2014/11/29

2014年も、後一ヶ月とちょっと。
ラストスパートで映画を観まてます。今回のイチ押しは
秀逸なアメリカのインデペンデント映画と日本のサスペンスドラマ。

ショート・ターム  監督 : デスティン・ダニエル・クレットン  出演 : ブリー・ラーソン、ジョン・ギャラガー・Jr
Short Term 12  2013年 アメリカ映画
今週のイチ押し:問題があり親と一緒に暮らせなくなった少年少女を一時的に預かる施設「ショート・ターム12」でケア・マネージャーとして働くグレイス。彼女は同僚のメイソンと同棲中。しっかり者で、聡明で明るい彼女は職員の中でもリーダー的な立場で施設を取り仕切っている。施設には色々なタイプの少年少女が住んでいたが、グレイスは誰に対してもまっすぐに受け止め信頼を得ている。そんなある日、施設にジェイデンという少女がやってくる。彼女は感情が高ぶると制御が効かなくなり何度もリストカットをしていた。なかなか心を開かないジェイデンにも常に傍らに寄り添い助け舟を出すグレイスに対して、ジェイデンは重い口を開き始める。彼女は実の父親から暴行を受けていたのだ。実はグレイスもその昔、数々の暴行を受けていた。そしてグレイスの中で過去のトラウマが頭をもたげる。メイソンとの間に子供ができ、結婚まで約束したが不安が彼女を襲う・・・
私評:私にはなんでも話して・・・心に(そして体にも)傷を持つ少年少女と毎日体当たりで向かい合う若いケア・マネージャーたち。立場は違うかもしれませんが、私の母が通っている老人のデイ・ケアーの人たちも同じ。老人と決定的に違うのは若者には未来があり希望があるという事。その芽を開花させるというのは本当に大事な仕事だと思います。今回はそんな仕事に就きながら全力で少年たちとぶつかり合い心を開く天才の女性が主人公。しかし、その裏には彼女が過去に味わった苦渋も描かれています。だからこそ彼らの心が理解できる、だからこそ傷の癒し方も知っている、だからこそ彼らは彼女を必要とするのです。かと言って、めちゃめちゃ暗い話ではなく最後は気持ち良く劇場を出ることができます。インデペンデント作品なので有名人は出ていません。グレイス役は「ドン・ジョン」のブリー・ラーソン、メイソン役はジョン・ギャラガー・Jr。監督はデスティン・ダニエル・クレットン。小さな作品ですが、出会えて良かったです!
紙の月  監督 :吉田八大  出演 : 宮沢りえ、池松壮太、小林聡美
 2014年 日本映画
今週のイチ押し:銀行の契約社員の梨花は外回りの仕事。頑固者だが金をしこたま持っている平林老人の契約を取り付け、社内で褒められた梨花は仕事にも熱が入った。しかし、梨花の夫の正文は彼女の仕事には全く関心を示さない。次々と契約をとり続ける梨花は、ある時買い物中に現金が足りず客のお金を借りてしまう。それが大きな間違いの始まりだった。梨花は平林の孫の光太と偶然出会い、そのまま勢いで関係を持ってしまう。自分に関心を示さない夫と違い光太は梨花に優しかった。そんな時、梨花は平林老人から光太が借金を抱えているという話を聞かされる。光太の父がリストラにあい、大学の学費を自分で払っているというのだ。しかも、その金はサラ金から借りているという。居ても立ってもいられなくなった梨花は平林老人から預かった200万円を光太に渡し、銀行内で偽装行為をしてしまう。それ以来、梨花は次々と客の金に手を付けてしまう・・
私評:先生は与える方が幸せと言いました・・・角田光代さんのベストセラー小説の映画化。最初は軽い気持ちで1万円を借りただけだったのに、一度火がつくとブレーキが効かなくなってしまう。若い男との逢瀬に、ファッションに、そして偽装のための機材にどんどんお金をつぎ込んでいく梨花。でも、その心境はなんとなく理解できますね。悪いことだと分かってはいても理性が吹っ飛んでしまう。その要因のひとつは夫の無関心。人の金だと分かっていて罪悪感を抱きながらザクザクお金を使うのって、どんな気分なのかな。そんな罪悪感も麻痺してしまうのでしょうね。そんな中年女を演じるのは「魔女の宅急便」の宮沢りえ。めちゃめちゃいいです!アカデミー賞の候補でしょう!光太役は「ぼくたちの家族」「愛の渦」の池松壮太、梨花の上司の隅約は「かもめ食堂」「転校生」の小林聡美、若い銀行窓口の女、相川役は元AKB48の大島優子。彼女がまた素晴らしい!その他、石橋蓮司、田辺誠一、近藤芳正などなど。監督は「霧島、部活やめるってよ」「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の吉田八大。
インターステラー  監督 : クリストファー・ノーラン  出演 : マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ
Interstellar  2014年 アメリカ映画
地球上の至るところで砂嵐が巻き起こり、農作物が取れなくなり人類は打撃的な食糧難に陥っていた。元宇宙飛行士のクーパーはある事件以来、農業に従事し危機下の今も、なんとかトウモロコシの栽培を続けていた。そんなある日、娘とある信号を追いかけていたクーパーはNASAの秘密基地にたどり着く。そこでは極秘にあるプロジェクトが進められていた。地球を元に戻すことはできないため、人類が生き残るためには他の惑星への移住しか手段は残っていない。科学者たちは土星の近くにワームホールを発見し、それが何者かによって意図的に作られたと分析したのだ。すでに先発隊がワームホールを抜けてたどり着いた惑星からシグナルを発信していた。そしてクーパーは次回のメンバーに選出される。家族想いのクーパーは子供たちの未来のためにミッションへの参加を承諾するが・・・
私評:モールス信号だ・・・新バットマンシリーズで世界を驚愕させ、「インセプション」で新たな映像マジックを見せつけたクリストファー・ノーラン監督の新作の舞台は宇宙。物語の骨子自体は単純なのですが、そこに幾何学や物理学、そして相対性理論や多次元の世界まで登場させよく分からない世界へ誘ってくれます。ブラックホールに近い惑星では時間の経過が猛烈に遅くて、地上ではあっという間に月日が過ぎてしまう。ここの描き方は面白かったな~。宇宙船に帰ったら留守番の人が・・・。そんな難解な作品であるにも関わらず、2時間40分の長尺が全然苦にならないのは圧倒的な映像のせいですね。今回も監督が大好きなIMAXカメラが大活躍。この映画は大きな映画館で見ましょう!主演は「ダラス・カウボーイ・クラブ」で今年のオスカー俳優となったマシュー・マコノヒー、彼と一緒に宇宙船に乗り込む科学者役で「レ・ミゼラブル」「ダークナイト・ライジング」のアン・ハサウェイ、成長したクーパーの娘を演じるのは「ゼロ・ダーク・サーティ」のジェシカ・チャスティン、老人になった娘役は「エクソシスト」のエレン・バースティン。その他、マイケル・ケイン、ジョン・リスゴー、ケイシー・アフレック、そしてマット・デイモン!
ザ・レイド GOKUDO  監督 :ギャレス・エヴァンス  出演 : イコ・ウワイス、アリフィン・プトラ
 2013年 インドネシア映画
危険な任務から命からがら解放されたラマだったが、すぐに次のミッションが与えられる。地元のマフィアのバングンは日本のヤクザのゴトウとシマを2分して停戦中。バングンの組織への潜入捜査が彼の次の仕事だった。まず、ラマは刑務所に入所し収容中のバングンの息子のウチョに接近した。所内でウチョに大きな貸しを作ったラマは出所後に、先に出所したウチョに拾われバングンの組織に雇われた。しかし、ウチョは父のバングンに認めてもらえず苛立ちを募らせていく。そんな時、ウチョは新興ギャング団のボスのブジョと水面下で手を組み平和な町に波風を立たせようとする。しかし、それはブジョの仕組んだ罠で、全ての組織が入り組む大きな抗争へと突き進んでいく。そんな中、ラマは抗争に巻き込まれていく・・
私評:戦争だ~!!!・・・ザ・レイドの1作目はとにかくすごい作品だった。マーシャルアーツの達人たちが見た事もないような技を繰り出しボコボコに相手を叩きのめす。しかも、体の中でも無防備な部分を痛めつける。今回もそんな格闘シーンは継承され見ているだけで、痛さで顔が歪んでしまうようなシーンが続く。そして驚きはカーチェイスのシーンです。カメラを手渡しで車から車へと移動させていく。そしてスタントなしで主人公が車からジャンプ!思わず「うわっ!」と声を出してしまいそうになりました。今作の制作国のインドネシアもそうですが、昨今の東南アジアのアクション映画はすごいです!主演は「ザ・レイド」の生き残りイコ・ウワイス。冒頭にトイレで20人を相手に戦うシーンからアクセル全開です。ウチョ役は二枚目のアリフィン・プトラ。日本からは遠藤憲一、松田龍平、北村一輝が登場。3人ともイイ味出してます!監督は「ザ・レイド」「KILLERS」のギャレス・エヴァンス。
美女と野獣  監督 : クリストフ・ガンツ  出演 : レア・セドゥ、ヴァンサン・カッセル
LA BELLE ET LA BETE  2014年 フランス・ドイツ映画
裕福な家族で育ったベルは父親のお気に入りの末っ子。しかし、父親は所有する商船を嵐で失い、ついには財産の全てを失ってしまう。一家は家財をすべて持って行かれ田舎暮らしが始まる。贅沢三昧で育った3人の兄とふたりの姉は不満だらけだが、ベルはそこでの生活を喜んでいた。そんなある日、町から帰り道で父親は道に迷い大きな城にたどり着く。贅沢な食事、酒が並ぶ広間には、ベル以外の娘に頼まれていた贅沢品が並んでいる。それらを携えて城を出ようとしたとき、彼はベルから頼まれていた1輪のバラを摘んだ。すると、全身毛むくじゃらの野獣が現れた。そして家族のもとに帰った後、ふたたびここに戻って来いと命ずる。もし、戻らなければ家族全員を殺すと。家に戻りその事を家族に話すと、ベルは父の馬を奪い自ら野獣の待つ城へと向かった。そして野獣とベルとの奇妙な生活が始まる・・
私評:私にはバラを一輪持ってきてください・・・なんで今頃、実写版の美女と野獣なの?と思いながら劇場ん足を運んだのですが、見て良かったです!フランス版の「美女と野獣」はベースの話は同じですが、ディズニーのアニメ版とはちょっと違う。実写版ならではの良さが随所に引き出されています。とにかく美しく絢爛豪華なセットと隅ずみまで手が込んだCGは必見です!この映画は公開規模が小さいながらもジワリジワリとヒットしています。しかし、私の中ではこの映画の一番の見所は主人公のベルを演じるレア・セドゥの美しさと可憐さ。レアって華奢で線が細いイメージがあったのですがグラマーです!野獣役は「ブラック・スワン」「ジェボーダンの獣」のヴァン・サン・カッセル。野獣の時はいいのですが、素顔になると王子にしてはちょっと老けすぎじゃない?そして父親役は「アメリ」のアンドレ・デュソリエ。監督は「ジェボーダンの獣」「サイレント・ヒル」のクリストフ・ガンツ。
想いのこし  監督 : 平川雄一朗  出演 : 岡田将生、広末涼子
 2014年 日本映画
夫を亡くしてひとり息子を女手一つで育てているユウコの仕事はポールダンサー。仲間のルカ、ケイと舞台に上がれば観客は必ず魅了される。PAの担当は明珍ジョニー。今日でこの4人でのステージは最後になる。と言うのもルカが地元の男と結婚することになったのだ。ステージを終え4人はジョニーの車で帰途についた。その時、ひとりの男が道路に飛び出してきた。男と接触して車は横転。4人は命を落としてしまう。車に接触した男は、お金と女にだらしないガジロウ。奇跡的に軽傷ですんだガジロウは慰謝料をとろうとマリの家を訪ねるが、そこにいたのは成仏できずにこの世に残っている4人。しかも、4人の姿はガジロウ以外の人には見えないのだ。そこでルカは彼と結婚式ができたら貯金の700万円をガジロウに差し出すと申し出るが・・
私評:私は消えない・・・この世に未練を残した4人が願いを叶えて成仏する話です。それに協力するのがどうしようもないクズ男。彼も最初は金に釣られて手伝いをするのですが、段々と情が移ってきて・・・。そして彼らの願いが叶うたびに成仏して消えていくのです。私はその度に涙・・・。私は高校の野球部のマネージャーだったケイの話がいちばん感動しました。でも、この映画の話のネタって以前にもあったと思うのですがいかがでしょう?ガジロウ役は「告白」「宇宙兄弟」の岡田将生。今回はクズ男だけど、2回も女装して登場。しかも、一回目はウエディングドレスだし・・。マリ役は「柘榴坂の仇討」の広末涼子。意地っ張りで強がりな母親を好演!その他、木南晴夏、松井愛莉(めっちゃ可愛い)、鹿賀丈史が出演。監督は「陰日向に咲く」「ツナグ」の平川雄一朗。
日々ロック  監督 : 入江悠  出演 : 野村周平、二階堂ふみ
 2014年 日本映画
ロックンロール・ブラザーズのボーカル兼ギターの日々沼は高校時代のメンバーと一緒に東京にやってくるが、売れる兆しはまったくない。ライブもイマイチ盛り上がらないがパワーだけは人並み外れていた。そんなある日、彼らのライブ会場に人気アイドル歌手の宇田川咲が現れる。酒に酔っていた彼女は舞台に上がると日々沼からギターを取り上げRCサクセションの名曲を歌い、会場は大盛り上がり。そんな彼女に絡んできた男たちをコテンパンに叩きのめして去っていった。数日後、日々沼は咲のプロモーションビデオを見て衝撃を受ける。そして一気に曲を書き上げた。数日後、ライバルのバンド主催のライブに登場したロックンロール・ブラザーズは、完全にアウェーの会場で大熱唱し観客を虜にする。その会場には咲もいた。そして咲は日々沼に自分の曲を書いて欲しいと頼み込むが・・
私評:いっぱい!いっぱい!おっぱい!!おっぱい♪♪・・・この映画も人気漫画の実写化。もちろん原作は読んでいません。作品のビジュアルを見ても食指が動かなかったのですが、私の最大の注目株である二階堂ふみちゃんが出ているという理由だけでこの映画を見に行きました。私はどうも主人公の日々沼のキャラクターが苦手。本来なら笑えるシーンなのかもしれませんが、私には気持ち悪いだけ。ところが彼がステージに上がるとキラキラ輝くのです。そして迸るパワーで圧倒されました。やっぱり、ライブはいいな~。特にクライマックスの嵐の中のライブシーンは燃えました!!カッコよかったです。主演は「パズル」の野村周平。そして宇田川咲役は「地獄でなぜ悪い」「私の男」の二階堂ふみ。彼女のぶりっ子アイドルぶりも良いけど、酒を飲んで男たちを蹴散らすシーンは最高です。そして自らギターを弾いて「雨上がりの夜空に」を歌うシーンもカッコいいぞ!!その他、竹中直人、蛭子能収、喜田陽子などなど。監督は「サイタマノラッパー」の入江悠。


前回の記事も読んでね~!



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