2013/9/29

都内の単館上映作品が多すぎ!というか成田のヒューマックスの
ラインナップどうにかなりませんか??イチ押しは大好きなゾンビ映画と
人間はどこまで悪になれるのかと投げかける問題作。

ウォーム・ボディーズ  監督 : ジョナサン・レヴィン  出演 :ニコラス・ホルト、テリーサ・パーマー
Warm Bodies  2013年 アメリカ映画
今週のイチ押し:謎のウィルスの蔓延で人類の大半が死滅した近未来。ご多分に漏れずボクも死んで、今はゾンビとして空港を徘徊している。人間だった時の記憶はなく、名前のイニシャルは確かR。だけど、ゾンビになっても最低限のコミュニケーションはあるんだ。そんなある日、ボクは食料を調達に来ていた人間と遭遇。銃を撃ちまくる青年を殴り殺して彼の脳みそを手に入れた。そして目の前に飛び出してきたのはとても可愛い女の子。その時、死んで停まっていたボクの心臓が一回だけ鼓動した。他のゾンビから守るために彼女をボクが住みかにしている飛行機に連れて行った。ボクが襲った青年は彼女のボーイフレンドだった。ゾンビは人間の脳みそを食べるとその人の人生が頭の中で映像になる。そこにはもちろん彼女も登場した。彼女の名前はジュリー。できる限りの誠意を持ってジュリーをもてなしたが、やはり彼女は逃げ出してしまった。彼女の危険を察知したボクは後を追うと、彼女はゾンビに囲まれていた。ジュリーを守るために仲間のゾンビと戦ううちに、自然とふたりは手を握り合っていた。その時、周りのゾンビたちも一回だけ鼓動が・・
私評:メイクアップの時にその音楽はやめて!・・・ゾンビ大好きの私はこれも見逃しませんでした。ゾンビ的には「思考能力がある」「軽く会話ができる」など例外要素も多々あるのですが、そんな事は気になりません。この映画はホラーではなくラブストーリー。ゾンビと美女が恋愛なんてありえないと思っていましたが、けっこう行けそうです!?しかし、ゾンビの中でも最悪の「ガイコツ」というゾンビにはRの化学反応が及ばず、最後は人間&ゾンビVSガイコツという戦いに。笑いもいっぱいあるけれど、50過ぎていうのもなんですが、キュンとしてしまう映画でした。そしてこの映画は音楽のチョイスがすごく良いです。Rがジュリーと過ごす飛行機の中での短い時間。ふたりは極上の音楽に包まれます。主演は「アバウト・ア・ボーイ」「ジャックと天空の巨人」のニコラス・ホルト。ジュリー役は「魔法使いの弟子」のテリーサ・パーマー。フレッシュはふたりの主役は最高です。ジュリーの父親で生き残った人間のリーダー役には「RED」「トランスフォーマー/ダークサイドムーン」のジョン・マルコヴィッチ。監督は「50/50」のジョナサン・レヴィン。
凶悪  監督 : 白石和彌  出演 :山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー
The Devil''s Path  2013年 日本映画
今週のイチ押し:雑誌記者の藤井は上司の元に届いた死刑囚の須藤淳次の手紙を渡される。拘置所に面会に出掛けた藤井は須藤の口から信じ難い事実を聞かされる。実は須藤にはまだ誰にも話していない余罪が3つあるというのだ。身寄りのない男から土地を取り上げ転売し、遺体は生き埋めにした事。借金苦の電気店の年寄りに酒をしこたま飲ませて殺したこと、ある遺体を焼却炉で処分したこと。それらの事件には「先生」と呼ばれていた木村と言う不動産ブローカーが絡んでいるというのだ。須藤は木村がシャバでのうのうと暮らしている事が許せず、藤井に彼の記事を書いて追い詰めたいのだと言う。最初は半信半疑だった藤井だったが、彼はどんどんこの事件にのめり込んでいく。会社の反対を押し切り、そして痴呆症の母を介護する妻をなおざりにしてまで事件を負う藤井は次々と須藤の言っていた事が実証されていく。そして藤井は木村に対する怒りを募らせていく・・
私評:神は生きて償いをしろと言っています・・・すごい映画でした。主人公の3人がそれぞれすごいインパクトで物語を紡いでいく。いとも簡単に人を殺していく須藤、そしてそんなバカを利用して金儲けのために須藤に人殺しをさせる木村。しかし、リンチのシーンでは率先して相手を痛めつける木村の狂気。無味乾燥的に、そして笑いながら人を殺す。このふたりは人間ではないですね。(もちろん演技ですが、このふたり凄すぎます!!)そんな世界を真正面から見てしまった藤井は自分の常識を超えた世界に徐々に怒りを募らせていく。この3人のコラボレーション最高です。そして彼らの周りの人たちもすごくインパクトがあります。中でも強烈だったのが借金返済のために夫を木村に差し出す老婆。(彼女はロマンポルノの女王?白川和子!!)もう、とにかく出てくる人たちがみんながちょっと不気味に見えてしまった。藤井役は「十三人の刺客」の山田孝之、須藤役は「ALWAYS 三丁目の夕日」のピエール瀧、木村役は「そして父になる」の温和な父親とは正反対のキャラを演じるリリー・フランキー。その他、池脇千鶴、小林且也、米村実子、松岡依都美など、シブーイ役者が勢揃い。監督は白石和彌。
アップサイドダウン 重力の恋人  監督 : フアン・ソラナス  出演 : ジム・スタージェス、キルスティン・ダンスト
Upside Down  2012年 カナダ・フランス映画
太陽の周りを回りながらも真反対に引力が働く双子惑星。「上の世界」は裕福な人々が住む近代的な星だが、「下の世界」は貧しい人出溢れている。しかも、上の世界は下の世界から採掘される燃料を不当に搾取していた。それぞれの世界に住む人間がもう一つの世界に行っても、すでにる場所の引力が働き、別の世界では地面を歩くことすらできないのだ。そしてお互いの世界の交流は厳しく禁じられていた。ふたつの世界が一番近づく丘の上で下の世界のアダムは、上の世界のエデンと出会い、一目で恋に落ちてしまう。アダムはエデンの体を下の世界にロープで引き込んで会っていたが、ある日、ふたりの逢引を警備隊に発見されてしまう。下の世界から上の世界に落ちたエデンは大怪我を負ってしまう。それから10年後。アダムは偶然エデンを発見する。彼女は上の世界と下の世界の唯一の接点である「トランスワールド」社に勤めていたのだ。アダムは大叔母から押してもらった秘密のパウダーを使う事によって「トランスワールド」に入社する。しかし、エデンは事故のショックで過去の記憶を失くしていた・・・・
私評:ボクを覚えてないの??・・・これはSF版のロミオ&ジュリエットですね!ファンタジックな映像が予告編を見た時に印象的だったのですが、実際の映像はさらに素晴らしい。(生まれた世界の側の引力に引きつけられるというのは最低限必要な最初の情報です)上の世界と下の世界の住民が「0階」のフロアで上下に分かれて(それこそ鏡に映したように)いるシーンも良いし、少年時代のアダムとエデンの無重力みたいなデートシーンはすごく好きな映像です。映画の中では色々と説明が多いのですが、これは映画のストーリーを楽しむための大事なファクター。映画ではアダムがそれらをナレーションで説明してくれるので、ちゃんと理解しましょう!アダム役は「アクロース・ザ・ユニバース」のジム・スタージェス。彼はこういう役に合いますね!エデン役は「メランコリア」のキルスティン・ダンスト。アダムと仲良くなる上の世界の男ボブ役は「ハリー・ポッター」シリーズのティモシー・スポール。監督はフアン・ソラナス。
クロニクル  監督 : ジョシュ・シュトランク  出演 :ディーン・デハーン、アレックス・ラッセル
Chronicle  2013年 アメリカ映画
いじめられっ子のアンドリューはビデオカメラを手に入れた日から、自分の生活のすべてを録画する事に。酒びたりの父との口論、学校でのいじめ、女子生徒からはキモいと言われ・・。そんな彼が唯一、話ができるのは従兄弟のマット。哲学が大好きなインテリだ。マットの誘いでパーティ二出掛けたアンドリューは、学校一の人気者のスティーブと遭遇。彼とマットが発見したという何かをアンドリューのビデオで撮って欲しいと言うのだ。そこの地面には大きな穴が開いていた。恐る恐る中に入った3人は深い洞窟の中で光る何かを発見してそれに触れた・・・。翌日から彼らの体に変化が現れる。念力で物を動かせるようになったのだ。しかも、その力は徐々に大きくなっていく。空も自由に飛べるし、車さえも動かせるようになったのだ。特にアンドリューの力は留まることなく強大化していく・・・・
私評:俺は地球上で最強の捕食者になる・・・首都圏限定で2週間だけの公開の作品。今流行りのPOV作品。この作品は「映っちゃった」と言うのではなく、彼らが得た力を「記録」として残すと言う目的があるのがちょっと違う。彼らの力の覚醒はまさに「AKIRA」。主人公のアンドリューはさながら「鉄夫」ですね。怒りに任せて大暴れするクライマックスはなかなか見応えがあります。破壊の度合いは先日観た「マン・オブ・スティール」の小さい版??最後はちょっと呆気なかったけど、小さなバジェットの映画だと思えば「よくぞここまで頑張って面白い映画を作ったぞ!」と褒めてあげたい。この映画の見所は超能力を駆使する時の映像。もちろんCGですが、すごく凝っています。それにしてもこんなに小さい公開になってしまうとは、勿体ない気がしてまりません。アンドリュー役は「リンカーン」のディーン・デハーン。ちょっとディカプリオに似ていると思ったのは私だけでしょうか??マット役は新しい「キャリー」に出演するアレックス・ラッセル。スティーブ役はマイケル・B・ジョーダン。監督はジョシュ・シュトランク。
サイド・エフェクト  監督 : ステーヴン・ソダーバーグ  出演 : ジュード・ロウ、ルーニー・マーラ
Side Efffect  2013年 アメリカ映画
その日エミリー・テイラーは出所する夫のマーティンを迎えに行った。彼はウォール街の優秀は金融マンだったがインサイダー取引が表立ってしまい逮捕されたのだ。4年間の服役を終えてマーティンは晴れて出所したのだ。ふたりはニューヨークの小さなアパートで新生活をスタートした。そんなある日、エミリーはアパートの駐車場で、車で壁に激突する事故を起こす。幸いにも軽症で済んだが彼女の診察を担当したのは精神科医のジョナサン。彼はエミリーは自殺を図ったのでは?と言う疑惑を持つ。実際にエミリーは夫の服役中にかつて患っていた鬱病を再発させていたのだ。彼女に同情したジョナサンは抗鬱薬を処方し、彼のカウンセリングを受ける事を条件に退院させた。以前にエミリーを診察したシーバート博士と会ったジョナサンはエミリーが薬の副作用で苦しんでいたこと、そして「アブリクサ」という薬が効果的だった事を知り、エミリーにその薬を処方した。エミリーは改善したかのように見えたが事件が起きてしまう。マーティンが部屋の中で、刺殺体で発見されたのだ。凶器にはエミリーの指紋が付いていたが、彼女はその時の記憶がまったくないという・・・・
私評:これがアブクサリの副作用(サイド・エフェクト)よ・・・これがソダーバーグ監督の劇場版としては最後の映画になるそうです。社会派作品からマニアックな題材、そしてオールスターを集めた超娯楽作品まで幅広いジャンルの映画を作ってきた監督が最後に選んだのはヒッチコックを意識したサスペンス。主人公が事件に巻き込まれてしまうという件はまさにヒッチコック節。これでヒロインがブロンドだったら完璧なのに!?しかし、作品はシナリオが練り込まれていてクライマックスでは見事に思惑が裏切られます。二重三重に張り巡らされたオチをはなかなか見抜けないと思いますよ。ジョナサン役は頭部がすっかり寂しくなってきたジュード・ロウ。エミリー役は「ドラゴン・タトゥーの女」のルーニー・マーラ。彼女もひと皮むけた感がありますね。シーバート博士役は「ロック・オブ・エイジズ」で弾けた演技をみせたキャサリン・ゼタ・ジョーンズ。今回は博士役ですがメガネを掛けただけではインテリには見えない(笑)。そしてマーティン役は「ホワイトハウス・ダウン」のチャニング・テイタム。監督は「セックスと嘘とビデオテープ」で衝撃のデビューを飾り「トラフィック」オスカー監督になり、その後も「エリン・ブロコビッチ」、「オーシャンズ11」「チェ 28歳の革命」などヒット作を世に送り出してきたスティーヴン・ソダーバーグ。


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