今回は子役の演技に驚かされる作品が多かったです。
しかし、イチ押しは全ての常識をぶち壊す最大級の恐怖映画でした!
ディセント | 監督:ニール・マーシャル | 出演:シャウナ・マクドナルド、ナタリー・メンドーサ | |
Descent | 2005年 イギリス映画 | ||
今週のイチ押し:冒険好きの主婦、サラはその日も急流くだりで大ハッスル。しかし、その帰り道に悲劇は起こった。交通事故で愛娘を亡くしてしまったのだ。1年後、サラの友人たちが集結し再び冒険を楽しむことになった。もちろん、ずっと落ち込んでいたサラを励ます目的。冒険好きのリーダージュノが今回企画したのはアパラチア山脈の洞窟探検。この冒険に6人の女が集った。洞窟内に降り立った彼女たちは大自然の作り上げた風景に感嘆のため息をついた。そしてさらに奥へと足を踏み込んだ時、突然の落盤事故が起こり彼女たちの退路を塞いでしまう。ジュノの怠慢で洞窟探検に必須の届出をしなかったため、彼女たちがここに来ていることは誰も知らない。自力での脱出を余儀なくされた彼女たちは前に進むしかなかった。行き止まりの崖、メンバーの負傷など、次々とアクシデントが彼女たちを襲う。そんな時、サラは洞窟の中で何かが動くのを見るが・・・ | |||
私評:彼女を信じてはダメ。ひとりでここを逃げ出すのよ・・・ケイビングというのもれっきとしたスポーツなのだそうですが、狭くて暗いところが苦手な私には到底無理な冒険です。この映画の中でも体がやっと通るような狭い隙間を前に前にと進むシーンがあるのですが、それを見ているだけで息苦しくなってしまいました。それに加えて次々と危険と恐怖がメンバーに襲い掛かる。そして途中からはガラリと作風が変わり、真のホラー映画としてのヴェールを脱ぐのです。次第にメンバーの中に不協和音が・・。2重3重の恐怖で畳み込むような展開に私は開いた口がふさがらない状態でした。今まで、数々のホラー映画を見てきましたが、この映画は思い切り上位にランクされる作品です。後半の恐怖シーンは予告編でもほとんど触れられていないので、ここには書かないでおきましょう。主演の6人の女優たちは知名度がない女性ばかり。(そこがまた良いのです!)若いキャピキャピギャルではなくしっかりと芯を持った、しかもそれぞれ個性的な6人。こういう映画にありがちなお色気シーンは期待しないように。監督は「ドッグ・ソルジャー」でスプラッターホラーの新たな1ページを築いたサム・マカーディ。今年見た中では最高のホラー映画でした!! | |||
ローズ・イン・タイドランド | 監督:テリー・ギリアム | 出演:ジョデル・フェルランド、ジェフ・ブリッジス | |
Tideland | 2005年 イギリス・カナダ映画 | ||
ジャンキーの両親と暮らすジェライザ・ローズは空想好きな女の子。しかし、ある日母親は薬の過剰摂取であの世に行ってしまう。父親とふたりで父親の故郷にやってきたジェライザのお友達の頭だけのバービーたち。壊れかけた家の中の冒険にも彼女たちが一緒。しかし、今度は父親が薬でトリップしたまま帰らぬ人となってしまう。ある日、ジェライザは家の前に広がる大草原を散歩していると黒ずくめの服を着た女に遭遇する。彼女のあとをつけて家に辿り着いたジェライザは彼女の弟、ディケンズを見つける。二人の言い争いに恐怖を覚えながらも『友達になりたい』と思ったジェライザ。そして彼女はディケンズと再会する。彼は頭に稲妻型の傷があり体は大人だが精神は10歳のまま。そしてジェライザはディケンズのお婆ちゃんと父親の不思議な関係を知る・・・・ | |||
私評:夢の暮らしよ、クリスマスみたい・・・・テリー・ギリアム節炸裂のこの映画。良い悪いじゃなくて好きか嫌いかと言われれば、迷わず「好きです!」と答えます!ファンタスティックで摩訶不思議な映像とは裏腹に、本来は純粋であるはずの少女目線で観る残酷で、そしてシュールな世界。そして姿が醜い者たちの目線は本当に純粋で美しい。こんな描き方はテリー・ギリアムが『モンティ・パイソン』で表現していた超〜ブラックなギャグの延長線にできた映像なのでしょうか?実はこの映画、「ブラザーズ・グリム」を製作中にスタジオともめたテリーが、その合間に撮った映画。そんな環境だからこそここまで皮肉な作品が作れたのかも知れません??主演のジョデル・フェルランドちゃんにはただもうビックリ。若干10歳の女の子がこんなに壮絶な役を見事に演じるとは!!彼女は『サイレントヒル』でも二役を演じ、そして『スティーブン・キングのキングダム・ホスピタル』の表紙にもなった天才子役です。父親役はジェフ・ブリッジス、母親役はジェニファー・ティリー。(このふたりって「恋のゆくえ」で共演していて、ふたりのその後のような錯覚をしたのは私だけでしょうか? メチャメチャ好き嫌いのある映画でしょうが、私は大好きな映画です。 | |||
ハイジ | 監督:ポール・マーカス | 出演:エマ・ボルジャー、マックス・フォン・シドー | |
Heidi | 2005年 イギリス映画 | ||
アルプスの山小屋に一人で住むアルムおじいさんの元に、一人の少女が訪れた。彼女の名前はハイジ。アルムの孫にあたるハイジは両親を亡くし、叔母のデーテがアルムに押し付けていったのだ。おじいさんは悪い噂がたくさんあるが、本当のことは誰も知らない。しかし、ハイジのまっすぐで明るい性格は頑なだったアルムの心を静かに溶かしていく。そしていつしかふたりの家には笑いが・・。ヤギ飼いのペーターもそんなハイジに魅せられた。やがてハイジは麓の村でも人気者になる。それは彼女が心から優しい娘であるがゆえだった。そんなある日、叔母のデーテは、無理やりハイジをフランクフルトの町に連れて行ってしまう。富豪のお嬢さんクララの遊び相手を探したら報酬を出すと言う内容に惹かれたのだ。環境が変わってもハイジが人を幸せにするパワーは衰えない。唯一、彼女にまっすぐに向かい合えないロッテンマイヤーを抜かしては。しかし、ハイジはアルプスに帰りたいと言う気持ちが強すぎて、体調を崩してしまう・・・・ |
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私評:ただいま・・・おじいさん・・・・アニメの「アルプスの少女ハイジ」は妹が大好きだったので、私も一緒になって見ていました。劇場版のアニメも見に行ったし、けっこうこの番組には思い入れがあります。そんな物語が実写になって登場。アニメ版とは(当然のことながら)声も衣装も違うのですが、私はすぐにこの映画の世界に引き込まれてしまった。もちろんこの映画はハイジと彼女を取り巻く人々の物語なのですが、もうひとつの大きな主人公はアルプスの大自然なのです。これはいくらアニメが良くても実写には適いません。四季折々の美しい景色は本当に素晴らしかった。そして物語はみなさんよくご存知の通り、感動のフィナーレを迎えます。映画の途中でも何度かウルウルしていた私は、最後の最後で号泣。分かっていても泣けちゃうのがこの作品です。ハイジを演じるのは「イン・アメリカ」でサマンサ・モートンの次女を演じたエマ・ボルジャーちゃん。彼女の笑顔、最高です。そしてアルムおじいさんは「エクソシスト」のマックス・フォン・シドー。映画の最初の頃はまさに悪魔払いの神父のような顔でしたが(笑)、段々と笑顔が多くなります。彼のこんな笑顔をスクリーンで見たのは初めてかも??ロッテンマイヤー役はチャップリンの娘、ジェラルディン・チャップリン。憎々しげな演技がグッド!その他の脇役も、イメージどおりで良かったです。監督は『霊視』のポール・マーカス。あ〜、あの白いパンを食べたい・・ | |||
神の左手、悪魔の右手 | 監督:金子修介 | 出演:渋谷飛鳥、田口トモロヲ | |
2006年 日本映画 | |||
イズミはある夜、うなされる弟ソウの声で目を覚ました。ソウは『人間の悪意を夢で予知する』という不思議な力を持っていた。すると、ソウの首がぱっくりと割れて鮮血が迸った。病院に運ばれたソウは引き続き悪夢にうなされていた。そんな時、イズミはソウが以前に言った言葉を思い出した。「ぼくはもうすぐ死ぬんだ。でも、お姉ちゃんならぼくを助ける事ができる。赤い携帯電話が重要だよ」。森の中の洋館には足の悪い女の子が父親と暮らしていた。娘は父の読む絵本が大好きだった。しかし、その中に描かれていたのはとても残酷な話だった。彼は娘の絵本を作成するために次々と残酷な手口で殺人を繰り返す連続殺人犯だった。やっと見つけた赤い携帯電話から聞こえてきたソウの声に従い、イズミは犯人の住む町へと足を踏み入れる・・・・ |
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私評:我が左の手は、正しき者を蘇らせる神の左手、我が右の手は、悪しき者を滅ぼす悪魔の右手・・・楳図かずおの人気コミックの映画化です。この映画のできは正直たいした事はありません。ホラーファンなら鼻で笑ってしまうようなできの映画です。しかし、この映画にまつわる裏話に私は心を動かされ劇場に足を運びました。この映画は元々『デビルマン』の監督をした那須博之氏が作る予定で、一昨年から企画が進められていたのですが昨年2月に那須氏は逝去。そして彼と親交が深かった金子修介がメガホンを取ったのだ。最近ではすっかりメジャーな監督になった金子氏が、メチャメチャ低予算のこの映画を引き受けたのにはそんな裏話があったのです。映画の冒頭で『映画監督、那須博之に捧ぐ』という文字が出るのですが、これは金子修介だけではなく、この映画に携わったスタッフの祈りでもあったのです。映画のほうはいかにも漫画チックで、時折笑ってしまいそうにもなったのですが、そんな小さな映画を大事に作っているという感じがひしひしと伝わってきました。そしてこの映画でもふたりの子役の演技にはビックリさせられました。主演は『怪奇大家族』の演技が印象的だった渋谷飛鳥。そして優しい父親と殺人鬼というふたつの顔を操るのは(まさにピッタリの配役)田口トモロヲ。そしてイズミと事件を追う保母さん役は、金子修介繋がりであろう前田愛ちゃん。(最近は妹にいい所を持っていかれているので頑張って!!)もちろん、楳図かずおも登場します。(笑)監督は『平成ガメラシリーズ』そして『デスノート』の金子修介。 |
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