またしても、レビューを溜めてます。
今回のイチ押しはとびきりのラブストーリー、吉永小百合、
そして意表を突く美しいホラー
アバウト・タイム 愛おしい時間について | 監督 : リチャード・カーティス | 出演 : ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス | ||||||
About Time | 2013年 イギリス映画 | |||||||
今週のイチ押し:イギリスの田舎町コーンウォールに住む冴えない青年ティムは両親と妹、そして叔父と一緒に住んでいる。家族はちょっと風変わりだが、それなりに幸せ。ところがティムが21歳の誕生日に父から告げられた一家の男たちの特殊能力を知り彼の人生は一変した。なんと彼の家系の男はタイムトラベルができるのだ。しかし、行けるのは過去だけで未来にはいけない。全く信用していなかったティムは父親に言われた通り暗い場所で握りこぶしを作るとなんと、見事にタイムトラベル成功!この年の夏、彼に家には美しいシャーロットという女性が滞在していた。何度か特殊能力を使い彼女にアタックを繰り返すが結局、彼の恋は実らなかった。夏が終わり、彼は弁護士になるためロンドンへと向かった。そこで彼は運命の出会いをする・・ | ||||||||
私評:もう一度、お前と浜辺を歩きたい・・・アメリカでは昨年公開されていたのに日本にはやっと到着。監督はあのラブコメディの名作「ラブ・アクチュアリー」を監督し、「ノッティングヒルの恋人」「ブリジット・ジョーンズの日記」の脚本を書いたリチャード・カーティス。これは映画ファンならずとも絶対に観なくてはいけない!?過去に戻れる特殊能力ってすごく魅力的ですよね。私もその時に戻って修正したい事は山のようにあります。だけど、未来には進めないというのがミソ。そして彼は最後に悟るのです。今が一番幸せだったらそんな力は必要ないと・・・。とにかく笑えて、ドキドキして、最後はホロリとさせる。「ラブ・アクチュアリー」みたいに泣けはしませんでしたが、心に栄養をくれるステキない映画でした。私は嵐の結婚披露宴のシーンが大好き!主演は「ハリー・ポッターと死の秘宝」のドーナル・グリーソン。彼のとぼけた感じがこの映画にピッタリ。彼の恋人メアリー役は「きみに読む物語」「シャーロック・ホームズ」のレイチェル・マクアダムス。彼女がまたとってもキュート。カーティス作品の常連、「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」のビル・ナイ。そしてとっても美しい「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のマーゴット・ロビー!この秋一番のラブストーリー。恋人がいる人はぜひ、一緒に行ってください。私はひとりでしたが・・ | ||||||||
ふしぎな岬の物語 | 監督 : 成島出 | 出演 :吉永小百合、阿部寛、竹内結子 | ||||||
2014年 日本映画 | ||||||||
今週のイチ押し:のどかな海沿いにある岬村。その岬の先端にある「岬カフェ」には今日も常連が顔を出している。店主の柏木悦子の1日はカフェの裏で「なんでも屋」を営む甥の浩司と一緒に船で沖合の小島に出かけて湧水を汲むことから始まる。悦子が丹精込めて作るコーヒーはまさに絶品だった。しかし、浩司は感情表現が豊か過ぎて何かと問題を起こしてしまう。しかし、悦子はそんな甥を温かく見守っていた。常連客のタニはこの店に通い始めて30年。実は彼は悦子に淡い思いを抱き続けていた。そんなある日、東京から虹を追いかけて父娘が店にやってきた。母親を亡くしたばかり娘に悦子はとっておきの「魔法」をかけた。地元の秋祭りの日、猟師の徳さんのひとり娘・みどりが久しぶりに帰郷した。父の反対を押し切って男の元へ行った娘になかなか素直になれない徳さん。そんなふたりの隣にも悦子の笑顔があった・・ | ||||||||
私評:だいじょうぶ、だいじょうぶ・・・原作は千葉県出身の森沢明夫氏の「虹の岬の喫茶店」。この原作に惚れこんだ吉永小百合が自ら企画したのがこの映画です。千葉県の内房の美しい景色を画面いっぱいに楽しめます。そしてなんだか平凡なんだけどカフェに集う人々の悲喜こもごもを丁寧に描いています。とにかくこの映画は役者陣が最高です。この映画に集った役者たちは吉永小百合自らが出演依頼の手紙を書いたというから驚き。あの天下の大女優吉永さんに頼まれたらNOとは言えないでしょう!悦子役は55年のキャリアで118本の映画に出演し、今なお日本映画を牽引するトップ女優、吉永小百合。彼女の甥の浩司役は「テルマエ・ロマエ」「柘榴坂の仇討」の阿部寛、みどり役は「ストロベリーナイト」の竹内結子、タニ役は「おとうと」「ディア・ドクター」の笑福亭鶴瓶。その他、笹野高史、井浦新、吉幾三、笑福亭昇太などなど。そして先日亡くなった米倉斉加年さんも良い役で登場します。監督は吉永小百合と一緒に企画からこの映画を作り上げた「八日目の蝉」「草原の椅子」の成島出。 | ||||||||
零 | 監督 : 安里麻里 | 出演 : 中条あや、森川葵、美保純 | ||||||
2014年 日本映画 | ||||||||
今回のイチ押し:山間の町にたたずむ聖日女学園でアヤが部屋に閉じこもって数日が経った。女子校の中でも人気のあるアヤに憧れるカスミ、そして彼女の友人のミチは園芸作業を放って散歩に出かけた。しかし、ミチの目の前でカスミは忽然と消えてしまう。理由を探るためにカスミの部屋を訪れたミチは、そこでアヤにそっくりの少女の写真を見つけた。それ以降、ミチの傍らにアヤの幻が現れては耳元で囁く。それ以降も学園内で少女たちが次々と失踪していく。行方不明の少女たちはみんな、アヤに似た少女の写真を見た後に、アヤの幻に悩まされていたのだ。そんな学園にはある言い伝えがあった。それは女の子だけがかかる呪いのおまじないだった・・ | ||||||||
私評:お願い、私の呪いを解いて・・・この作品の元ネタはゲームなのですが、私はこのゲームの事はまったく知らずホラーチックな内容に惹かれて観に行きました。昨今のホラーと言えば血が出たり、ゾンビが出たりして驚かせる内容が多いのですが、この映画はあくまでも美しく、静かで、そして艶めかしい。独特の間合いでジワリと怖さがにじみ出してくる。暗い部屋の向こうにぼんやりと浮かぶ顔が美しくも不気味でした・・・。ストーリーは最後の方で2転3転。しかし、それが私はイマイチでせっかくの良い雰囲気が壊れてしまったのが残念でした。アヤ役は「Seventeen」の専属モデルでTVドラマ、CMで活躍中の中条あや。ミチ役はミス・セブンティーンでグランプリを獲得した森川葵。このふたりの少女の何とも言えない不思議なオーラがステキ。脇役陣ではシスター役は「パッチギ!LOVE&PEACE」の中村ゆり、ロリータファッションの変なおばさん役で「岳」の中越典子、そして学園長役は「ピンクのカーテン」の美保純。監督は女性のホラー監督として評価が高い「携帯少女」「バイロケーション」の安里麻里。 | ||||||||
レッド・ファミリー | 監督 : イ・ジュヒョン | 出演 : キム・ユミ、ソン・ビョンホ | ||||||
2013年 韓国映画 | ||||||||
ソウルで暮らす仲睦まじい一家。しかし、その実態は北朝鮮のスパイチーム「ツツジ班」だった。班長は妻役のベク、祖父役はベテランのミョンシク、夫役は祖国に本当の妻を残してきたジェホン、そして娘役はミンジ。彼らの家の隣にはいかにも今風の韓国人一家が住んでいる。自己中心的な夫、家事もできず浪費家の妻、嘆いてばかりの祖母、そしてやる気もなく苛められてばかりの息子。まさにダメ家族の典型。そんな日常の中で、ベクたちには次々と指令が下る。危なげな彼らだったがなんとかミッションをクリアし、彼らは功労を評価され勲章が与えられた。そんなある日、「ツツジ班」は隣家の妻の誕生日パーティに呼ばれる。いつものように喧嘩を始める隣の家族を尻目にベクはワインをがぶ飲みして酔ってしまう。実はその日はベクの誕生日でもあった・・・ | ||||||||
私評:あんなに言い争う家族が妙に羨ましい・・・韓国と北朝鮮の問題は隣国に日本でも気なるところではありますが、やはり当の韓国ではもっとシリアス。実際に北のスパイもたくさんいるだろうし、脱北者も後を絶たない。しかし、北の住人達は完全に洗脳されていて民主主義を、そして贅沢を「悪」と決め込んでいるのかも?そして活動をしているうちに真の人間らしさを韓国の生活に見出したら?というのがこの映画。コメディタッチなのですが、とってもシリアスでリアルです。ラストは辛い展開になってしまい、個人的には残念でしたが色々と考えさせられる、面白い映画でした。ベク班長役は「ボイス」「人形霊」のキム・ユミ、ミンシュク役は「TUBE チューブ」「美しき野獣」のソン・ビョンホ。また、この映画の脚本は韓国映画界の鬼才「嘆きのピエタ」のキム・ギドクです。監督は新人のイ・ジュヒョン。 | ||||||||
蜩ノ記 | 監督 : 小泉堯史 | 出演 : 役所広司、岡田准一、堀北真希 | ||||||
2014年 日本映画 | ||||||||
城内で殺傷沙汰を起こした檀野庄三郎は免罪の条件としてある男の監視を命ぜられた。その男の名は戸田秋谷。戸田は側室との不義をしたうえ小姓を殺したと言う罪を犯していた。ところが、戸田は藩の歴史に長けていたため藩の「家譜」の編集を命ぜられ切腹までに10年間の猶予が与えられていた。しかし、その切腹の日は3年後に迫っていた。戸田の家を訪ねた檀野は戸田、彼の妻、娘、息子と一緒の生活を始めた。檀野は戸田が書いている「家譜」と彼自身の日記である「蜩ノ記」を読み、そして切腹を前にしても動じず、ただ毎日をまっすぐに生きる戸田の姿に感銘を受ける。そして7年前の事件について調査を始める。しかし、そこには思いもよらぬ事実が隠されていた・・・ | ||||||||
私評:我らは良き夫婦であったと思う・・・この作品は人気作家浅田次郎の原作。一昨年の直木賞作品です。私はそのタイミングで原作を読んでいて、いたく感動したのですが映画もイイ感じです。ここに描かれているのは武士道であり、家族愛であり、そして人々の繋がりでもあり。日本人の美徳がこれでもかって言うくらいにぎっしり詰め込まれています。心が洗われました。そして数年後に死を控えて自ら何ができるのかを考えさせられる作品でもありました。そしてもう一つの見所は日本の美しい田園風景。良い映画でした。戸田秋谷役は「清須会議」「渇き」の役所広司、檀野役は「永遠の0」の岡田准一、戸田の娘の薫役は「ALWAYS三丁目の夕日」「麦子さんと」の堀北真希、その他、原田美恵子、寺島しのぶ、青木崇高など。そして印象的な演技を見せたのが家老役の串田和美。素晴らしかったです。監督は「雨あがる」「阿弥陀堂だより」の小泉堯史。 | ||||||||