今回はキワモノ映画が多いです。しかし、色々な「愛の形」を
垣間見ることができた!イチ押し3作以外も面白い映画が
多かったです。まだまだ、観たい映画がいっぱい!
ブラック・スネーク・モーン | 監督:クレイグ・ブリューワー | 出演:サミュエル・L・ジャクソン、クリスティーナ・リッチ | |
Black Snake Moan | 2006年 アメリカ映画 | ||
今週のイチ押し:アメリカ南部の田舎町。ラザラスはかつて、場末の店でブルースを聞かせるミュージシャンだったが、現在は畑仕事で生計を立てている。しかし、愛する妻が自分の弟と関係を持って家を出て行ってしまう。絶望が彼を襲う。ある朝、ラザラスは道端で半裸の白人女性を拾う。彼女の名前はレイ。彼女はセックス依存症で、発作的に男と寝てしまう。恋人のロニーが新兵訓練所に向かった途端に、彼女の体は男を欲していた。ドラッグにまみれたレイはロニーの友人のギルをバカにして、殴られて車から落とされたのだ。訳が分からないまま彼女を家に連れ帰り看病するラザラス。意識が朦朧としながら、汚い言葉を吐き外へ飛び出していくレイを鎖で縛ることにした。2日後、意識を取り戻したレイは黒人男の家に鎖で繋がれている自分に驚く。レイはラザラスを罵倒するが、彼はレイの忌まわしい部分をそぎ落とすため、神が自分に使命を与えたという。こうして奇妙な生活が始まった・・ | |||
私評:「鎖をはずして!」「だめだ・・、まだ改心してない」・・・この映画には驚かされた。まず、驚いたのがクリスティーナ・リッチーがめちゃめちゃ美人になっていた事。小柄だけどダイナマイトボディを惜しげもなく披露して、セックス中毒というキワドイ役を完璧に、いやそれ以上の演技で魅せてくれました。彼女はそのうちオスカーを獲るんじゃないかな〜??そしてもうひとつの驚きがサミュエル・L・ジャクソンのブルース。映画の中で彼がギターを掻き鳴らしてブルースを歌いまくる。それがまた、めちゃめちゃカッコ良いんですよ。これはかなり驚いた。そしてこのふたりがお互いの「負の心」を理解しあい、補い合っていく。これはある意味21世紀の「コレクター」であり「痴人の愛」なのかもしれません。映画を見終わった後は「良い映画を観た!」という充実感で思わずニンマリ。いや〜、本当に面白かったです。共演はロニー役でジャスティン・ティンバーレイクが登場。監督は「ハッスル&フロウ」のクレイグ・ブリューワー。 | |||
ジャンゴ | 監督:三池崇 | 出演:伊藤英明、桃井かおり、伊勢谷友介 | |
Sukiyaki Western Django | 2007年 日本映画 | ||
今週のイチ押し:壇ノ浦の戦いから数百年後。ひとりの男が寂れた村、湯田(ユタ)にたどり着いた。その村は平家と源氏の2派に別れ争いの真っ只中だった。彼らがこの村にやってきたのは壇ノ浦の戦いの後に、平家の落ち武者がこの村に金を隠したとされていたからだ。双方から用心棒のオファーを受けたガンマンだったが、ひとまずは雑貨屋のルリ子の家に行ったガンマン。そこで彼女の孫息子の平八と出会う。彼は目の前で父親を平清盛によって惨殺され、それ以来口がきけなくなっていたのだ。平八の母親は源義経の愛人となり、清盛に復讐を果たすチャンスを虎視眈々と狙っていた。その話を聞いたガンマンは源氏のアジトへと向かう。そこで静を手に入れたガンマンは、彼女から源氏がこの戦いの終止符を打つべく武器弾薬を買いに出たと言う情報を得る。そしてその情報を平氏に伝えた。こうして両派の戦いはどんどんヒートアップしていく・・ | |||
私評:彼女が弁天だったのか!!・・・・三池崇が作った何でもありのジャパニーズ西部劇。しかし、この破天荒なストーリーや展開はマカロニウエスタンの正当な後継作品なのだ。ちなみに「マカロニウエスタン」の名付け親は淀川長治さん。そして銃弾が飛び交い、血潮が迸り、ダイナマイトが炸裂し・・・。いや〜、面白かった。役者も最高ですよ〜。主演は伊藤英明。彼のガンさばきは素晴らしいです。しかし、主演の彼を食ってしまうのが義経役の伊勢谷友介とルリ子役の桃井かおり。このふたりのカッコ良さは・・映画館で見てください。そして不気味な佐藤浩市、妖艶な木村佳乃、いやらしい安藤政信、おバカな石橋貴明、曲者の香川照之、そしてあのクエンティン・タランティーノまで登場。その他にも香取慎吾、小栗旬などが贅沢に使われています。監督は三池崇。相変わらず荒削りな作品だけど、この映像のパワーは彼ならでは。あっ!エンドクレジットで流れる北島三郎の歌もよろしく! | |||
包帯クラブ | 監督 : 堤幸彦 | 出演:柳楽優也、石原さとみ | |
2007年 日本映画 | |||
今週のイチ押し:笑子(通称ワラ)は両親の離婚からちょっとひねくれた女の子になっていた。そんな時、彼女は誤って包丁で手首を切ってしまう。みんなに「リスカ(リストカット)?」と言われるたびにイラつく。彼女は病院の屋上で何気なく柵の上に立ち上がった。その時、彼女の後ろで妙な男が声を掛けた。変な関西弁を喋るこの男はディノと名乗った。彼女の微妙な心情を見抜いたディノは、なんとなく屋上の柵に包帯を巻きつけた。その光景はワラの心を癒した。数日後。ワラの親友のタンシオの失恋話を聞いていたワラは公園のブランコに包帯を巻きつけた。それがきっかけとなりタンシオと彼女の写真を見たギモがネット上に「包帯クラブ」のサイトを立ち上げた。傷ついた状況をサイトに書き込むと、クラブのメンバーが現場に行って包帯を巻いて写真に収め、それを投稿者に送ると言うクラブ活動だ。最初は引き気味だったワラも言葉に表すことが難しい不思議な喜びに包まれていた・・・・ |
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私評:ここからは俺一人で行く・・・・・天童荒太の原作は発売と同時に買って速攻で読んで、そしてめちゃめちゃ感動した。人間ってやっぱり人間と繋がって行こうとする動物なんですよね。たとえ、それが突拍子もないことでも何か人のためになっている=それは他人への小さな愛??(もちろん基本的には良い事をしなければいけません!)それは大きなお世話かもしれませんが、そういう気持ちを持つことが大事だと思う。何もしないより遥かにそれには意味がある。この作品にはそんなストレートなメッセージがいっぱい詰まっている。そして友達は大事にしようというメッセージも・・。この映画の主演のふたりは完璧!そしてサイコーの柳楽優也と石原さとみ。ふたりとも演技には定評がありますが、素晴らしかったです。そしてタンシオ役の貫地谷しほりがグッド!あと、この映画はほとんど音楽がバックに流れているのですが、それを担当するのがハンバートハンバート。彼らの心地よいアコースティックサウンド+ハミングが心地良いです。監督はやっぱり天才だと思う堤幸彦。これはみんなに見て欲しい映画です。 | |||
ショートバス | 監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル | 出演:ポール・ドーソン、スックイン・リー | |
Shortbus | 2006年 アメリカ映画 | ||
911の跡地、グラウンドゼロを見下ろす部屋で客を取っているのはSM女王のセヴェリン。別のマンションでは自分のマスターベーションをビデオに撮っているジェイムズがいた。彼は射精後、なぜか涙を流している。そんな彼を向かいのアパートのカレブが覗いている。ゲイであるジェイムズはパートナーのジェイミーと暮らしている。また、別の部屋では男女が激しく愛し合っている。手当たりしだいの体位でセックスを試すロブ。その妻のソフィアはセックスカウンセラーだが、いまだにイッた事がないのが悩みだった。ある日、ソフィアの元にジェイムズとジェイミーがやってきた。ジェイムズは相手をもっと広げる事をジェイミーに提案している。ふたりは言い争いになるが、それを見てソフィアはジェイミーを思わず殴ってしまう。そして彼らに自分はオーガズムを感じたことがないと打ち明ける。数日後、ソフィアは二人に紹介されたサロン「ショートバス」を訪ねた。そこではソフィアが見たことがない世界が繰り広げられていた。そこで彼女はセヴェリンと出会い、彼女の話を聞くことに・・・・ | |||
私評:ボクは彼の愛に包まれている。だけど、皮膚の中にまで浸透させられない・・・この映画の中でも人間が繋がりあって行こうという欲望に駆られている。「包帯クラブ」とは全然違う映画だけど、根本のテーマは同じなのかと思うとちょっと不思議で面白い。しかし、この映画の映像は過激です。いきなりのハードなセックスシーン、そして男同士の絡みもかなり過激。ところがそんな映像が巨大な「愛」を語るのです。この性の欲望を上手にコントロールすることが、大きな愛を育む。そして年齢を超え、性別を超え物語の中で「愛」が暴走をするクライマックスは圧巻。内容が内容だけにこの映画にはビッグスターは出ていませんが、みんな個性的で素晴らしい役者が揃っています。監督は「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ」のジョン・キャメロン・ミッチェル。この作品のテーマをここまで描けるのは彼を置いて他にはいないでしょう。そしてこの映画の音楽の素晴らしさも書き足しておきます。 | |||
ホステル2 | 監督:イーライ・ロス | 出演:ローレン・ジャーマン、ビジュー・フィリップス | |
Hostel Part 2 | 2007年 アメリカ映画 | ||
ローマに留学中の女学生のベス、ホイットニー、そしてローナはヨーロッパ旅行に出かけた。列車の中で授業中に絵のモデルになった美女アクセルと偶然出会い、彼女からスロバキアにあるという天然スパの情報を入手した3人は行き先を変更した。彼女たちが訪ねた街は偶然祭りの最中で、彼女たちは祭りに参加。ホイットニーとローナはさっそく男たちに誘われている。ホイットニーはベスの機転で男の手から離されたが、ローナはベスのアドバイスを聞かず真っ暗な川を船で下っていく。そして彼女は戻ってこなかった。3人のパスポートを預かったホテルのフロントは彼女たちの写真を世界中に発信した。そして彼女たちにとんでもない値段が付いていく。これはいったい??その頃、ローナは男たちに拉致され見知らぬ廃屋で逆さ吊りにされていた。彼女を買ったのは金髪の中年女。宙吊りのローナの下には空のバスタブが置いてあり、中年女は全裸で身を横たえた。そして彼女の両手には鋭い刃物が・・。そしてローナの体を切り刻むと女はローナの血を体中に浴びて・・・。その頃、ベスとホイットニーにも魔の手が伸びていた・・・・ | |||
私評:私が買うわ!値段を言って・・・・ホステルの1作目で生き残ったパクストンが冒頭で登場するが、あっという間に・・・。そして1作目は男たちが恐怖を味わうのですが、2作目はシチュエーションこそほぼ同じなのですが、被害に遭うのが3人の若い女性。そして1作目を超える残酷映像で思わず「お〜!」と声を出しそうになってしまいました。生きたままあんなふうに切り刻まれて死ぬなんて・・・。しかし、物語は最後の最後で大どんでん返しがあります。それはここには書けませんが、思わずニヤリとしてしまいました。ましてや、女性はもっと快感かも?? また、この映画で男にはとんでもなく痛い映像があります・・。そのシーンを見たら思わず股間に手が行ってしまうはず・・(笑)主演の女性陣は有名な役者はいないのですが、それが逆にリアルで良いです。そして犯罪に手を貸す金持ちを「プロデューサーズ」のゲイ役が印象的だったロジャー・バートが演じます。監督は前作に続きイラーイ・ロス。彼は希代のサディストです!(断言)プロデューサーはタランティーノ。 | |||
オフサイド・ガールズ | 監督:ジャファル・バナヒ | 出演:シモ・モバラク・シャヒ、サファル・サマンダール | |
Offside | 2006年 イラン映画 | ||
ワールドカップ予選の試合に向かうバスの中は大騒ぎ。しかし、ひとり静に前を見据えている男が・・・いや、女の子がひとり。彼女はサッカーの試合を見るために男装をしてバスに乗り込んだのだ。ここイランではサッカーは国民的スポーツ。しかし、女性がスタジアムで男性のスポーツを見ることは禁止されているのだ。なんとかスタジアムには着いたものの、ゲートで捕まってしまう。スタジアムの一角にある仮の留置所には、彼女以外にも男装の女の子が何人かいた。花序たちは試合終了後に」分隊に連れて行かれるのだ。彼女たちの仮留置所はスタジアムの入り口のすぐそばに設置されているため、中の大声援が聞こえてくる。見たい!どうしても見たい!彼女たちの必死の説得に兵士たちも手を焼くが、彼女たちのために下手な実況をしてあげることに・・・・ | |||
私評:「どうして女は試合を見られないの?」「男たちが汚い言葉で盛り上がるからだ」・・・お国柄とはいえ、イランではまだ女性がこんな不当な扱いをされているのですね・・。しかし、それを逆手にとってこんな映画を作ってしまうなんて・・。だから、映画は面白いんですよね〜。しかし、映画の全てがフィクションではなくて、実際にこんな女性たちがいるのでしょうね。この映画に登場する5人の女の子たちも実にユニークで可愛い。そして彼女たち以上に面白いのが、彼女たちを監視する兵士たち。必死な彼女たちにいつしか心を動かされて・・?? 私はイランという国を良く知らないのですが、こういう制度はなくなると良いですね。監督は「白い風船」「チャドルと生きる」のジャファル・パナヒ。 | |||
アーサーとミニモイの不思議な国 | 監督:リュック・ベッソン | 出演:フレディ・ハイモア、ミア・ファロウ | |
Arthur | 2006年 フランス映画 | ||
アーサーは10歳の男の子。4年前に失踪した大好きだったおじいちゃんの発明品や書物を読んでは自分もそんな冒険をしたいと思っていた。そんなある日、おばあちゃんと住んでいる家の立ち退き命令が下る。借金の返済期日は2日後。おばあちゃんによれば、おじいちゃんがアフリカで手に入れたルビーが庭のどこかに隠されているという・・。アーサーはおじいちゃんの書物から宝物の地図を発見!そしてその書物には体長2mmのミニモイ族が住む地下世界の事が記されていた。ミニモイの国への扉が開いた夜、アーサーは背の高い部族のボゴ・マタサライ族の手を借りてミニモイの世界にたどり着いた。小さくなった彼はその国の王女のセレニア、そして弟のベタメッシュと会った。純粋で正義感がある者にしか使えないという魔法の剣をアーサーは使う力を持っていた。彼は闇の支配者「M」と戦うためにMが住むネクロポリスへと向かうが・・・・ | |||
私評:10番目の満月の夜に、また帰ってくるよ・・・・リュック・ベッソンが作った実写とCG満載のアドベンチャードラマ。しかし、なぜ、ベッソンがこういう映画を撮ったのでしょうね??作品は決してつまらなくはないけど、「すごい!」というインパクトもない。CGはかなりすごいけど、21世紀の今なら普通かも?そしてストーリーも・・・。しかし、この映画のすごいのは俳優&声優陣。主演のフレディ・ハイモア君は「チャリチョコ」や「ネバーランド」で天才と謳われた少年。そしておばあちゃん役は「ローズマリーの赤ちゃん」のミア・ファロー。(もう、おばあちゃんを演じる年になったのですね・・)そしてセレニア姫の声はなんと、あのマドンナ!そして悪の権化「M」はデヴィッド・ボウイというミュージシャンコンビ。これがまた、良いんですよ。そしてリュック・ベッソン作品の音楽と言えば、ご存知エリック・セラ。彼の音楽は最高です。エンド・クレジットでミニモイたちが挨拶で登場するのですが、その中に爆笑のキャラがいました・・・。ご確認ください! | |||