2004/11/14

今回は10日分を大放出?実はまだ3作品書いていないのです・・。
それにしても今回は当たりが多かった。イチ押し試作品がいっぱいです。

コニー&カーラ  監督:マイケル・レンベック  出演:ニア・ヴァルダロス、トニ・コレット
Connie & Carla  2004年 アメリカ映画
今週のイチ押し:コニーとカーラは幼い頃から仲良しで、しかも人の前で歌うことが大好き。今日も教室でふたりはラジカセの音楽に合わせ歌うが教室のみんなは・・・。そして年月は流れふたりは大人になるが、相変わらず歌が大好き。今日は空港の待合室で歌っていたが、誰一人として彼女たちの歌を聞いてくれなかった。そして夜はクラブでステージに上がるが散々な結果に・・。ショーのあと外に出た二人はクラブの男が何者かに殺されるところを見てしまう。顔を見られたふたりは車で逃げ出し、LAへと辿りついた。そこで身を隠すためにふたりが思いついたのはドラッグ・クイーンに扮してオカマの中にまぎれる事。オーディション代わりにステージで歌をうたうと・・・なんと大盛況!!以来、ふたりはオカマバーの看板スターになる。今まで、誰にも見向きもされなかったふたりには夢のようなステージだった。そんなある日、コニーは街でステキな男と出会う。しかも、彼はオカマバーの同僚の弟。しかし、自分の身分を明かすことができず、二人は男同士の付き合いを続ける。そしてふたりの地元からは、二人を追って組織の人間たちが・・
私評:きゃ〜!!デビー・レイノルズよ〜!!・・・「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」のニア・ヴァルダロスが、トニー・コレットというトンでもないパートナーと、トンでもないドラマを作ってしまった。もちろん、脚本はニアのもの。それゆえ、最初から最後まで笑いに次ぐ笑いでめちゃめちゃ楽しかったです。しかも、このふたりすごく歌が上手い。それも有名なミュージカルの歌ばかりなので、思わず一緒に口ずさんでしまいそうになる。ドラッグ・クイーンの格好もすごく様になっているんですよ。また、ふたりを取り巻くオカマたち、観客、そしてふたりを追う殺し屋もみんな面白いキャラクターで、みんなで寄って集って笑を取りに来ます。とにかく笑いっぱなしの90分。ゴキゲンでした。主演のふたりの他に、コニーが一目ぼれする男を「Xファイル」のデヴィッド・ドゥカヴニー。そして「雨に唄えば」のデビー・レイノルズが本人役で登場します。歳はとりましたが、相変わらずキュートで、ステキな歌声も披露してくれます。それだけでもお得な気分だけど、映画もとっても面白かったです。ちなみに製作総指揮はトム・ハンクス夫妻です。
Mr.インクレディブル  監督 :ブラッド・バード  声の出演:クレイグ・T・ネルソン、ホリー・ハンター
The Incredeibles  2004年 アメリカ映画
今週のイチ押し:ひと昔前・・・、この世の悪事はスーパーヒーローたちによって守られていた。中でもいちばん有名だったのが、ミスター・インクレディブル。彼の怪力は数々の惨事を最小限に食い止めた。まさに、彼は誰もが憧れるヒーローだった。しかし、一部の心ない人の反撃にあい、ヒーローたちはその職務を終え兼ね備わった力も封印して一般の人々に混ざってひっそりと生活をしていた。インクレディブル=パーはスーパー・レディと結婚し、3人子供にも恵まれ幸せいっぱい・・のはずだったが、彼はヒーロー時代が忘れられなかった。不満は子供たちにもあった。スーパーヒーローたちの子供は、やはり特殊な能力を受け継いでいたのだ。長女のヴァイオレットは特殊なバリアを張ることができるが、普通でない自分に恋は無縁と思っていた。長男のダッシュは超高速で走る事ができるのに、人前で全力で走れない事が不満。そんなある日、パーの元に荷物が届く。その中には「スーパーヒーローが必要なのです」というメッセージが入っていた。ついにMr.インクレディブルの本領を発揮する場所を見つけたパーだったが、そこには恐るべき陰謀が隠されていた。Mr.インクレディブルの危機を知った妻と2人の子供は彼を救出するために立ち上がったが・・・。
私評:もう君を2度と失いたくないんだ・・・さすがはピクサーの作品にハズレなし。今回も楽しませていただきました。過去の栄光にすがるお父さんがいじらしい・・。しかし、しっかり物のお母さんが家族をまとめ上げる。そして子供たちは子供たちで・・・センシティブな年頃の長女といたずら盛りの長男。最初はなんだかバラバラだった家族がだんだんとひとつになっていく様がすごく気持ちがイイ。ヒーローであることもMr.インクレディブルの中ではすごく大きな事なのですが、その大いなる力を家族のために使うとなると、また一味違う。どんなに大きな危険が待ち受けていようと「愛する人たちを守るための力」はいつも以上の力を発揮するのです。そして次男の赤ん坊も・・・(謎)。主人公のMr.インクレディブルの声を担当するのは「ポルターガイスト」のクレイグT・ネルソン。もうサイコーです。彼の妻役はホリー・ハンター。画面を見ているときは彼女の顔は浮かんでこなかったけど、しっかり者の母親という役ではピッタリでした。そしてスーパーヒーローの一人フロズン役でサミュエル・L・ジャクソンが登場します。この映画は元気が出ますよ〜。映画が終わったあとにスキップをしたくなったのは私だけではないはず・・・・
モーター・サイクル・ダイアリーズ  監督 : ウォルター・サレス  出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、ロドリゴ・デ・ラ・セルナ
The Motorcycle Diaries  2004年 イギリス・アメリカ映画
今週のイチ押し:1952年。23歳のエルネスト(のちの革命家チェ・ゲバラ)は友人のアルベルトと共にバイク旅行に出発した。アルベルトのモーターサイクル、ボデローサ号に乗り、本でしか知りえなかった南米大陸の横断に出たのだ。彼が企画した大胆なコースはアルゼンチンからパタゴニアへ、そしてアンデス山脈からチリの海岸線を通りペルーのアマゾン上流から南米大陸の北端へと抜けるコースだった。しかし、ボデローサ号は故障が多くなかなか前に進まない。しかも、彼らは金がなく寝場所と食料を確保するのもやっとだった。医学生のエルネストは旅の途中で知り合った老女の治療に手を貸す。大事な手持ちの薬を彼女に与えるが、自分の無力さを思い知らされる。そしてついにボデローサ号が壊れてしまう。徒歩で歩みを進める二人はバイクからでは見出せない新たなラテン・アメリカを発見するのだった。ふたりはサン・パブロにあるハンセン病施設での仕事を得るが・・
私評:あのバカやったぞ!やると思ってた!!・・・・南米の革命家として有名なチェ・ゲバラが若かりし頃に実際に行った南米横断の旅。彼の手記を元に作られたのがこの映画だ。私はこの映画は単なるロードムービーだと思っていたのですが、あまりに奥が深い内容でビックリした。青春映画でもあり、そしてひとりの勇者が誕生するまでの軌跡でもあるのです。チェ・ゲバラ=エルネストの心に火をつけたのは、この旅の中で知り合った多くの人々の笑顔であり、苦悩であり、そして優しさなのだ。地元にずっと住んでいたら、彼の才能は発揮されずに終わっていたのでしょうね。もちろん、カストロとの出会いもなかったでしょう。チェ・ゲバラの残した数々の偉業を知っていると映画のシーンとも繋がってくるシーンがたくさんありますので、彼の事をちょっと勉強しておくとより一層この映画が楽しめるかもしれません。主演は「アモーレ・ペロス」のガエル・ガルシア・ベルナル。南米の人という濃い顔に陽気な性格というイメージがありますが、彼は(もちろんハンサム)で、しかも知性を感じる。そしてまさに南米人という感じのロドリゴ・デ・ラ・セルナ。陽気な彼がエルネストのナイーブさを引き立てている。監督は「セントラル・ステーション」のウォルター・サレス。彼の次回作が「仄暗い水の底から」のリメイク「ダーク・ウォーター」と言うのも不思議な感じがします・・。そしてこの映画のために一役買っているのがロバート・レッドフォード。製作総指揮の彼はこの映画のスタッフ&キャストは全て南米の人間が行うべきだと信じ裏方に回ったという。まさに、それは正解でしたね。
いま、会いにゆきます  監督:土井裕泰  出演:竹内結子、中村獅童、武井証
 2004年 日本映画
今週のイチ押し:秋穂巧は1年前に、妻の澪に先立たれ息子の祐司と二人暮し。巧は澪を幸せにできなかったと思い込んでいた。また、祐司も自分が生まれたせいで母親が死んだと思い込んでいた。巧は学生時代に患った神経系の病と闘いながら、息子のためにひたすら働き続けた。そんなある日、祐司は澪が残した絵本の話を切り出す。『雨の季節が来たら帰ってきます・・・』そして本当に雨の中で澪が蘇り戻ってきたのだ。しかし、彼女は生前の自分の記憶を全て失くしていた。澪を家に連れ帰り再び3人の生活が始まった。澪のために巧は自分たちの馴れ初めを聞かせているうちにふたりは、再び恋に落ちた。しかし巧と祐司は知っていた。雨の季節が終わったら、彼女がまた、消えてしまうことを・・
私評:「おはよう・・」「おはよう・・」・・・とてもファンタスティックな作品でした。実際には起き得ない話でも、こういうステキな奇跡だと信じたくなりますね。また、そういう気持ちを持てることが、私的には健康な心を保っているバロメーターです。とにかくこの映画は映像が美しい。オープニングで映る湖、森の中の散歩道、その中に佇む廃工場、そして夏の訪れを教える空・・。それだけで写真集にしたいくらいきれいな絵でした。そしてこの映画の中ですごく心に響いた言葉は、日頃私たちが家族、知人の間で何気なく使っている「挨拶」なんですね。「おはよう」とか「いってらっしゃい」とか、声を掛けられることの幸せってあるんですね。私はひとり暮らしが長くなってきたので、余計にそういう言葉に敏感になっていたのかもしれませんが・・・。主演は好感度No.1女優の竹内結子と最近映画に出まくりの中村獅童。このふたりはとにかく良かった。そしてこのふたりが導く、物語の最後のとびきりの奇跡では、涙がとめどなく流れました・・・。そして映画のエンドクレジットで流れるOrange Rangeの「花」が良い歌なんですよね〜。この曲に合わせて澪が遺した「絵本」がめくられて行きます・・・・。
オー!マイDJ  監督 :キム・ジンミン  出演:イ・ウンジュ、イ・ボムス
Au Revoir! UFO  2004年 アメリカ映画
先天性の視覚障害を持つギョンウは、大学で働くハンサムな彼と別れたばかり。彼女は失恋の痛手を癒すためUFOが出現したというクッパバルという所に引越しする。電話相談所で働くギョンウは毎晩クッパバル行最終バスに乗って帰るが、そのバスにはいつも失恋の痛みを訴えるラジオ放送「パク・サンヒョンとティティパンパン」が流れる。内容は思い切り幼稚だが、優しさに包まれた内容は彼女の心に静かに染み入った。じつはこの番組は本物ではなく、サンヒョンが夜な夜な自宅でローテクを駆使して録音しているオリジナル番組。また、これが彼の唯一の楽しみだった。ある日街で彼女と偶然出会ったサンヒョン。女性との会話にもなれていないサンヒョンは彼女に名前も職業も偽ってしまう。そして勢いでついてしまった嘘を隠すため、サンヒョンは町の人間まで巻き込んで嘘を上塗りしていく。しかし、嘘がふたりの間にある限り二人の距離は縮まらない事に気づいたサンヒョンは真実を告げる決心をするが・・・・
私評:「UFOを見ると願いが叶うらしい」「それじゃあ、きれいなばあさんが降ってくるかな?」・・・またまた、韓国から鳥肌が立ちそうなほどベタなラブ・ストーリーがやってきた。たぶん、これを日本で作ったら鼻持ちならない作品になってしまうのでしょうが、韓国はこういう映画の作り方が上手いです。もちろん、主演のイ・ボムス、イ・ウンジュのふたりのキャラクターがピタッとはまっている事が大きな要因ではあるのですが、韓国映画はこういう(いかにも少女漫画ちっく)作品を作るのが本当に上手い。遊園地のデートシーンなんか、まさにその王道!そしてあの韓国語の響きも多分にあると思うんですよね〜。イ・ボムスというのは決して二枚目ではないけど、もてない男の哀愁をプンプン漂わせた良い役者です。そしてヒロインは私のお気に入りイ・ウンジュ。最近、映画に出演するたびに死ぬ役ばかりだった彼女ですが、今回は死にません!(笑)そして映画の後半での『ある奇蹟』は私的にはとてもお気に入り。そして映画のあとの、あの何とも言えない心地良さといったら・・・・。そして忘れられないのが、彼の住む町のオっさん役で登場のビョン・ヒボン。「ほえる犬は噛まない」の警備員役でも怪しい魅力を振りまいていたのですが、この映画でもイイ味を出してます。(笑)
笑の大學  監督 :星譲  出演:役所広司、稲垣吾郎、高橋昌也
 2004年 日本映画
時は昭和15年。日本は中国と戦争中で第2次世界大戦を間近に控えていた。そんな時、ひとりの劇作家が警視庁の取調室に向かった。彼の名前は椿一(つばきはじめ)。浅草で人気を誇る喜劇団「笑の大學」のお抱え作家だった。戦争の色が濃くなるに連れて芝居の脚本の検閲が厳しくなり、検閲官のはんこを貰わなければ芝居を打つことができなかったのだ。新しく赴任した検閲官の向坂睦男は今まで笑った事がないという堅物男。彼によると椿が書いた「ジュリオとロミエット」は「お話にならない」という。舞台は外国だし、主人公は外国人。即刻向坂は書き直しを命じた。翌日、椿は「ジュリオとロミエット」を「寛一とお宮」に置き換えて持参した。椿が言うには「この設定にした方が話が面白くなった」らしい。しかし、向坂は訂正箇所を小出しにして次々と脚本を書き換えさせる。これは彼の作戦だったのだ。しかし、手直しをするたびに面白くなっていく脚本に向坂もじょじょにはまっていく・・・
私評:猿また、失礼!・・・・ラジオから舞台に、そして映画にと次々と進化していったこの物語。映画も登場するのは、ほとんど主役のふたりだけだし、物語の大半は取調室の中のふたりの会話だけで紡がれていく。しかし、これが面白いんだ。実に面白い!!椿役の稲垣吾郎には最初のうちは違和感があったのですが、すぐに心配は消えていた。そして向坂役の役所広司ははまり役。彼以外にはちょっとあの役は考えられない。そして背中合わせだったふたりの関係がだんだんと近づき、二人で物語を作り上げていく展開は笑えるのだけど、なんだかしみじみと感動してしまいました。ちょっと大袈裟すぎるふたりの芝居が、逆にこの映画にはピッタリでした。脚本は売れっ子作家の三谷幸喜。彼の作品は安心して見られます。ちなみにNHKの大河ドラマ「新撰組」も私は見ています。ふたり以外では年寄りの警察官に高橋昌也、笑の大學の座長は小松政夫。そして小さな役で木梨則武と加藤あいが出ていますので見つけてください。監督は星譲です。実はこの物語の椿一のモデルになったのは浅草で有名だった劇作家菊谷栄。エノケンこと榎本健一の元で働いき才能を開花したのですが、戦争で召集され帰らぬ人になったそうです。パンフレットに彼に関する記事があって、なんだかとても感動してしまいました・・・
80デイズ  監督:フランク・コラチ  出演:ジャッキー・チェン、スティーブ・クーガン
Around The Worild In 80 Days  2004年 アメリカ映画
19世紀末のロンドン。白昼堂々と銀行強盗に入ったのは中国人のラウ・シン。警察の追跡を逃れ、彼がたどり着いたのは発明家のフォッグの家だった。彼の実験台の男が逃げてしまったのをいい事に、ラウ・シンは彼の使用人となり身柄を隠すことにした。王立科学アカデミー長官のケルヴィン卿は銀行から翡翠の仏像が盗まれ怒り心頭。この仏像を彼に託したのは中国人のファン将軍だった。彼女は仏像と引き換えに軍事援助を求めていたのだ。そこに現れたフォッグは勢いで「80日間で世界一周できる」と言ってしまう。意地悪なケルヴィン卿はフォッグと大きな賭けをしようと言い出す。フォッグが勝てばアカデミーの長官の座はフォッグのものに、しかし、もし失敗すれば今後2度と発明をしてはいけない。パスパルトゥという偽名を名乗るラウ・シンとともに世界一周の旅に出発したフォッグ。しかし、前途には数々の罠と障害が待ち受けていた・・・
私評:「何もかも失ってしまうわ」「いや、友人を手に入れた。そして友人以上の・・」・・・アメリカでは大コケしてしまったこの映画。制作費120億円も使ったのに・・。しかし、私はオリジナル版(デビッド・ニーブン主演版)が好きなので、これも観なくちゃ!と思っていました。観終えた後の率直な感想は・・・、けっこう面白いじゃん!。主演をジャッキー・チェンにしたのも正解でしたね。壮大なアドベンチャーにアクションシーンが加わり、面白さ2倍。そして要所要所に登場する意外な大スターたちにも、笑えます。まずはシュワちゃん。ナルシストの王子役はお手の物でしょう。そしてライト兄弟役で登場するのが某兄弟。そして女王役で登場のキャシー・ベイツ、ラウ・シンの村の武芸の達人役でサモハン・キンポー(さすがに歳をとったな〜・・・)等々。これは映画を楽しむ上でこれは外せないでしょう!フォッグを演じるのはスティーブ・クーガン。彼ってすごくイイ役者だとはおもうのですが、この映画ではどうも冴えない。ビッグネームを使えば、もっとヒットしたと思いますよ。そして二人の旅に加わる美女役はセシル・ド・フランス。先日スパニッシュ・アパートメントでもイイ演技を見せていた彼女ですが、この映画のセシルも可愛かったです・・。その他「ムーラン・ルージュ」のジム・ブロードベント、香港の人気女優カレン・モクなど、楽しいキャラクターがいっぱい。まさにエンターテイメント作品でした!!
オールド・ボーイ  監督:パク・チャヌク  出演:チェ・ミンシク、ユ・ジテ、カン・ヘジョン
Old Boy  2003年 韓国映画
1988年。呑んだ暮れのサラリーマン、オ・デスは警察で大暴れ。友人のジェフォンが迎えに行き、やっと釈放された夜・・。ジェフォンが公衆電話で話をしている間にオ・デスは行方不明になってしまう。オ・デスが目を覚ますと狭い部屋に監禁されていた。ここがどこなのか?なぜ、自分が監禁されているのか?いつまでここにいるのか?何の答えもないまま月日は過ぎていく。3年が過ぎた頃から、彼は獄中記を書き始める。6年が過ぎた頃から鉄箸を使い壁に穴を掘り、体を鍛え始める。そして15年の月日が過ぎたある日、彼は急に開放された。そこは彼が15年前に行方不明になった公衆電話があった場所。そしてホームレスの男から財布と携帯電話を渡される。寿司屋で板前の女と話をしていると携帯が鳴った。「お前は誰だ!?」思わず叫ぶオ・デス。しかし、相手の男は不敵に、オ・ジテが抱えている「なぜ?」を突き止めろという。その場に倒れこんでしまったオ・デスは板前の女の部屋で目を覚ます。彼女の名前はミド。オ・デスは監禁中に食べさせられた餃子にまぎれていた「青龍」という名前の伝票を思い出し、ふたりで「青龍」の名前の中華料理店をしらみ潰しで探し始める。頼りは彼の味覚だけ。そしてついに「紫青龍」という店を突き止めるが・・・・。そしてミドが使っていたチャットから「エバーグリーン」と名乗る男が姿を現す・・・
私評:私のこと忘れないで。お願いよ・・・・今年のカンヌでタランティーノが絶賛したと言うこの作品。まさに、タランティーノが好きそうな話でした。と言うのは複雑に絡まった人間模様、生理的にすご〜くイヤなシーンの演出、そして見事なまでに計算されたセリフ。事件の裏には悲しい事件があり、そして計算されつくした企みがあるのです。それは映画を観てのお楽しみと言う事で・・・。この映画は一言で言うなら「復讐劇」です。映画の前半で振られるたくさんの「謎」をひとつひとつ解き明かしていくのがこの映画の楽しみです。しかし、これが一筋縄では行かない。犯人が見つかってからの「なぜ?」を追い求める展開が私は好きですね。それは悲しい事件なのです・・・。今までカンヌでの受賞作品とはどうも相性が悪かった私ですが、この映画は楽しめました。主演は「シュリ」での北朝鮮軍の隊長役が印象的だったチェ・ミンシク。そして事件に絡む謎の男は「春の日は過ぎゆく」のユ・ジテ。そしてミド役は何とも魅力的な新人カン・ヘジョン。彼女の醸し出すアンニュイな雰囲気がとても印象的でした。今後が楽しみな女優です。そして監督は「JSA」のパク・チャヌルです。原作は日本のマンガなのですが、果たして日本でこの作品を作ったら、ここまでのクオリティを出せただろうか??ハリウッドでのリメイクも決まったらしいけど、あまり期待せずに待ちたいと思います。
キャット・ウーマン  監督:ピトフ  出演:ハル・ベリー、シャロン・ストーン
Cat Woman  2004年 アメリカ映画
巨大な化粧品会社で宣伝用のデザインをしているペイシェンスは、才能は溢れているものの、内気な性格。しかも今回、彼女がデザインした絵が社長に気に入られずやり直しを命ぜられる。その期限は明日の深夜。やっとの思いで書き上げた作品を届けるため、彼女は会社を訪ねるが、そこで彼女はとんでもない事実を聞いてしまう。それは新しく発売される化粧品に有害な副作用があるということだった。警備員に見つかった彼女は廃棄水と一緒に流され命を落としてしまう。しかし、彼女の屍に次々と猫たちが集まってくる。その中の一匹が彼女の顔に近づき・・・。そして彼女は生き返った。しかも、今までとはまったく別の人格を併せ持って。そんな時、ペイシェンスが働いていた社内で殺人事件が起こる。しかも、犯人は「キャット・ウーマン」だという。実は社内では恐ろしい企みが進行しつつあったのだ・・・
私評:ミャオー・・・この映画を見るまで、私の中では「キャット・ウーマン」と言えばミシェル・ファイファーだった。「バットマン リターンズ」にキャット・ウーマン役で登場したミシェルは美しくて、しなやかで、セクシーで・・・。とにかく素晴らしかった。しかし、今回のキャット・ウーマン役のハル・ベリーがまた、素晴らしかった。正直、ミシェルよりも良かったです。抜群のスタイルを強調するレザーの服、そして要所要所の動きもまさに猫のようでした。アクションシーンもスタントなしで頑張っていました。いまや、ハル・ベリーといえばセクシーな女優の代名詞。この作品で彼女の「格」がまたひとつ上がった事でしょう。そして今回、ハルの向こうを張る悪女役はシャロン・ストーン。化粧品会社内に彼女の写真がたくさん貼られているのですが、かなり無理が感じられて私は苦笑してしまいましたが・・。しかし、彼女の悪女ぶりは素晴らしい。まあ、こういう映画は『悪』が個性的でないと盛り上がってきませんからね。クライマックスでの女同士のガチンコの殴り合いはこの映画の見所のひとつでしょう。監督は「ヴィドック」で不思議な世界を演出したピトフ。今回はCGを多用しながらも違和感のない演出がイイ感じです。


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