残暑がない今年の秋。映画館で過ごすのが勿体ない・・。
だけど、ガンガン観ましょう。
猿の惑星 新世紀(ライジング) | 監督 : マット・リーヴス | 出演 : アンディー・サーキス、ジェイソン・クラーク | ||||||
Dawn of The Planet Of The Apes | 2014年 アメリカ映画 | |||||||
今週のイチ押し:近未来。チンパンジーから派生したウィルスで、人類の大半は死亡。免疫を持つ数少ない人々がかろうじて生き延びていた。一方、サルたちは山に引きこもり、人間とは離れて独自の社会を形成していた。彼らを率いているのはシーザーというチンパンジーだった。そんなある日、山の中に人間が現れる。危機感を感じたサルたちは彼らを取り囲むが、人間のひとりが銃を放ちサルに命中した。実は人間たちの目的は山の中にあるダムの施設を再起動させて電気を確保する事だった。彼らのリーダーのマルコムの話を聞いたシーザーは彼らを受け入れ、水力発電の再起動を手伝う事に。しかし、サルのメンバーの一人コバは、昔人間に虐待された事があり、彼らを信用していない。街に偵察に出るとそこにはたくさんの銃器が確保されていた。人間と戦うべきと主張するコバをシーザーは受け入れようとしなかった・・・ | ||||||||
私評:サルはサルを殺さない・・・今回の作品は実にドラマチック。人間たちは風前の灯。電機がなくなったら死んでしまうので必死。ところが電気を必要としないサルたちは逞しく生きている。ところが、今までシーザーによって統制されていた社会に異分子が発生しウィルスのように繁殖してサルの社会を壊し始める。この展開って実は人間が歩んできた歴史と同じなんですよね。戦いは何も生まない。仲間が死ぬだけ、と説いてきたシーザーの築き上げた物が一気呵成に壊れていく様は、本当に悲しかった。そして映画の最後のシーザーのセリフは続編の可能性を示唆してますよね。シーザー役は「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラム、「キングコング」などのCG役者としては右に出る者がいないアンディ・サーキス、マルコム役は「華麗なるギャツビー」「ゼロ・ダーク・サーティ」のジェイソン・クラーク、人間たちの町のリーダー、ドレイファス役は「ドラキュラ」「レオン」のゲイリー・オールドマン、そしてマルコムの恋人エリー役は「ダークスカイズ」のケリー・ラッセル。監督は「猿の惑星・創世記」「モールス」にマット・リーヴス。 | ||||||||
柘榴坂の仇討 | 監督 : 若松節朗 | 出演 : 中井貴一、阿部寛、広末涼子 | ||||||
2014年 日本映画 | ||||||||
彦根藩の下級武士、志村金吾は剣の腕を買われて、主君・井伊直弼の警護役にとり立てられた。そして運命の日、安政7年3月3日。折からの雪の中を駕籠で出発した井伊直弼らの前にひとりの男が立ち塞がる。金吾は男が掲げた直訴状を受け取ろうとした。次の瞬間、男は刀を抜いた。雪のために刀のつばを布で覆っていた金吾は男に脇差で応戦。男を追い詰めるが金吾が駕籠を離れている間に井伊直弼は殺されてしまう。金吾が犯した罪は重く、切腹も許されない。彼の両親は自害、禄も没収。そしてさらに彼に課されたのは直弼を襲った水戸の浪人の首をとり直弼の墓前に供える事だった。逃亡者は5人。時は無情にも早く流れひとり、そしてまたひとりと標的は命を落としていく。13年後、時代は明治になり武士の世は終わった。彦根藩もすでにない。しかし、武士としての本分を貫こうとする金吾はひたすら唯一生き残っている佐橋十兵衛を探していた・・・ | ||||||||
私評:おぬしは生きよ・・・浅田次郎の短編作品です。もちろん、フィクションなのですが「桜田門外の変」から発想した意外な顛末のストーリーはとても面白かったです。また、私が描いていた井伊直弼のイメージも違っていて、それも興味深かったですね。仇討のストーリーも良いのですが、時代が明治になり急速に世の中が変わっていく中で、変わってはいけない物をしっかりと持ち続ける人々の描き方が好きです。刀を捨てても、なお武士道を貫く男たち。町で起こるいざこざのシーンは最高にカッコ良かった!!(詳しくは映画を)そしてラストはイイ感じで締めくくられています。日本人にしか理解できない内容かもしれませんが、こういう映画は必要。松竹作品らしさが出ていました。主演の金吾役は「四十七人の資格」「壬生義士伝」の中井貴一。最近の彼は本当にイイ!!十兵衛役は「テルマエ・ロマエ」「麒麟の翼」の阿部寛。金吾の妻セツ役は「ゼロの焦点」「鍵泥棒のメソッド」の広末涼子。その他、高嶋政宏、藤竜也、中村吉右衛門。監督は「ホワイトアウト」「沈まぬ太陽」の若松節朗。 | ||||||||
イヴ・サンローラン | 監督 : ジャリル・レスペール | 出演 : ピエール・ニネ、ギョーム・ガリエンヌ | ||||||
Eve Saint Laurent | 2014年 フランス映画 | |||||||
1957年、クリスチャン・ディオールの死後に彼の後継者となったのは21歳のイヴ・サンローラン。無口で人見知りな性格だが、彼のデザインする衣服は世の女性を虜にする。彼が初めて手掛けたオートクチュールコレクションは大成功をおさめ、彼が発案した「トラベラーズ・ライン」は一世を風靡する。人気モデルのヴィクトワールもイヴの魅力に圧倒される。しかし、イヴが恋に落ちたのはピエール・ベルジュという男。ふたりはいっしょに暮らし始め、ピエールは長きに渡りイヴの支えとなった。兵役逃れ、マスコミへの対応などピエールの対応は完璧だったが、イヴはプレッシャーからストレスを抱え軍の精神病人に収監されてしまう。それが原因でディオール社の契約を打ち切られたイヴはピエールと一緒にメゾンを立ち上げる。1961年、イヴ・サンローラン社が活動を開始する・・・ | ||||||||
私評:表現する事が、僕の全てなんだ・・・イヴ・サンローランと言われても、ファッションに何の興味もない私は名前くらいしか知りません。あの独特なロゴを目にしても良いんだか悪いんだか・・・。そんな私がこの映画を観に行ったのは天才の栄光と影を描いた作品だと聞いたから。やっぱり天賦の才能を持っていても、それを維持するためにはすごいエネルギーと精神力が必要。そしてどんな天才もひとりの人間。彼がゲイだと言う事も天才ならではという気がします。イヴは薬や酒でボロボロになっていきます。しかし、半世紀もトップデザイナーでいられたのは、彼を理解する真のパートナーがいたからなんですね・・・。この映画を見ていて「オートクチュール」とか「メゾン」という単語の意味も知らなかったし、YSLのファッションもまったく知らなかったので、もうちょっと勉強しておけばさらに楽しめたと思います。主演はYSLにそっくりのピエール・ニネ。ハンサムで、だけど神経質なYSLを見事に演じ切りました。ピエール役は「サブリナ」「マリー・アントワネット」のギョーム・ガリエンヌ。そしてヴィクトワール役は「ムード・インディゴ~うたかたの日々~」のシャルロット・ルボン。美しいです!監督はジャリル・レスペール。 | ||||||||