2005/11/27

世界中が待っていた、人気シリーズの第4弾。面白い!
そして久々にしっとり大人の恋物語を堪能した
フランス映画に釘付け・・・

ハリー・ポッターと炎のゴブレット
 監督:マイク・ニューエル  出演:ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン
Harry Potter and the Goblet of Fire  2005年 アメリカ映画
今週のイチ押し:ハリーは不吉な夢に襲われた。暗い部屋の中でヴォルデモートが復活を遂げようとしている・・。ハーマイオニーに起こされたハリーはロンの家族と一緒にクィディッチの世界大会を観戦に来ていた。興奮の一夜が終わろうとしたとき、事件は起こったヴォルテモートを支持する「Death Eater」たちによって夜空に闇の印が刻まれたのだ。ホグワーツに戻ったハリーたちは3大魔法学校のトーナメントが行われることを知る。しかし、今大会に17歳以下は出場ができず、ハリーも高見の見物気分だった。しかし、選手を選出する不思議なゴブレットは規定の3人以外に、なんとハリー・ポッターの名前をも掲げたのだ。出場を辞退したハリーだったが、ゴブレットの選択は絶対だった。14歳のハリーは出場のできない歳の若い者たちからは妬まれ、なんと親友のロンにも背を向けられてしまう。魔法大会は3つの試練を課せられる。その第1の試練はドラゴンとの戦いだった・・
私評:ヴォルテモートと魔法で繋がったんだ・・・ハリー・ポッターシリーズも今回で4作目。毎回楽しみにしている作品ですが、今回の「炎のゴブレット」は宿敵ヴォルテモートと初めて相対するという全7部作の中でもとても重要なパート。原作はイギリスの作品でるあるにもかかわらず、今回初めてイギリス人の監督によって製作された。出来栄えがどうだったかと言うと・・、かなり良かったです。と言うのも、今回の作品はすごく分かりやすく作られていました。原作は「アズカバンの囚人」の倍くらいのボリウムなので、かなり端折ってはいるのですが、良い感じで切られていました。そして今回の注目はハリー、ロン、そしてハーマイオニーの微妙な関係。この辺りの演出も上手いです。主演の3人の他にいつものメンバーが勢ぞろい。そして今回の新たな布陣としてついに登場のヴォルテモートを演じるのは「シンドラーのリスト」のレイフ・ファインズ。特殊メイクで本人だとは分かりづらいですが、恐ろしい目が印象的でした。そしてマッド−アイ・ムーディを演じるのは「トロイ」のブレンダン・グリーン。ハリーの初恋(?)の相手は宮里藍ちゃんにそっくりのケイティ・ラング。監督は「モナリザ・スマイル」のマイク・ニューエルです。
灯台守の恋  監督:フィリップ・リオレ  出演:サンドリーヌ・ボネール、フィリップ・トレイン
L'equipier  2004年 フランス映画
今週のイチ押し:カミーユは生まれ故郷のブルターニュ地方のウエッサン島を訪れた。両親が残した家を売却するためだ。その日、彼女は一冊の本を受け取る。1963年、ウエッサン島は世界の果てと呼ばれていた。カミーユの父、イヴォンはこの島の灯台守のひとり。そんな島にアントワーヌと言う一人の男がやってくる。アルジェリアの戦線から戻ったという彼は左手に大怪我を負っていた。この島はケルト人の子孫で結束が強く、村人はアントワーヌに激しい敵意を見せるが、そんな状況を理解しているアントワーヌは彼らを理解し、静かに受け入れたのだ。灯台の仕事は時には過酷で、時には退屈。そんな仕事の中でイヴォンはアントワーヌの人柄に触れ、彼を受け入れるようになる。イヴォンはアントワーヌを自宅に招くが、その席でアントワーヌは恋に落ちてしまう。その相手はなんとイヴォンの妻のマベだった。やがてマベも繊細で心優しいアントワーヌに惹かれていく。そして村の祭りの夜に、ふたりは結ばれる・・
私評:お父さんはあなたを溺愛したわ・・・久々にフランス映画らしい(?)、耽美で切ないラブ・ストーリーに出会った。ちょっとパトリス・ル・コントの作品にテイストが似ているかも?本来であれば「不倫」の部に入るのですが、そういう厭らしさが微塵も感じられないのはなぜでしょう・・。そして島を去るアントワーヌが明かす秘密(左手の秘密)、そして本に語られていたとんでもない事実・・。なんだかとっても切ないのですが、美しい物語でした。そして美しい島の景色、凄まじい灯台の仕事など映像的にも見所が多い映画です。マベを演じるのは「仕立て屋の恋」のサンドリーヌ・ボネール(彼女は美しいですね〜)、イヴォン役はフィリップ・トレイン。アントワーヌ役は「アデュー・ぼくたちの入り江」のグレゴリー・デランジェール。島の若い娘役で「ロゼッタ」のエミリー・デュケンヌが出演しています。監督は「パリ空港の人々」のフィリップ・リオレです。
大停電の夜に  監督:源隆志  出演:豊川悦司、田畑智子、原田知世、田口トモロヲ
 2005年 日本映画
クリスマス・イブの東京。天体望遠鏡を覗く少年の目に飛び込んできたのは、向かいの病院の屋上から飛び降りようとしている少女だった。その病院の一室では死期の迫った男が息子に母親の話をしている。いないはずだった母親が生きていると・・。表参道では携帯を握り締めた女が。「今日、どうしても会いたい」とメッセージを残す。「FOLISH HEART」というバーと店長は、昔の女に電話をしている。彼は今日で店を閉める予定だ。その見せの向かいのキャンドルショップの若い店長は、窓越しにバーの男を見つめている。刑期を終えた元ヤクザの銀二は昔の女に会いにやってきた。しかし、彼女はすでに結婚していて二人目の子供がお腹にいた。夫から残業の電話を受けた静江はひそかに離婚を決意していた。孫へのプレゼントを準備中の老夫婦の元に1本の電話が・・・。そんな時、突然東京中の電気が止まってしまう。しかし、そんな特別な状況が彼らに奇跡を起こす・・・
私評:あなたにステキなことがありますように・・・クリスマスの一夜に紡がれる群像劇は、なんとも美しい物語。それぞれが抱える悩みや苦悩が、大停電という特別な状況下で姿を変えて奇跡になる。登場人物の誰も彼もが超ハッピーにならず、ある者は状況を受け入れ、ある者は他人の幸せを垣間見ているうちに、自分の問題の小ささを理解し、そしてある者は新たな出会いから希望を見出していく。クリスマスであるだけで、奇跡が起こりそうな街、東京。この映画ではそんな東京の美しさも見事に描き出されています。源監督は前作の「Tokyo Tower」でも美しい東京を描いていました。彼は本当に東京が好きなんでしょうね。出演陣の中で私の目を引いたのは田畑智子。かなり、ブリッ子(死語でしょうか?)の役なのですが、様になっているのです。しかも嫌味がない。そしてついてない女を演じた井川遥も良かったです。映画を見終わった後に、ちょっとだけ残る幸せ感がなんとも言えず快感。ちょっとオシャレなデートにも最適な映画かも??
Jの悲劇  監督:ロジャー・ミッチェル  出演:ダニエル・クレイグ、リス・エヴァンス
Enduring Love  2004年 イギリス映画

大学教授のジョーと彫刻家のクレアは長年の恋人同士。ある日、ふたりはオックスフォードの草原にピクニックに出かけた。ジョーはこの日のために特別なシャンペンを用意して、まさに栓を開けようとしたとき、空から制御不能になった気球が落ちてきた。ジョーと近くにいた3人の男は気球を止めようとロープを手繰るが、突風に煽られ、気球は再び上昇を始める。思わず手を離し地上にたたきつけられるジョー。そしてほかの二人も手を離すが、ただ一人気球にしがみついた男がいた。やがて彼は力尽きて地上に叩きつけられた。彼を追ってジョーと一緒に気球を止めようとした男ジェッドは現場へとやってきたが、そこで彼らは無残な死体を目の当たりにする。その時からジェッドの中でなんとも言い表し難い葛藤が生まれる。もし自分が手を離さなければ・・・。そんな彼の元にジェッドから電話が入る。彼はジョーとの間に「愛」が生まれたという。そして彼の態度は日増しに狂気を帯びていく・・・・

私評:君の苦しみを感じるよ。僕に心を開いて・・・原作はかなり有名なミステリーらしいのですが、私は全然知らずにこの映画を見に行きました。映画の冒頭の気球事故、そしてそれ以来、主人公を苛む罪悪感。それだけでも十分映画の題材としては面白いのですが、それに輪をかけて現場に居合わせた男からの突然の愛の告白・・・、そしてストーカーまがいの行動。なんとも言えない不快感が映画から溢れ出してくる。狂気は狂気を生み、ジェッドの行動から、ジョーも狂気に感染したかのように暴走を始めます。その辺りの展開がとても怖かったです。ちなみのジェッドのように「誰かから自分を好きなのだと勝手に思い込む妄想」の病気をド・クレランボー症候群というのだそうです。主演は次期ジェームズ・ボンド役が決まっているダニエル・クレイグ、鬼気迫る男ジェッドを演じるのは「ヒューマン・ネイチュア」のリス・エヴァンス。そしてクレア役で私の好きなサマンサ・モートン(「ギター弾きの恋」)、ジョーの親友役で「ラブ・アクチュアリー」のビル・ナイも登場。監督は「ノティングヒルの恋人」のロジャー・ミッチェル。
奇談 キダン  監督 : 小松隆志  出演:藤澤恵麻、阿部寛
 2005年 日本映画

1972年。民俗学を専攻している里美は奇妙な夢に悩んでいた。彼女は幼少の頃、東北の隠れキリシタンの里として有名な渡戸村で神隠しにあったことがあった。その時、一緒に行方不明になった少年はそのまま消息が分からないままだった。この村がダムの底に沈むと言う事実を知り彼女は渡戸村へと渡った。渡戸村は隠れキリシタンが作った村だが、その中でも異教徒独自に集団を作った「はなれ」は村の恥部と言われている。里美は村で「世界開始の科の御伝え」という聖書異伝を調査に来た稗田という男と出合った。彼は妖怪の生存を学会で発表して追放された男だった。稗田と里美は村の長老や住職から村に伝わる話を聞き、昔から子供の神隠しが頻発していることを知った。そんな折、16年前に里美と一緒に行方不明になった少年が当時の姿のままで保護される。しかし、彼はまたしても忽然と姿を消す。そんな時、「はなれ」の住人の善次がキリストのように磔にされ殺害されるという事件が起こる・・・・

私評:オラと一緒にパライソさ行こう・・・・諸星大二郎原作のコミックはかなりの名作らしいのですが私は知りませんでした。映画の予告編などを見るとかなり怖いホラー映画という触れ込みでしたが、怖さはほとんどありません。そしてここに描かれているのは宗教がらみの、壮大な物語。最後はかなり感動的な幕切れでした。しかし、話をちょっと複雑にしすぎた感がありますね。セリフもわざわざ難解な言葉に置き換えたりしていますが、どうなんでしょうね??主演の里美を演じるのはNHKの「天花」のヒロイン藤澤恵麻。稗田役はこういう怪しい男を演じさせたら天下一品の阿部寛。そして脇役なのですが驚異的な存在感を見せるのが草村礼子と怪談の語り手として有名な一龍斎貞水。監督は「仮面学園」の小松隆志。プロデューサーは日本のホラー映画界を引っ張る一瀬隆重です。


前回の記事も読んでね〜!



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