昨年分のレビューを一気に片付けよう・・・。今回は本当を言うと
全部イチ押しにしたいくらい。
お父さんと伊藤さん | 監督: タナダユキ | 出演 : 上野樹里、藤竜也、リリー・フランキー | |||||
2016年 日本映画 | |||||||
今回のイチ押し:34歳の彩はバイト先で知り合った不思議なおじさん・伊藤さんと同棲中。伊藤さんはコンビニのバイトを辞めて、今は小学校の給食のおじさんをやっている。そんなある日、ふたりのアパートに彩の「お父さん」がやってくる。彩の兄の家に住んでいたお父さんだったが、頑固で歯に衣着せぬ物言いが兄嫁のプレッシャーになっていて、家を出たという。有無を言わせず彩のアパートのひと部屋を占拠したお父さん。そこでお父さんは伊藤さんと対面。彩とは年が離れていて、しかもうだつが上がらない伊藤さんに対して最初は不信感を抱いたお父さんだったが、いつしか伊藤さんとの間に奇妙な連帯感を抱いてい行く。そして頑なにお父さんを拒んでいた彩も3人の生活に慣れていく。そんなある日、お父さんは荷物をまとめて家を出てしまう・・・ | |||||||
私評: 僕は逃げないから・・・この映画の見所は何と言っても主演の3人のコラボ。まったくタイプの違う3人が紡ぎ出す笑いと感動がたまりません。しかも、このトリオのやりとりが絶妙。思い切り尖がっている父と娘がガチンコでぶつかり合う中で、伊藤さんが見事な緩衝材になっている。そのバランスが3人の絆を結び付けていく。しかし、色々な事件が3人に降りかかります。この3人のキャスティングが絶妙です。わたし役は「のだめカンタービレ」の上野樹里。昔は不思議ちゃんだったけど良い女優になりました。父親役は「愛のコリーダ」の藤竜也。自分が嫌われていると知っているけど思った事は口にしないではいられない頑固者が、まさにピッタリです。そして伊藤さん役は最近、どの映画を観ても彼がいるのではと思えるほど出演作が多いリリー・フランキー。この人も演技のふり幅が大きい。監督は「百万円と苦虫女」のタナダユキ。 | |||||||
ミュージアム | 監督 : 大友啓史 | 出演 : 小栗旬、妻夫木聡、尾野真千子 | |||||
2016年 日本映画 | |||||||
今回のイチ押し:ある雨の日、事件は起こった。拘束された女が腹をすかせたドーベルマンに喰い殺されたのだ。現場には「ドッグフードの刑」のメモがあった。数日後、ある男の惨殺体が見つかる。メモには「母の痛みを知りましょうの刑」とあり、彼の出生時の体重分の肉が削がれていた。事件を追う警視庁の沢村は今までの事件の関連性を調べ、ついに共通項に辿り着いた。彼らは4年前に起こった「幼女樹脂詰め殺人事件」の裁判員裁判の裁判員だった。それを知って沢村は凍りつく。実は彼の妻の遥も裁判員のひとりなのだ。しかし、彼女は沢村に愛想を尽かして息子の将太と一緒に家を出ていた。そんな沢村の心配を他所に、犯人は3人目、4人目と刑を続けていく。そしてついに遥と将太が犯人に拉致されてしまう。身内が誘拐されたため、事件から外された沢村の前にカエルのマスクの男が突然現れる・・・ | |||||||
私評:僕は表現者だ・・・すごい!この作品のすごさはストーリーの完璧さ。物語の展開がまったく読めない。そして最後の最後までハラハラドキドキ。登場人物の描き方も素晴らしいし、何よりも猟奇殺人の手口、そしてその方法がすごい。これでR指定じゃないってのも驚きですが・・・。現時点で今年一番怖かった映画となりました。特筆すべきは主演のふたり。まずは沢村役の小栗旬。彼は本当の漫画のキャラクター役がハマる。今作も映画の後に原作を読んだのですが、ピタリとハマっていました。そしてカエル男役の妻夫木聡。彼もひと皮むけた感じで、こういう強烈なキャラクターもソツなく演じられるようになりましたね。沢村の妻役は「後妻業の女」の尾野真千子、沢村の後輩役で「ちはやふる」の野村周平、そして彼の上司役で「ソロモンの偽証」の松重豊。彼らがまた、適材適所って感じです。監督は「るろうに剣心」の大友啓史。 | |||||||
湯沸かすほどの熱い愛 | 監督 : 中野量太 | 出演 : 宮沢りえ、杉咲花、オダギリジョー | |||||
2016年 日本映画 | |||||||
今回のイチ押し:突然、亭主が行方不明になり経営していた銭湯を閉めた双葉。娘の安澄は学校で虐めにあっている。そんな時、双葉は職場で倒れてしまい検査を受けるとなんと末期のガン。ショックで泣き崩れるが彼女すぐに気持ちを切り替えて前に進むことを決意した。まず、彼女は行方不明だった夫の一浩を、探偵を使って探し出し、家に連れ戻した。しかも、一浩が一緒に住んでいた女の娘も一緒に連れ帰った。そして閉めていた銭湯を再開した。虐めにあっていた安澄も双葉に背中を押され克服。双葉の頑張りで家族は元に戻り、小さな幸せを育みはじめる。しかし、病魔は確実に双葉の体を蝕んでいた・・・ | |||||||
私評: 温ったかいね~・・・泣いた~!映画中盤からはほとんど泣き続けていたような気がします。最初の泣き所は娘たちのエピソード。そして次々と明かされていく秘密。最大の泣き所は病と闘いながら、持ち前の明るさと前向きさで家族に「愛」を残そうと必死に生きる双葉の姿。しかし、ラストは想像を絶する展開で本当にたまげた。ありえないけどこの映画にさらなるインパクトを与えています。主演は「紙の月」の宮沢りえ。大女優の貫録すら感じる。娘の安澄役は「クックDO」のCMのイメージが強かったけど、すごい演技を見せてくれた「スキャナー 記憶のカケラを読よむ男」の杉咲花。グータラ亭主役は「舟を編む」のオダギリジョー、そしてヒッチハイクの青年役は「真田十勇士」の松坂桃李。監督は「父を撮りに」の中野量太。とんでもない新人監督が出てきた! | |||||||
ジャック・リーチャー Never Go Back | 監督 : エドワード・ズウィック | 出演 : トム・クルーズ、コビー・スマルダーズ | |||||
Jack Reacher: Never Go Back | 2016年 アメリカ映画 | ||||||
今回のイチ押し:町はずれのバーで暴行事件が発生。そこに駆け付けた保安官は何の捜査もせずにカウンターの不審な男を加害者と決めつけ逮捕しようとした。しかし、突如店の電話が鳴り、パトカーが店に到着。逆に保安官が取り押さえされた。男の名はジャック・リーチャー。元陸軍のエリート士官だった。そんな時、彼の後任として指揮官となったスーザン・ターナー少佐が、突如国家反逆罪で逮捕される。スーザンの無実を信じるリーチャーは彼女を脱獄させ、彼女を陥れた犯人を探し始める。逃亡犯となったふたりは数々の捜査網を潜り抜け、徐々に新犯人に迫っていく。しかし、そこに現れたのはとてつもない政府の大物だった・・・ | |||||||
私評:90秒でふたつの事が起こる・・・前作の「アウトロー」の興奮を引き継ぎつつ、今回も肉弾戦をふんだんに盛り込んだド派手なアクションシーンの連続。特にマーシャルアーツ系のアクションはどれもリアルで、しかも痛そう!そんなアクションだらけの映画の中で、突如発表されるリーチャーの娘??この無理くりなドラマの展開が私的には大ウケでした。それにしてもトム・クルーズはすごい!私と同い年の1962年生まれなのですが、体の動きキレは20代と言ってもおかしくない。スーパーマンです。スーザン役は「アベンジャーズ」シリーズのSHIELDのエージェント・ヒル役が印象的なコビー・スマルダーズ。監督はトム・クルーズとは「ラスト・サムライ」で一緒だったエドワード・ズウィック。これは超お勧めのアクション映画です! | |||||||
ジュリエッタ | 監督 : ペドロ・アルモドバル | 出演 : エマ・スアレス、アドリアーナ・ウガルテ | |||||
Julieta | 2016年 スペイン映画 | ||||||
今回のイチ押し:スペインのマドリッドに住む中年女性のジュリエッタ。彼女は新しい恋人とこの街を離れて暮らそうとしていた。そんな時、彼女は娘のかつての親友のベアと偶然出会う。彼女はジュリエッタの娘のアンティアを湖の町で見かけたという。実はアンティアは12年前に姿を消していたのだ。マドリッドに残ることを決めたジュリエッタはアンティアを探しながら、かつて娘に語る事ができなかった過去をつづり始める。ジュリエッタが25歳の時、臨時教師として新しい職場に向かう列車の中でショアンという漁師の男と出会い、すぐに恋に落ちた。しかし、ショアンには病床の妻がいた・・・ | |||||||
私評: 親愛なるママへ・・・この監督は相変わらず女性の機微を描くのがうまい。男以上に女性目線で物語を作っていく。今回は母親と娘の話。母から娘に伝えられた過去の物語は時には幻想的で、時にはエロチックで・・・。しかし、ジュリエッタに訪れる悲劇。それ以来、彼女の心の拠り所だった娘との絆は取り戻せるのか??淡々とした語り口の中に何とも言えない愛情を感じ取る事ができました。現在のジュリエッタを演じるのはスペインのベテラン女優エマ・スアレス。若き日のジュリエッタ役は(めっちゃ美しい)アドリアーナ・ウガルテ。このふたりが入れ替わる瞬間があるのですが、不思議なくらい違和感がなかった・・。その他、ダニエル・グラオ、ダリオ・グランディネッティ、ミシェル・ジェネールなどなど・・。監督は「トーク・トゥ・ハー」「私が生きる肌」などのスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル。 | |||||||
永い言い訳 | 監督 : 西川美和 | 出演 : 本木雅弘、竹原ピストル | |||||
2016年 日本映画 | |||||||
今回のイチ押し:人気作家で最近はテレビ番組のコメンターも務める衣笠幸男は、長年連れ添った妻との間に大きな溝ができていた。そんなある日、彼の妻はバスでスキー旅行に行く途中で事故に遭い、あっけなく死んでしまう。しかも、その時幸男は不倫相手と密会中だった。心のどこかで申し訳ないという気持ちはあるものの、ちっとも悲しくなくて涙も出ない。一方、妻と一緒に死んだ彼女の親友の夫、陽一は大きな悲しみに暮れている。トラック運転手をしている彼はふたりの子供たちを抱え途方に暮れていた。そんな彼を見た幸男は陽一が不在の時に子供たちの面倒を見る事を申し出る。初めて子供に接して悪戦苦闘する幸男だったが徐々に子供たちとの距離を縮めて行く・・・ | |||||||
私評: 僕は妻が死んだとき別の女と一緒にいたんだ。最低の男さ・・・主人公の幸男が吐く言葉は公には美談、しかしその裏の本音は反吐が出るほど最低。しかし、そんな男の気持ちが分かってしまう自分もいるのです。そんな自分に対して嫌悪を抱きながら映画を観ているのがちょっとだけ辛かった・・。しかし、そんな男の汚れた心を洗い清めるのが子供たちと子供より純真な陽一。自分勝手すぎた幸男が他人のためにという気持ちになる展開は素敵だった・・・主演は「おくりびと」の本木雅弘。やっぱり彼はうまいな~・・。幸男の妻役は「寄生獣」の深津絵里。そして驚きの演技を見せるのが歌手の竹原ピストル。こういうキャラの俳優っていないかも。その他、黒木華、池松壮亮、堀内敬子などなど。監督は「夢売るふたり」「ゆれる」の西川美和。 | |||||||
ジェイソン・ボーン | 監督 : ポール・グリーングラス | 出演 : マット・デイモン、アリシア・ヴィキャンデル | |||||
Jason Bourne | 2016年 アメリカ映画 | ||||||
世間から離れて、闇試合のファイターとして生きていたジェイソンの元に元CIAの同僚のニッキーが訪れる。ニッキーはCIAが世界を監視する特殊なプログラムを起動させた事、そしてジェイソンの過去のある事件について彼に語った。CIAはニッキーがジェイソンに接触した事をすぐに突き止め、ふたりの後を追う。必死の逃亡を図るが・・・。なんとか逃げ延びたジェイソンだったが、CIAの長官のデューイは執拗に彼を追い続ける。そして彼をCIAの配下につけようとする。しかし、ジェイソンはニッキーから受け取ったロッカーの鍵を持ち、彼の過去の謎を暴くべくベルリンへと向かう。一方、強引なデューイに反感を抱く若いCIAエージェントのリーは、ジェイソンに情報をリークするが・・・ | |||||||
私評:完璧な兵器が必要なの・・・ボーン・シリーズが再起動しました。2007年の「ボーン・アルティメイタム」から10年。しかし、ジェイソン・ボーンはさらにパワーアップして帰ってきました。のっけのストリートファイトのシーンでテンションを上げて、バイクのチェイスシーンでは鼓動もどんどん急上昇。なんたってCGなんかは使ってないのです。これぞアクション映画!しかし、この監督の映画ってカット割りが多くて画面に付いていくのがたいへん。私は目がまわってしまいました。主演は「オデッセイ」のマット・デイモン。この作品のために鍛え上げた身体もすごい!若きCIAエージェント役で「リリーのすべて」のアリシア・ヴィカンダー。その他、トミー・リー・ジョーンズ、ヴァン・サン・カッセル、ジュリア・スタイルズなどなど・・。監督は「ボーン・シリーズ」「キャプテン・フィリップス」のポール・グリーングラス。 | |||||||
インフェルノ | 監督 : ロン・ハワード | 出演 : トム・ハンクス、フェリシティ・ジョーンズ | |||||
Inferno | 2016年 アメリカ映画 | ||||||
ハーバード大学のラングドンはイタリアのフィレンツェの病院で目を覚ました。しかし、彼にはここ数日間の記憶がなく、なぜ自分がイタリアにいるのかも分かっていなかった。そんな時、何者かがラングドンに襲い掛かるが病院に勤務する女医のシエナに助けられなんとか病院を抜け出した。するとラングドンの上着のポケットから謎のスティックが見つかる。それは巧妙に作られた投影機で、ダンテの地獄絵が映し出される。その絵の中にはいくつもの文字が隠されていた。やがて、二人が辿りついたのは数日前に自殺した大富豪のゾブリスト。彼は人類を滅亡させるウィルスを発明していたのだ。WHOもその事をすでに突き止めていてラングドンに協力を求めていたのだ。ラングドンとシエナはウィルスが隠されているトプカプ宮殿に到着するが・・・・ | |||||||
私評:昨日も来ていたのに、よっぽどデスマスクが好きなのね・・・ダン・ブラウンの原作本は数年前に読んでいた。そして中身も忘れそうになっていた頃に映画化というのは良いタイミング??しかし、ハードカバーの上下巻の長編を無理くり2時間に詰め込んだ感があり、全体的にテンポが速すぎだと思う・・のは、私だけ??また、この映画の楽しみ方はイタリアの名所めぐりですね。「ダヴィンチ・コード」ではフランス、「天使と悪魔」ではバチカンの奥の奥まで見る事ができたのですが、さすがにイタリアは歴史的建造物の宝庫。見所満載です!ラングドン役は「ハドソン川の奇蹟」のトム・ハンクス。やっぱり子に人はすごい!シエラ役は「博士が愛した数式」のフェリシティ・ジョーンズ。彼女の次回作は「ローグ・ワン スタ・ウォーズ」です!その他、ベン・フォスター、オマール・シーなどなど。監督は「ダヴィンチ・コード」「天使と悪魔」「アポロ13」のロン・ハワード。 | |||||||
スター・トレック ビヨンド | 監督 : ジャスティン・リン | 出演 : クリス・パイン、ザカリー・クイント | |||||
Star Trek Beyond | 2016年 アメリカ映画 | ||||||
宇宙の未知の領域の探査を続けているエンタープライズ号。その日カークはパワーストーンをめぐるエイリアン会議に出席するが交渉は決裂。パワーストーンの悪しき利用を恐れたカークは艦内のセキュリティボックスでパワーストーンを厳重に保管することにした。カークは、3年にわたる自分の任務に疲れ、やる気を失っていた。そんな時、エンタープライズが宇宙ステーションのヨークタウンに寄港する。そこで未知の惑星に不時着した探査船から救出を求められエンタープライズ号は救出に向かうが、それば異星人クラールの罠だった。敵機の攻撃を受けてエンタープライズは惑星に墜落。脱出したクルーも多くが捕虜となってしまう・・・ | |||||||
私評:そこはキャプテンの席・・・・スター・トレックも進化が止まらない。圧倒的な映像はIMAXカメラで撮影されている。宇宙空間を縦横無尽に飛び交うシーンは3Dで観るとどっちが上でどっちが下だか分からくなる。まさに宇宙空間にいるようでした。ストーリーはけっこう大味でしたが、テンポ良くてあっという間に終わっていました。全体的には軽~い感じ。スター・トレックシリーズのファンはどうなんでしょうね??いつも思うのですが、あんなに早くエンタープライズ号を復活させられるのか??まあ、映画なのでツッコミはやめましょう。カーク船長役は「ザ・ブリザード」のクリス・パイン。この映画のキャストの中でも特に出世頭。スポック役はこの映画でしか見ないザカリー・クイント、ウフーラ役はこの映画では素顔が見れる「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「アバター」のゾーイ・サルダナ、その他、サイモン・ペッグ、カール・アーバン・・。そして昨年急逝したアントン・イェルチンも忘れずに。監督は「ワイルド・スピードMAX」のジャスティン・リン。 | |||||||