2012/9/17 その1

今回は何と言っても西川美和監督のこの映画につきます。
サイコー!

夢売るふたり  監督 : 西川美和  出演 : 松たか子、阿部サダヲ
 2012年 日本映画
今週のイチ押し:貫也と里子の夫婦は小さいながらも暖かな小料理屋「いちざわ」を営んでいた。そんなある夜、貫也がちょっと目を離したすきに焼き鳥の火が店に引火。あっという間に店は全焼してしまう。貫也はすっかり落ち込んでしまうが、里子は気丈にラーメン屋で仕事を始める。酒に酔って駅で最終電車を逃した貫也は店の常連だった玲子と再会し、そのまま彼女の家で一夜を過ごした。実は玲子は不倫相手がいたが交通事故で意識不明になり、彼の弟から手切れ金を渡されていた。店が火事にあったことを知った玲子はその金を貫也に託した。一夜の浮気を里子はすぐに見抜き、1回はキレてしまうが燃やしかけた一万円札を見ながら、彼女はあるプランを思いつく。それは貫也に結婚詐欺をさせて女たちから金を騙し取ることだった・・
私評:お前の足りんは「金」やなくて「腹いせ」の足りんたい・・・この映画、まず惹かれるのは主演のふたり。松たか子、阿部サダヲという超個性的なふたりが夫婦で結婚詐欺というシチュエーションにまずは興味津々でした。映画を見ていてやはりこのふたり、タダ者ではないと改めて思いました。そしてとんでもない物語にグイグイ引き込まれていきました。これはもちろん役者の力だけではありませんが・・・。そして順風満帆に見えたふたりのプランにもほころびが見え始める。悪いことをしているのに悪人には思えないふたりに襲いかかる悲劇には胸が締め付けられました。すごい映画です。強烈な映画です。里子役は「告白」の松たか子。彼女は本当にすごい女優です。今回は階段から落ちたり、自転車に飛び乗ったり、最後にはフォークリフトまで運転しちゃう。貫也役は「舞妓Haaaaaan」の阿部サダヲ。彼の少年のような無垢な感じに女たちが騙されるのも無理ないか??彼に関わりを持つ女たちに田中麗奈、鈴木沙羽、安藤玉恵、江原由夏。この4人がまたそれぞれ個性的で魅力的。その他、笑福亭鶴瓶、伊勢谷友介、香川照之と脇役も超豪華。監督は「ディア・ドクター」「ゆれる」の西川美和。
莫逆ファミリア  監督 : 熊切和嘉  出演 : 徳井義実、林遣都、阿部サダヲ
 2012年 日本映画
かつては関東一の暴走族「神叉」のトップで怖いもの知らずだった火野鉄。彼も今は結婚をして高校生の息子を持つ親として、黙々と仕事に励んでいる。そんなある日、鉄の暴走族時代からの仲間、横田あつしの娘の真琴が不良たちに暴行されてしまう。真琴は鉄の息子の周平の彼女でもあった。久々に顔を合わせた神叉のメンバーは、家族同然だった仲間の悲劇に落とし前をつけるため動き始める。鉄の中でも長年、積りに積った鬱憤が徐々に目を覚まし始める。そんな折、今度は仲間の川崎が何者かに襲われる。この事件の背後にいたのは神叉時代から遺恨を引きずりつづける五十嵐。彼が長年恐れていた18代目神叉総長の渡辺満に長年怯え続け、ついには狂気に走ったのだ。ついに鉄は長年封印してきた暴力への衝動が抑えきれなくなっていた・・・・
私評:あんな親父、初めて見たよ・・・これまた人気コミックの映画化。原作はまったく知りませんでした。この作品を観ようと思ったきっかけは監督の熊切さん。最近作は観ていないのですがデビュー作の「鬼畜大宴会」、そして「空の穴」「アンテナ」と強烈なインパクトを残す作品を作っています。いわゆる“ヤンキー映画”なのですが、ビーバップ・ハイスクールやクローズみたいな現役の不良たちの作品ではなく、大人になった不良の話。それが今では“不”が抜けて“良”の人間になっている。しかし、事件が起きて昔のように大暴れをするのですが、仲間を、そして家族を思う心が宿っているために鉄はとんでもない行動を起こすんですね・・。それは観てのお楽しみと言う事で・・・。主演はお笑いコンビ“チュートリアル”の徳井義実。今回は錚々たる役者陣を従えて主役を張ったのですが、その存在感はすごい!周平役は人気の若手俳優、林遣都。その他、阿部サダヲ、玉山鉄二、新井浩文、大森南朋、北村一輝、そして倍賞美津子。彼女が鉄に喰らわした強烈なビンタ。ド迫力でした。監督は熊切和嘉。
最強のふたり  監督 : エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ  出演 : フランソワ・クリュゼ、オマール・シー
UNTOUCHABLE  2011年 フランス映画
パリのスラムに住むドリスは、ハングライダーの事故で首から下が麻痺してしまった大富豪のフィリップの介護の面接に出向いていた。彼は仕事につけるとは思っていなかったので失業手当に必要な書類にサインをして欲しいと言った。翌日、なんとドリスは彼の介護の仕事を手に入れた。お調子者で世間知らずのドリスとはまったく住む世界が違うフィリップ。しかし、フィリップは「自分を身障者として特別扱いしない」ドリスの態度を気に入っていた。ある夜、ドリスのトランシーバーにフィリップの苦しげな息遣いが・・。ドリスはフィリップを早朝のパリに引きずり出し新鮮な空気を吸わせ、ついでにマリファナまで吸わせるが、それがきっかけでフィリップの心に澱んでいた何かが吹っ切れた。それからもドリスは今までのフィリップの常識では考えられないような行動を次々と起こすが、フィリップにとって、それは新鮮で且つてないエキサイティングな体験だった。そしていつしか二人の間には友情とも呼べる固い絆が芽生えていた・・・・
私評:今日のランチに俺は同席しない・・・・巷で大評判のこの映画。なんたってTOHOシネマズが劇場数を増やしてまで対応しているんですよね。実際に見てみると噂どおりのいい映画。しかも、この映画は実話が元になっているんですね。エンドクレジットで実際の二人の映像がでるのですが、なんだかとても清々しい映像です。スラム育ちの貧乏人と重度の身障者の金持ちという、まったく正反対のふたりが歯に衣着せることなく本音でぶつかり合う。そしてお互いの垣根を越えたとき、そこには大きな感動が待っていました。映画を見終えたあとは、なんとも爽やかな気分になれました!フィリップ役は「ショコラ」のフランソワ・クリュゼ、そしてドリス役は「ミックマック」のオマール・シー。ふたりとも知らない役者なのですが、お互いがお互いを高めるようないいコンビネーション。監督はエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュのふたり。
踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望  監督 : 大広克行  出演 : 織田裕二、柳葉敏郎、深津絵里
 2012年 日本映画
湾岸署の所轄内で行われている国際環境エネルギーサミットで誘拐事件が起こる。しかも、被害者は遺体で発見される。犯行に使われた銃は5年前のある事件に使われ、警察が押収した銃だった。湾岸署には捜査本部が置かれ本庁から鳥飼他、多数の捜査員がやってくるが、所轄にはまったく情報が開示されない。そして第2の殺人事件が発生し、容疑者が逮捕されるが、彼はその時間に湾岸署ですみれが取り調べをしていたというアリバイがあった。しかも、鳥飼はその罪を青島に着せて、彼から警察手帳を取り上げてしまう。その尻拭いのために湾岸署に室井が派遣される。しかし、彼も青島の引責責任のために辞職するというのが本庁の筋書きだ。そして第3の事件が発生。湾岸署の署長になった真下の子供が誘拐されたのだ。そんな時、すみれは以前に撃たれた傷の後遺症のために刑事を辞めることを決めていた・・・・
私評:なんてな・・・・・踊る大捜査線もこれで終わり。予告編で「さらば、青島」なんて言葉が踊っていたので、もしかして・・・なんて思って観ていたのですが意外や意外??事件自体は、呆気ないくらい簡単に解決してしまうのですが、まあそれは良しとしましょう?そしてファンが気になるのは青島とすみれの恋愛事情。この辺りもちょっとした展開があったりして・・。しかし、どれもこれもここに書いてしまうと、映画の楽しみを削いでしまうので、とっても書きづらい・・。そして壮大なる締めくくりには、私は大満足。今までの映画のシリーズは、何となくモヤモヤしていたエンディングが、今回はすっきり爽快。私はテレビシリーズから見ていて、このシリーズのファンなのでちょっと寂しい気もしますが、もしかした「課長 青島」みたいな作品ができるかもしれませんね。出演者は織田裕二、柳葉敏郎、深津絵里、ユースケ・サンタマリアといういつものメンツに、今回はSMAPの香取慎吾、そして前作から登場している小栗旬が重要なキャラを演じます。監督は本広克行。


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