2010/3/28

いつになったら温かくなるのでしょう？？寒い毎日が続いています。
今回は２作品と少ないのですが、どちらも秀作。もちろん
両方ともイチ押しです。

息もできない	監督・主演：ヤン・イクチュン		出演：キム・コッピ、イ・ファン、キム・ヒス
	2008年 韓国映画
	今週のイチ押し：債権回収業者でとりたての仕事をしているサンフン。彼は暴れ始めると手がつけられず、仲間からも恐れられている。しかし、彼も甥のヒョンインだけは可愛がっていた。ある日、サンフンは歩きながら唾を吐くと、そこを通りかかった女子高生のヨニの胸元に掛かってしまう。気の強いヨニはサンフンに喰ってかかるが強烈なパンチをもらい、気を失ってしまう。ヨニが目を覚ますとサンフンはまだそこにいた。ヨニはサンフンにビールをおごらせ、しばしふたりは語り合う。するとふたりの間には何か引き合うものが芽生えた。そんなある日、サンフンの父親が刑務所から出所した。彼はサンフンの母親に暴力をふるい続け、そしてそれが原因でサンフンの母親と妹は死んだのだ。一方のヨニの家庭も複雑だった。ベトナム戦争から帰還した父は後遺症で精神を病んでいる。母はそんな父に替わって屋台で働いていたが強制撤去に来た暴力団によって殺されてしまう。そして弟は高校にもいかず、ヨニに金をせびる毎日だった。サンフンとヨニはふたたび出会う。強面のサンフンに物おじせずジョークも浴びせるヨニにサンフンは次第に心を開いていく・・
	私評：人を殴るやつは、自分は殴られないと思っている。韓国人の父親はサイテーだ！・・・野獣のような男が主演の映画です。とにかく危険な男。だけど、そんな彼の過去にも、悲惨な出来事が・・。そして高校生のヨニもはなり悲惨な家庭環境でも、外では健気に良い子を演じている。そんな「さびしいふたつの魂」が次第に寄り添っていく。それはあまりに純で、そして美しいと思えた。そしてこの映画のもうひとつの大きなテーマは「家族愛」。サンフンと父親のあるシーンはかなりの感動でした。そしてさらなる衝撃のラスト・・。観ていてかなり辛くなるシーンや嫌悪感を抱くシーンも多々あるのですが、その対極の心温まるシーンがさらに感動的になるのです。製作・監督、主演・脚本・編集はヤン・イクチュン。彼はこの映画のために家も売り、友人や家族にも借金をしてようやく撮りあげた作品なのだそうです。彼曰く「この映画には１％の嘘もない」らしい。ヨニ役は不思議な』魅力を放つキム・コッピ嬢。その他にもきらりと光る演技を見せる脇役陣が見事にバックアップをしています。この作品は昨年の東京フィルメックスでグランプリを獲得。世界中の映画祭でも２５を超える賞を獲得しています。インデペンデントの映画とは思えないこの完成度の高さはもはや奇跡でしょう！？
ウディ・アレンの夢と犯罪	監督：ウディ・アレン		出演：ユアン・マクレガー、コリン・ファレル
Casandra's Dream	2007年 イギリス映画
	今週のイチ押し：ロンドン南部に住むイアンとテリーの兄弟。イアンは父親のレストランを手伝いながら友人とのカリフォルニアのホテルへの投資でひと山当てようと思っている。一方のテリーは酒とギャンブルが好きな自動車整備工。そこそこの幸せを手に入れたいと思っている。そんなふたりが中古の小型クルーザーを手に入れる。テリーがドッグレースで当てた犬の名前「カサンドラズ・ドリーム」が船の名前になった。テリーはその後もギャンブルで当たり続け、イアンは美しい女優のアンジェラと運命的な出会いを果たす。上昇志向の強いアンジェラの前でつい見栄を張ってしまったイアンはテリーの整備工場で客の車を借りてリッチに振舞っていた。しかし、不幸は急に訪れる。テリーがマイホームの資金欲しさに大博打を打って９万ポンドの借金を作ってしまったのだ。ところが良いタイミングで彼らのリッチな伯父がロンドンにやってくることになった。ふたりは伯父に悩みを打ち明けるが、逆に伯父の方からもとんでもない依頼をされてしまう・・
	私評：一線を越えたらもう戻れない・・・今回の作品に笑いはありません。とにかくシニカルで運命の皮肉を、そして人間の弱い心を的確に描いています。ふたりの兄弟が犯した罪、そして背負ったとてつもない代償とは・・・？？そして罪悪感というとてつもない重圧は、タイプの違うふたりの兄弟を違うベクトルへと誘うのです。人間はなんて愚かで、弱い生き物なんでしょう・・。この辺りの表現がすごくリアルで映画を見ながら思わず頷いてしまいました。いやはや、ウディ・アレン監督には本当にいつも感心させられます。兄のイアン役は「ムーラン・ルージュ」「天使と悪魔」のユアン・マクレガー、そして弟のテリーを演じるのは「フォーン・ブース」「Ｄｒ．パルナサスの鏡」のコリン・ファレル。このふたりのアンサンブルがとても良いです。伯父役は「ワルキューレ」「フィクサー」のトム・ウィルキンソン。そして監督は「それでも恋するバルセロナ」「タロットカード殺人事件」のウディ・アレン。御歳７５歳でまだまだ走り続けます！！（余談ですが・・ガーデンシネマのあの小さいサイズのパンフレット、どうにかしてください！！）

前回の記事も読んでね〜！



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