2012/9/9

すっかりレビューを溜めてます。新作感がまったくないかも?
イチ押しはスペイン版江戸川乱歩?と
コミックから飛び出した超アクション映画

スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜  監督 : ジャウマ・バラゲロ  出演 : ルイス・トサル、マルタ・エトゥラ
Sleep Tight  2011年 スペイン映画
今週のイチ押し:バルセロナのマンションで住み込みの管理人をしているセサル。仕事ぶりはきっちりとしているが、彼には誰にも言えない禁断の愉しみがあった。マンションに住む若い女性クララに好意を抱いているセサルは、夜ごと彼女の部屋に忍び込んでは、ベッドの下で彼女が寝付くのを待つのだ。彼女が寝入ったのを見計らいベッドから這い出て、何やら薬を嗅がせて彼女にいたずらをするのが日課になっていた。しかし、彼の異常な行動をクララの部屋の向かいに住む少女が見ていた。少女はセサルに強請をかけていた。そんなある日、いつものように彼女のベッドの下に潜んでいると、部屋に入ってきたのはクララだけではなかった。しかも、ふたりは彼の上で激しく求め合う。その揺れの中でベッドのスプリングに隠していた怪しい薬がセサルの顔に落ち、彼は意識を失いそうになるが・・・
私評:おかえり、クララ・・・スペインからやってきた怪しい映画。主人公は江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」のように彼女の部屋に潜り込み、「人間椅子」のようにベッドの下で彼女の息遣いを愉しむ。これがまた、“いかにも”ってくらいピッタリのおっさんなんです。見るからにキモイ感じなのですが、私はなんだかとっても感情移入してしまった。もしかして、私の潜在意識の中に、「こんなことをしてみたい!」という欲望があるのかも??映画の前半は彼女が危険な目に遭いそうでドキドキ、途中辺りからはセサルがバレそうになってドキドキ。そして最後の最後に恐ろしい、そしてとんでもないオチがあるんですよ・・。変態好きな方は(?)思わずニンマリしてしまうでしょう??セサル役は「マイアミ・バイス」のルイス・トサル。クララ役にはマルタ・エトゥラ、そしてアパートに住む老婦人はペトラ・マルティネス。監督は「REC」で全世界を震え上がらせたジャウマ・バロゲロ。
るろうに剣心  監督 : 大友啓史  出演 : 佐藤健、武井咲、吉川晃司
 2012年 日本映画
今回のイチ押し:辛亥戦争の最中、ひとりの男が敵を斬りまくっている。彼の名は緋村抜刀斎、通称“人斬り抜刀斎”。そんな彼を追っていたのは新選組の斎藤一。しかし、戦は終わり、抜刀斎はそのまま静かに姿を消した。時代は明治になり廃刀令が敷かれ、武士は姿を消したかに思えた。しかし、東京では”人斬り抜刀斎“の名を語る無差別の辻斬りが続発していた。当の緋村抜刀斎は名前を緋村剣心に変え、もう二度と人を斬らないと誓っていた。しかし、彼のトレードマークである頬の傷を見た町道場の娘の薫は、剣心に木刀で挑みかかるが軽くいなされてしまう。実は辻斬りの”偽“抜刀斎は、薫の道場の名を語っていたため、同門は皆、去っていったのだ。しかし、その直後に薫は”偽“抜刀斎に襲われてしまう。その時、彼女を救ったのが剣心だった。それがきっかけで剣心は薫の道場に居候することなる。”偽“抜刀斎を影で操っていたのは実業家の武田観柳。彼は強力なアヘンを密造し、大儲けを考えていた・・
私評:「おかえり、剣心!」「ただいまでござる」・・・・・コミックはシリーズ累計5700万部の大ベストセラー。男女を問わず、人気が高い作品。しかし、私は読んだことがありませんでした。それにしてもこの作品のアクションシーンはすごい。剣を合わせるスピードも半端ない!それゆえにカメラに写りきらないんですね。ワイヤーアクションもすごい!それに加えて、この映画は脚本がいい。話が面白いから、アクションが添え物に感じます。約2時間15分、私はワクワクしながら興奮の連続でした。主演の緋村剣心を演じるのは「BECK」の佐藤健。最初はセリフの端々にぎこちなさがあったのですが、あっという間に彼のペースに巻き込まれました。スタントなしのアクションは必見!薫役は「愛と誠」の武井咲。彼女ってまだ10代なんですよね。それなのにあの存在感!そして美しさ!タマらん!!宿敵の鵜堂刃衛役は「必死剣 鳥刺し」の吉川晃司。彼も運動神経は抜群ですからね。クライマックスの殺陣はサイコーでした!その他、蒼井優、江口洋介、香川照之、奥田瑛二。監督は「龍馬伝」の大友啓史。
テイク・ディス・ワルツ  監督 : サラ・ポーリー  出演 : ミシェル・ウィリアムズ、セス・ローゲン
Take This Walts  2011年 カナダ映画
ライターの仕事をしているマーゴと、チキン専門のレシピ本を書いているルーは結婚5年目の夫婦。子供のいないふたりは、今でも恋人同士のように仲睦まじいが、マーゴは漠然とした“物足りなさ”を感じていた。そんなある日、マーゴの前に刺激的な男が現れる。ダニエルというその男は、最初こそ悪印象だったが、マーゴをグイグイ引き込む魅力を持っていた。しかも、彼の家はマーゴの家の向かいだった。ルーの事を気にかけながらもカジュアルなデートを繰り返すふたり。しかし、ルーを想うマーゴは一線は超えない。家に帰ってルーと囁やきあう“アイ・ラブ・ユー”も、マーゴにとってはだんだんとただの挨拶になっていく。ダニエルへの思いが最高に達したとき、マーゴが選んだ道とは?・・・・
私評:人生なんて、何か物足りないものよ。完璧なんてない・・・・いわゆる不倫の映画です。マーゴとルーは普通に考えれば申し分のない夫婦。真面目でひたすらマーゴを愛するルーだけど、彼にない強引で危険な魅力を持つダニエルに惹かれるマーゴの気持ちの移り変わりの描き方がめちゃめちゃリアルで、しかもうまい。これは監督の技量なんでしょうね。ダニエルがマーゴのリクエストで、“彼女の愛し方“を語るシーンはエロかった~!!しかし、新しい物もいずれは古くなる。フレッシュだった想いも、いつしかマンネリ。これは世界中どこでも同じこと。その辺りの描き方として使われる、”マーゴがトイレで用を足すシーン“。この演出は秀逸。不思議な演出ではあるのですが・・・。主演は「マリリン 7日間の恋」のミシェル・ウィリアムズ。彼女はやっぱりうまい!ヌードシーンも道に入っています。ルー役は「50/50」「グリーン・ホーネット」のセス・ローゲン。彼が今までのコミカルな部分をスッパリ切り落として、真面目で内気な夫を好演。ダニエル役はルーク・カービー。監督は「ドーン・オブ・ザ・デッド」「スプライス」などで女優としてもキャリアを積む「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」のサラ・ポーリー。この映画のあとは「ラジオスターの悲劇」を大音響で聴きたくなるかも?
ヴァージニア  監督 : フランシス・フォード・コッポラ  出演 : ヴァル・キルマー、エル・ファニング
TWXIT  2011年 アメリカ映画
ホラー作家のボルティモアは、自分の書いた本のサイン会を行うためにある街を訪れた。7面の時計台がある、その町で彼は自ら小説を書いているとういう保安官と出会う。彼はボルティモアに次回作を一緒に書こうと申し入れる。実はこの街では不思議な事件が過去からおきているのだ。保安官に連れられて遺体安置所を訪れたボルティモアは、そこで体に杭を刺された少女の死体を見せつけられた。そして保安官はかつてエドガー・アラン・ポーが宿泊したというチカリング・ホテルについて語り始める。その夜、彼は夢の中でV(ヴィー)という少女と出会う。ヴィーに導かれるようにチカリング・ホテルを訪れたボルティモアは、そこで多くの少年少女が虐殺され、教会に埋められているという話を聞かされる。そして彼は夢の中でポーにも出会う。ヴィー、そしてポーに導かれ、彼は現実の世界と夢の世界を行き来し、ついにはある事実に辿り着く・・・・
私評:本当にこの謎が知りたいか??・・・・あの「ゴッドファーザー」「地獄の黙示録」の名監督、フランシス・フォード・コッポラの映画が都内で2週間限定公開??六本木で引き続き公開されることになりましたが1日1回だけ。ありえないでしょう!!最終日になんとか観に行きました。この映画は大資本の大作映画ではなく、コッポラが自分の資産で作ったいわゆるインディーズ映画。しかも、私好みのホラー映画。実はコッポラの「ドラキュラ」は私の生涯でも上位にランクインする映画です。今回の映画は怖さというよりミステリアスで、摩訶不思議な雰囲気が漂う、いわゆるゴシックホラー。モノクロっぽい映像も雰囲気があってすごくいいです。そして解き明かされるこの街の秘密。たった89分の映画ですが、内容がギッシリ。怖さの中にユーモアもたっぷりあって私はかなりのお気に入りです。主演はすっかり太って昔の面影が消えてきた「ドアーズ」「トップガン」のヴァル・キルマー、怪しい保安官役は「帰郷」のブルース・ダーン、そして妖艶なヴィーを演じるのは「スーパーエイト」「幸せへのキセキ」のエル・ファニング。この映画での彼女の存在感はハンパないです。ナレーションはコッポラ映画の常連のトム・ウェイツ。劇場で見れて良かった!!
The Grey 凍える太陽  監督 : ジョー・カーナハン  出演 : リーアム・ニーソン、ダーモット・マロニー
The Grey  2011年 アメリカ映画
アラスカの石油採掘現場で、狼から従業員を守るためハンターをしているオットウェイは過去に悩み、現実に失望している。そんなある日、彼は飛行機で移動中に事故に遭い、飛行機は墜落。奇跡的に使ったのは彼を含む、たったの7名だった。彼らはすぐに暖をとりその場はなんとか凌ぐが、救出を待っていたらば死んでしまうというオットウェイに従い、事故現場から移動をすることにした。しかし、その夜生き残りの一人が狼に襲われ命を落とした。彼らを襲うのは大自然の猛威だけではなく、血に飢えた野生の狼の群れまでもが彼らの命を狙っているのだ。まったく、共通点がなく言い争いばかりをしていた生存者たちは究極のサバイバルを繰り広げるが・・・・
私評:俺に身を任せろ。素敵な思い出だけを考えるんだ・・・・この暑い日本で、マイナス20度の雪原で究極のサバイバルを繰り広げる男たち。ひんやりしてイイですよ!?しかし、この映画は生存者たちのそれぞれの生活や家族なども、微妙に盛り込んでいるのでいい感じで出演者たちに感情移入ができます。家族に会いたい!恋人に会いたい!それが彼らの“生”へ原動力なのですが、そんな野望をことごとく打ち砕き、彼らを絶望の淵に追い込むのが見渡す限りの雪原と狼の群れ。ラストは悲しかったな~・・・。主演はすっかりアクション俳優になってしまった「96時間」のリーアム・ニーソン。彼と一緒にサバイバルするが反抗的でみんなの和を乱すディアス役には「プリズン・ブレイク」の憎たらしい囚人が印象的だったフランク・グリロ。娘のもとに帰るために必死にサバイバルするタルゲット役には「バッドガールズ」「ヤングガン」のダーモット・マローニー。監督は「特攻野郎Aチーム」のジョン・カーナハン。
桐島、部活やめるってよ  監督 : 吉田八大  出演 : 神木隆之介、橋本愛、大後寿々花
 2012年 日本映画
金曜日。その日、学校内にとんでもないニュースが流れる。バレー部を引っ張る桐島が部活を辞めたという。スポーツ万能で成績も優秀な桐島は、誰もが一目置くいわゆる校内のスーパースターだ。桐島のガールフレンドの実果も、その事は全く知らなかった。それどころが、今日は桐島にまったく連絡が取れなくてイライラは募るばかり。そんな桐島と仲良しの帰宅部ボーイズはいつも通りバスケットボールをしながら桐島の帰りを待っていた。そしてそんな彼らを学校の屋上から見ているのは吹奏楽部の部長の沢島亜矢。彼女はいつもそこで彼らに向けてサックスを吹いていたのだ。そこに現れたのは映画部の部長前田と部員たち。彼らはクラスの中でも下層部にいる大人しい種族。スポーツ系からはつねに見下されているが、そんな事はまったく気にしていない。彼らは顧問が脚本を書いた作品で入賞を果たすが、前田の意見でオリジナル作品「生徒会・オブ・ザ・デッド」を作ることにしたのだ。前田は撮影のためなんとか場所を開けてくれと亜矢に頼み込むが・・・・
私評:俺たちに謝れ!・・・・・桐島くんは最後まで登場しません。彼に振り回される友人や部活動のメンバー、友人、ガールフレンド、そしてまったく桐島とは繋がりがない映画部のメンバーまでが、まさに大混戦。同じシチュエーションで角度を変えて何度か繰り返す演出は面白いです。そして大円団の屋上での大騒動に“感動がある”と書かれていたのですが、私はなんで“感動”なのかが分からずじまい。青春のパワーが炸裂したような演出は面白いと思ったのですが・・・。という訳で、私には読めない映画でした。主演は「SPEC」「妖怪大戦争」の神木隆之介。彼は実に味わいがある青年に成長しました。バドミントン部の少女かすみ役には、先日観た「アナザー」と同じ髪型で登場した橋本愛。キャラが被ってホラー映画かと思ってしまった!?吹奏楽部の部長の亜矢役は、こちらもすっかり成長した「SAYURI」の大後寿々花。そのほかには活きのいい若手俳優がどんどん出てきます。監督は「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の吉田八大。


前回の記事も読んでね~!



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