2006/9/17

今回は日韓の最高のラブストーリーがイチ押し。
特にシュガー&スパイスは今年最高のラブストーリーです!

シュガー&スパイス 風味絶佳  監督:中江功  出演:柳楽優弥、沢尻エリカ
what little girls are made of  2006年 日本映画
今週のイチ押し:舞台は東京の福生。士郎は高校を卒業した後も、大学には進まず近くのガソリンスタンドで働き始める。明確な将来のビジョンを持たない彼には「とりあえず」の仕事だった。大反対する両親を説得してくれたのは、士郎の祖母、通称「グランマ」の不二子だった。仕事にも慣れ始めた士郎の元に、新しくバイトで乃里子という女性が入ってきた。実は士郎は乃里子を高校生の時に見ていた・・。偶然の再会以来、乃里子にどんどん惹かれていく士郎。自分の心の高鳴りを感じ、彼女と共有する時間に最高の幸せを感じていた。これが恋??乃里子も士郎との時間を愛おしく感じていたが、彼女には拭っても拭いきれない過去があった。そして士郎と過ごす時間が、それを消してくれると思っていたのだが・・
私評:一日に一度、寂しいって思うことって人を愛するこつだろう??・・私はこの映画に完全にKOされた。この映画は今時の恋愛映画みたいな、すごい奇蹟も起きないし、感動的なハッピーエンディングもない。ましてや韓国映画のような人が死んでお涙頂戴なんてない。この映画に描かれているのは、(私くらいの年齢の人は)きっと多くの人が過去に味わった「初めて人に恋する事」の喜び、戸惑い、不安、そして絶望的な別れがとてもリアルに描かれている。私ははるか昔に忘れていた胸を締め付けるような失恋の思い出が脳裏に蘇りました。しかも、それがめちゃめちゃ快感だったのはなぜでしょう??そして士郎の涙にもらい泣きしてしまった私です。士郎役は「誰も知らない」で史上最年少のカンヌ主演男優賞を獲った柳楽優弥!彼の演技はやはり素晴らしいです。そして人気爆発中、「間宮兄弟」の沢尻エリカが少年の憧れとしては最高の女性キャスティング。グランマ役は(ちょっと「千と千尋」の湯婆婆っぽかったけど・・)はまり役だった夏木マリ。その他、大泉洋、チェン・ボーリンなどがいい演技を見せてくれます。監督は「冷静と情熱の間」の中江功。今年最高の恋愛映画です。
 監督:キム・ギドク  出演:ハン・ヨルム、チョン・ソンファン
The Bow  2005年 韓国映画
今週のイチ押し:老人と少女は古い漁船の上で、ふたりきりで住んでいた。老人は釣り客をこの漁船まで連れてきて商いをしていた。少女は6歳の時に老人に拾われ、以来船から下りたことがないという。老人はまもなく17歳になる少女と結婚するつもりでいた。釣り人の中では少女にチョッカイを出すものもいたが、そんな輩に老人は容赦なく「弓」を放った。そんなある日、若い青年が船に訪れる。ひと目で少女を気に入った青年は少女の生い立ちを知り、なんとか彼女を助け出したいと考えた。そして少女も青年のまっすぐな眼差しに惹かれる。そんなふたりに嫉妬した老人は、強引にふたりの仲を裂こうとするが・・
私評:自由を与えてください。自由を知るために・・・キム・ギドク監督の作品は相変わらずセリフが極めて少ない。しかし、彼の描く世界にセリフはいらない。今回も剥き出しの愛情(そして欲望)がストレートに描かれていて見ているこちらがドキドキしてしまった。主要の3人の心情が手に取るように分かるのですが、それはなんとも悲しい結末へと突き進んでいく。そして後半に物語は急転し、ファンタジックな結末を迎えます。その瞬間、私はなんとも言えない不思議な快感の中で感動を噛み締めていました。(この辺りの展開は前作の「うつせみ」とも同じ展開)。それにしても主演のハン・ヨルムがめちゃめちゃ良いです。(「サマリア」の時はソ・ミンジョンという名前でした)彼女は幼くキュートな面と、遊女のように妖艶な眼差しを見事に使い分けるのです。そしてあの何かを含んだような笑い・・。惚れそうです・・(笑)そして老人役のチョン・ソンファンの哀愁を帯びた演技も素晴らしいです。今回もギドク監督の不思議な、そして哀しい物語に泣きました。
バックダンサーズ!  監督:永山耕三  出演:平山綾、hiro、ソニン、サエコ
Backdancers  2006年 日本映画

美羽とよしかはダンスが大好きな仲良しコンビ。今日もクラブへと繰り出すが、未成年だったふたりは警察に補導され、それが元でふたりは高校を退学。そんなある日、クラブにも入れなくなったふたりに声を掛けたのはジュリだった。ジュリの誘いで行った先は月明かりの下で踊る「ムーンライトクラブ」だった。ある日、3人の元に訪れたのはスカウトマン。しかし、彼らの目当てはジュリだった。ジュリのバックダンサーとなった美羽とよしかは、新たにともえ、愛子を迎え4人組の「バックダンサーズ」としてジュリのバックで踊り始める。しかし、ジュリは突然引退宣言をしてしまう。主役のいなくなったバックダンサーズにまともな仕事は回ってこなくなってしまうが、なんとか踊り続けたいと願う4人だった・・・・

私評:私たちこのままじゃ悔しいの!・・・けっこうバカにして見に行った映画ですが、見始めたら面白くて最後まで目が離せませんでした。主役の4人がひとりでは主役を張れない、まさにバックダンサーのような面子だった事もこの映画の成功の要因かもしれません??ダンスも決して上手いとは言い難いです。しかし、そんな彼女たちだからこの映画は面白いのかもしれません。そしてほとんどは消えていくホンモノのバックダンサーたちの夢が、この映画にはしっかりと込められています。(バックダンサーから主役になった人なんかほとんどいないでしょう?私が知っている中では「キャンディーズ」くらいです)ただ、踊りが好き。だから踊りたい。シンプルだけど彼女たちの中に迸るパッションは映像を通してビンビン感じる事ができました。大満足です。主演は「ウォーターボーイズ」の平山綾、元スピードのhiro、「あゝ一軒家プロレス」のソニン、そしてブリブリアイドルのサヤカ。しかし、彼女たちをバカにしちゃいけません。そして落ちぶれたロックボーカリスト役の陣内孝則がめちゃめちゃカッコ良かった!!監督は「東京フレンズ」の永山耕三。
ファイナル・デッドコースター  監督:ジェームズ・ウォン  出演:メアリー・エリザベス・ウィンスレット
Final Destination 3  2006年 アメリカ映画
ハイスクールの卒業イベントでアミューズメントパークがやってきた。BFたちとジェットコースターに乗ろうとしたウェンディは、発車寸前にジェットコースターが脱線し多くの死者が出るというビジョンを見る。パニックを起したウェンディは係員に車を降ろされる。しかし、その直後ジェットコースターはウェンディの言ったとおり大事故を起こしてしまう。この事故でウェンディはBFを亡くしてしまう。ウェンディと共にジェットコースターを降りたのは7人。しかし、死神のリストに1度は載ってしまった7人を「死」は追いかけてくる。ひとり、またひとりと命を奪われていくが・・・・
私評:ジェットコースターで死ぬ確立は25千万分の1・・・・ファイナル・デスティネーションシリーズもついに3作目。毎回、事故を免れた若者が死神に追われ、殺されていくというパターンは変わらないのですが、試行を凝らした『殺し方』はますますエスカレート。今回も「そこまでやるのか!」と思わず叫んでしまいそうになる見事な殺し方で私を唸らせてくれました。しかも、じわりじわりといたぶるのではなく「グシャッ!」と一発。かなり力が入りました。それにしても毎回同じパターンでも楽しめる映画ってホラー版「男はつらいよ」みたいと思ったのは私だけでしょうか?主演は『ザ・リング2』のメアリー・エリザベス・ウィンステッド。そして彼女を必死にサポートする青年に、これまた『ザ・リング2』のライアン・メリマン。監督は『ファイナル・デスティネーション』第1作目のジェームズ・ウォン。次回作も期待しています!!
アガサ・クリスティーの
奥様は名探偵
 監督:パスカル・トマ  出演:カトリーヌ・フロ、アンドレ・デュソリエ
Mon Petit Doigh m'a dit・・  2005年 フランス映画

フランスの片田舎で悠々自適な生活を送るベレスフォルド夫妻。妻のプリュダンスと夫のベリゼールは叔母のいる高級老人ホームを訪ねた。そこでプリュダンスはローズという不思議な老婦人に声を掛けられる。数週間後、叔母は息を引き取り、ふたりは彼女の遺品を整理していた。そこでプリュダンスが見つけたのは見た事がある家の風景画。しかも、その画の持ち主はローズであり、彼女は突然老人ホームから姿を消していた。何やら胸騒ぎを感じたプリュダンスは絵に描かれた家とローズを探しに旅に出る。そして彼女はある不思議な村に辿り着いた・・・。一方、ベリゼールは叔母を看病していた看護婦に呼び出され「入居者の中に不穏な死を迎えた者がいる」と密告される。果たして事件の真相は??・・・・

私評:あまり首を突っ込みすぎるなよ・・・アガサ・クリスティの小説の中でエルキュール・ポワロ、ミス・マープルと並んで人気のあるのがおしどり探偵トミー&タペス。今回の夫婦は名前こそ違うけれどこの夫婦の物語です。クリスティ作品は大好きでかなりたくさん読んでいますが、この映画の原作「親指のうずき」は未読。それゆえ謎解きも楽しめると思って行ったのですが・・・。正直、ミステリーの要素ではあまり面白くなかったです。何よりこの映画の面白さは主演の夫婦のコンビ。金持ちなのに好奇心旺盛で、事件があるといても立ってもいられないプリュダンスと、そんな妻に振り回されながらも独自のルートで事件を追うベリゼール。そこに怪しい人々が次々と絡んでくる。舞台がフランスだというところもグッド。プリュダンスを演じるのは最高の演技を見せる「奇人たちの晩餐会」、「女はみんな生きている」のカトリーヌ・フロ。ベリゼール役は「アメリ」のアンドレ・デュソリエ。そしてローズ役はすごいおばあさんになってしまった「コーマ」「大地震」のジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド。映画に出てくるカスタムカーの数々も要チェックです!


前回の記事も読んでね〜!



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