2006/11/5

先週、サボってしまったので今回は2週間分です。
しっかり8作品アップさせていただきます!
イチ押しは全て邦画です。やっぱり今は邦画が強いでしょう!

デスノート The Last Name  監督:金子修介  出演:藤原竜也、松山ケンイチ、戸田恵梨香
Death Note -The Last Name-  2006年 日本映画
今週のイチ押し:キラ逮捕のために捜査本部に乗り込んだ夜神月(ライト)はついにLと対面した。しかし、そんな時、第2のキラと名乗る何者かがさくらテレビにメッセージビデオを送りつけた。そして放映日に多数の死者が出た。もうひとつのデスノートを手にしたのは人気アイドルの弥海砂。彼女は家族を強盗に皆殺しされるという過去を持っていた。その犯人に天誅を下したのがキラだったため、海砂はキラを崇拝していた。しかも、彼女は顔を見た人間の名前を知る事のできる「死神の目」を入手していた。ほどなく月と海砂は出会うが、Lはそんなふたりを不審に思い、海砂を監禁してしまう。月も自ら監禁されることを申し出、自分がキラでないことを証明しようとするが、そこには月のとんでもない策略が隠されていた・・・
私評:それが私の最後の失敗です・・・もはや社会現象にまでなっている「デスノート」の続編にして完結編が公開された。しかも、原作とは違うラストになっている・・。1作目がいい所で終わっていたので、続編は早く観たくて仕方なかった。そして見た感想を率直に言うとめちゃめちゃ面白かった。コミック版はLとの戦いの後、色々なキャラクターが次々と登場し大風呂敷を広げすぎた感があったのですが、映画版は最後まで月とLの戦い。しかも、そこに原作に登場する魅力的なキャラクターがちょっと違うシチュエーションで登場したりするんですね。ラストの大どんでん返しもやられた!という感じ。L、カッコ良すぎです。それにしても2時間20分をこんなにも短く感じたのは久しぶりかも・・??夜神月役はすっかりこの役が板に付いた藤原竜也。そしてL役はこれまたピッタリの松山ケンイチ。そして私が今回一番注目していた(反面すごく心配だった)ミサミサこと弥海砂役は戸田恵梨香。ところが彼女がすごく良かったです。そしてもうひとり注目したのはさくらTVの女性キャスター役の片瀬那奈。頭が良くて真面目でちょっと地味な女役なのですが、彼女の豹変ぶりときたら・・。デスノートのコミックを読んでいた私も大満足の作品でした。
虹の女神 Rainbow Song  監督:熊澤尚人  出演:市原隼人、上野樹里、蒼井優
Rainbow Song  2006年 日本映画
今週のイチ押し:小さな映像会社に入社したばかりの智也は毎日失敗ばかり。そんな彼の携帯に大学時代からの友人のあおいが、アメリカでの飛行機事故で死んだという知らせがあった。ふたりの出会いは最悪だった。あおいの勤めているレコードショップで智也はもうひとりの女の子と仲良くなりたくて、あおいに声を掛けたのだ。現金に釣られてあおいも協力するが彼女は来なかった。失恋した智也とキューピッド失格のあおいの頭の上に虹が出ていた。その後、智也はあおいが所属する大学の映画研究部に半強制的に入部させられる。そしてあおいの監督作品「The End Of The World」に主演する事に。今度は主演女優の今日子に恋をした智也は、あおいにラブレターの代筆を依頼するのだった。ふたりの間は確実に近づいていたが、お互いがそれを「恋」とは気付いてはいなかった・・
私評:笑った顔がいちばん好き・・・またしても上野樹里ちゃん目当てで映画館に行って来ました。そしてまたしても樹里ちゃんの新たな女優としての一面を垣間見て、彼女の懐の深さを悟りました。この映画の主人公の智也とあおいの関係は、本当にじれったい。しかし、途中で自分の本当の気持ちに気付いたあおいに対する智也の態度・・。これまたじれったいのです。男女間の友情ってやっぱり微妙ですよね。だけど、そんな微妙な男女のやりとりが本当に上手に描かれていました。そして気付いた時には既に遅くて・・・この映画は8つのチャプターがあり、それぞれで智也の色々な側面を描いていく手法になっています。そして映画の最終章「虹の女神」で智也が知らされる事実・・。泣けました〜。この映画の主演は市原隼人。彼は表情がいいですね。この映画では最初の頃は彼に違和感があったのですが、どんどん彼のペースに引き込まれてしまった。今、上映中の「天使の卵」にも主演した売れっ子です。そして相変わらずちょっとお転婆な女の子と、秘めた恋に悩む女の子の両方を演じる上野樹里ちゃん。グッドでした。そして「亀は意外と速く泳ぐ」では樹里ちゃんの同級生だった蒼井優ちゃんが、目の不自由なあおいの妹役を好演。そして「間宮兄弟」の佐々木蔵之介も実にいい演技を見せます。監督は「ニライカナイからの手紙」の熊澤尚人。
手紙  監督:生野慈朗  出演:山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカ
 2006年 日本映画
今週のイチ押し:川崎のリサイクル工場でひたむきに働く無口な青年がいた。彼の名は武島直貴。彼の兄は強盗殺人の罪で無期懲役の服役中。それゆえに直貴は人目を避けるようにひっそりと生きている。そんな彼の夢は中学生の時からの親友祐輔とコメディアンになる事。今日も昼休みを使って練習には余念がない。そんな直貴に親しげに声を掛けてくる女性がいた。同じ工場で働く白石由美子だ。しかし、彼女の事は直貴にとっては煩いだけだった。兄の事を知られてしまい、会社の先輩を殴ってしまった直貴は、その夜詫びを入れてきた先輩から「夢を諦めるな」と励まされる。そして本格的なコメディアンになるために祐輔と東京に出た。彼らの才能は認められ、二人はめきめきと頭角を現すがまたしても「人殺しの弟」という誹謗中傷が彼を追いかけてくる。せっかく手に入れかけた栄光なのに・・
私評:私たち3人は堂々と道の真ん中を歩いていくの・・・やられました。映画の最初からかなり暗い展開で、しかも直貴が行く先々で受ける「差別」に私自身もどんどんブルーになっていく。しかし、こういう事って実際にありますよね。身内が犯罪者であるがために、関係のない家族や身内、しいては友人までが不当な「差別」を受ける・・。しかし、この映画の中では、そういう差別を「悪」とは決して描いていない(もちろん原作でも)。そしてそんな被害にあっている人も逃げてばかりいてはいけないと説いている。それは決してきれい事で片付けられる問題ではないけれど・・。そして映画は終盤に入り感動のつるべ打ちとなりました。ラストの刑務所慰問のシーンで涙・・。そのシーンに小田和正の「言葉にできない」がかぶさりさらに感動の頂点へ。この演出には泣かされました。主演はこういう暗い男がピッタリの山田孝之。そして兄の剛志役は玉山鉄二。そして出演作が目白押しの沢尻エリカ。彼女の関西弁はいただけませんが、やはりこの子はすごい素質を持っています。監督は「どっちもどっち」以来16年ぶりに映画の監督を務めた生野慈朗。
地下鉄に乗って  監督:篠原哲雄  出演:堤真一、大沢たかお、岡本綾
 2006年 日本映画

小さな下着メーカーの営業をしている真次は、父親が倒れたというメッセージを弟から受け取った。父親の佐吉は1代で巨大企業を立ち上げた男だが、真次が高校を卒業と同時に縁を切っていた。その日は若くしてこの世を去った真次の兄の命日だった。地下鉄の通路を歩き、外に出た真次は外の景色がいつもと違う事に気付いた。なんとそこは昭和39年の東京だった。そしてふたたび真次は時空を超え終戦直後の闇市の近くにいた。そこで真次は若かりし日の父親(アムールと呼ばれていた)と出会った。常に生と死の狭間で必死に生きるアムールと行動を共にしているうちに、なぜか真次は彼と心を通わせていく。そんな中で真次は愛人のみち子と遭遇する。彼女も訳が分からないうちにこの時代に飛ばされてきたのだ。その後も戦時中にも時空の旅をした真次はさらに若い父と出会う。果たしてこの旅の目的とは何なのか??・・・・

私評:あなたのような父親を持って幸せでした・・・浅田次郎の名作が映像化された。この小説は大好きで3回くらい読み直しています。それくらい思い入れがあったので期待と不安が半々だったのですが、見事に私の期待に応えてくれました。こういうSFっぽい設定だとどうしても嘘っぽい部分が見えてしまうのですが、その辺りは演出の上手さで「人間同士の絆」を表に出すことによって深みのある映画になっている。父親の過去を知って自分が知らなかった父、そして自分が勘違いしていた本当の父親に出会い心を開いていく展開がサイコーでした。かと言って私の父親の若い頃に会いたいとは思いませんが・・(笑)この映画で目を引くのは堤真一と大沢たかおの素晴らしい演技。このふたりの絆が作品の核になっているのですが、本当に見事なまでに演じきっています。そして岡本綾も幸の薄い感じがこの作品とマッチしていて良かったです。唯一、常盤貴子はミスキャストだったかも??そしてエンドクレジットで流れるSalyuの「プラットホーム」は名曲です。もちろん、CDを買いました!!監督は「深呼吸の必要」の篠原哲雄。
トリスタンとイゾルデ  監督:ケヴィン・レイノルズ  出演:ジェームズ・フランコ、ソフィア・マイルズ

Tristan & Isolde

 2005年 アメリカ映画

暗黒時代のイングランド。ローマ帝国の崩壊とともに部族は分割して領土を持ったが冷酷なアイルランドの王が事実上権力を持っていた。そんな中でタンタロン城では領主のアラゴンの呼びかけで同盟の締結が行われようとしていたイギリスがひとつにまとまればアイルランドを打ち負かせる・・。しかし、締結を目前にその場にアイルランドの兵隊が押し寄せてきたアラゴンはもちろん妻も殺されてしまうが、彼らの息子トリスタンはマーク卿に救われてマークの国コーンウォールへと連れて行かれた。9年後、トリスタンはアイルランドとの諍いで重症を負う。死んだと思われたトリスタンはいかだに乗せられ海へと放たれる、アイルランドの浜へと打ち上げられた。彼を発見したのはアイルランド王の娘のイゾルデだった。イゾルデの介護で元気を取り戻したトリスタンは初めて恋をする。もちろんイゾルデも。しかし、このふたりの運命の出会いがやがて悲劇を巻き起こす・・・・

私評:これほどの苦渋がこの世にあるのだろうか・・・「ロミオとジュリエット」の元になったというこの作品。確かに歴史絵巻であるのですが、物語のメインになっているのは若いふたりのラブストーリー。しかし、これほどまでに皮肉な運命に流され愛を掴み取れないふたりは「可哀そう」としか言いようがない。しかも、トリスタンはイゾルデを尊敬するマーク卿の嫁に差し出すのですから・・。もちろん、こういうラブストーリーだけではなく壮絶な戦闘シーンも要注目です。そしてもうひとつの注目はため息が出るほど美しいイギリスの田園風景です。トリスタンを演じるのは「スパイダーマン」のジェームズ・フランコ。そしてイゾルデ役は「アンダーワールド」のソフィア・マイルズ。彼女も美しいですね〜。マーク卿役は「ブレス・ザ・チャイルド」のルーファス・シーウェル。そして少年時代のトリスタン役は「ラブ・アクチュアリー」のトーマス・サングスター君。監督は「ウォーターワールド」のケヴィン・レイノルズです。

ホステル  監督:イーライ・ロス  出演:ジェイ・ヘルナンデス
Hostel  2006年 アメリカ映画
アムステルダムのカフェで麻薬を楽しむパクストンとジョッシュは、アメリカから来た大学生。バックパックをしながらヨーロッパを回っている。途中でアイスランド人のオーリーも仲間に加わり3人は過激な遊びに呆けていた。ホステルの門限をすぎてしまった3人はアレックスという男の部屋に招きいれられた。そこで3人はスロベキアのブラティスラバという街の情報を入手する。そこはヨーロッパで最高の女たちが待っている街だという。それを聞いた3人はスケジュールを変更してスロバキアを目指した。噂は本当だった。セクシーなルームメイトが昼夜を問わず濃厚なサービスでもてなしてくれる。3人はまさに天国の気分を味わっていた。しかし、ある朝オーリーが忽然と姿を消してしまう。ただひと言「帰国する」とメールが届くがパクストンとジョッシュは納得がいかない。そんな矢先、今度はジョッシュが姿を消す。ようやくパクストンは自分たちが恐ろしい事態に陥っている事を知るが・・・・
私評:ここは最高だが、金を全部失くすぞ・・・この映画の監督、イーライ・ロスはあのキモイ「キャビン・フィーバー」の監督。その男とQ・タランティーノが組んで作った映画がこの「Hostel」です。前半はエロチックな女たちにメロメロになるバカな大学生たちの珍道中なのですが、途中からは強烈なスプラッター映画に変わっていきます。その映像の過激なのなんのって・・・。しかも、このスロバキアの風光明媚な町でとんでもない取引が行われていたのです。それは人道的に最も下劣な事。しかし、こういう事って実際にあるらしい・・。その時点で私の神経は思い切り逆撫でされ不快感のピークへ達しました。「キャビン・フィーバー」もそうだったのですが、この監督は本当に私の苦手な箇所をピンポイントで攻めて来るのです。でも、自らをホラーファンと称する私は負けません!(笑)主演はジェイ・ヘルナンデス。彼はパート2にも出演するそうです。そして特別出演で三池崇史が登場。彼の登場にはちゃんと伏線があって、被害に遭う日本人の女の子の女衒役なのです・・・。パート2も見に行きますよ〜!!
バタリアン5 監督:エロリー・エルカイェム 出演:ジョン・キーフ、ジェニー・モーレン
Return of the Living Dead : Rave to the Grave  2005年 アメリカ映画
トライオキシン5の入ったドラム缶を3つ、巨大企業から盗み出したチャールズ・ギャリソンは黒ずくめの男と取引をしていた。中身がホンモノかどうかを見せるため、死体にガスを吸引させると、死体が再び動き出した。しかも、チャールズはその場でバタリアンにかみ殺されてしまう。おじの死を知ったジュリアンは、おじの家で2つのドラム缶を発見する。化学オタクのコーディに中身の調査をさせると、コーディはドラム缶の中の液体がドラッグとして使える事を発見する。ジュリアンには反対されるが、こっそりとドラッグ「Z」を大量に作ったコーディはそれらを売りまくり大金を得た。そのドラッグがハロウィンパーティーで大量に配られた。若者たちは大音響の音楽と酒、そして「Z」に酔いしれた。しかし、「Z」を口にした者たちが次々とバタリアンになっていく。そしてバタリアンに襲われた者も・・。パーティー会場は阿鼻叫喚の修羅場と化していく・・・・
私評:ブレイ〜ン・・・今回はドラッグが元でどんどんバタリアン化して行く若者たちが大暴れ。相変わらずのスプラッターシーン満載で、はずしません。この作品はスプラッターホラーの安心マーク?しかも、今回は美女のヌードも満載でそちらの方も満喫しました。(笑)そしてバタリアンのファンにはお馴染みの「タールマン」も登場。こいつがなかなか粋なヤツで笑わせてくれるんですよ。一応、シリーズの最終章らしいのですが作ろうと思えば続編はできちゃうでしょうね。チラシやパンフレットの一番上にクレジットされているのは「E.T.」のピーター・コヨーテですが、最初の10分くらいで死んじゃいます。(笑)一応、物語の主人公は「4」にも出ていたジョン・キーフとジェニー・モーレン。ジェニー嬢は美人だし、スタイルも抜群だしかなりポイントが高いです。監督も「4」に続いてエロリー・エルカイェム。
犬神家の一族  監督:市川昆 出演:石坂浩二、松島菜々子、深田恭子
 2006年 日本映画
名探偵の金田一耕助は那須にいた。地元の法律事務所の若林の依頼でこの地の大財閥「犬神家」で恐ろしい事件が起こるというのだ。しかし、金田一に捜査を依頼した若林はタバコに仕込まれた毒で殺されてしまう。彼に代わって金田一に調査を依頼したのは若林を雇っている古舘だった。日本の製薬王と言われた犬神佐兵衛は莫大な資産を残して他界した。彼の遺書は犬神家佐兵衛の3人の娘とその家族が全員揃った時に開封される事になっていた。そして最後のひとりが犬神家に到着した。黒い布を頭からすっぽり被った男は犬神3姉妹の長女・松子の息子佐清だった。ついに犬神佐兵衛の遺言が開封された。なんと、遺書は犬神家の全財産は幾つかの条件の下で野々宮珠代に与えるという内容だった。それ以来、犬神家では連続殺人事件が起こる。果たして名探偵金田一耕助の推理は??・・・・
私評:あなたは犯人を庇っているのでしょう??・・・・昭和のミステリーの名作「犬神家の一族」が同じ監督、そして金田一耕助も同じキャストでリメイクされた。「犬神家の一族」は大好きな映画なので21世紀の今日、新たな気分で見直すのも良いかな?と思って映画祭に臨みました。しかし、このリメイクが前作にそっくりに作ってあってビックリ。カメラアングルからセリフまでピッタリそのまま。それはそれで面白くはあるのですが・・、私は昭和版の方がはるかに良いと思いました。というのはキャストの差なのです。金田一を演じる石坂浩二、そして珠代を演じる松島菜々子はかなりポイントが高いのですが、犬神3姉妹の富司純子、松坂慶子、萬田久子は昭和版の高峰三枝子、草笛光子、三條美紀の足元にも及ばない・・。佐清、佐武、佐智もなんかぱっとしないし・・。深田恭子も昭和版の坂口良子には適わない・・。平成版を最初に見ていればきっとかなり面白かったのですが、昭和版が完璧すぎるんですよね。調子に乗って「悪魔の手毬唄」は「獄門島」を作ったりしないようにね・・・。くれぐれも申し上げておきますが決して悪い作品ではないんですよ。


前回の記事も読んでね〜!



I Love Movieに戻る