2006/10/22

今年も映画祭が始まりました。でも、週末以外はあまり見れそうもありません。
その中でまずは2作品を鑑賞。

武士の一分  監督:山田洋二  出演:木村拓哉、壇れい、緒形拳
 2006年 日本映画
今週のイチ押し:三村新之丞は30石の下等武士。文武ともに長けた彼だったが仕事は毒見役。仕事に満足は決していなかったが美しい妻の加世との慎ましくも幸せな生活には心から満足していた。そんなある日、いつものように毒見をした新之丞は突然激しい痛みに襲われ意識を失ってしまう。しかし、妻の必死の看病で一命を取りとめる。しかし、その毒が元で新之丞は視力を失ってしまう。目の見えぬ侍にはお勤めもできず、それどころか日常の身の回りの世話もままならない。1度は死のうとした新之丞だったが妻の説得でなんとか生きる道を選んだ。そしてお上からは『三上の家名は存続。30石の家禄もそのまま』という寛大な沙汰が出された。そんな時、新之丞の母親から、加世が男とふたりでいるところを目撃したという話を聞かされる・・・
私評:ともに死するをもって、心となす。勝ちはその中にあり。必死すなわち生きるなり・・・藤沢周平+山田洋二監督のコンビの作品もこれで打ち止めのようです。『たそがれ清兵衛』『隠し剣 鬼の爪』の2作とも大好きな私がこの映画を外すわけにはいきません。その結果は・・素晴らしい映画でした!!藤沢周平の時代劇は、舞台こそ侍の時代なのですが現在に通じる物を描いている。それは陰謀であったり、今回の場合は色沙汰であったり・・。そんな物語を山田洋二監督が、またしても見事なまでに素晴らしい作品にまとめあげました。しかし、今回の一番の注目は主演の木村拓哉でしょう。長年にわたりすごい人気を誇っている彼が、山田監督の作品の中でさらに輝きを増し、まさに鬼気迫る演技で私は圧倒されました。本当に素晴らしかったです。そして彼の妻役の壇れいがまた良いですね〜。そして新之丞に使える中間の徳平を演じる笹野高史も素晴らしい。その他にも、小林稔待、桃井かおり、緒形拳、坂東三津五郎という超強力な布陣。山田洋二監督の時代劇3部作を締めくくるには最高の作品だと思います。面白かった!!
スネーク・フライト  監督:デイヴィッド・R・エリス  出演:サミュエル・L・ジャクソン
Snakes On A Plain  2006年 アメリカ映画
今週のイチ押し:ハワイのオフロードをバイクで走っていたショーンは手配中の凶悪犯エディ・キムが人を殺すところを目撃してしまう。彼の目撃証言はエディを逮捕するには必須。しかし、地元の警察はエディの息がかかっている事を知っていたショーンは沈黙を守った。そんな彼の前にFBIの捜査官フリンが現れる。エディの手下の襲撃からショーンを守ったフリンはそのままショーンをLAに連れて行き証言をさせる事を承諾させた。民間の航空機でLAに向かったふたりを思いもしない敵が待ち受けていた。なんと、数百匹の毒蛇が機内に放たれたのだ。しかも、蛇たちはフェロモンが仕込まれたハワイ名物の花のレイに反応し、大暴れ。次々と乗客を襲い始めた。しかも、飛行機は嵐の中を航行中。機長も蛇の毒にやられ心臓麻痺を起してしまう。クルーと乗客はフリンの指導の下で、蛇軍団との戦いに臨むが・・
私評:この“マザーファッキング”な蛇たちを“マザーファッキング”な飛行機から放り出してやるからな!!・・・なんともB級な映画のネタなのですがここまで思い切って作ってもらえればそれはA級のエンターテイメント映画!!私は蛇が苦手なのですが、この監督の2作品「セルラー」「デッド・コースター」が両方とも好きなので見るしかない!ところがこれがまた、おバカなんだけどめちゃめちゃ面白い!結局は大満足でした。映画の中で唯一ショックだったのは、乗客の連れてきた子犬の行方・・・。でも、やっぱり蛇はキモイです・・。主演はこういう映画には最高のサミュエル・L・ジャクソン。もう、この役は彼以外には考え付かない!彼もノリノリみたいでした。そしてキャストの中で気になったのがお色気イッパイのスチュワーデスサニー・メイブリー。彼女は『スピーシーズ3』で妖艶な演技を見せたので、今回もちょっとくらい脱ぐかなって思ったのですが・・・??あとの役者は有名人こそいないのですが、それぞれ役にあっていて良かったです。監督はデイヴィッド・R・エリス。彼のインタビューで次の作品は「スネーク・サブマリン」だと聞いたとき、「もう勘弁してくれ!」と思ったのは私だけでしょうか・・・
幸福のスイッチ  監督:安田真奈  出演:上野樹里、沢田研二、本上まなみ
 2006年 日本映画
怜は東京のデザイン会社の新人イラストレーター。実家は稲田電器(略してイナデン)という小さな電気店。近くに巨大な家電店ができて仕事は減ってしまったが、頑固者の父の誠一郎は得にもならないサービスをモットーに、仕事ばかりしている。怜はそんな父親に反発しまくっていた。しかし、東京での仕事は思い通りにならず、いつもの調子で上司と喧嘩。ついには会社を辞めてしまう。そんな時、妹の香から手紙が届く。身重な姉の瞳が『絶対安静』と書かれていて、中には列車の切符も入っていた。焦って田舎に戻った怜は、実は入院したのは父親だと知る。仕事中に骨折してしまったのだ。成り行き上、父親が退院するまでの間、イナデンを手伝う事になった怜は、まったく金にならない事まで喜んで引き受ける父の気持ちが分からない。しかも、怜は高校時代から気になっていることがあった。それは誠一郎が浮気をしているのでは?という疑念だった・・・・
私評:これは怜ちゃんの補聴器やって喜んではったぞ。エエことしたな・・・毎回書いていますが、私は上野樹里ちゃんファンです。今回も樹里ちゃん見たさに映画館に行ってきました。今回の樹里ちゃんはまったく可愛げのない頑固女役。『ありがとう』『ごめんなさい』を言葉にできないのです。これってけっこう地で演じているのでは??しかし、そんな女の子が父の仕事を通して、そして姉妹との交流を通して少しずつ変わっていきます。「スウィングガール」の時のハツラツさに、演技の上手さも加わって樹里ちゃんも進化しています。なんだかとてもステキな家族のドラマを見て、清々しい気分で映画館を後にできました。父親役にはジュリーこと沢田研二!すっかりオッサンですが、この役はピッタリでした。姉役は本上まなみ、そして可愛い妹役は「美少女クラブ31」の中村静香。そしていい味を出しているのが近所の頑固おばあちゃん役の新屋英子。彼女の補聴器のエピソードは最高でした・・。監督は元OL映画監督の安田真奈。彼女の演出だからこそ3姉妹が輝いているのですね。
夜のピクニック  監督:長澤雅彦  出演:多部美華子、石田卓也
 2006年 日本映画

夜を通して80kmを歩く『歩行祭』が今年も行われる。高校生活最後の歩行祭に臨む貴子はひとつの賭けをしていた。それは1度しか話をしたことがないクラスメート融と話をする事。彼と話ができないのには理由があった。それはふたりが腹違いの兄妹だということ・・。しかし、貴子の周りの友人たちは貴子が融に憧れていると勘違いしているため、どうにか歩行際の間にふたりを結び付けようと躍起になっている。一方、融の親友の忍も融が貴子を好きなのでは?と勘違いしていた。いよいよ歩行祭が始まった。それぞれ友人の勘違いが背中を押してくれてもいるのだが、なかなか話を切り出せない。ゴールはどんどん近づいてくる。果たして貴子は自分の賭けに勝つ事ができるのか??・・・・

私評:おまじないを掛けておいたから・・・高校時代のイベントはどれも心に強く残っています。文化祭、体育祭。この映画の歩行祭はオリエンテーリングの巨大版。私も中学3年の時に転校して、初めてのオリエンテーリングは印象的でした。時期外れの転校生を珍しがってみんなが声を掛けに来てくれたのが嬉しいような恥ずかしいような・・。でも、そのイベントのおかげで友人がたくさんできました。なんだか、映画を見ながらそのときの事を思い出してしまった・・・。この映画は恩田陸のベストセラーの映画化です。作品の主題は貴子と融のふたりが話をできるかどうか?なのですが、最後はそんなふたりをとりまく友人たちのエピソードに胸が熱くなりました。高校時代って人生の中でもやっぱり特別な時期ですよね。なんだかあの頃にまた戻りたくなりました。主演は『ヒノキオ』の多部美華子。彼女ってボーイッシュなイメージが強かったのですが、すっかり女の子になっていました。そして融役は『蝉しぐれ』の石田卓也。忍役には『花とアリス』の郭智博、貴子の友人には加藤ローサ、貫地屋しほり、西原亜希、松田まどかというとてもフレッシュな顔ぶれ。そして加藤ローサの弟役で『ラストサムライ』の池松壮亮が登場。監督は「ココニイルコト」の長澤雅彦。
父親たちの星条旗  監督:クリント・イーストウッド  出演:ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード
Flags of Our Fathers  2006年 アメリカ映画

1945年、第2次世界大戦も後半。日本軍の最後の砦となった硫黄島についに米軍が乗り込んだ。それは3日間で占領するはずの小さな島。しかし、この小さな島がこの戦争の中でも一番と言われる激戦地となろうとは、誰も気付かなかった。米軍の集中砲火で島の先端のすり鉢山を占拠した米軍は、山のてっぺんに星条旗を掲げた。しかし、この星条旗は海軍の大尉の命令で彼の元に預けられ、新たにもう一本の星条旗を掲げたのだ。その2本目の星条旗を立てようとした6人の兵士の後姿の写真はアメリカで大反響を呼んだ。(のちにこの写真はピューリッツァ賞を受賞)そして戦場から3人の兵隊が帰ってきた。彼らは星条旗を掲げている6人の生き残りだった。彼らは国中のヒーローに祭り上げられ全国を行脚したが、それは戦争の費用をまかなうための国債の販売が目的だった。そして硫黄島の真実について衛生兵だったジョン・ブラッドリーは沈黙を守った。レイニーはこのチャンスがきっと自分にプラスになる事を信じた。そしてネイティブ・アメリカンのアイラは踊らされている自分に気付くが、やがて破滅の道へと・・・・

私評:英雄は硫黄島で命を落とした兵隊たちです。僕らじゃない・・・正直、自分が考えていた映画とはちょっと違う映画だった。これはジョン・ブラッドリーの息子が書いた作品です。この映画であの硫黄島の星条旗の写真にまつわる色々な事を知りました。そして映画の中では硫黄島で命を落とした仲間を差し置いて自分たちだけがヒーローと謳われることへの苦悩が見事に描かれています。そして華やかな舞台を行脚する彼らの脳裏に、壮絶な戦いのシーンがフラッシュバックで挿入されていく。しかし、この映画の中でのクリント・イーストウッドの視点は常にクールだ。まるで、当時の軍部の恥部を穿り出すかのような演出。この辺りの演出が彼らしいと思えました。主演はライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチ。ライアン以外は無名の役者ですが、みんななかなかの演技でした。そして旗を掲げた6人の男のひとりにバリー・ペッパーがいたのですが、彼の演技は素晴らしかったです。製作はクリント・イーストウッドとスティーブン・スピルバーグのふたり。この続編の『硫黄島からの手紙』がどんな映画になっているのかが、今からとても楽しみです。

スケバン刑事 
コードネーム=麻宮サキ
 監督:深作健太  出演:松浦亜弥、石川梨華、竹内力
Yoyo Girl Cop  2006年 日本映画
悪名高き聖泉学園に潜入していた特命刑事が渋谷の雑踏で爆死した。彼女は「エノラゲイ」というサイトにアクセスした生徒を追っていたのだ。そんな折、アメリカから日本に一人の少女が強制送還されてきた。特命刑事の吉良は彼女と取引をした。それはNYで拘留されている母親の釈放を条件に特命刑事として聖泉学園に潜入する事だった。任務に付いたサキは一匹狼だったが、学園の中で絶対的な権力を持っている秋山レイカのイジメにあっていた多恵を助けた事から、ある情報を手に入れる。多恵の友人で今は入院中の琴美が爆弾を使った自殺未遂をしようとしたという。一連の爆弾事件との関わりを信じたサキは、事件のバックにいる黒幕を追う。その頃「エノラゲイ」のサイトでは不気味なカウントダウンが行われていた・・・・
私評:テメーら、全員ヤキ入れてやる・・・・スケバン刑事は斉藤由貴のテレビシリーズをチラッとだけ見たことがあるのですが、ほとんど知識なし。今回、映画を見に行った一番の理由は主演の松浦亜弥ではなく、脇役の石川梨華を見るのが目的。モーむすの中で一番好きだったのが彼女なので・・(相変わらずミーハーな私・・)。しかし、松浦亜弥主演の映画がP−12で良いのか??子供たちが見たいんじゃないの??しかし、映画館に行った私はビックリ。そこには私くらいのオッサンが溢れていたのです。セーラー服、ボンデージ衣装・・・、確かにオヤジを引きつけるキーワードに溢れている映画かもしれません??映画のほうは思ったより面白かったです。(笑)松浦亜弥や石川梨華がタンカを切るのはけっこう笑っちゃいましたが・・。アヤヤは普段からけっこうクールな面もありますが、日頃はブリブリの石川梨華の凄むセリフは大爆笑でした・・。もちろん、彼女たちのバトルがこの映画のメインなのですけど・・。そして吉良役の竹内力がグッドでした〜。特命課のボスはTVシリーズと同じく長門裕之。そしてこのシリーズのファンには堪らないのが斉藤由貴の出演。なんとアヤヤの母親役です。監督はやはり父親には到底及ばない深作健太。この映画も深作欣二監督だったらもっと面白い作品になっていたんだろうな〜。


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