2013/12/08 その2

年末蔵出し!!今回のイチ押しは
元AKB48、前田敦子主演の脱力系コメディと
アメリカのインデペンデントの挑戦的佳作。

もらとりあむタマ子  監督 : 山下敦弘  出演 :前田敦子、康すおん
 2013年 日本映画
今週のイチ押し:東京大学を卒業して実家に戻ってきたタマ子は毎日ぐうたらな生活をしている。食べる、寝る、ゲーム、マンガ、食べる・・・。父親の善次は妻とは離婚していた、小さなスポーツショップを営んでいる。料理、掃除、洗濯まですべて善次任せのタマ子に最初は苦言を呈していたが、今では何の文句も言わずタマ子を見守っている。そんなプレッシャーもあってか、タマ子が動き始める。履歴書を書いて、町の写真館で写真を撮る。善次はタマ子が芸能人になろうとしている事を知るが、全面的に応援の体制。しかし、いつしかタマ子は元のぐうたら生活に戻ってしまう。そんなある日、タマ子の叔母のよし子は善次に女性を紹介する。いつもは邪魔で仕方ない父親に女ができた事で戸惑いを隠せないタマ子。タマ子のイチの子分(?)である中学生の仁を使って、女の素性を調べる事にするが・・・
私評:少なくとも・・今ではない・・・面白い!元AKBの前田敦子が目当てで観に行く人も多いと思いますが、作品自体がとにかく面白い。大事件が起こるわけでもなく、人が死ぬわけでもなく、ごく日常の積み重ねの1年間。しかし、そんな中でゆっくりゆっくり変わっていくタマ子が可愛いんです。そしてそんなタマ子を(言葉にはしないけど)めちゃめちゃ可愛がっているお父さんがこれまた、良いキャラクター。思い切り感情移入してしまいました。刺激的な映画ももちろん良いのですが、こういう脱力系というか、ダラダラ系の映画は私に不思議な癒しをもたらしてくれました。タマ子役は「クロユリ団地」の前田敦子。彼女が本当に良いです!もう、アイドルではなくて立派な女優です。父親役は山下監督作品の常連「松ケ根乱射事件」の康すおん。娘の下着まで甲斐甲斐しく洗濯するお父さん・・・、最高です。そして仁を演じるのは新人の伊東清矢くん。彼のボーっとした感じが良いんです。その他、中村久美、富田靖子が良い感じで映画にインパクトを与えています。監督は「リンダ リンダ・リンダ」「苦役列車」の山下敦弘。
セッションズ  監督 : ベン・リューイン  出演 :ジョン・ホークス、ヘレン・ハント
The Sessions  2011年 アメリカ映画
今週のイチ押し:詩人でジャーナリストのマーク・オブライアンは6歳の時に発症したポリオが原因で首から下が動かない。普段は鉄の箱に体を入れている。今のヘルパーが気に入らないマークは牧師に相談をしてクビにした。次に彼のところに来たヘルパーのアマンダは美しくて、そしてとても優しい。彼女に恋をしたマークは思い切って告白をするが、彼女は彼の元を去ってしまった。マークは動かない体でも心と体を使って女性を愛したいと思い始める。そんな時、彼は身障者専門のセックス・セラピストがいる事を知った。そのセラピストの名前はシェリー。そしてついにマークのセックス・カウンセリングが始まった。初めて裸の女性を目の前にして緊張のあまり呼吸困難を起こしたりするが、何度かのカウンセリングでなんとか挿入に成功。彼は38歳にして童貞を卒業したのだ・・
私評:これはキリスト教の教えには反するが、ボクは応援するよ・・・都内の映画館ひっそりと公開が始まったこの映画。これは実話です!身障者のセックスという、ある意味アンタッチャブルな世界を果敢に切り込んで描いています。首から下が動かなくても勃起はするのであれば、体で繋がりたいと思うのは自然なこと。しかし、驚いたのはセックスカウンセラーという職業。映画の中でシェリーが「これは売春ではない!」と言っていましたが、日本ではどうなんでしょう??しかし、キワドイ話もありながら、描いているのはいつも前向きでユーモアを忘れないマークの生き方。なんだか心がほっこりとする映画でした。主演は「リンカーン」のジョン・ホークス。そしてシェリー役は「ツイスター」のヘレン・ハント。仕事柄(?)何度も全裸になるのですが(撮影当時)50歳近いとは思えない美しさ。マークの話し相手の牧師には「ジュラシック・パーク3」のウィリアム・H・メイシー。テーマがテーマなだけに、観る人を選ぶとは思いますが私はすごく好きな映画となりました。監督はベン・リューイン。しかし、この映画をR18にしてしまう日本の映倫には苦言を呈したい。
マダム・マーマレードの異常な夜 解答編  監督 : 中村義洋、鶴田法男、上田大樹  出演 : 川口春奈、高畑淳子
 2013年 日本映画
3つの短編映画を見終えたマダム・マーマレードは一度、藤堂家を後にした。数日後、彼女はマダム・バルサミコを従え戻ってきた。そして3つの短編映画に隠されたキーワードを一つ一つ解き明かしていく。そして導き出された答えは藤堂監督が妻に宛てた愛情深い言葉だった。しかし、なぜかマダム・マーマレードの表情は曇ったまま。実はそこにはさらに深い謎と、とんでもないメッセージが込められていたのだ・・
私評:全ての謎は解かれたがってるの・・・今回の回答編はなんと50分。しかも、通常料金。これについては観客からクレームの声が出ていましたね。出題編も1回観ただけでは絶対に答えを得る事ができないので、数回観ている人がたくさんいると思います。せめて、出題編を見た人は安くするとが配慮が欲しかったですね。実は私は前作については映画館で観た後、ネット配信で再見して謎の90%までは解いていました。しかし、最後の最後にあんな答えが隠されていたとは!!謎を解いた観客はエンドクレジットに名前が出るのですが、あんなにたくさんの人が正解していたとは!!ビックリです。この映画は新しいジャンルとしての試みがある程度成功した作品ですね。主演はやっぱり可愛い川口春奈。彼女が出ているだけでこの映画は良しとします!マダム・バルサミコは高畑淳子。監督は中村義洋、鶴田法男、上田大樹の3人。
インシディアス 第2章  監督 : ジェイムズ・ワン  出演 :パトリック・ウィルソン、ローズ・バーン
Insidious Chapter 2  2013年 アメリカ映画
夫ジョシュと妻レネ、そして3人の子どもたちを襲った悪霊が去り、ようやく平和になったかに見えたランバート一家だったが、ジョシュが何者かに憑依されてしまう。ジョシュは幼い頃から幽体離脱をして霊の世界とつながる特殊な能力があり、それを恐れた母親と霊媒師によって記憶が封印されていたことが判明する。徐々にエスカレートするジョシュの奇行は家族を恐怖のどん底に陥れる。霊感が強く霊界に触れることができる長男のダルトンは霊界にとらわれていたジョシュを救うために自ら危険な世界と足を踏み入れる。彼はその霊の正体を突き止めるため封印されているジョシュの記憶の世界へと入り込んでいく・・・・
私評:ボクがパパを連れ戻すよ・・・前作の続きなので、「1」を見ていないと分からないシチュエーションがたくさんあります。しかし、今回も怖がらせてやろうという演出が随所に出ています。そしてストーリーも練りに練られていて、思わぬどんでん返しや随所に張られた伏線などがとにかく楽しめます。そして過去と現在が繋がって・・・。今回の作品には「幽体離脱」「超常現象」「連続殺人」「幽霊屋敷」そして「謎解き」が盛り込まれている幕の内弁当的なホラー。これはプレスシートの言葉をそのまま引用しました。出演は前作に続き「死霊館」のパトリック・ウィルソン、「Xメン ファースト・ジェネレーション」のローズ・バーン、そして「ブラック・スワン」のバーバラ・ハーシー。この3人も良いのですが、ふたりの男の子の演技が素晴らしいです。監督は「ソウ」「死霊館」のジェームズ・ワン。
利休にたずねよ  監督 : 田中光敏  出演 : 市川海老蔵、中谷美紀、大森南朋
 2013年 日本映画
1670年、千宗易(後の千利休)は宗及、宗久とならぶ堺の3茶人。彼は硯箱の蓋を皿に見立てて水を張り、夜空の月を映した。これを気に入った織田信長の元には若き秀吉の姿もあった。彼の美意識の高さは尋常ではなくヨーロッパからの使者をも引きこんでしまう。信長に対しても「美は私が決める事」とキッパリと言いきるほどだった。やがて、信長が本能寺で暗殺され、世は秀吉が回し始める。彼も宗易を茶頭として迎えた。そして宗易は利休という居士号を与えられた。秀吉の所望により、金の茶室を作ったり、北の天満宮の茶会を主管したりと彼の活躍は目覚ましかったが、彼の才能や人気はやがて秀吉の羨望となり、ついには苛立ちになっていく。極めつけは利休の娘を側室に出せという命令が届く。利休の妻の宗恩は毅然と断るが、思いつめた娘は首を吊って自害してしまう。ついに秀吉は利休に切腹を言い渡すが・・・・
私評:あなたは生きて・・・前々から期待していた作品がついに公開されました。「武」ではなく「美」で信長、秀吉にも一目置かれた千利休。切腹まであと●●年という見出しで、物語は進んでいきますが、最後に若かりし頃の宗易が恋した高麗の娘との純愛が語られます。私はこの話が一番面白かったです。豪華絢爛なセットや役者は素晴らしいのですが、どうも話が淡々としすぎていて、感動には至りませんでしたね・・。千利休役は「一命」の市川海老蔵。歌舞伎役者だけあって茶の湯の時の所作がとにかく美しい。ピッタリの配役でしたね。妻の宗恩役は「嫌われ松子の一生」の中谷美紀、織田信長は「あしたのジョー」の伊勢谷友介、そして豊臣秀吉役は「R100」の大森南朋。そして気になったのが高麗の女を演じた韓国のモデルのクララ。美しいです。私の好みにぴったりです!!その他、成海璃子、福士誠治、黒谷友香、壇れい他、豪華なキャスト。監督は「火天の城」の田中光敏。


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