じる「ライラの冒険 黄金の羅針盤」のサム・エリオットと「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」のメアリー・スティーンバージェン。ハチャメチャな夫婦なのですが、お互いが語る「夫婦論」がけっこう心に響きます。監督は「ラブソングができるまで」のマーク・ローレンス。


前回の記事も読んでね〜!



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