2007/4/22

またまた、レビューをためてしまったので一気に放出。
まだ、アップしていない作品がなんと6作品。頑張ってアップします

サン・ジャックへの道  監督:コリーヌ・セロー  出演:ミュリエル・ロバン、アルチェスト・パンゲルン
Saint Jacques La Mecque  2005年 フランス映画
今週のイチ押し:仲の悪い三人の兄妹弟は母親の死をきっかけに再会を果たすが、相変わらず喧嘩ばかり。長兄のピエールは会社経営とアル中で妻の事でノイローゼ気味、その妹クララは失業中の夫の替わりに教師として働いているが頑固で妥協を知らない。そして一番下の弟は大らかな性格ではあるがアル中で世捨て人のような生活。しかし、母親は3人のために莫大な遺産を遺していた。そして受け取り条件とは・・3人でフランスのル・ピュイからスペインの西の果てサン・ティアゴまでの1500kmを巡礼すること。もちろん、歩いてしかも、3人一緒に。渋々3人が参加したのはベテランガイドギイのツアー。そこには10代の若者4人と頭にターバンを巻いた女性がいた。道中も喧嘩ばかりの3兄妹弟だったが、旅の仲間との交流や美しい景色、そして厳しい行程の中で変わり始めていた・・
私評:携帯が入らないのか〜!!・・・フランスのロードムービーはお洒落で、おかしくて、そしてじわりじわりと染み込む感動がぎっしりと詰まった極上の作品。最初に登場した3人の兄弟は本当に自分のことしか考えていない嫌〜なヤツばかりだったのですが、彼らの変化が心に優しい。彼ら以外の登場人物もそれぞれ悩みや野望を持っているのですが、旅を続けるうちにひとつの家族のようになっていく。その過程にあるさまざまなエピソードが笑えて、泣けて・・・。ラストの彼らの笑顔は最高に輝いていました。また、ロードムービーの真骨頂でもある、道中の美しい風景は必見。とにかく癒されました・・。兄役は「アメリ」のアルチュス・ド・パンゲルン、妹役は「ビジター」のミュリエル・ロバン。監督は「赤ちゃんの乾杯」「女はみんな生きている」のコリーヌ・セロー。彼女の映画は良い作品が多いな〜
ブラッド・ダイヤモンド  監督:エドワード・ズウィック  出演:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・コネリー
Blood Diamond  2006年 アメリカ映画

今週のイチ押し:1999年。内戦が続くアフリカのシオラレオネ。漁師のソロモンは家族と幸せな生活を送っていたが、反政府軍RUFによって引き裂かれた。捕虜となったソロモンはダイヤモンドの採掘所で奴隷のように働かせれる。その時、彼は大きな光る石を発見した。そして彼はその石を密かに地中に隠した。ダニーはダイヤモンドの密売人。大胆不敵な彼のやり方は国内の紛争を長引かせている。そんな彼が密輸を発見され投獄される。しかし、そこでダニーはソロモンが隠した巨大なピンクダイヤモンドの噂を耳にする。釈放されたダニーは近くのバーでアメリカ人のジャーナリストマディーと出会う。彼女が追っていたのはRUFの資金源となっている「薄汚れた」ダイヤの真相だった。やがてダニー、マディー、そしてソロモンの3人はダイヤモンドをめぐる危険な旅へと出かけることになった・・

私評:ぼくは家族も殺した悪党・・・・すごい!この映画が描いている世界は実際にアフリカで進行中の出来事のほんの一角でしかない。世界中の女性をとりこにする謎の輝きを放つ石・ダイヤ。このちっぽけな石が人々を狂わせるのですね。そしてそのために踏みにじられる幸せもあるのです・・・。今回はレオナルド・ディカプリオがアカデミー賞で主演男優賞にノミネートされた理由が良くわかりました。彼の演技はマジですごい!ワイルドでダーティーなイメージは今までのレオのキャラとはまったく違う。そして素晴らしいのが助演男優賞にノミネートされたジャイモン・フンスー。そしてマディーを演じるジェニファー・コネリーも素晴らしい。この映画の強みはシナリオの素晴らしさ、素晴らしい演技陣、そして壮絶なアクション。この三つが見事に絡み合い特上のエンターテイメント作品になっているのです。ハリウッドの物量映画には最近食傷気味だった私ですが、この映画は素直に素晴らしいと言いたい。監督は「ラスト・サムライ」のエドワード・ズウィック。
13/ザメッティ  監督:ゲラ・バブルアニ  出演:ギオルギ・バブルアニ
13 TZAMETI  2005年 フランス映画

グルジアで屋根の修理をしているセバスチャンは稼いだ金も家族のためにすべてつぎ込んでいる。そんなある日、彼が仕事をしていた家で、その家の主人が何やら大金を稼ぐコネがあることを立ち聞きする。そして主人の元に送られてきた封書の中にはパリ行きの列車のチケットと、ホテルの領収書が入っていた。そして事件は起こった。仕事中のセバスチャンをこの家の妻が大声で呼んでいる。なんと主人はバスルームの中で死んでいた。主人が死に仕事を失ったセバスチャンだったが、偶然主人の元に送られてきた封書を拾い、主人の替わりにパリへと乗り込み金を稼ごうとする。何も知らないセバスチャンは謎の電話の主から言われるがまま、森の中の大きな家へと連れて行かれる。そこで行われていたのは13人の男たちによるロシアン・ルーレット。セバスチャンはその中のひとりとして選ばれたのだ・・・・

私評:次は弾を3発詰めます・・・すごい。そして怖い。モノクロの映像がなんとも不気味で、そして恐怖を増長する。その恐怖は最近のホラーのように「ドカーン!」とくる怖さではなく真綿で首を絞められるようにじわりじわりと襲ってくる恐怖。この映画のロシアンルーレットは13人の男が円になり合図とともに前の男の頭を打ちぬくという、前代未聞の恐怖プレイ。その情景をカメラが白々と見つめている。そして合図代わりの電球が灯るたびに・・・。かと言って昨今のホラー映画のように頭が吹っ飛ぶようなシーンはない。ただ、そのシチュエーションがめちゃめちゃ怖いのです。これがフランス映画だというのがまた驚きです。主演は監督の弟でもあるギオルギ・バブルアニ。純朴そうな彼にはピッタリの役でした。そして共演者たちはなんとも不気味なやつらばかり。特にゲームの司会をするパスカル・ボンゴールは強烈なインパクトを残しました。監督はゲラ・バブルアニ。今後が期待できる若き監督です。この映画がハリウッドでリメイクが決まっています。ハリウッドって本当にネタがないのね・・・

大帝の剣  監督:堤幸彦  出演:阿部寛、長谷川京子
 2007年 日本映画
江戸時代の初期。巨体の背中に大きな刀を担いだ男がいた。彼の名は万源九郎。その剣はオリハルコンという宇宙からの素材からできていて、それを手にしたものは想像を絶する力を発揮する。しかし、オリハルコン製の物がこの世には剣のほかに2つあり、それらはこの日本にあるという。源九郎は残りの二つも探していた。その旅の途中で源九郎は豊臣の血を引く舞姫、そして彼女の側近の佐助と出会う。成り行き上、一緒に旅をすることになった3人。しかし、舞姫の体にオリハルコンを求めて宇宙からやってきた謎の生命体が入り込み、宇宙人の人格の時にはランと名乗るようになる。また、別の宇宙からの生命体もこの地に降り立ち、人の体を介しては源九郎に襲い掛かる。そしてオリハルコンのもうひとつの成り代わりが佐渡の近くの島にあることを知った源九郎たちは、その地に向かうが徳川が放った刺客たち、そして宇宙人までが彼らの行く手を阻む・・・・
私評:おもしれぇ・・・トリックの堤監督と阿部寛のコンビが放つSF時代劇・アクション・コメディ。とにかくなんでもありの映画です。「こんなことありえない」とか「辻褄が合わない」とか文句を言う人は楽しめません。映画だらなんでもありで良いのです。そのピントの外れ方が途方もないのがこの映画の魅力。言いかえれば、想像絶する事件が次から次へと起こり、最後にはとんでもない結末が・・・。常人の考えでは予想ができますまい・・。私は存分に楽しみました。そんな大バカ映画には、大バカな演技ができる役者が必要。それに打ってつけなのが阿部寛です。彼ってユーモアありますよね〜。そしてきれいなのに大バカができる長谷川京子。彼女も最近良く映画にでていますが、この舞姫は一番良かった。そして「お前は脚本書いてろ!」と言いたい宮藤官九郎。悪役にはこれまた大バカな竹内力、杉本彩、そして遠藤憲一という鉄壁な布陣。しかも、大御所・津川雅彦まで堤ワールドにどっぷり浸かって演技しているのが笑えた。唯一、天草四郎役の黒木メイサだけがまともに見えました・・・。堤幸彦監督にはこういうバカ映画をたくさん撮ってもらいたいです。(注意:このレビューの中の「バカ」「大バカ」は私流の褒め言葉です)
プロジェクトBB  監督:ベニー・チャン  出演:ジャッキー・チェン、ルイス・クー
Rob B Hood  2006年 香港映画
サンダル、フリーパス、大家の3人は希代の大泥棒。しかし、彼らは物を盗んでも人は危めないのがポリシー。しかし、3人の私生活は惨憺たる状況。ギャンブル好きのサンダルは借金まみれ。フリーパスは女に貢ぎすぎ、大家はせっかく貯めたお金を他の泥棒盗まれてしまう。仕方なく引き受けた仕事は大富豪の赤ん坊の誘拐。彼らにとっては朝飯前の仕事だったが、赤ん坊を預かったサンダルとフリーパスは赤ん坊の扱いを知らず、大騒ぎ。しかし、そんなベイビーをあやしているうちに、ふたりはベイビーに対して今まで感じたことのない愛情が湧き出てくるのを抑えられなった・・・・
私評:階段をジャンプするの怖いんだぞ・・・これはおなじみNG集のセリフです。しかし、ジャッキー・チェンは本当にすごい。いったい幾つまであのアクションを続けるのでしょう?今回もビルの壁をジャンプして降りたり、ジェットコースターのレールを走り回ったり、そして毎度毎度の壮絶な戦いシーン。2時間の映画なのですが本当に目を離すことができません。でも、見終わった後に、何にも残っていないのが逆に良い。これだけ笑えて、これだけハラハラできれば何の文句もございません。ジャッキーの次の作品も必ず見に行きます。そして今回の見所にジャッキーの盟友ユン・ピョウ、香港映画のお笑いの重鎮マイケル・ホイとの競演。特にユン・ピョウとのカンフーアクションは最高の見せ場かも?そして赤ちゃんがめっちゃ可愛かったです〜。監督は「香港国際警察」のベニー・チャンです。
ポリス インサイド・アウト  監督・出演:スチュワート・コープランド  出演:スティング、アンディ・サマーズ
Police Inside Out  2006年 アメリカ映画
1970年代後半、突如イギリスに登場したモンスターバンド「The Police」名実ともに世界最高のバンドと称されたこのバンドのステージの裏で、バンドのメンバーでもあるスチュワート・コープランドが回し続けた8mmを編集し、結成から30年経った今、スティング、アンディ・サマーズ、そしてスチュワートの真実の姿がスクリーンによみがえる・・・・
私評:♪Oh Can’t you see you belong to me・・・ポリスが解散して、もうそろそろ30年も経つのですが、私が彼らの音楽に出会ったのはアルバム「ゼニヤッタ・モンダッタ」の「ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ」。この印象的な音楽が私の頭にインプットされた。また、偶然私の友人の兄さんがポリスの大ファンで、彼の家でアルバムを聞かされたのです。「ロクサーヌ」「孤独のメッセージ」・・などなど、そして彼らの最高アルバム「シンクロニシティ」に収録されていた「見つめていたい」は今でも良く聞く名曲中の名曲。しかし、私は動く彼らを見たことがほとんどなかった。実はシンクロニシティ・コンサートというビデオが発売されているのですが未見・・。スティングはソロになってからも良く聞いているので、彼のライブも見ているのですが他のふたりはほとんど初めて。また、どうしてもポリスというとスティングがひときわ目立つ存在だったのですが、他のふたりも天才だったと思い知らされる作品でした。数々の名曲を聴きながら彼らの軌跡を辿る74分は、まさに極上のひとときでした・・


前回の記事も読んでね〜!



I Love Movieに戻る