2006/12/10

さあ、今年も残すところあと僅か。忘年会などの年末の
行事を縫ってあと何本映画が見られるのかな?
今回のイチ押しは壮絶な戦争映画と人気コミックの第2弾です。

硫黄島からの手紙  監督:クリント・イーストウッド  出演:渡辺謙、二宮和也、井原剛
Letter From Iwo Jima  2006年 アメリカ・日本映画
今週のイチ押し:太平洋戦争の末期。日本軍はひとりの指揮官を硫黄島に送った。彼の名前は栗林忠道。本土防衛の最後の砦とされる硫黄島の運命は彼に託された。着任早々、彼は作戦を大幅に変更し、海岸線での戦いを避け島中にトンネルを掘り徹底抗戦をする事にした。この事は古参の将校たちの顰蹙を買うが栗林には信念があった。そんな栗林に希望を見出したのは、この島で絶望を感じていた西郷だった。そして2月19日、ついにアメリカ軍の上陸が始まった。物量では圧倒的に勝るアメリカ軍はこの島を簡単に落とせると思っていたが、ここに歴史的な激戦の火蓋は切って落とされたのだ。栗林は兵士たちに「犬死」する事を禁止し、最後の最後まで生き延びてお国のため、そして家族のために一日でも長く、この島を守ることを命令した・・
私評:おまえはアメリカ人に会ったことがあるか??・・・半年ほど前、私の勤めている会社の社長が面白いといって一冊の本を貸してくれました。それは梯久美子さんの「散るぞ悲しき」という本で、硫黄島で散った伝説的な指揮官、栗林中将の本でした。そこには硫黄島の戦いの悲惨さはもちろんですが、彼が家族に送った手紙が数多く取り上げられていた。今回の「硫黄島からの手紙」にはこの本の中のエピソードが数多く取り入れられていて、私にはひとしお感慨深いものがありました。この映画は大半が西郷という若い兵士の目線で語られるのですが、望んで戦争に行った者はいないこと、そして誰もが「生きたい」と思いながらも無念を抱えて死んでいった事がまっすぐに語られています。この辺りの演出はまさにクリント・イーストウッドです。それにしてもすり鉢山での自害シーンは壮絶だった〜・・。主演の栗林を演じるのは日本が誇るハリウッドスター渡辺謙。西郷役はジャニーズの嵐の二宮和也。彼の演技がイーストウッドを唸らせたというのも嘘じゃなさそうです。その他にも加瀬亮、井原剛、中村獅童(こいつが嫌な男の役なのですが、今の彼にはピッタリかも??)、そして出演シーンはメチャメチャ少ないのに写真がデカイ裕木奈江。そして製作総指揮にはスピルバーグが噛んでいるので、戦闘シーンの迫力はすごいです。イーストウッドはこの作品でまたオスカーを獲るのでは??
NANA 2  監督:大谷健太郎  出演:中島美嘉、市川由衣
 2006年 日本映画
今週のイチ押し:彼氏と別れ、仕事先もクビになったハチはすっかり落ち込んでいたが、そんな時憧れのタクミから電話が入った。一夜限りのつもりでハチはタクミに抱かれる。トラネスの打ち上げの席でタクミがハチと関係を持ったことを知ったノブはショックを受ける。その夜、タクミは思い出したかのようにハチを訪ねるが、その現場をナナは目撃してしまう。そんな時ブラックストーンに大手レコードメーカーからスカウトの声が掛かる。音楽への情熱とレンの部屋で過ごす事が多くなったナナに対してハチは、彼女が遠い存在になってしまう事を感じていた。タクミにメールを送っても返事が来ない日々が続く中で、ハチはノブから気持ちを打ち明けられる。自分に冷たくなったタクミを諦めノブに身を任せるハチ。そんなある日、ハチが妊娠している事が発覚する・・
私評:どうしてトラネスは私の大事な物をみんな持っていってしまうの??・・・NANAの1作目は女同士の友情に魅せられた私ですが、今回は弱虫だったり、寂しがり屋だったり、意気地なしだったり、卑怯だったりするNANAたちをとりまく人々が複雑に交錯し、ぶつかり合い、惹かれあい、傷つけあい、そしてどうしようもないほどの溝を築いていく。ハチなんか、映画の途中では「はしたない女」と思ってしまったし、ノブ、タクミ、そしてナナに至るまで「どうしようもない人たち」と思いそうになってしまった。だけど、映画が進むにつれてそれが許せてしまうのです。だって、それを許せるのが友情であり、愛情であるのだから・・・。人はみんな間違いを犯すけれど、そんな時に大事なのが友達だよね。主演のナナを演じるのは前作に続き中島美嘉。このキャラはまさに彼女のための物ですね。ハチこと小松奈々を演じるのは前作の宮崎あおいからバトンを受けた市川由衣。彼女のハチが一番心配だったのですが、まったく問題なし!今回のちょっとドロドロした内容には彼女の方が良いかも?そしてやはり前作からの成宮寛貴、玉山鉄二、丸山智巳が出演。監督も前作からの大谷健太郎。
王の男  監督:イ・ジュンイク  出演:カム・ウソン、チョン・ジニョン、イ・ジュンギ
 2005年 韓国映画

16世紀初頭。旅芸人のチャンセンとコンギルは観客の誰をも魅了する芸を持っていたが、田舎一座の金の入りどころは、美少年のコンギルを一晩我が物にしたいという貴族の金で賄われていた。しかし、ある晩チャンセンはそんな座長にキレて歯向かい、コンギルと一緒に一座から逃亡する。ふたりが目指したのは漢陽の都。そこの王は芸者の妾を侍らせ、連日の宴会で遊び呆けているという。ふたりはそこで3人の芸人と出会い仲間に入れることにした。5人は宮廷を皮肉った芝居を演じ、しかもその芝居は大人気となり、チャンセンたちは時の人となった。ところが彼らの噂を聞きつけた王の忠臣チョンソは彼らを捕え、王を侮辱した罪で死刑を宣告する。しかし、チャンセンは「王が笑えば侮辱じゃない」と反論し、ついには王の前でその芸を見せることになる。一世一代の芝居は空回りを続けるがついに仏頂面の王が笑った。そしてチャンセンたちは死刑を免れ、なんと宮廷に住む事になるが・・・・

私評:芝居をするたびに誰かが死ぬ・・・・昨年の韓国映画界で賞を総なめにして、「グエムル」に抜かれるまでは韓国映画の動員記録も持っていたというこの作品。韓国の歴史上でも、その名を知らない人はいないと言われるくらいの暴君ヨンサングンと、彼に仕えたふたりの芸人に話です。ひとりの美しい青年を挟んで彼の幼馴染のチャンセンと王の3人の駆け引きが見事に描かれています。そしてその芸人たちを上手く使おうとするチョンソの存在、そして王の妾のノクスと、なんとも面白いキャラクターがこの物語をどんどんかき回していくのですが・・・。確かに面白い映画ではあるのですが、この映画が監督の歴代で2位の興行というのはどうなんでしょうね。(「グエムル」が1位というのも不思議ですが・・)そこまで突き抜けて面白いとは思いませんでした。チャンセンを演じるのはカム・ウソン。そしてコンギル役は男の私が見ても美しいイ・ジュンギ。そしてヨンサングン王を演じるのはチョン・ジニョン。そして忘れてはいけない美しい悪女ノクス役はカン・ソンヨン。監督はイ・ジュンイクです。この映画は2005年度の大鐘賞(韓国のアカデミー賞)を10部門獲得。(作品賞、監督賞、主演男優賞など・・) 


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