2008/9/28

この歳になっても恋には憧れるもの・・
なんだかじんわりと心に染みた大人のラブストーリーがイチ押しです。

最後の初恋	監督：ジョージ・Ｃ・ウルフ	出演：リチャード・ギア、ダイアン・レイン
Nights In Rodanthe	2008年アメリカ映画
	今週のイチ押し：ふたりの子供の母親のエイドリアンはその日、別れた夫に子供たちを預け友人のジェーンが経営する海辺のペンションの留守番を頼まれていた。しかし、子供たちを送り出す直前に、別れた夫から復縁を迫られ気持ちが揺れていた。季節はずれの海辺のペンションにやってきたのは、医者のポール。彼もまた、妻と息子が彼の元を去っていた。しかも、彼は手術中に患者が死んでしまい、その遺族に会うためにこの地に来ていたのだ。ふたりきりの夜を過ごしたふたりは、次第に惹かれあう。そしてふたりはこの地を襲った暴風雨の夜についに結ばれる。しかし、ついにポールが去る日がやってくる。ポールは息子がひとりで医療活動をしている他国へと旅立っていく。遠く離れてもふたりは手紙の交換でますます距離を縮めていくが・・
	私評：君を守るのは誰？？・・・・リチャード・ギアとダイアン・レインと言えば私の好きな「コットンクラブ」があります。しかし、この映画が公開されたのは1984年。この頃はまさに水も滴るイイ男とイイ女の組み合わせでため息が出るくらいの理想のカップルでした。そのふたりが再び共演したのは2002年の『運命の女』。しかし、この映画ではふたりの接点は少なくてダイアン・レインの独り舞台。そして今回のこの映画で再びふたりの共演が実現した。リチャード・ギアももうそろそろ60歳、ダイアン・レインも40をとうに過ぎてまさに熟年カップルになりました。今回の映画はそんなふたりだからこそ醸し出すことができる「大人の恋愛映画」。歳をとればとるほど恋愛には奥手になり臆病にもなります。しかし、そんな大人たちの背中をそっと押してくれるのがこの映画だと思いました。しかし、ラストはハッピーエンディングではありません。しかも、とんでもないラストが待っています・・・。共演は名優スコット・グレン、「ディスタービア」のビオラ・デイビス、そしてポールの息子役で「スパイダーマン」のジェームズ・フランコが出演しています。監督は劇場作はデビューになるジョージ・Ｃ・ウルフ。

シャッター	監督：落合正幸	出演：ジョシュア・ジャクソン、奥菜恵
Shutter	2008年　アメリカ映画
	プロカメラマンのベンはジェーンと結婚。そして式の直後にハネムーン代わりにベンの仕事で日本へとやってきた。ベンは以前に日本で仕事をしたことがあり、当時の友人たちが彼の仕事を手配したのだ。ふたりは富士山の見えるコテージに出かけるが、ジェーンは車で若い女性を轢いてしまう。車はそのまま木に突っ込みふたりは気を失うが、気付いたときそこに女性の姿はなかった。気のせいだとジェーンをなだめるベン。そしてふたりは仕事のために東京へとやってくる。ところが、ふたりが富士山で撮影した写真には不思議な光が写りこんでいた。しかも、ベンが仕事で撮影した写真にも光の筋が入り込み、撮影した写真は全てボツになってしまう。写真の謎を追っていたジェーンは、あるビルの中で自分が車で轢いた女性の写真を見つける。しかも、その写真を撮影したのはベンだった・・・・
	私評：全てあの女の仕業だ・・・タイ映画『心霊写真』のハリウッドリメイク版です。その映画を日本人が監督したという変り種。しかし、日本を舞台にすることでとてもリアルな感じに仕上がっています。でも、霊写真って怖いですよね～。ましてや、自分の知り合いが変な形で写真に映り込んだりしたら、めちゃめちゃショック。しかも、この映画の場合、ベンが恨みを買うような事をしていんですよ・・・。そしてその女の怨念が主人公のふたりに恐ろしい物を見せるのです。ベン役は「スクリーム２」のジョシュア・ジャクソン。ジェーン役は「トランスフォーマー」でコンピュータオタク女性を演じたレイチェル・テイラー。そしてふたりを恐怖のどん底に陥れるのが、「魔性の女」奥菜恵。彼女の幽霊役はまさにはまり役。怖いですよ～。ラストでベンが自分自身を撮影した写真は、かなりショッキング。これはオリジナル版と同じなんですけど・・・。監督は『感染』の落合正幸。

蛇にピアス	監督：　蜷川幸雄	出演：吉高由里子、ＡＲＡＴＡ
Snakes and Earrings	2008年　日本映画
	渋谷の街を徘徊する19歳の少女ルイはクラブでアマという男と出会う。眉と唇にピアス、背中には龍の刺青、そして何よりもルイの興味を引いたのは、2つに割れた彼の舌だった。アマに誘われるがままルイは彼の家に転がり込んだ。翌日、アマはルイを怪しい店に連れて行く。そこの店長のシバは顔中にピアスを施し、刺青も全身に施しているサディスト。そこでルイは舌にピアスを空け、シバに刺青を入れて欲しいと告げる。その日からルイとシバの密会が始まる。ルイはアマの背中の龍とシバの腕に彫られた麒麟を自分の背中に彫ることを決めた。ルイとシバの間で揺れるルイは生きる意味も分からず、ピアスと刺青の痛みで生を実感していく。しかし、アマが起こした暴行事件が3人に思わぬ運命を与える・・・・
	私評：お前が死にたいと思ったときは俺に殺させてくれ・・・・金原ひとみの衝撃的なベストセラーが映像化された。当て所なく生きる少女が、自分が生きている事を感じるために『痛み』を体に施すという内容は理解できなくはないのですが、実際に映像になってみるともっと感じ取れる物がありました。そしてその痛みは体の痛みだけではなく、心の痛みを伴いルイを壊していきます。その演出は見事でした。ルイを演じるのは吉高由里子。彼女の体を張った演技は強烈なインパクトを与えます。ハードなベッドシーンばかりが取り沙汰されていますが、良い演技をしていました。（しかし、この映画はかなりエロいです）そしてビックリなのがシバ役のＡＲＡＴＡ。『ピンポン』の頃はただのイケメンでしたが、先日の『20世紀少年』やこの作品ではかなり怪しい男を演じています。アマ役は高良健吾。彼も印象的でしたよ～。そしてこの映画にはとんでもないチョイ役で意外な人が出演しています。あびる優、ソニン、藤原竜也、小栗旬、唐沢寿明・・・。見つけてください！監督は『嗤う伊右衛門』の蜷川幸雄。

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