2010/9/23

今週もやっぱり見ている映画は邦画ばかり。
今回は心温まる家族映画と、人気のシリーズ作品

オカンの嫁入り  監督:呉美保   出演:宮崎あおい、大竹しのぶ
 2010年 日本映画
今週のイチ押し:陽子と月子は母一人子一人で大阪に住んでいる。その夜、月子は夜中に酔っ払って大声でドアを叩く陽子の声に起こされた。すると、陽子の後ろには見たことがない金髪でリーゼントの男が一緒だった。彼はそのまま玄関に倒れ寝込んでしまった。翌朝、月子は陽子から衝撃的な告白を聞かされた。なんと陽子は昨夜一緒にこの家にやってきた若い男・研二からプロポーズされそれを受けるという。呆気にとられる月子。やがて、月子は怒りを爆発させ、同じ敷地に住む大宅のサクちゃんの家に転がり込んだ。研二は陽子の元に越してくるが、夜は月子に気を使い屋外で寝ていた。そんなある日、月子の愛犬ハチと散歩に行った研二を追いかけていった月子は線路のわきで列車とすれ違い際に1年前の事件を思い出した。それ以来、月子は電車には乗れなくなっていたのだ・・・
私評:月ちゃんと一緒に生きて来られて幸せでした・・・・日本でも屈指の演技派女優の大竹しのぶと宮崎あおいが初共演。新旧名女優のコラボはそれぞれの良さをさらに引き出し、観客をグイグイと映画に引き込んでいきます。映画の話はちょっと能天気な母親と頑固で一途な娘の話。なんとなくどこにでもありそうな日常もこのふたりが演じることによってすごくリアルさを増していきます。そして実は母の陽子が・・・という展開があるのですが、その部分で悲しい涙を誘うという展開はない。それもこの映画の良いところですね。反発ばかりしている月子の気持ちが陽子に寄り添った時、なんだかとっても温かい涙が湧き出してきました。この映画では男は本当に脇役なのですが、そのメンバーに加わってこの母子の幸せを見届けたくなりました・・・。主演は「ソラニン」の宮崎あおい、「火天の城」の大竹しのぶ。健二役は「BECK」の桐谷健太、隣に住む大宅のサクちゃんは絵沢萌子、陽子の勤める病院の院長に國村隼。だれもがみんな愛すべきキャラクターです。監督は新進気鋭の女性監督、呉美保。
ザ・ラストメッセージ 海猿3  監督:羽住英一郎  出演:伊藤英明、加藤あい
 2010年 日本映画
今週のイチ押し:仙崎大輔は結婚3周年を迎え、その夜は妻の環菜と祝う予定だった。しかし、彼は福岡県の玄界灘沖にある巨大天然ガスプラント「レガリア」の事故現場に向かっていた。折から近付いていた巨大台風の影響で掘削船が「レガリア」に激突し、その衝撃で火災が起こったのだ。施設内には多数の人間が取り残されていた。このプラントは日本以外に韓国、ロシアの資本も注入されており、国家の最重要施設でもあった。大輔はレガリアの設計者の桜木と一緒に降り立ち救助を続けていた。しかし、そこで予期せぬ爆発が起こり大輔、桜木、女医の夏、作業員の木島、そして海上保安庁の服部の5人が取り残されてしまう。迫りくる台風のせいで救助隊も送れないまま、レガリアは次から次へと危機に襲われる。そしてついに施設内で火災が発生。これがガスに引火したら一巻の終わりだ。大輔と服部は究極のミッションに向かう・・
私評:俺だって怖いよ・・・・今回も相変わらずツッコミどころ満載の映画でしたが、面白かった。主人公の仙崎大輔という男のキャラクターが私は好きなんですよね。プライベートではけっこうバカなことばかりしているけど、いざ現場に来ると常人以上のパワーを発揮する。しかも決して諦めない。そのキャラクターは今回も受け継がれている。しかし、今回の大輔は「父親」になっているところが微妙な変化。劇中で大輔が子供、そして妻について語るシーンは良かったです。アクションシーンもさらにパワーアップしていますが、3Dは全然良くなかったです。海の上というシチュエーションもありカメラが揺れるので、3Dメガネをしていると気持ち悪くなっちゃうんです。しかも、あまり3Dの見せ場はないし・・。個人的には2Dでの鑑賞をお勧めします。出演者はシリーズを通して出演の伊藤英明、加藤あい、佐藤隆太、時任三郎、香里奈、石黒健・・・。新たな布陣としては加藤雅也、吹石一恵、三浦翔平。監督は「海猿シリーズ」「おっぱいバレー」の羽住英一郎。
キャタピラー  監督:若松孝二  出演:寺島しのぶ、大西信満
 2010年 日本映画
1940年、太平洋戦争中。黒川久蔵は戦地より帰還した。久蔵は戦地での功績が称えられ3つも立派な勲章を手に入れた。しかし 、その代償として彼は四肢を失い、そして声を発する事もできなかった。久蔵の妻、シゲ子は彼をひと目見るとショックで家を飛び出してしまう。しかし、彼女は「軍神」と奉られる久蔵のために一生の世話をする事を決意する。食欲と性欲だけは旺盛で、しかもコミュニケーションもままならない生活はシゲ子を苦しめた。その怒りをぶつけるかのように、シゲ子は頑なに外出を拒んでいた久蔵に軍服を着せて外に連れ出した。野良仕事の傍らで久蔵は荷車に乗せられ見世物のように、ただ座ってシゲ子を見ていた。しかし、久蔵は中国で自らが犯した罪に苛まれ始める・・・・
私評食べて、寝て・・食べて、寝て・・・・・815日の終戦記念に合わせて公開された戦争映画です。この作品で主演の寺島しのぶはベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した。この映画はとにかく悲惨な映画。戦争は戦地で戦うだけではなく、国に戻ってからもさらに戦いは続く。それは本来の人間らしさも失っていくのです、しかし、久蔵は元来「悪」の部分を抱えていて、シゲ子に対しても暴力をふるったりしていたのですが、ある時から立場は逆転。昭和の田舎では想像もできない関係が・・・。この映画のパンフレットにデカデカと監督のメッセージが書かれています「忘れるな、これが戦争だ!」主演は「愛の流刑地」「ハッピーフライト」の寺島しのぶ。なんだか女のエゴをむきだしに演じる彼女には圧倒されます。危険なエロスも漂わせます。久蔵役は「実録・連合赤軍 あさま山荘への道」の大西信満。久蔵を実家に送り届ける兵士役でARATAが出演しています。監督は「胎児が密猟する時」「水のないプール」など、つねに問題作を送り出す巨匠若松孝二。しかし、このパンフレットは戦争の資料みたいで映画の内容が少ない・・しかも、1000円だし・・・。
ジャーロ  監督 :ダリオ・アルジェント  出演:エイドリアン・ブロディ、エマニュエル・セニエ
GIALLO  2009年 アメリカ・イタリア映画
イタリア、トリノ。日本人観光客のケイコは友人と別れタクシーに乗り込んだ。しかし、タクシーはコースを外れ人目のつかない場所へと到着した。トリノで開催中のファッションショーに出演中のセリーヌとフライトアテンダントの姉・リンダはその日、食事の約束をしていた。ショーが終わりタクシーに乗り込んだセリーヌは姉に電話をするが、突然通話が途切れてしまう。運転手はセリーヌを抑えつけ眉間に注射をすると、彼女の意識は遠ざかって行った。セリーヌが目を覚ますとそこは見たことのない部屋。そこに置かれたベッドにはケイコが血だらけで横たわっていた・・・。リンダは消息を絶った妹を探すため警察を訪れる。そこで彼女が会ったのは猟奇事件を専門に担当するエンツォ。彼は犯人が外国人の女性ばかりを襲う誘拐殺人犯と睨む。そんな時、街の広場でケイコが発見される。瀕死の状態でケイコは「彼はイエロー」だという謎の言葉を残す・・・
私評:俺は美しい・・・・・この映画も危うく見逃してしまうくらい宣伝も少なくて、しかもフィルムじゃなくてDLP上映。ダリオ・アルジェント+エイドリアン・ブロディの映画なのに!!!しかし、その理由は映画を見れば一目瞭然。なんだか、全然面白くないんです。今回は魔女やゾンビから離れて、ダリオ・アルジェントの原点であるスリラー作品という事でしたが、展開はぬるいし、オチは最悪だし・・・。あまり、映画を悪く言いたくはありませんが、アルジェント作品の中でも最低ですね。チラシにはダリオ・アルジェントの大ファンと公言する「よしもとばなな」さんのコメントがありますが、いかにも苦し紛れ感が漂っています。主演はオスカー俳優「戦場のピアニスト」「プレデターズ」のエイドリアン・ブロディ。リンダ役は「フランティック」でハリソン・フォードと共演した金髪美女エマニュエル・セニエ。セリーヌ役はエイドリアンの恋人エルサ・パタキ。そして犯人役はバイロン・デイドラ(BYRON DEIDRA)。これはある有名俳優のアナグラムです。監督は「サスペリア」のダリオ・アルジェント。(オープニングのシーンがいきなり日本語で展開されるのでちょっと面食らった!!)ダリオ様、間もなく発売の「サスペリア」のブルーレイも予約したのだから、もう少し頑張って良い映画を撮ってください。


前回の記事も読んでね〜!



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