2010/10/24

腰痛がひどいです・・。2時間じっと座っていられません。
ましてや映画の梯子なんて・・。それでもがんばって観てます。
今週のイチ押しは2作ですが、(一つを除けば)みんな面白かったです!

クレイジーズ  監督:ブレック・アイズナー  出演:ティモシー・オリファント、ラダ・ミッチェル
The Crazies  2010年 アメリカ映画
今週のイチ押し:アイオワの小さな町オグデンマーシュ。のどかな田舎町は平和そのもの。しかし、そんな平穏な日々を揺るがす事件が起こる。野球観戦をしていた保安官のデヴィッドと助手のラッセルの目の前に銃を持った男ローリーが現れる。以前、アルコール依存症だったローリーにデヴィッドは銃を置くよう説得するが、銃を向けたローリーを彼は射殺した。デヴィッドの妻のジュディは町の医師。その日彼女が診察したビルは見た目は異常なかったが、その夜家族を部屋に閉じ込め家に火をつけた。確かにこの町で異変は起きている。翌日、デヴィッドの元にパイロットの死体を発見したという連絡が入る。川を捜索しているとなんと、川底に輸送用の飛行機が沈んでいた。飛行機から毒物が漏れていたのだ。しかも、この川の水は飲料水として使われていて、まずはローリーの家を通っていた。町に戻ると拘留していたビルが凶暴化。そして町のいたる所で暴徒が・・・。そんな時、町に防護服を着た集団が到着する・・
私評:マスクをしないと死ぬのか??・・・・ゾンビ映画の神様、ジョージ・A・ロメロのもう一つの傑作「クレイジーズ」がリメイクされた。しかし、今回の作品は正直オリジナル以上の出来栄え。刻々と事態が悪化していく中で真実を探り、そして脱出を試みる主人公たち。そして毒水にやられた人々は(それこそゾンビのように)凶暴化し無差別に人を殺す。この映画はまずは「毒水」、そして「狂人たち」、最後に「軍が派遣した防護服軍団」と次々と不安が増していくのです。最後の最後まで展開が読めないサスペンス映画としては特級品の作品です。主演は「ヒットマン」のティモシー・オリファント、彼の妻役は「サイレント・ヒル」「メリンダとリンダ」のラダ・ミッチェル、ラッセル役は「アクロース・ザ・ユニバース」のジョー・アンダーソン、そしてジュディの助手役で「13日の金曜日」のダニエル・パナベイカー。監督は「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」のブレック・アイズナー。彼の次回作はどうやら「ニューヨーク1997」のリメイクらしい・・。
乱暴と待機  監督:冨永昌敬  出演:浅野忠信、美波、小池栄子
 2010年 日本映画
今週のイチ押し:平屋建ての集合住宅に番上と妊娠中のその妻・あずさが越してきた。引越しのあいさつまわりをしていた番上は山根という家で美しいが挙動不審な娘、奈々瀬と出会う。兄と二人暮らしだという奈々瀬はなぜかモジモジ・・。そしてなんと失禁してしまう。数日後、あいさつに出掛けたあずさは山根家で奈々瀬を見て驚愕する。なんとふたりは高校時代の同級生で、あずさは奈々瀬に酷い仕打ちを受けていたのだ。そこに奈々瀬の兄だという英則が帰ってくる。彼を見て思わずあずさは吐いてしまう・・・。また、数日後、あずさは英則と言い争っていた。あずさを置いて家を出ていく英則。家の中を探っていたあずさは天井裏の隠し部屋を発見。するとそこに奈々瀬が戻ってくる。天井裏に隠れるあずさ。奈々瀬はなんと番上と一緒だった・・・
私評:あなただけは絶対に許さない・・・ノーマークだったこの映画ですが面白かったです。こういう底辺で生きる気持ち悪い人間たちの話が、実は大好きだということに今更のように気付きました(笑)しかし、この映画ってほとんど4人しか登場しないのですが、この4人のキャラが立ちまくりで、しかもはまりまくり。まずは、のぞき趣味で意思が弱い英則を演じる浅野忠信。カセットテープの編集が趣味で妹の奈々瀬の情事を・・・。このキャラクター面白すぎ。何度も笑ってしまった。そして不思議ちゃんなのか、それとも・・の奈々瀬を演じる美波。計算高いぶりっこなのか?しかも、妙にエロい・・。グータラだけど女を「こます」のはうまい番上を演じるのは山田孝之。このだらしなさ、そしていい加減さがムカつくけど、妙にリアルなキャラクター。そしてこの中では唯一ストレートなのだろうけど、怒ると見境がない。そして奈々瀬を憎む気持ちは常軌を逸しているあずさ役は小池栄子。この4人は誰ひとりとして他の人には演じられないのでは??そしてこの4人のキャラがぶつかりあって更なる気もち悪さを醸し出します。だけど、彼らの気持ちが分かるんですよ。なぜなら、私もキモい人間なのだ!(笑)監督は「パンドラの匣」の冨永昌敬。
エクスペンダブルズ  監督・出演:シルベスター・スタローン  出演:ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー
The Expendables  2010年 アメリカ映画
自らをエクスペンダブルズ(消耗品)と呼ぶ最強の傭兵軍団がいた。彼らを束ねるリーダーのバーニー、ナイフの名手クリスマス、カンフーの達人イン・ヤン、格闘技の猛者トール・ロード、マシンガンが大好きなヘイル・シーザー、そして射撃・空手の使い手ガンナー・ヤンセンは欧米人を人質に取った海賊船に乗り込み、あっという間に事態を収拾した。しかし、薬物中毒から立ち直ったガンナーは情緒不安定で、バーニーは悩んだ挙句彼を解雇した。彼らのたまり場は、かつてエクスペンダブルズの最強のメンバーの一人だったツールの店。そこに謎の依頼人チャーチからとんでもない依頼が入る。それは南米の島国を牛耳る将軍の殺害。島国とは言え、そこは鉄壁の軍事力を誇る小国だった。島に偵察に行ったバーニーとクリスマスは恐怖政治に怯える島民の姿を目撃。しかも、政府軍に見つかったふたりは軍に追われ危うく捕らえられそうになる。あまりにリスキーな仕事ゆえ、依頼を断ることにしたバーニーだったが、彼は島に残してきた将軍の娘であり、反政府軍のメンバーのサンドラの事が気になっていた・・・・
私評:俺たちも行くぜ・・・・CG映画なんかぶっ飛ばせ!とにかく途方もなく強い男たちが小国を相手に問答無用の大暴れ。マシンガンの威力もこれまでにない破壊力。格闘に持ち込めば全身の体の骨を砕くくらいの手加減知らず。そしてこういう映画だと、誰かが犠牲になって仲間を守るために・・・というシーンがありそうですが・・・ありません!とにかく大興奮の100分間でした。しかし、この映画の「エクスペンダブル」というのは監督・主演のシルベスター・スタローンが「ランボー2」で口にしていたんですよね・・。あの頃から、スタローンの中には「傭兵=捨て石」という思いがあったのでしょう。そして何といってもこの映画の注目はアクションスターが大集合すること。スタローンの呼びかけに答えたのは「トランスポーター」シリーズのジェイソン・ステイサム、アジアのトップスターのジェット・リー、「ロッキー4」でスタローンとガチンコ勝負をしたドルフ・ラングレン、元・UFC世界ライトヘビー級王者「ブラック・ダイヤモンド」のランディ・クートゥア、WWFのプロレス界でその名を馳せたスティーブン・オースティン、アメリカンフットボールNFLで活躍したテリー・クルーズという最強のメンバー。こいつらが負けるわけがない!そして彼らの仲間のひとりツールを演じるのは「アイアンマン2」のミッキー・ローク、そして究極はブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガーの登場。この3人が画面に一緒にいるんですよ!そのシーンは・・・嬉しくて笑ってしまいました。とにかく男の子はこの映画を見なくちゃ!!
死刑台のエレベーター  監督 : 緒方明  出演:吉瀬美智子、阿部寛、北川景子
 2010年 日本映画
愛人関係にある手都芽衣子(てとめいこ)と時籐隆彦(ときとうたかひこ)。芽衣子は大手企業・手都グループ会長の妻。そして時籐は手都グループ傘下の国際医療ボランティアの医師。今日の夕方、時任は手都会長を殺害し、芽衣子と逃げる事になっていた。手都ビルの5階にオフィスを持つ時籐は6階の会長室にロープを渡して上り、銃で会長を殺害。ふたたびロープで5階に下りるが手すりに引っ掛けたロープを外すのに手こずってしまう。秘書に感づかれないようそのままにしてビルを出るが、外から見るとロープは丸見えだった。ふたたびビルに忍び込みロープを外してエレベーターに乗り込んだ瞬間、ビルの電源は落とされ、時籐は閉じ込められてしまう。同じころ、若い警官がチンピラの暴行を受けていた。彼の名は赤城。しかも、彼は拳銃を盗まれてしまう。チンピラを追った赤城はボスらしき男に銃を渡すのを見た。男は広域暴力団組長の神(じん)。そして彼の隣にいた女は、かつての赤城に恋人だった。車で立ち去る神。赤城は今の恋人、美加代と近くに停めてあったアルファロメロで追跡を開始する。しかし、その車は時籐の車だった・・
私評:そしてふたりはずっと一緒・・・・ヌーベルバーグの名作、ルイ・マル監督の『死刑台のエレベーター』のリメイクです。時代が違うので色々と脚色されてはいるものの、オリジナルの良さを十分引き出していて見応えがありました。とにかくこの作品はシナリオが最高。予期せぬ展開が重なり、物語が次から次へとあらぬ方向に転がって行く。そこに男と女の情が絡み・・・。数々のリメイク作品を見てきましたが、これはベストに近い映画でした。これだけ完璧なシナリオがあれば、あとはそれを役者がどう演じてスタッフがどう映し出すかだけです。主人公の芽衣子には凛とした美しさの吉瀬美智子。時籐役は出演作が目白押し「トリック」「隠し砦の三悪人」に阿部寛。赤城役は「NANA」の玉山鉄二、美加代役は「真夏のオリオン」の北川景子。その他、平泉成、りょう、笹野高史、津川雅彦、柄本明などそうそうたる面々がガッチリと脇を固めます。監督は「のりちゃんのり弁」の緒方明。
桜田門外ノ変  監督 :佐藤純彌  出演:大沢たかお、伊部雅刀、北大路欣也
 2010年 日本映画 
18602月、水戸藩士・関鉄之助は妻子と別れ江戸へと向かった。彼の目的は同盟を結んだ有志たちと大老・井伊直弼を暗殺すること。直弼はペリーの来航以来、外圧に負けて鎖国を進めようとする。それに異を唱えていたのが尊王攘夷を押し出していた水戸藩主・徳川斉昭。しかし、直弼が大老になると、斉昭は失脚。斉昭に賛同していた各藩の藩主、公家を弾圧し「安政の大獄」に手を染めていく。井伊直弼の襲撃の日は33日に決まった。18人が集結した決起集会で鉄之助は実行部隊の指揮を執る事を言い渡される。そしてついにその日がやってくる。季節外れの大雪に見舞われた桜田門外で短銃の発砲を合図に一行は井伊直弼の駕籠に襲いかかった。そしてついにこの謀反に参加した薩摩藩士有村次左衛門によって直弼の首が刎ねられた・・・・・
私評:井伊直弼の首、とったり!!!・・・あの有名な「桜田門外ノ変」までの流れと、そしてその後の水戸藩士たちの壮絶な生涯を描いた作品です。前半の40分くらいでこの大事件が再現されるのですが、25千万円を掛けたというセットでのこのシーンはマジですごい。真っ白な雪を真っ赤な血で染めていく。今までの時代劇で描かれた演出とは違い、刀を体に押し付けて骨を斬るというところがすごくリアル。しかも、どちらの侍たちも血だらけになっても己に課せられた使命を全うしようとするのです。そしてこの事件を描いた後に、事件までの経緯と、事件後の関鉄之助を始めとする水戸藩士たちの逃避行を描いています。全編にわたりリアリティ溢れる演出と登場人物の心情が見事に描かれていました。やっぱり、時代劇は東映です!しかし、(見た方は分かると思いますが・・)一カ所ワンショットのしつこ~い演出が私は嫌いかも??関鉄之助を演じるのはGOEMONの大沢たかお、井伊直弼役は伊部雅刀、斉昭役には北大路欣也、その他長谷川京子、柄本明、生瀬勝久、西村雅彦、加藤清史郎などなど。監督は「男たちの大和」の佐藤純彌。
インシテミル  監督 : 中田秀夫  出演:藤原竜也、綾瀬はるか、石原さとみ
 2010年 日本映画 
フリーターの結城はコンビニでバイト情報を見ていた、そこに現れたのは祥子とい美しい女性。彼女は携帯サイトで超高額のバイトを見つけたのだが、不安でバイト探しに長けていそうな結城に声をかけたのだ。彼女の携帯を覗くと、なんとバイト料は時給112千円。結城は目を疑う。しかし、彼はこのバイトに応募することにした。リムジンの迎えで謎の施設「暗鬼館」にやってきたのは訳ありな10人の男女。そこには祥子も含まれていた。バイトの内容は「7日間の心理学の実験」。実験内容はここで起こる「不穏当かつ非論理的な事件」を解決する事。ここで起こる事件にたいして犯人を多数決で決めて“排除”していくのだ。7日間を乗り切るか?最後のふたりになるまで実験は続くのだ。疑心暗鬼な参加者たち。そして2日目の朝、廊下には死体が横たわっていた。こうして彼らの生死を賭けた7日間のゲームは開始された・・・・
私評:解決の時間です・・・・最近、こういうジャンルの映画が流行っていますね。中でも「カイジ」「ライアーゲーム」などは大ヒット。この映画も日本テレビが噛んでいるため、すごい宣伝で嫌でも頭にインプットされた。私がこの映画にそそられたはふたりの若手女優が出演しているから。そのひとりは「–ICHI-」や「ハッピー・フライト」に出演している綾瀬はるか、そしてもうひとりは「座頭市 THE LAST」の石原さとみ。予告で見る限りふたりともなんだかとっても怪しい。しかし、映画を見ていると主演の結城以外はみんな怪しいんですよね~。しかし、この作品はシナリオが穴だらけ。ミステリーには必要不可欠な緻密な事件の裏がなく、なんとなく勢いでごまかしているんです。それはないでしょうと言う感じの謎解きや、ありえないくらいテキトウな演出・・。そんな事で死ぬわけねーだろ!!と何度も突っ込んでしまいました。まあ、これだけの面子が揃った作品なので、役者を楽しみにして観ましょう!主演は「カイジ」の藤原竜也。相変わらず「バトルロワイヤル」から成長していません。その他、北大路欣也、片平なぎさ、武田真治、石井正則、平山あや、阿部力、大野拓郎、そしてゲームを進行するインディアンの人形の声はバナナマンの日村。監督は「リング」の中田秀雄。
 エル・トポ  監督・主演 : アレハンドロ・ホドロフスキー  出演:マーラ・ロレンツォ、ジャクリーヌ・ルイス
El Topo  1970年 アメリカ=メキシコ映画 
砂漠を黒ずくめの服を着たガンマン、エル・トポが馬で進んでいく。馬の後ろに乗せた素っ裸の少年は彼の息子だ。彼らは山賊たちに虐殺された町に辿り着く。彼らを牛耳る将軍を片づけると、息子を修道院に残して将軍の愛人を連れて旅立つ。女は愛の証として砂漠に暮らす4人の銃の使い手を倒す事を要求する。最初のガンマンは盲目の男。腕のない男と足のない男に守られた彼もエル・トポの前では無力だった。そしてエル・トポは次々とすご腕ガンマンを倒していく。最後の男はもはや武器すら持たず、虫取り網でエル・トポの弾丸を跳ね返す。そして男はエル・トポに「最強である事」が無意味であると説く。真理に目覚めたエル・トポは銃を捨て、かつて自分が殺したガンマンたちを訪ねる。そして彼は将軍の女と途中から旅に加わった女ガンマンとふたたび出会う。女はエル・トポではなく女ガンマンを選び、彼に銃を向けた・・・。目が覚めるとエル・トポはフリークスの集団の中にいた。世間から隔絶された暗い穴の中で暮らすフリークスたちはエル・トポを神として崇めていた。その事を知ったエル・トポはフリークスたちのためにトンネルを掘り、地上へと導こうとする。久しぶりに町へと出たエル・トポが見たもの。それはセックスと暴力を崇拝する怪しい宗教が横行する退廃した世界だった・・・・
私評:・・・・いつもならここに印象的なセリフを書くのですが、この映画は言葉以上に映像が語りかける。1970年にアメリカの小さな映画館で公開されたこの作品は瞬く間に評判を得て、あのジョン・レノンが権利を買いとり、全世界へと配給される。日本でも1972年に公開された。この映画こそカルト映画の元祖と言えるかもしれない。私はこの作品を20年以上前にビデオで観た。その衝撃の映像たるや・・・。すべて本物を使用したというすごい数のウサギの死体。(また、映画の前半で町の中に横たわる動物の死体も、たぶん・・)奇形の人たち(この表現は良くないかもしれませんが・・)も続々と登場する。しかし、この映画はそういう見せかけのインパクトだけではなく、常に「真理」を問いかける。そしてラストシーンは一生涯忘れられないくらいの衝撃を与えます。この映画がいま、劇場公開されていました。休日の朝の一発目でこの映画を見て、気分はどんより・・。だけど、つまらない映画を見て落ち込んだのではなく、20数年ぶりに見たこの衝撃作の真のパワーに圧倒されたからです。この映画をみて嫌悪感を抱く人も多々いると思います。しかし、この映画も20世紀を代表する名画です。監督・主演はアレハンドロ・ホドロフスキー。


前回の記事も読んでね~!



I Love Movieに戻る