2004/12/20

今回は大豊作。この中からイチ押しを選べなんて・・・そんな殺生な・・。
それならこれでどうだ!!

あゝ!一軒家プロレス  監督:久保直樹  出演:橋本真也、ソニン、佐野史郎、ニコラス・ペタス
 2004年 日本映画
今週のイチ押し:プロレスラーの獅子王は念願のマイホームを建て、仲間を呼んで盛大なパーティーを開いていた。しかし、そこに現れたのは獅子王の最大のライバル、マーク一条。彼の無礼な態度から戦いが始まり、新築の家はあっという間にめちゃくちゃに。しかも、何者かが仕掛けた爆弾により木っ端微塵に吹き飛んでしまった。その爆破で怪我を負った獅子王の妻の麻美は病院に入院。しかし、彼女はだんだんと人魚化してしまうという奇病に冒されてしまう。しかし、それらは全て悪徳TVプロデューサーの山路の陰謀だった。愛妻家の獅子王は麻美との約束を守るべく、マイホームの再建を目指す。そんな時山路からマイホームを賭けたあるイベントが行われることに・・・
私評:俺についてくるか〜!!・・・・この映画の製作会社はアダルトで有名なソフト・オン・デマンド。「マネーの虎」にも出演していた社長はバイタリティー溢れる業界人。そんな彼が大枚をつぎ込んで自主制作したのがこの映画。しかし、この映画は正直スゴイです。何がすごいって・・・。まずバジェットが少ないからCGは使えません。そのために起用したプロレスラーたちはその肉体を駆使して破壊の限りをつくします。その迫力たるや・・・なんたって体当たりで壁は壊すし、頭突きでベイシンを破壊するのだ!!彼らには演技なんて必要ない。とにかく暴れていれば良いんです。そしてすごいのはソニン!!セクシー路線がウリの彼女が、アクションに挑戦。しかも、ほとんどスタントなしで彼女が演じているのです。彼女の健康的なお色気はこの映画の大きな見所でしょう。また、この映画の仕掛け人の一人が、あのテリー伊藤だということも大きな要因。なんでもありのこの作品ですが、作り手の熱い想いは他の作品を大きく上回る。たった2週間の劇場上映でしたが、スクリーンで見ることができて本当に良かったです。私は大好きな映画!!
エイリアンVsプレデター  監督 :ポール・W・S・アンダーソン  出演:サナ・レイサン、ランス・ヘンリクセン
Alien Vs Predator  2004年 アメリカ映画
大富豪ビショップ・ウェイランドの所有する衛星が、南極大陸の地下で熱源を発見する。分析の結果、南極の氷下600mの所に、アステア文明のピラミッドに似た建造物があることを突き止める。ウェイランドは各界のエキスパートを呼び集め、この遺跡に誰よりも先に足を踏み入れようとする。その建物の上には100年前に忽然と姿を消した捕鯨団のキャンプがあった。ついに彼らは遺跡に辿りつき、建物内に入りこんだ。しかし、突如として壁が動き始め、彼らは建物内に閉じ込められてしまう。そこは宇宙生物エイリアンの巣窟だった。卵から這い出した幼虫は次々と人間を襲い、そして成体と化した怪物も一行に襲い掛かる。しかし、そこにいたのはエイリアンだけではなかった。なんとその遺跡はプレデターの成人儀式として、エイリアンを殲滅することが義務付けられていたのだ。最強生物の戦いの真っ只中で、なす術のない人間たちは彼らの死闘を見守ることしかできない・・・。
私評:これで歴史に名前を残せるわね・・・今年は「フレディVsジェイソン」もあったね。しかし、こういう頂上対決的な発想って面白い。映画を見るまではどちらが強いのだろう?って考えていたけど、私はどちらかというとエイリアンの方に思い入れがあるので、必然的にそちらを応援してしまいました。しかし、どちらも強いんです・・。人間はどう頑張ってもエイリアンにもプレデターにも勝てはしない。その2種の怪物たちの戦いを見守ることしかできないのか??ところが、この映画のヒロインは意外な行動に出ます。彼女がこの戦いの最中から生き延びる方法として選んだのは??・・・。これ以上は言えません!!それにしてもこの2種の生物の戦いは壮絶です。事前にエイリアン・シリーズとプレデター1&2を見て、それぞれの生物の必殺技や能力を知っておくといっそう楽しく映画が見られると思いますよ。特に『エイリアン2』は必見かも??出演者には有名人は出ていません。唯一、エイリアン・シリーズに2回登場しているランス・ヘンリクセンが有名かな?監督はバイオ・ハザード2の監督を蹴ってまでこの作品に賭けたポール・S・W・アンダーソン。彼の選択は果たして正解だったのか??
ターミナル  監督 : スティーブン・スピルバーグ  出演:トム・ハンクス、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ
The Terminal  2004年 アメリカ映画
今週のイチ押し:NYの空港は入出国の人々で今日もごった返していた。そんな中に彼はいた。彼の名前はビクター・ナボルスキー。出国の手続きの最中、彼は警備員に呼び止められ別室に連れて行かれる。なんと、彼の故郷のクラコージアでクーデターが起こり、事実上国が消滅してしまい、彼はどこの国にも属さない人となってしまう。当然、アメリカへの入国も許されず、故郷に帰ることすらできないのだ。仕方なく彼は空港ターミナルに居続けることに。ちょうど改装中だった67番ゲートが彼の住居となった。空港警備局のディクソンは、彼を何とか空港から追い出そうと画策するが、ビクターはあれよあれよという間にターミナルに馴染み、友人を見つけ、仕事を見つけ、そしてついには恋も見つける。しかし、ビクターがこの町にやってきたのは、ある約束を果たすためだった。その約束を守るべく、ビクターは待ち続ける。そしてついにクラコージアの戦争が終わったというニュースが・・・
私評:人は何かを待っている。ぼくは・・・・スピルバーグ監督の作品って特撮をバンバン使った大作も面白いですが、こういう小粒な作品もすごくイイです。「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」といい、この映画といい、スピルバーグはよっぽど飛行機好きなのか??それにしてもこの映画は本当に『心温まる』作品でした。異国の地で、しかも言葉も通じない環境でも力強く、そして賢く生き延びていくビクターのキャラクターに惹かれ、彼を取り巻くターミナルの人々に惹かれ、いつしか彼らと喜怒哀楽を共にしていた。しかし、スチュワーデスのアメリアが最後に出た行動は、私には理解できませんでした。そして最後のビクターの約束を果たすシーンも、もうひと捻り欲しかった・・。しかし、そんなネガティブな感情を吹っ飛ばすのがトム・ハンクスの演技。彼は本当に喜怒哀楽を表現するのが上手い。この映画でも泣いて、笑って、怒って、悩んで・・・。それぞれの表情がとても印象的。そしてスッチー役のキャサリン・ゼタ・ジョーンズがまた良いんです。ちょっと男運のない女なのですが、そんなキャラも彼女にかかると生き生きとしたキャラクターになってしまう。そしてこういうメガ・ハッピーな話は大好きそうなスピルバーグ監督の想いが伝わってくる映画です。人生は待つこと。良いセリフじゃないですか!
僕の彼女を紹介します  監督:クァク・ジェヨン  出演:チョン・ジヒョン、チャン・ヒョク
Windstruck  2004年 韓国映画
高校教師のミョンウは、引ったくりの犯人を追って激走していた。しかし、そんな彼の後を追ってくるひとりの女。彼女はミョンウを犯人と間違え体当たりを食らわせた・・。彼女の名前はギョンジン。正義感が人一倍強い女性警察官だった。出会いは強烈だったが、ふたりは次第に惹かれていく。そしてふたりの幸せな時間が流れていった。二人で出かけた山の上でミョンウは彼女に言った。「僕の前世はきっと風だった。もし、僕が死んでもきっと風になって君を守る・・」その帰り道、突然の大雨で崖崩れが起き、車は湖へと落下。意識を失ったミョンウをギョンジンは必死に救出。彼は九死に一生を得た。そんなある日、ミョンウはギョンジンの携帯に電話をするが、彼女は犯人を追っている真っ最中だった。事件現場を悟ったミョンウは居ても立ってもいられず、彼女の元へと走る。凶悪な犯人を追って銃撃戦を繰り広げていたギョンジン。その時事件は起こった・・・・
私評:「ゴメンと言えよ」「お前が名前をゴメンに変えたら、そう呼んでやる」・・・2年前、「猟奇的な彼女」という映画を見て私はぶっ飛んだ。ストーリーなんてどうでもいい。とにかく映画に登場したチョン・ジヒョンという溌剌とした女の子と、情けないくらいに優しいチャ・テヒョンにメロメロでした。そんなチョン・ジヒョンが更に猟奇的になって帰ってきた。男どもをぶっ飛ばすそのパワフルさ!そしてそんな中でちょっぴりだけ見せる女らしさ。まさに、彼女の魅力全開の作品です。チョンちゃんって動きが加わると魅力を増す女優ですね。映画を見ている間中、私は彼女の虜でした・・。そして今回彼女に甚振られながらも引かれていく、Mな男を演じるのはチャン・ヒョク。彼もまさに「イイ人」って感じ全開。しかし、今回の映画で二人を待っていたのはとんでもない悲劇でした。その後も話は2転3転して、強引なまでのエンディングへと導いてくれます。最後の最後に登場する嬉しい顔も要チェックです。監督は「猟奇的な彼女」のクァク・ジェヨン。相変わらずこの監督は映像の見せ方が上手い。特にチョンちゃんの魅力を引き出すのが上手いです。そして音楽の使い方も天下一品。色々とツッコミ所も満載ですが、それを補うくらいの見所が満載の映画でした・・・。
銀のエンゼル  監督 :鈴井貴之  出演:小日向文世、佐藤めぐみ、浅田美代子
Angel in the Box  2004年 日本映画
北海道に今年もまた、雪が降り始めた。国道沿いのコンビニのオーナー北島昇一は妻の佐和子に店を任せ、気まま暮らしをしていた。しかし、佐和子は交通事故に遭い入院。昇一はコンビニの仕事を一切任されてんてこ舞い。そんな父親をよそに彼の娘、由希は東京への進学を真剣に考えていたが、この事を知らないのは昇一だけだった。いつしか娘との間にできてしまった大きな溝。実際、一年前に彼女の部屋に鍵が取り付けられたことも昇一は知らなかった。その事を佐和子に相談するが、佐和子は他人事のように彼の尻を叩くだけ。そんな中でコンビニでの毎日は確実に彼の中に染み込んでくる。店の中で大声で携帯で話す女、駐車場でダンスの練習に明け暮れる少年たち、個性的な従業員たち、そしてひそかに由希に心を寄せるトラック運転手のロッキー、毎日チョコボールを買っていくスナックの女、明美・・・。全てのことと向き合う事を覚えたとき昇一の中で何かが変わり始めた・・・・
私評:「バナナをチンしてください。僕の家ではいつもこうやって食べるから。」「これって爆発したりしませんか??」・・・・北海道のローカルテレビ局、HBOの有名プロデューサー鈴井貴之の第3回映画作品。この鈴井の名を一躍有名にしたのが「水曜どうでしょう!」という番組。電波少年のようにある使命を与えられた鈴井と彼の相棒大泉洋が日本はもとより、世界を歩き回る番組。私もこの番組が大好きで、ネットでダウンロードしたり、北海道から買い集めたりしています。そんな彼の劇場作品は北海道に住む人が、その地で生きていく人々の小さなドラマ。それはどこでも当たり前のように起こる家族の断絶だったり、恋物語だったり、はたまた東京に憧れる少年少女の話だったり・・。そんな小さなエピソードを両手でそっと掬い上げて、大事にフィルムに納めたような作品でした。主演は小市民の代表を演じたら天下一品の小日向文世。そして彼の妻役は浅田美代子。ふたりの娘役は、かなりカワイイ佐藤めぐみ。謎の店員に西島秀俊。スナックの女を山口もえ!。
そしてもちろん大泉洋も配達人ロッキーの役で登場。彼はかなりおいしい役どころです。ところでこの映画のタイトルの「銀のエンゼル」は森永チョコボールのおまけのこと。銀のエンゼルは5個溜まると、金なら1個で「おもちゃの缶詰」がもらえるそうだけど、実際私は見たことがありません。(銀のエンゼルですら、見たことがないです・・)
ニワトリはハダシだ  監督 :森崎東  出演:肝井美佳、原田芳雄、浜上竜也
 2004年 日本映画
潜水土木士の大浜は妻と別居中。自閉症の一人息子のサムとふたり暮らし。その日はサムの15回目の誕生日。大浜はサムを一人前の潜水士にしようと、この日からトレーニングを始める。しかし、サムの尿意が勝りこの日の潜水は終了・・。その頃、サムが通う障害児の学校の教師、直子は家庭の事情から教職を辞めようかと悩んでいた。警察官の父親は、とにかく仕事人間で家庭を顧みない。しかも、病弱な母はいつも父を庇うのだが、直子にはその気持ちが理解できなかった。そんな時警察官の汚職事件が起き、小さな町がただならぬ賑わいを見せる。それは警察官が暴力団から賄賂としてベンツを受け取ったというのだ。しかも、そのベンツの中に賄賂のやり取りを記した書類が残されていたのだ。運悪くベンツは車の密売をしている外国人ギャングに盗まれ、またその車をサムが記憶していたのだ。そして警察、暴力団、サム、そして町の人々を巻き込んで事件はとんでもない方向に疾走する・・・・・
私評:なにわ33 ま1368・・・・森崎東監督の久々の作品です。今回もワイワイと楽しい雰囲気の中で障害児、警察と暴力団の癒着、在日韓国人などの社会問題も少しずつ盛り込んで、とても味わい深い作品になっています。舞台は舞鶴なのですが、映画の中に登場する町の人々はとてもパワフル。私もいつしか彼らの雰囲気に飲まれ、映画を楽しんでいました。また、幾つかのストーリーがだんだんと絡んでいくシナリオも良くできています。でも、この映画でイチバン見てもらいたいのは原田義男の怪演。とんでもない男なのですが、私は大好きなキャラクターです。そして新人とは思えない抜群の表現力を持つ肘井美佳。まさに体当たりの演技が見ていて気持ち良かったです。その他にも石橋蓮司、倍賞美津子、塩見省三、余貴美子、加瀬亮、笑福亭松之助など豊富な脇役が映画を盛り上げます。肩の力を抜いて楽しめるエンターテイメント映画。面白かったです。


前回の記事も読んでね〜!



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