2009/9/13

夏休みは終わったのに、映画がどんどん公開されて追いつきません〜。
今回のイチ押しは日本映画の底力を見せる大作と
試写会で一足先に見たお正月映画の決定版!

火天の城  監督:田中光敏  出演:西田敏行、椎名桔平、大竹しのぶ
 2009年 日本映画
今週のイチ押し:天正4年(1576年)。織田信長は安土に5重の城を築城することを決め、熱田の宮番匠の岡部又右衛門にその大役を命じた。しかし、総棟梁たちは仕図争い(いわゆるあいみつ)で決める事を進言した。信長は4重までの吹き抜けの作りを希望するが又右衛門は、信長の安全のためにとその希望を排した。その隅々にまで行き届いた又兵衛の配慮で、又兵衛は総棟梁に任命された。ついに工事は開始されるが、又兵衛には大きな課題があった。それは巨大な城を支えるための支柱になる巨大な檜を手に入れること。又兵衛が狙ったの木曽の檜だったが、ここは敵である武田信玄の領地。又兵衛は単身、木曽義昌を訪ねた。杣頭の甚兵衛と山を歩き回るが理想の木にはなかなか出合えない。しかし、又兵衛の熱意が甚兵衛を動かした。ようやく出会った巨大檜は伊勢神宮のために用意された神木だったが、甚兵衛は又右衛門の耳元で「大雨になるまで待て」と告げ、その場を去らせた。安土に戻った又兵衛は着々と工事を進めるが、なかなか檜は届かない。しかし、甚兵衛は約束通り大雨のあとに大木を送ってよこした。ついに支柱が建てられ、城は天へと延びてく・・・
私評:ここにいるみんなが神の手じゃ・・・日本映画ならではの築城スペクタルです。あまり宣伝が行き届いていないので、知らない人が多いのですがこの映画は絶対にお勧めです。いま、マンガの「へうげもの」やベストセラーの「利休にたずねよ」などで信長に触れる事が多かったのですが、スケールのでかい信長が建てた安土城は1582年に焼失してしまったので、その雄姿を実際に見ることはできないのですが、映画の中で再現されています。そのスケールの大きさ、美しさ・・、見事しか言いようがありません。そしてこの築城の総棟梁の岡部又右衛門と信長の話だけではなく、又右衛門を取り巻く人々のドラマが良い感じでとり込まれていて、素晴らしいエンターテインメントになっています。いやはや、本当に素晴らしい映画でした。主演は「釣りバカ日誌」の西田敏行。温厚でありながらも意志の強い又兵衛を好演。彼の妻役は大竹しのぶ。彼女は映画の中では脇役なのですが、素晴らしい演技をみせます。(特に夫婦喧嘩のシーンは最高!)ふたりの娘役は「櫻の園」の福田沙紀、そして織田信長役は「魍魎の匣」に椎名桔平。その他、寺島進、山本太郎、石田卓也、水野美紀、緒形直人などなど、良い役者がゾロゾロ出てきます。監督は「化粧師」の田中光敏。
パブリック・エネミーズ  監督: マイケル・マン  出演 : ジョニー・デップ、クリスチャン・ベイル
Public Enemies  2009年 アメリカ映画
今週のイチ押し:1933年、大恐慌の真っただ中のアメリカでその名を馳せた銀行強盗のジョン・デリンジャーは時の人になっていた。捕まって刑務所に収容されそうになっても、咄嗟の転機と優秀な仲間たちのフォローでなんなく脱獄。そしてまた、銀行強盗を繰り返した。そんなある日、ジョンはシカゴのバーで異彩を放つ女を見つけ、一目で気に入ってしまう。強引なまでに食事に誘いだし、自分が銀行強盗である事を彼女に告げるが、ビリーは忽然と姿を消してしまう。しかし、彼女がクラブのクローク係をしている事を知っていたジョンは、翌日彼女の元を訪ね「俺の女なら2度と姿を消すな!」と彼女を連れ出す。ビリーもジョンのストレートさに口説き落されてしまう。そんな折、創設されたばかりのFBIの長官のフーバーは、いつまでもジョンを捕らえられず批判を浴びていた。そこで白羽の矢が立ったのが敏腕捜査官のメルビン・パーヴィス。彼はジョンをパブリック・エネミーズ・No.1(No.1の社会の敵)に掲げ、必ず捕らえる事を宣言する・・
私評:ビリーに伝えてくれ ブラックバード・バイバイ・・・ジョン・デリンジャーについては何かのTV番組で紹介されたのを見た。銀行強盗でありながら大衆からはヒーローのように扱われた彼は「明日に向って撃て!」のブッチとサンダンス、そして「俺たちに明日はない」のボニーとクライドみたいなイメージを抱いていました。そして今回、この作品で彼を見て心底「カッコいい〜!」と思いました。ハンフリー・ボガードも真っ青のカッコいい口説き文句の数々。クールでいてクレバー。そして仲間を、そして女を決して裏切らない。とにかく非の打ちどころがないくらいカッコいい男なのです。そんな最高のキャラクターを演じるのは「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジョニー・デップ。最近はコミカルな役どころが多かった彼ですが、この役はまさにはまり役。男の私が見ていても思わずため息が出てしまいそうなくらいグッドでした。そして彼を追うこれまたカッコいいFBI捜査官役は、「ダークナイト」のクリスチャン・ベイル。出演作が目白押しの彼ですが、こういうクールな男を演じさせると絶品です。ジョンに愛されるビリー役は「エディット・ピアフ〜愛の賛歌〜」でオスカーを受賞したマリオン・コティヤール。監督は男臭い映画を撮らせたら天下一品のマイケル・マン。
プール  監督 : 大森美香  出演: 小林聡美、加瀬亮、伽奈
 2009年 日本映画 
タイのチェンマイ国際空港にひとりの日本人女性が到着した。彼女の名前はさよ。4年前に自分を祖母に預けて、ひとりこの地にやってきてゲストハウスを切り盛りしている母の京子を訪ねてきたのだ。さよを空港に迎えに来たのは、京子の仕事を手伝っている市尾。ゲストハウスに到着するとビーという名の現地の少年と、このゲストハウスのオーナーである菊子がいた。自分を置きざりにした母がこの3人と和気あいあいと過ごしている姿を見てさよはなんとも言えない歯がゆさを感じ、戸惑っていた。しかし、ここで過ごす人々が自らの現実を受け止め、思いやりを持って生きている様がさよの感情をほぐしていく。そしてついにさよは、なぜ自分を捨ててここに来たのか?を京子の口から聞き出す。おいしい食べ物が、携帯のない生活が、そして何よりチェンマイの空気が、静かにさよを変えていく・・・
私評:でも、私はお母さんと一緒にいたかった・・・・この映画は「かもめ食堂」「めがね」の流れを汲む作品です。原作は漫画家の桜沢エリカ。心地良い時間がゆっくりと過ぎていく。そしてこういうリゾート地でのんびり生きる事って、人を思いやる心の余裕もできて、しかも、自分自身の心に優しい事なんだと改めて思いました。小さなプールがあるゲストハウスに集った人々の小さな小さな物語が、私に最大級の癒しの時間をくれました。そして劇中に流れる歌がまた、良いんです〜。主演は私の大好きな小林聡美。今回は子供を日本に置きざりにして勝手気ままにタイへやってきたというぶっ飛びキャラですが、彼女が語ると何となくそうなのかって・・思えてしまう(笑)。さよ役はモデルの伽奈。映画初出演なので、セリフとかは決してうまくはないのですがそれが逆に初々しくてグッドかも?市尾役は加瀬亮、菊枝役はもたいまさこという「めがね」コンビ。そしてビー役は現地のオーディションで選ばれたシッティチャイ・コンピラ君。監督は「ネコナデ」の大森美香。
ウルヴァリン X−MEN ZERO  監督 : ギャビン・フッド  出演 : ヒュー・ジャックマン、リーヴ・シュレイバー
X-MEN Origins : WOLVERINE  2009年 アメリカ映画
18世紀の末、カナダの裕福な家庭に生まれたジェイムズ・ハウレット(ローガン)。病弱だった彼を父は優しく見守っていた。そんなある日、敷地の管理人によって父は殺されてしまう。その瞬間、ジェイムズの手の甲から爪が・・。その夜、彼は自分がミュータントである事、そして実は管理人の息子である事を知った。ローガンのもう一人の息子・ビクターの手引きで故郷を離れた。それから約150年に渡り、幾多の戦場にビクターとローガン兄弟の姿があった。2人は驚異的な肉体再生能力を兼ねそろえていた。長年の戦争体験からビクターの凶暴性はどんどんエスカレートしく。そんな時、ふたりの前に現れたのは謎の軍人のストライカー。彼は特殊能力を持つ男たちを集め「チームX」という特殊部隊を作っていたが、アフリカでの非人道的なミッションを境に、ローガンはチームを去った。それから6年、ローガンはカナダの山奥で女教師のケイラと静かに暮らしていた。しかし。平和な時間は長くは続かなかった、再び、ローガンの前にストライカーが現れたのだ。そしてビクターがチームを抜け、殺人鬼となってかつての仲間を殺していると告げる。その直後、ビクターはケイラを襲い、殺してしまう。復讐の鬼と化したローガンはストライカーの勧めで全身に超金属を埋め込む手術を行う事に。そして自らを「ウルヴァリン」と名乗る事を伝える・・・
私評:ずっと地獄を見てきた・・・人気シリーズ「X−MEN」からのスピンアウト作品。今回の映画は映画「X−MEN2」と深い関連を持っています。2で登場し恐ろしい陰謀を企てるストライカーとウルヴァリンの出会いがこの映画では描かれています。実際「2」の中にいくつものキーワードが登場するので、先に見ておくとさらにこの映画を楽しめるかも??アクションシーンはすごい迫力なのですが・・・、ほとんど予告編で見せてしまっているので、新たな驚きはなし。どちらかと言うとウルヴァリンという強烈なキャラクターの男の『ドラマ』がメインになっているので、ファンにとっては面白いかもしれません。ただアクション映画を見に行く・・となるとどうでしょうか??また、「X−MEN」シリーズを見ている人には、子供時代のミュータント(たぶん、ストーム、ナイトクローラー)も見つけるのも楽しいかも?そしてクライマックスではあの方(?)も登場します。主演はもちろんヒュー・ジャックマン。今回ウルヴァリンのトレードマークの(サリーちゃんのパパみたいな)髪型でなかったのがちょっと残念でした。彼の凶暴な兄役は「オーメン」のリーブ・シュレイバー、ストレイカー役は「キングダム 見えざる敵」のダニー・ヒューストンです。監督はギャビン・フィッド。


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