2012/10/28

今回の5作品のうち3作品はパンフレットが作られていません!
今回のイチ押しはアメリカが本当に仕掛けた大ウソ作戦と
中国語を話す宇宙人のイタリア映画。

アルゴ  監督・主演 :ベン・アフレック  出演 : ジョン・グッドマン、アラン・アーキン
Argo  2012年 アメリカ映画
今週のイチ押し:1978年。イラン革命。長きに渡り独裁者として君臨して国民を苦しめたバーレビ国王はイスラム教の指導者のホメイニを中傷する記事を載せ、国民の怒りは爆発。79年の1月には国外退去を余儀なくさせられた。そしてイランはホメイニを指導者として受け入れた。一方のバーレビ国王は癌の治療をアメリカに求め、受け入れられた。それが原因で民間人の反米感情が爆発し、デモがテヘランで起こり、アメリカ大使館は占拠されてしまう。その際に6人の大使館員が脱出しカナダ大使館の私邸に逃げ込んだ。見つかれば彼らは公開処刑されてしまう。国防省はCIAに応援を要請。そして人質奪回のプロ、トニー・メンデスが呼び出された。トニーが発案したのは偽の映画製作を企画して、6人をロケハンに来たカナダの映画クルーに見せて一緒に脱出する事だった。トニーは知り合いの特殊メイクアーチストのジョン・チェンバースに協力を求め、ジョンは快諾。そして大物映画プロデューサーにレスター・シーゲルも参加する事に。そして選ばれた映画の脚本はSF映画の「アルゴ」。本物さながらの製作発表が行われた。1980年1月、ついに“アルゴ作戦”が開始された・・
私評:アメリカ合衆国は偽映画作りを許可する・・・すでに事件から30年近く経ってしまったイランでのアメリカ大使館占拠事件。私の脳裏にもあの時のテレビの映像がハッキリと蘇ってきます。しかし、この事件の裏でこんなとんでもないプロジェクトが進んでいたなんて、まったく知りませんでした。当初、時の大統領のジミー・カーターはこの事実を隠ぺいしたが18年後に公表されたという。しかし、私はこの映画の予告を見るまでまったく知りませんでした。それにこんなおいしい映画のネタがあったのに、今まで作られなかったという事にもビックリです。最後は脱出すると分かっていても、緊迫感あふれるシーンの連続にハラハラドキドキ。それに国家を挙げての映画プロジェクトっていうのが、またアメリカっぽい。映画の製作発表なんかはなんだかワクワクしちゃいました。主演で監督も務めるのはベン・アフレック。彼は監督としての才能がありますね。「ザ・タウン」に続き、私的には大ヒット!レスター・シーゲル役は「リトル・ミス・サンシャイン」のアラン・アーキン、ジョン・チェンバース役は「アーティスト」のジョン・グッドマン。そして人質を演じる6人は、実際の人物にそっくりのキャストです。この映画は見なくちゃ!
宇宙人王(ワン)さんとの遭遇  監督 : アントニオ・マネッティ  出演 : フランチェスカ・クティカ、エンニオ・ファンタスティーニ
The Arrival of Wang  2011年 イタリア映画
今回のイチ押し:イタリアで中国語の翻訳の仕事をしているガイアの元に、急な仕事が舞い込んだ。依頼人は仕事の内容について多くを語らなかったが、信じられない高額に、ガイアは仕事を請け負った。彼女を迎えにきたのはキュルティという男。彼はガイアに目隠しを要求し、彼女はある施設に辿り着いた。キュルティとガイアは灯りの消えた部屋で、ワンという名の中国語を話す男の尋問を始めた。ガイアは顔を見ながらでないと細かいニュアンスが伝わらないと、部屋の灯りを点けるよう依頼。しかし、そこにいたのは人間ではなく、まるでタコのような生物!なんとそれは宇宙人だった。彼が地球にやってきた目的とは??・・・
私評:私は地球との友好のために来ました・・・まず、この映画を選んだ理由はタイトル。期待を煽りますよね!宇宙人が中国語しか話せないのは、地球上で一番多くの人に使われているから。なるほど!友好のために来たというワンさんに対してどこまでも懐疑的な秘密警察は、ついに拷問道具まで。何となくワンさんが可哀想になるのですが・・・。ラストはビックリの展開でした。しかし、尋問のシーンがちょっと長すぎ。まあ、十分楽しんだのでこれ以上の文句は言いません!ガイア役はフランチェスカ・クティカ。なかなかの美人です!キュルティ役はエンニオ・ファンタスティキーニ。2人とも全く知らない役者です。まあ、めちゃめちゃ低予算の映画ですから役者も有名人は使えません。監督はアントニオ・マネッティ。
ザ・ウーマン  監督 : ラッキー・マッキー  出演 : アンナ・マッキントッシュ、アンジェラ・ベティス
The Woman  2011年 アメリカ映画
弁護士のクリスは妻のベラ、長女のペギー、長男のブライアン、そして末っ子のダーリンと人里離れた一軒家に住んでいた。この家ではクリスが全てのルールで、誰も逆らう事はできない。そんなクリスにベラとペギーは怯えながら生きている。そんなある日、クリスは趣味のハンティングで入って行った森の中で、ひとりの女を発見する。彼女は野性の女で森の中でひとりで生きてきたのだ。そんな彼女をクリスは生け捕りにして家に連れ帰った。クリスは女を納屋に監禁し調教しようと考えていた。家族に女を見せ、それぞれに仕事を割り振った。垢だらけだった体を洗い、手錠と足枷で拘束したままでも着替えができる服を作らせ、そして子供たちには糞尿の始末を言い渡した。そんな時、ペギーの学校の教師が訪れる。学校で元気がなく、しかも最近はダボダボの服ばかりを着ているペギーが妊娠しているのでは?と彼女は尋ねた。その時、クリスの中でスイッチが入り教師をボコボコに殴りつけて、犬を飼っている納屋へと引きずり込んだ。そこには犬以外の、ある恐ろしい物が・・・・
私評:女はヒルのような生物だ。男を散々こき使って・・・映画のタイトルは「ザ・ウーマン」と一人を指していますが、映画の中では複数の女たちを指していると思う。クリスという鬼畜男がもたらす狂気に振り回される女たち。そしてついに・・・・。ラストは不条理ではあるのですが、まあ予想通りの展開でちょっとだけ心の中のモヤモヤが解消されました。しかし、謎も幾つかあるんですよ・・。スプラッターな演出はそれほど多くないのですが、女たちをいたぶり続けるバカ親父と、彼の遺伝子を引き継いだバカ息子に腹が立ちまくり。しかし、そのイライラがこの映画の信条。各国で賞を獲りまくっているのも納得の映画です。野性の女役はポリアンナ・マッキントッシュ。素顔はかなりの美人さんです。鬼畜親父役はテレビシリーズで活躍中のショーン・ブリッジズ、妻のベラ役は監督の名作「メイ」で不気味な少女を演じたアンジェラ・ベティス。監督は「メイ」のラッキー・マッキー。
4:44 地球最期の日  監督 : アベル・フェラーラ  出演 : ウィレム・デフォー、シャニン・リー
4:44  2011年 アメリカ・スイス・フランス映画
NYの高級アパートで午後のひと時を過ごすカップル、シスコとスカイ。シスコはSkypeで話を、そしてアーティストのスカイは絵画の創作。そして合間を縫って二人は激しく求め合う。日常のような時間を過ごす二人だったが、今日はいつもと違う。オゾン層の破壊によって人類は明日の4:44に滅んでしまうのだ。誰もが恐怖を抱えている。実際にシスコはテラスで向かいのビルから飛び降りる男を目の当たりにする。シスコには別れた妻と娘がいた。娘とSkypeで話をしていたシスコは、そこに割り込んできた元と妻口論になる。こんな事態になっても喧嘩をするのかとシスコは怒りともなげきともいえない複雑な心境に陥る。しかも、その現場を見たスカイは逆上してシスコを罵倒する。しかし、地球最期の時は刻一刻と迫っていた・・・・
私評:光のショーを見よう・・・もう来月にはDVDが発売されるこの映画を劇場で見たくて行ってきました。シチュエーション・ドラマなのですが、明日の午前444分にはみんな死んでしまう状況で、自分ならどう立ち振る舞うだろうかと考えてしまった。諦めて静かに終焉を待つのか?最後までもがき、足掻き、喚き散らすかも?そして、その時に誰と一緒にいるのか?も考えましたね。妻子がいない私は必然的に母親と一緒かも・・・。果たして主人公たちの選んだ最後は??最後の時はすごい迫力の崩壊シーンがあるのかと思いきや、最後まで静かな映画でした。主演は「アンチクライスト」のウィテム・デフォー。脱ぎたがりの彼は今回もパンツを脱いで・・。スカイ役はシャニン・リー。初めて見た女優です。監督はあの名作「バッド・ルーテナント」そして「スネーク・アイズ」のアベル・フェラーラ。
終の信託  監督 : 周防正行  出演 : 草刈民代、役所広司、大沢たかお
 2012年 日本映画
折井綾乃は天音中央病院に勤めるエリート医師。呼吸器内科の医師として非常に評判も高く患者らからの信頼も厚かった。しかし、彼女は同僚の医師と不倫をしていて、しかもあっさりと彼にフラれてしまったショックから自殺未遂騒動を起こしてしまう。心身ともに傷ついた綾乃を慰めてくれたのは患者の江木。彼は重度のぜんそくを持病として抱え、長きに渡り、闘病生活を強いられていた。そんな江木が綾乃に手渡した1枚のCD。それに入っていたオペラは綾乃の心に沁みわたった。江木と綾乃はお互いの腹を割り、心の内を話すうちに深い絆で結ばれていった。しかし、江木の病状はどんどん悪くなり、彼自身も余命が長くない事を悟り、綾乃に「最期の時は早く楽にしてほしい」と告げた。そして次に綾乃が江木に会った時、彼は心肺停止状態だった。彼との約束通り延命治療をやめるか?彼女は重大な決断に迫られる・・・・
私評:ヴェッキオ橋に行くわ、でも、身を投げるためよ・・強烈な映画でした。そして医者と言う職業は本当に大変だと思いました。また、この映画の江木が重度の喘息という設定だったのですが、6年前に死んだ父と同じで、発作のシーンとかは直視できませんでした。しかし、自分がもう長く生きられないと分かったら、“自分自身がどうして欲しいか”を明確に残していく必要があることも映画を見ていて感じました。なんと映画のパンフレットに「エンディングノート」も付いています。私はひとり者だし、子供もいないのでこのままで行くのなら、せめて周りに迷惑を掛けないようにしなくちゃ・・とも思いました。映画の中の綾乃の判断は「善」なのか「悪」なのかという判断はとても難しい。しかし、法律上は「悪」とみなされてしまうのです。理不尽にも思えるけど、その判断もとても難しいですね。この監督の作品は本当に奥が深い。主演は「Shall we ダンス?」の草刈民代。医師としてそして女としての色々な顔を覗かせる見事な演技。しかも、48歳とは思えない見事な肢体もご披露します。江木役は名優役所広司。草刈民代とは「Shall we ダンス?」以来、16年ぶりの共演。そしてすごいインパクトだったのが検事役の大沢たかお。素晴らしかった!その他、浅野忠信、細田よしひこ、中村久美。監督は「それでもボクはやってない」「Shall we ダンス?」の周防正行。しかし、この映画は個人的には見ていて辛いので、もう観る事はないでしょう。


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