2011/12/17

今年も残すところあと半月。
最近レビューの文字数が増えたとご指摘がありました・・。
もっと簡潔にまとめます。
イチ押しは対極の2タイトルです。

50/50  監督:ジョナサン・レヴィン  出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、セス・ローゲン
50/50  2011年 アメリカ映画
今週のイチ押し:ラジオ局に勤めるアダムはマジメ一本の男。彼が目下製作しているのは「火山」についての番組。彼の親友は同じ職場のカイル。彼はアダムとは正反対で女好きでテキトーな男だった。アダムにはレイチェルという恋人がいたが、カイルは彼女の事を良く思っていない。そんなある日、腰痛がひどいアダムは病院で検査を受けるが診断結果はなんと悪性のガン。ネットで病気のことを調べてみると生存率は50%だという。レイチェルはアダムの面倒を見ると宣言するが、浮気現場をカイルに押さえられてしまう。能天気なカイルは今まで真面目だけで生きてきたアダムにハメを外すよう誘い出す。しかし、そんな行為も死を目前にしたアダムには、ひどく空しいだけだった。そんな時、彼はキャサリンという新米のセラピストと出会う。調子はずれではあるけれど、なぜか彼女はアダムの心を和ませた。しかし、ガンは着実に進行していた。そしてアダムは難しい手術を受けることになった・・
私評:それを先に言ってよ!!・・・これはこの映画の脚本家が実際に身の上に起きた事を書き上げたもの。ショッキングな病気の告知から始まるこの物語。本人には本当に一世一代の大事件だけど、自分の周りは何事もなかったかのように時間が進んでいく。それってとても残酷なことですよね。なんでボクだけが・・って考えるのは当然。だけど、そんな極限の状況に置かれたからこそ見えてくる物もあるのです。この映画ではそんなアダムの心境の変化をブラックなユーモアも多々織り交ぜつつ、丁寧に描いていきます。とにかくこの映画はキャラクターが良いです。主演のアダムを演じるのは「500日のサマー」「インセプション」のジョセフ・ゴードン=レヴィット。彼にはピッタリの役です。彼の悪友カイル役は「グリーン・ホーネット」のセス・ローゲン。彼が最後に素敵な涙を誘います。レイチェル役は「マンダレイ」のブライス・ダラス・ハワード、キャサリン役は「マイレージ・マイライフ」のアナ・ケンドリック、そしてアダムの母親役は「アダムス・ファミリー」のアンジェリカ・ヒューストン。この3人の女性たちが絶妙です。監督はジョナサン・レヴィン。
リアル・スティール  監督 : ショーン・レヴィ  出演:ヒュー・ジャックマン、ダコタ・ゴヨ
Real Steel  2011年 アメリカ映画
今週のイチ押し:近未来。ボクシングは生身の人間からロボットの格闘へと変化を遂げた。優秀なボクサーだったチャーリー・ケントンは戦う場所を奪われプライドも捨て去っていた。自らもロボットを操り格闘の営業をしていたチャーリーは所有するロボットを破壊され絶体絶命だった。そんな時、別れた妻が死に息子のマックスが彼の前に現れた。マックスは裕福な叔母の家に引き取られる事になっていたが、彼女が旅行の間チャーリーがマックスを預かることになった。彼女の夫から金を巻き上げて買ったロボットも壊されたチャーリーはマックスとロボットの部品を盗みに忍び込んだ工場で旧式のスパーリング専用ロボットを発見する。このロボット=アトムに特別な機能を見出したマックスはアトムを操り、格闘大会に出場し大金を手に入れる。さらにアトムはチャーリーのボクシングの技術も取り入れ、対戦相手を次々と倒していく。そしてついに頂点対決まで登りつめるが・・
私評:ヒダリ、ミギ、アッパーカット・ニカイ!!・・・・いや~、感動しました。泣きました。なんの捻りもないすごくストレートな作品なのですが、それが良いんですね。アトムが「あしたのジョー」の矢吹丈みたいに何度倒れても立ち上がって、「ロッキー」のように戦い抜く。このふたつの名作のスパイスをこの映画はたっぷり取り入れています。戦いのシーンの迫力は最新の映像技術ですごい迫力に仕上がっています。そしてこの映画のもうひとつの見所が父親と息子の心の交流。これがまた、泣かせるんですよ・・。というわけで、私は作品の途中からは泣きっぱなし。それも爽やかな涙でとても気持ち良かったです。やっぱり時々はこういう映画を見て心の洗濯をしたいですね。主演は「ウルヴァリン」「オーストラリア」のヒュー・ジャックマン。常にヒーローっぽかった彼がダメ親父を見事に演じます。マックス役は驚くべき新人子役ダコタ・ゴヨ、そしてチャーリーを支える女性ベイリー役はTVシリーズ「LOST」のエヴァンジェリン・リリー。監督は「ナイト・ミュージアム」のショーン・レヴィ。
ホーボー・ウィズ・ショットガン  監督:ジェイソン・アイズナー  出演:ルトガー・ハウアー、ブライアン・ダウニー
Hobo With Shotgun  2011 カナダ映画
町から町へと流浪する初老の男“ホーボー”。彼が次にやってきたのはホープタウン。その名前とは裏腹に、この町の人々に”希望“はなかった。この町を牛耳るのはドレイクという暴君だった。そしてドレイクのふたりの息子たちは、父の権力を笠にして残虐な事をし続けている。町の警察も見てみぬ振りをするしかない。ホーボーは成り行きで娼婦のアビーを助けた事がきっかけでボコボコにされてしまう。そして彼は二度と目立たないと誓った。しかし、質屋に入った強盗現場に偶然居合わせたホーボーは反射的にショットガンを手にして、彼らを血祭りに上げた。その時、彼の中で眠っていた”本能“が目を覚ました。そして彼は町の悪党どもを次々と惨殺していく。そしてついにドレイク一家との血で血を洗う戦いへと進んでいく・・・・
私評:こんな町で育ったら、末は娼婦かヤク中だ・・・タランティーノが仕掛けた「グラインド・ハウス」の映画の中で“フェイク予告編”として流れた作品が本当の映画になった。まあ、とにかく全編血だらけの映画です。ショットガンで頭をふっ飛ばすなんて甘い甘い・・。ロープで首をちょん切ったり、ついにはショベルカーで叩き潰したりととにかくやりたい放題。だけど、(一応)勧善懲悪映画なのでホーボーがどんなにすごい事をしても応援したくなっちゃうんですね。R18もギリギリのライン。モラルがないとか言う輩もいますが、こういう映画を笑い飛ばしちゃうのが真の映画ファンです??主演はこんな映画でも全力投球がうれしい「ブレイドランナー」のルトガー・ハウアー。よくぞ、こんな超B級映画に出演してくれました!ドレイクを演じるのはカナダでは有名なブライアン・ダウニー。こいつのテンション、高すぎでしょう!そして彼の残虐な息子役は「パトリオット」のグレゴリー・スミス。役柄とはいえ、憎らしいヤツです。彼がホーボーにやられたときは拍手をしたくなっちゃいました。監督はロバート・ロドリゲスが絶賛したジェイソン・アイズナー。
ブラッディ・パーティ  監督 : デニス・ガンゼル  出演:カロリーナ・ヘルフルト、ニーナ・ホス
We Are The Night  2010年 アメリカ映画
ベルリンの町で盗みをしながら細々と生きているレナは、ある夜、怪しげなナイトクラブに入り込んだ。そこでレナはルイーズというこの世のものとは思えぬ美しさを放つ女性と出会った。するとルイーズは突然レナの首筋に噛み付いた。驚いてその場を逃げ去ったレナだったが、彼女の体に異変が起こり始める。太陽の光に当たると火傷をしてしまい、冷蔵庫の生肉も血の部分だけを貪るようになってしまう。そう、彼女の体はヴァンパイアに変化していたのだ。最初は驚きからルイーズを憎んだレナだったが、ヴァンパイアになった自分が格段に美しくなっている事に驚き、そして陶酔していく。ルイーズの友人たちと夜な夜な男を漁り、その生き血をカクテルにして飲み干すというパーティ三昧にレナは溺れていく。しかし、そんな甘美な夢のような現実が、レナを追ってきた潜入捜査官の男の手によって終わりを告げようとしていた・・・・
私評:食べて飲んでセックスして、太らないし妊娠もしない・・・ドイツ産のヴァンパイア映画は美女たちの饗宴。美しい女ヴァンパイアたちが夜な夜な繰り広げる鮮血の宴はなんとも甘美な世界。しかし、美しいがゆえに彼女たちが辿る結末がひときわ哀しい。そういう意味では、この作品のストーリーは秀逸です。そしてベルリンの町中での撮影が功を奏しています。ベルリンという町をよく知らない私には、町自体がすごくミステリアスで、そして不気味にも映るのです。特にトンネルのシーンはその場所自体が怖かったです。そんなダークな映像とは対極にパーティシーンの煌びやかな事・・・。この辺りに監督のセンスが窺えます!主演は「パフューム ある人殺しの物語」のカロリーネ・ヘルフルト。ルイーズ役はドイツでの人気急上昇のニーナ・ホス。監督は「GIRLSGIRLS」のデニス・ガンゼル。
ワイルド7  監督 :羽住英一郎  出演:瑛太、深田恭子、椎名桔平
Wild Seven  2011年 日本映画
白昼の銀行強盗事件が発生。残虐な犯人は警察を振りきり、しかも人質を全員射殺して逃走した。そんな彼らを追う7つの影があった。そして問答無用の銃撃戦が始まる。しかし、犯人の最後の一人を撃ち殺したのは、8人目の影だった。7人は国家の最高機密にして警察の切り札、超法規的武装集団、通称“ワイルド7”だった。彼らはそれぞれが個性的な”元犯罪者“だったが、毒には毒を持って制するという考えの元で組織された。そして彼らの最後のターゲットを射殺したのは謎のバイカー。ワイルド7のひとり飛葉大陸は、その影を追うが途中で見失ってしまう。そして彼がたどり着いたのはバイカーが集う巨大な酒場。そこで彼はミステリアスな女、ユキと出会った。やがて飛葉はユキに惹かれていくが、彼女には暗い過去があった。一方でまたしても凶悪テロ犯罪が起こる。最近兵器を積んだ飛行船が東京上空を旋回しているのだ。しかし、続発する犯罪の裏側には国家を揺るがすほどの黒幕が控えていた。その事実を知ったワイルド7は無謀とも思える最後の決戦に挑む。
私評:「お前らを退治してやる」「退治じゃないだろ、逮捕だろ」・・・私が子供の頃にTVアニメが放映されていたのですが、私はまったく記憶がありません。たぶん、見ていなかったんでしょう。映画のほうはどうかというと、すごく気合が入ったアクション映画です。日本映画では最大級のアクションシーンがあるのですが・・。正直、ハリウッド映画では当然のように行われているアクションなので、そこに萌えることはありませんでした。だけど、これだけ規制の厳しい日本で、これだけの撮影を行ったことに賛辞を送りたいですね。クライマックスの突入シーンはけっこうな迫力でした。ビルをひとつ占拠しての撮影はなかなかの迫力でした。アクション映画としての期待のしすぎは禁物かと思います。主演の飛葉を演じるのは「一命」の瑛太。クールな男役を好演しています。バイクシーンも自らこなしていました。その他のワイルド7のメンバーは椎名桔平、宇梶剛士、阿部力、丸山隆平、平山祐介、松本実。彼らを束ねるボス役には「プリンセス・トヨトミ」の中井貴一、ワイルド7の謎を追う記者役には要潤と本仮屋ユイカ、そして謎の女ユキ役には「ヤッターマン」の深田恭子。監督は「海猿」シリーズの羽住英一郎。


前回の記事も読んでね~!



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