2012/12/30

2012年最後のレビューです。今回はどれあイチ押しになっても
おかしくないレベルの高さ。バラエティに富んでます!

もうひとりのシェイクスピア  監督 : ローランド・エメリッヒ  出演 : リス・エヴァンス、ヴァネッサ・レッドクレイヴ
Anonymous  2011年 イギリス・ドイツ映画
今週のイチ押し:16世紀末。エリザベス朝のロンドン。町では演劇が盛んになり市民の貴族も熱狂していた。しかし、この事を良く思わないウィリアム・セシル卿と息子のロバートは「芝居は悪魔の産物」と決めつけていた。ある日、オックスフォード伯エドワード・ドヴィアは評判の芝居を見に町の芝居小屋へとやってきた。芝居の作家はベン・ジョンソン。しかし、芝居の途中でセシルの兵が乱入し芝居は中止させられてしまう。しかし、エドワードは芝居が持っている"真の力“も目の当たりにした。エドワードは牢に捕らわれていたベン・ジョンソンを救い、彼の家へと招いた。そこでエドワードは自分が書いた戯曲を、ジョンの名で上演する事を頼み込む。しかし、その芝居を観た観客は狂喜乱舞。劇場は拍手と喝采の渦となった。興奮した観客は作者の登壇を要求した。そこで舞台に現れたのは役者のひとりウィリアム・シェイクスピアだった・・
私評:時代の魂・・われらのシェイクスピア・・しかし、その存在は謎・・・壮大なる歴史ミステリーです。物語は非常に入り組んでいて、上のシノプシスの量では到底伝えきれない。セシル卿とエドワードの確執、エリザベス女王とエドワードの関係などが主の物語に巧みに編み込まれ、息つく間もないストーリーを紡いでいきます。“シェイクスピアがもう一人いた”というとんでもない論説が本当に思われてしまうくらいの完成度。本当に久々にこれだけ重厚な映画を観ました。また、途中に挿入されるシェイクスピアの舞台も名場面を集めたようで観ていてとても楽しかったです。エドワード役は脇役が多い「アメイジング・スパイダーマン」のリス・エヴァンス。彼の繊細な演技には驚き。エリザベス1世役はイギリスの名女優「ジュリア」のヴァネッサ・レッドクレイブ。そしてシェイクスピア役は「プロメテウス」のレイフ・スポール。彼の演技が実にいやらしくて・・・・。監督は「インデペンデンス・デイ」「2012」のローランド・エメリッヒ。大味なSFアクション監督と言うイメージだったのですが、この映画を観て印象が変わりました。最後になぜ、シェイクスピア他人説があるのかと言うと・・「自筆の原稿がない」「6つの違った署名がある」「遺言書に本や戯曲の事は触れていない」「田舎町の出身で高等教育を受けていないのに、なぜ宮廷事情を知っていたのか」などがある。果たして真実は??
フランケンウィニー  監督 : ティム・バートン  出演 : チャーリー・ターハン、キャサリン・オハラ
Frankenweenie  2012年 アメリカ映画
今週のイチ押し:郊外の街に暮らすヴィクターは科学と映画作りが大好きな10歳の男の子。そんな彼の最高のパートナーは愛犬のスパーキー。学校以外ではいつでも一緒だ。そんなある日、父親の勧めで野球の試合に出たヴィクターは、まぐれのホームラン。しかし、そのボールを追いかけて行ったスパーキーが車に轢かれて死んでしまう。悲しみに浸るヴィクター。しかし、学校での科学の授業でカエルの死体に電気を流すと動く事を知ったヴィクターはある実験を試みた。墓からスパーキーの遺体を掘り起こし、雷を彼の体に流す事に成功!すると・・、なんとスパーキーは息を吹き返したのだ。しかし、その秘密はあっという間に街中に広がる。クラスメートたちは次々と、とんでもない物を蘇らせてしまう。そしてこの町のフェスティバルの夜、とんでもない事件が・・
私評:決していなくなるわけじゃないのよ。心の中の特別な場所に行くだけ。いつもそばにいる・・・ナイトメア・ビフォー・クリスマスに収録されていた短編作品が長編映画になった。これが物悲しくも、心温まるステキな映画でした。映画の冒頭でヴィクターがスパーキーを主役にした3D映画を作って、家族で見るシーンがすごく好き。これって監督の分身なのかも??この映画で泣きそうになったのが、この映画の原点でもある「フランケンシュタイン」の怪物と同様、蘇った自分の姿に気付いてショックを受けるスパーキー。しかし、ヴィクターはそんな姿の彼でも心から愛し抱きしめようとする。ここで湧いてくる疑問が「スパーキーを生かす事が本当に愛情なの?」と言う事。どう捉えるかで映画の見方も変わってくるかも??でも、ラストはほっこりした気分になれました。この映画の吹き替えでSUPERな技を見せているのが「ビートルジュース」のキャサリン・オハラと「インナー・スペース」のマーティン・ショート。ふたりとも3役をこなしています。不気味な科学の先生役は「マーズ・アタック」のマーティン・ランドー、そしてヴィクターのクラスメートのエリザ役は「ビートルジュース」のウィノナ・ライダー。みんなこの作品の監督ティム・バートンの映画の出演者です!
恋のロンドン狂騒曲  監督 : ウディ・アレン  出演 : アンソニー・ホプキンス、ナオミ・ワッツ
You Will Meet A Tall Dark Stranger  2010年 アメリカ・スペイン映画
アルフィとヘレナは40年間連れ添った夫婦。しかし、突然死の恐怖に見舞われたアルフィは体を鍛え若さを取り戻す事に夢中になった。そしてついにはヘレナの元を去り若者たちに混ざってはみたもののどうもしっくりいかない。ついには売春をしている女優、シャーメインに入れ込み、なんと婚約をしてしまう。ヘレナは離婚のショックからクリスタルと言う怪しげな占い師にはまってしまい右往左往する日々。ふたりの娘のサリーはデビュー作だけが大ヒットしたが、その後はさっぱりのロイという夫がいる。ヘレナの援助なしでは生活ができないサリーは、思い切ってロンドンの有名なギャラリーで働き始める。ギャラリーのオーナーのグレッグは妻帯者だが知的で、リッチで・・、サリーは徐々に彼に惹かれていく。一方、ロイは窓から見える向かいの部屋のディアに夢中。そんなある日、彼の親友のヘンリーから、彼が初めて書いた小説を読んでほしいと言われる。ところがその小説は驚くべき傑作だった・・・・
私評:シャーメインってチャーハンみたいな名前!!・・・ウディ・アレンの新作はなんとも歯がゆい大人のコメディ。主要の4人の登場人物がそれぞれおバカで惨めなんだけど、どこか共感してしまう。相変わらずウディ作品の登場人物は言い訳ばかりしているのですが、それって我々の人生そのもの。特に恋愛は誰をも盲目にしてしまう。この映画のアルフィなんてリタイアしたジイさんなのに、「人生もうひと花咲かせましょう!」とまさに盲目になっている。まるで、私の10年後を見ているようでした!?(笑)そしていつも通り、彼の映画は明確な答えを出さず、シチュエーションを観客に放り投げて終わり。だけど、これが良いんですよね~!出演者は「羊たちの沈黙」のアンソニー・ホプキンス、「ハリー・ポッター」シリーズのジェマ・ジョーンズ、「キング・コング」のナオミ・ワッツ、「メン・イン・ブラック3」のジョシュ・ブローリン、「私が、生きる肌」のアントニオ・バンデラス、「私だけのハッピーエンディング」のルーシー・パンチ、そして「猿の惑星:創世記」のフリーダ・ピント。監督は名匠ウディ・アレン。彼の新作「To Rome With Love」は来年夏の公開らしい。早く観たいよ!!
ルビー・スパークス  監督 : ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス  出演 : ポール・ダノ、ゾーイ・カザン
Ruby Sparks  2012年 アメリカ映画
10代で文壇に華々しくデビューしたカルヴィンは、その後は鳴かず飛ばずで10年も過ぎてしまった。周囲とも壁を作り、普通に話ができるのは兄のハリーとセラピスト、そして愛犬のスコッティだけ。カルヴィンはセラピーの一環として自分の好きな女の子についてレポートを書くように言われた。その夜、カルヴィンは夢を見た。そこに登場したのはとっても素敵な女の子!彼女の名前はルビー・スパークス。すぐさま、彼女と自分を主役に添えた小説を書き始めた。小説を書いている時は理想の彼女と一緒。そしていつしかカルヴィンはルビーに恋をしていた。そんなある朝、カルヴィンが目を覚ますとキッチンにはなんとルビーが!自分がおかしくなったのでは?と疑うが、他の人にも彼女が見えている事を知ったカルヴィンは有頂天になり、彼女と付き合い始める。しかも、ルビーはカルヴィンがタイプライターで書いたとおりの女の子になった。彼女との関係を崩さないためにも、もう小説の続きは書かないと誓うが・・・・
私評:きっと愛の力だ!マジックだ!・・・久々にこんなに心ときめくラブファンタジーを観ました。同じ日に観たウディ・アレンの昔の映画「カイロの紫のバラ」は映画のスクリーンからヒーローが飛び出してきたけど、今度は自分が書いた小説の主人公が実際に現れる。しかも、タイプを打てば彼女は自分のお好み次第。ところが、恋愛はそんなに甘っちょろい物ではありません。理想なんてものはあってないようなもの。完璧な人間などいるわけもなく、欠点を見つけるたびに書き直していっても、どこかに歪みができてしまう。そんな描き方がすごくうまいんです。しかも、主人公のふたりがすごく親近感が持てて、思い切り映画の世界に引きずり込まれました!カルヴィン役は「リトル・ミス・サンシャイン」「カウボーイ&エイリアン」のポール・ダノ、ルビー役は「恋するベーカリー」のゾーイ・カザン。カルヴィンの母親役は「キッズ・オールライト」のアネット・べニング、彼女の恋人役は「マスク・オブ・ゾロ」のアントニオ・バンデラス、そして精神科医役はすっかりおじいさんになってしまった「MASH」のエリオット・グールド。監督は「リトル・ミス・サンシャイン」のジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス。クリスマス・イブにはピッタリの映画かも??
砂漠でサーモンフィッシング  監督 : ラッセ・ハルストレム  出演 : ユアン・マクレガー、エミリー・ブラント
Salmon Fising In The Yemen  2011年 イギリス映画
水産学者のジョーンズ博士の元に“砂漠に鮭を泳がせて釣りをする”という途方もないプロジェクトが回ってきた。依頼主はイエメンの大富豪シャイフ・ムハマンド。ジョーンズは不可能とキッパリと断った。しかし、事態はそんなに簡単ではなかった。中東との情勢が悪化し首相広報担当のパトリシアが明るい話題作りにと選んだのが、この"イエメンで鮭釣り“だったのだ。ジョーンズはいかにこのプロジェクトが馬鹿げているかを、投資コンサルタントでシャイフの窓口でもあるハリエットに伝えるが、シャイフには別の思惑があることを知らされる。それはそこに暮らす人々の生活のために砂漠に水を引くこと。彼はすでにその準備としてダムの建設もしていたのだ。ジョーンズは思いつきの計画をハリエットに説明し、それに掛かる費用が5000万ポンドとハッタリを掛けるが、シャイフは翌日には金を用意してしまう。渋々、シャイフが住むスコットランドの城を訪ねたジョーンズは、シャイフの人柄に打たれる・・・・
私評:アシスタントは必要ない??・・・面白い!何とも無滑稽なストーリーではあるのですが、コミカルに淡々と描く事によってすごく良いテンポで話が進んでいきます。しかも、ラブロマンスあり、国家への政治風刺も盛り込み、映画を楽しむためのエッセンスがギッシリ。この映画のメインテーマは”とんでもない事でもやればできる!”という事。そしてその事を信じさせる力を持った映画です。そしてある意味、ファンタジー作品なんですね。なんだか、とても元気をもらえました。主演は「ムーラン・ルージュ」「天使と悪魔」のユアン・マクレガー。こういうちょっと変わったイギリス人を演じさせたら右に出る者はいない!?ハリエット役は「プラダを着た悪魔」のエミリー・ブラント。彼女はどんどん魅力的な女優になっていきますね。パトロシア役には「イングリッシュ・ペイシェント」「サラの鍵」のクリスティン・スコット・トーマス。彼女が爆笑を誘います。特に首相とのチャットは最高に笑えました。監督は「ギルバート・グレイプ」「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」のラッセ・ハルストレム。最近違う路線を走っていたラッセ監督でしたが、久々に心温まる、彼らしい映画に出会えたような気がします。
マリー・アントワネットに別れをつげて  監督 : ブノワ・ジャコー  出演 : レア・セドゥ、ダイアン・クルーガー
Farewell My Queen  2012年 フランス・スペイン映画
1789714日、王妃マリー・アントワネットは朗読係のシドニーをプティン・トリアノン離宮に呼んだ。王妃に心酔するシドニーは喜んで王妃を訪ねる。しかしその日、バスティーユ監獄が陥落。ベルサイユに危機は迫っていた。715日、バスティーユ陥落のニュースがベルサイユ宮殿を駆け巡る。そんな中でシドニーは王妃の服飾デザイナーからダリアの刺繍を依頼される。しかし、彼女は秘密にすることを条件に挙げた。なぜなら、刺繍係になると王妃に謁見ができなくなるから。その夜、印刷された286人の処刑者リストが届く。筆頭に名を掲げられているのはマリー・アントワネットと王弟のアルトワ伯、そして王妃の寵愛を受け、富と特権を得ているポリニャック侯爵夫人だった。シドニーは王妃のために本を選ぶよう指示される。ポリニャック夫人との手紙を暖炉で燃やす王妃はシドニーに、どれほどポリニャック夫人を愛しているかを語る。翌日、混乱を極めるベルサイユに残っていたシドニーは王妃から世にも残酷な命令を下される・・・・
私評:一人の女性を好きなった事はある??胸が張り裂けるくらいの・・・今まで、数々の映画でマリー・アントワネットを観てきましたが、この作品は全く違う切り口で、いわばスピンオフです。映画の中ではたった4日間を描いているのですが、その間の王妃の心情の移り変わりや、主人公のシドニーの剥き出しの愛と共に、ベルサイユ宮殿のすべての人々のパニックの描き方も見事です。実際にベルサイユ宮殿で撮影を敢行したのですが、今まで描かれてきた華美で壮麗な映像だけではなく、暗いシーンも多々盛り込まれています。また、そこで働く者たちがいるバックヤードは、ホテルの従業員スペースをイメージさせました。私がこの映画を観たいと思った最大の理由は3人の主演女優が好きだから。シドニー役は「ルルドの泉で」「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」のレア・セドゥ。彼女のミステリアスな美しさが印象的。マリー・アントワネットを演じるのは「イングロリアス・バスターズ」のダイアン・クルーガー。彼女の派手なルックスはこれだけ煌びやかな衣装をまとっても負けません。レア・セドゥとは対照的で、このふたりのコントラストも最高です。そしてポリニャック夫人を演じるのは「ザ・ビーチ」「8人の女たち」のヴィルジニー・ルドワイヤン。キュートだった彼女も妖艶な女になりました。監督は「肉体の学校」「シングルガール」のブノワ・ジャコー。


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