2013/11/24 (その1)

いつものことですが、これだけ映画を見ていても
全然追いつけません。体がふたつ、いや3つ欲しい!今回のイチ押しは
どちらも心の奥に響く邦画の秀作です!

ばしゃ馬さんとビッグマウス  監督 : 吉田恵輔  出演 : 麻生久美子、吉田章大
 2013年 日本映画
今週のイチ押し:学生時代からシナリオライターを目指し、何度もコンクールに応募しているが1次予選も通った事がない馬淵みち代。今回のコンクールもいつもの如く落選し友人のマツモトキヨコに愚痴を吐く。そして彼女を誘ってシナリオスクールに通う事にした。そこで出会ったのは自信過剰な年下の男の天童義美。とにかく"ビッグマウス“の天童をみち代は毛嫌いしていたが、天童はばしゃ馬のように書き続けるみち代に好意を抱いていた。シナリオなんか書いたこともないのに、自分が書けば世界が変わるとまで言い張る天童はみち代にとって最悪の人種だった。それ以前にみち代の頭の中にはシナリオのことしかなくて、常に自分に鞭打って次回作に集中している。そんなある日、シナリオスクールに来ていた映画監督の何気ない一言がきっかけで老人ホームの介護をテーマにシナリオを描くことにしたみち代は元恋人で、昔は役者を目指していた松尾を訪ねる。彼は今、介護士として働いていて彼の働く施設で取材がてらボランティアを始める事にしたのだ。しかし、そんな矢先みち代の付き合いでスクールに来ていたキヨコが映画の脚本を書くことになった・・
私評:夢を諦めるのって、こんなに難しいの・・・良いです。この作品。ダメ女とダメ男が出会って不思議な縁でお互いを高め合っていく。結果はどうあれ自分の信じる道に打ち込んでいる時って、幸せを感じられますよね。しかし、そんな快感ばかりを求めていても現実はとてもシビア。結果が伴わなければ努力も報われません。いつか、その努力が実を結ぶ・・・なんて甘いです。夢を諦める必要はないけど、いつまでも夢にすがってばかりもいられない。辛いですよね・・。この映画はそんなビターな物語なのですが、面白おかしく、そして爽やかに描いているのがいいです。そんなダメ女を演じるのは「モテキ!」でもダメ女を見事に演じた麻生久美子。美人の彼女がほとんどすっぴんでパーカーにメガネのダサい女。だけど、これがピッタリなんです。天童役は「関ジャニ∞」の安田章大。ちょっとバカにしていたのですが、彼の演技は素晴らしいです。その他、岡田義徳、秋野暢子、井上純、松金よね子が脇を固めます。監督は「さんかく」で私の心を射抜いた吉田恵輔。彼の次回作「麦子さんと」も必ず観に行きます!!
四十九日のレシピ  監督 : タナダユキ  出演 : 永作博美、石橋蓮司、二階堂ふみ
 2013年 日本映画
今週のイチ押し:百合子の夫の浩之の不倫に疲れ果てていた。しかも、不妊治療を重ねても子供ができなかった百合子を差し置いて、浮気相手は彼の子供を宿していたのだ。今日も不倫相手から嫌がらせの電話。しかも、浩之の母親は百合子の介護が必要だった。しかし、我慢の限界を迎えた百合子は、母親の乙美の死をきっかけに実家に戻る決意をする。百合子の父の良平は、妻を亡くして放心状態。そんな彼のもとにイモという名の少女が現れる。彼女は乙美生前に世話をしたセックス依存症の少女で、乙美が死ぬ前に自分の四十九日の法要まで良平の面倒を見るようにと依頼されていたのだ。イモが見つけた乙美のレシピ本には「四十九日の法要は大宴会」と書かれていた。良平、百合子、イモ、そして日系3世ブラジル人のハルは、乙美の人生を辿りながら大宴会の準備を開始する・・
私評:みんなで呑んで食べて大宴会・・・映画のはじまりは夫の浮気、妻の死など悲しい瞬間から始まる。そしてセックス依存症の少女、いじめられっ子のブラジル人3世という淋しい魂がさらに集まる。しかし、死んだ乙美の残したレシピが彼らを少しずつ元気づけ、彼らの人生に意味を持たせてくれる。そして百合子も良平も知らなかった乙美の空白だらけの人生が、実はたくさんの意味を持っていた事を知らされる。もう、この瞬間、私の目から涙が怒涛の如く流れ落ちて止まりませんでした。家族の物語としても最高ですが、ひとりの女の人生がもたらした奇跡の物語です。主演は「八日目の蝉」の永作博美。彼女の演技は完璧!!悲しみをこらえる顔も、幸せをかみしめる顔もとてもステキ。良平役は「北のカナリアたち」の石橋蓮司、ハル役には「宇宙兄弟」の岡田将生、イモ役は「地獄でなぜ悪い」の二階堂ふみ、浩之役は「少年H」の原田泰造。そして私が注目したのは口の悪い親戚のおばさん役の淡路恵子。こんなおばさん、どこの家族にも居そうです!?監督は「百万円と苦虫女」「ふがいない僕は空を見た」のタナダユキ。
マダム・マーマレードの異常な謎 出題編  監督 :中村義洋鶴田法男、上田大樹  出演 :川口春奈、高畑淳子
 2013年 日本映画
この世の謎にはすべて答えがある。しかし、数々のそんな謎を解いてきたマダム・マーマレードが今回向かったのは、30年前に死んだ映画監督の藤堂俊之介の家。藤堂の妻は病床の身であったが、30年前に死んだ夫の最後の言葉が気になっていた。それは「映画の最初のセリフ」という謎の言葉だった。その後、彼の書斎から「3本の短編映画に答えがある」という紙が見つかった。藤堂のふたりの息子、弁護士、元助監督の執事に迎えられ、マーマレードは謎を解くことを約束する。そして監督が遺した3本の短編映画を観る事に。1本目は「つむじ風」というふたりの少女の淡い初恋を描いた青春映画。2本目は「鏡」というホラー映画、そして3本目は「やまわろわ」というちょっと怖いが感動的なひと昔前の家族の話。それらの映画の中に謎解きのキーワードが・・・・
私評:続きは「解答編」で!・・・この映画は観客参加型のアトラクション映画。映画も着々と進化をしていきます。まず、映画館に入る時に解答用紙を配られます。そして短編映画を見るごとに映画館の明かりが付いて3分間のシンキングタイム!そして3本の短編を見て、それぞれのキーワードから答えを導き出し、その解答用紙を映画館で投函する。正解すると「解答編」にエンドクレジットに名前が出るそうです。私は良く分からずに解答用紙を入れたので間違っているでしょう!しかし、先日観た「貞子3D 2」も、この映画も従来の映画の楽しみ方+αを備えた映画。今までの映画が好き!という人には邪道に映るかもしれませんが、私は面白いと思いました。この企画には今大人気の「リアル脱出ゲーム」の仕掛け人堀田延が絡んでいます。しかし、この映画を見たからには必ず「解答編」も観に行かねばなりません!!これは映画業界が仕掛けた増収のための策でしょうが・・・(苦笑)主演は「絶叫学園」の川口春奈。私はけっこう彼女のファンです!マダム・バルサミコ役は「男たちの大和」の高畑淳子。監督は中村義洋、鶴田法男、上田大樹の3人がそれぞれ1作ずつを撮っています。
マラヴィータ  監督 : リュック・ベッソン  出演 : ロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファー
Maravita  2013年 アメリカ映画
フランスのノルマンディの片田舎にアメリカ人のブレイク一家が越してきた。主人のフレッドは元・マフィア。彼は情報をFBIに売ったためにマフィアの組織から狙われている。今はFBIの証人保護プログラムで守られているが、一家は世界中を転々としている。妻のマギーは料理上手なブロンド美人だが、キレると放火をする悪い癖がある。長女のベルは凶暴で暴れ出すと手が付けられない。息子のウォレンは独自のルートで情報を集めいじめっ子に復讐を果たした後、学校を牛耳り始める。そんなワケありの家族は今の生活に不満がいっぱい。そんなある日、フランスの新聞に載った一文が巡り巡ってフレッドによって刑務所に入れられたマフィアのボスの目に触れた。それは以前にフレッドとの会話のフレーズ。彼はさっそく手下をノルマンディに向かわせるが・・・・
私評:この町はクソだ・・・製作総指揮マーティン・スコセッシ、監督はリュク・ベッソン、主演はロバーロ・デ・ニーロというビッグネームが揃った。この映画はコメディ映画なのですが、私は家族愛を高らかに謳いあげたドラマとも思いました。そしてこの映画はとにかくテンポがいいです。笑いのツボが私にフィットしたので、終始私はニヤニヤしながら映画を見ておりました。特にデ・ニーロは過去に自分が演じたキャラクターをパロッていて、映画の中で「グッドフェローズ」が挿入されているのも見逃せません。それにしてもデ・ニーロはマフィアが似合う!!そして彼の妻役は「ダーク・シャドウズ」のミシェル・ファイファー。彼女はコメディアンヌに転身を考えているのか??御歳55歳!まだまだイケてます!FBIの捜査官役は「リンカーン」のトミー・リー・ジョーンズ。終始ブスっとした表情は缶コーヒーのCMのキャラクターそのもの??そして私が注目したのは長女のディアナ・アグロン。ステキです。可愛いです。そして凶暴です!!監督は「レオン」「グランブルー」のリュック・ベッソン。彼の映画は軽いけど大好きです!!
フィルス  監督 : ジョン・S・べアード  出演 :ジェームズ・マカヴォイ、ジェイミー・ベル
Filth  2013年 イギリス映画
スコットランドの刑事ブルースはとにかく「ワル」だ。コカインを常用し、酒まみれの毎日。同僚の妻とセックス三昧、捜査現場で発見した未成年の少女にはワイセツなことをさせたり、刑事の風上にも置けない男だ。警察署では警部補へのプロモーションで同僚たちとしのぎを削っているが、彼は周りを陥れる事ばかりを考えている。ブルースの妻も彼の昇進を心から祈っている。そんなある日、管轄内で日本人の若者が撲殺されるという事件が起こる。先頭を切って事件の解決に乗り出したブルースだったが、なかなか進捗が見られず、イライラが募る。イライラを押さえるために酒を飲み、彼はどんどん深みにはまっていく。そしてブルースの過去が徐々に浮き彫りにされていく。そしてついにとんでもない事実が・・・・
私評:お前は病気だ!!・・・本当にとんでもないワルの警官が同僚を陥れ、女たちは服従させ、自分は出世のための点数稼ぎ。ドラッグと酒にまみれてフラッシュバックするする映像はまさに彼の頭の中。しかし、物語が進むにつれて完璧なはずの彼の計画はどんどん崩れて行く。そして彼の過去のトラウマや想像もできなかった事実が浮かび上がる。それこそとんでもなくショッキングな彼の裏の顔を見た時は、開いた口がふさがりませんでした。しかし、映画の冒頭で「何で??」と思っていたシーンの回答がそこにはあったのです。この展開はまったく読めませんでした。最後には「ワル」に同情しそうになってしまいましたよ。衝撃度120%!面白いです!主演は「ウォンテッド」のジェームズ・マカヴォイ。彼の同僚の若手刑事は「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベル、同僚の女性刑事には「28週後・・・」のイモージェン・プーツ、そしてドクター役は「ムーラン・ルージュ」のジム・ブロードベント(彼の壊れっぷりがまた、すごい!)。監督はジョン・S・べアード。映画でトリップしたい人にはおススメ??


前回の記事も読んでね~!



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