2007/7/29

今回は5作品ですが、あと3作品のストックが・・・
今回のイチ押しは大好きな作品のリメイクと超怪しい映画です・・

転校生 さよならあなた  監督:大林宣彦  出演:蓮沸美沙子、森田直幸
 2007年 日本映画
今週のイチ押し:尾道から母の故郷の長野に越してきた斉藤一夫は、転校当日に幼馴染の斉藤一美と再会する。幼少時代の一夫の恥ずかしい話を暴露しまくる一美。しかし、彼女にはちょっと気障なBFがいた。その日の放課後、昔話をしたがる一美に引っ張られて彼女の家の蕎麦屋に挨拶。そしてふたりはおいしい蕎麦の名水「さびしらの水場」へと向かった。そこで事件は起きた。ふたりは過って水の中に落ちてしまったのだ・・。ボーっとしたまま家路に着いた一夫は濡れた服を脱いでビックリ!なんと鏡に映っている自分は一美!時を同じくして一美も同じショックを受けていた。その日はなんとかやり過ごしたが、翌日目が覚めたふたりはやはり夢ではなかったと再確認。入れ替わってしまったふたりは次第に協力し合い、お互いを思いやるようになる。しかし、そんなふたりの間に大きな問題が。なんと、一美の体が病魔に蝕まれてしまったのだ・・
私評:「さよなら、俺」「さよなら、私」・・昭和版「転校生」は私が「名画座」にも書いている大好きな作品。この映画で私は小林聡美にKOされたのです。そして25年の歳月を経て「転校生」が復活した。前作の良いところを存分に残したまま、新たな展開も加えて平成版「転校生」は素晴らしい作品に仕上がっていました。その新たな展開は「誰かのために死ねるか?」という究極の愛。この映画の中で、大林監督ならではの優しい言葉で語られる。泣けました〜。そしてやはりこの映画のキーは一夫、一美のふたりのキャラクター。昭和版の小林聡美、尾美としのりは完璧なキャスティングだったのですが、平成版も負けてはいません。特に「バッテリー」にも出ていた蓮沸美沙子ちゃんはめちゃめちゃ良かったです。そして一夫役は「酒井家のしあわせ」の森田直幸。平成版では志保美悦子が演じた先生役は、「ふたり」の石田ひかりが演じます。そして大林作品の大きな注目は音楽。美沙子ちゃんが歌う「さよならの歌」は素晴らしかった・・。監督はご存知大林宣彦。最後に一美になった一夫と彼の元カノのアケミが顔の前でピアノの指さばきでコミュニケーションをするシーンがすごく好きです。良い映画でした!!
インランド・エンパイア  監督:デイヴィッド・リンチ  出演:ローラ・ダーン、ジャスティン・セロー
Inland Empire  2006年 アメリカ映画

今週のイチ押し:ハリウッドの豪邸に暮らすニッキーの元に近所に越してきたと言う老女が訪れる。彼女は不気味な予言を残していく。ニッキーはデヴォンという役者と一緒に「暗い明日の空の上」という作品に出演が決まる。ふたりは宣伝のためにトークショーに出演するが、司会のマリリンはふたりの仲を疑い、なんとも嫌な雰囲気になってしまう。しかし、その時はありえないと思えていた「不倫」が現実のものになってしまう。ふたりの出演する映画は以前にポーランドで製作されたが、主演のふたりが殺された事によってお蔵入りしたという曰くつきの作品。しかも内容は男女の不倫だったため、しだいにニッキーは映画と現実が混ざり合っていく。映画の中のニッキーが演じるのはスーザンという女。彼女は妻子がある男と逢引を重ねている。ある夜、スーザンは男の妻・ドリスの前で公然と不倫を語るが男に追い出されてしまう。ファントムと言う名前の夫、警察で取調べを受けているドリス、顔に痣を作り、人生相談をしているスーザン、そして顔見知りの娼婦と会話をするスーザン。ドリスに刺され娼婦たちに看取られる・・。こうして映画の撮影は終了したかに思えたが・・

私評:これは曰くつきの作品なんだ・・・・デイヴィッド・リンチが5年ぶりに放った映画です。前作の「マルホランド・ドライブ」は彼の最高傑作だと思うのですが、この監督の作品はとにかく不可解な演出が多い。そして不思議なセリフが散りばめられ、しかもその大半は意味を成さない。これは「ツイン・ピークス」でも多用された彼の独特の演出。こういう演出にリンチのファンは踊らされ、悩まされ、そして酔ってしまうのです。私がこの映画を見に行った当日、映画の途中で帰った人は3名。寝ていた人は多数。(映画の中で突然大きな音がするとみんな一斉に目を覚ます)リンチの作品の楽しみ方を知らない人にはとにかく退屈で、しかも理解不能な映画だと思います。正直、私もなんだか途切れ途切れの悪夢を観させられたようで、映画に悪酔いしてしまいました。そしてあの強烈なインパクトを残す音楽・・・。この映画を見た日の夜、私はこの映画の夢を見てうなされました・・。主演はリンチ映画3作目の出演となるローラ・ダーン。よくここまで狂気の演技をしたもんです。そして口の悪いトークショーの司会は彼女の実の母親のダイアン・ラッドが恐ろしい演技を見せます。その他、ジェレミー・アイアンズ、ジャスティン・セロー、ジュリア・オーモンドらが怪しい演技を見せてくれます。日本代表の裕木奈江もいい演技ですよ〜。私がこの映画を好きかって??もちろん、大好きです!
傷らだらけの男たち  監督:アンドリュー・リーアラン・マック  出演:ジョン・カーペンター、ウエス・クレイブン
 2006年 香港映画
2003年のクリスマス。若い刑事のポンと彼の上司のヘイはパーティ会場から抜け出し、殺人犯のターゲットを追う。ついに犯人を逮捕したポンは疲れ果てて家に帰った。ベッドに寝ている恋人に口づけをするが、なんと彼女は両手首をカッターで切り血の海の中で死んでいた。3年後、ポンはその時のショックから立ち直れず警察を辞めて私立探偵になっていた。しかも、酒が飲めなかった彼が今ではアル中になっていた。一方ヘイは香港の実業家の娘スクツァンと結婚し幸せな結婚生活を送っていた。そんなある日、彼の義父が殺された。金品目当ての強盗事件として警察は処理するが、事件には不可解な点があった。事件に納得が出来ないスクツァンは、ポンに事件の真相を探るよう依頼する。自分自身もこの事件の顛末に疑問を抱いていたポンは独自の捜査を開始する・・
私評:俺が思ったとおり、この事件は奥が深い・・・インファナル・アフェアの監督スタッフが再結集して作り上げたのがこの映画。しかし、この二人の監督は映像で語りかけるのが上手い。ただ単にストーリーを語るのではなく、組み立てがこの上もなく上手いのです。この映画でもそんな手腕は存分に生かされていました。そして悲しいほどに傷ついた二人の男の美しいのなんのって・・。そう、彼らの美しさは悲しみから生まれるのです。金城武、トニー・レオンのふたりはまさに「水も滴るいい男」でした。そして事件の謎が解けるたびにある男の傷が浮き彫りにされ、ある男は傷ついていく・・。犯人は映画を観ていればすぐに登場するのですが、敢えてここには書かずにおきましょう。主演は演技が下手だとばかり思っていた金城武。しかし、今回の彼は良かったです!そして香港映画の大スタートニー・レオンのあの悲しそうな目・・・。女優陣もシュー・ジンレイ、スー・チーとイイ面子です。監督はアンドリュー・リーとアラン・マック。この映画はディカプリオがリメイク権を買ったそうです。
オープン・ウォーター2  監督:ハンス・ホーン  出演:スーザン・メイ・プラット、キャメロン・リチャードソン
Open Water 2  2006年 ドイツ映画
エミリーは夫と生まれたばかりの娘を連れてメキシコ湾に向かっていた。高校時代のBFのダンからクルージングに誘われたのだ。やはり高校からの友人のザックとローレン、そしてダンの今の恋人ミシェルの6人(+赤ん坊)でヨットは海へと進んでいった。エミリーは幼少時代に海で起きた事件が元で海に対して異常な恐怖心を抱いていた。ヨットは沖に停泊して、みんなが海に飛び込んだ。船上に残るはずだったエミリーもダンの悪ふざけで海に放たれた。パニックになるエミリーを早く船上に戻そうとするが、船のはしごが見当たらない。しかも、船のデッキまでは到底手が届かない。様々な方法を試すが失敗を重ねるごとにメンバーの間に不協和音が沸き起こる。疲れ、寒さ、そしてサメに怯えながら6人は必死の抵抗を試みるが・・・・
私評:俺が死ねばよかったんだ〜!!・・・・オープン・ウォーターも怖い映画でしたが、これまた恐ろしい、しかも実際にあった事件が映画になった。(実際にこういう事故は何件もあるらしい・・)予告編はおふざけモード全開なのですが、実際の映画はかなり怖いです。とにかく途方も泣く広い海原に投げ出され、溺れても掴む藁さえもない。私は泳げないことはないのですが、こんな状況になったらすぐにパニックに陥るか、死んでしまうだろう。そんな事を考えながら、この映画を観ていました。そして自分なりに船に上がるためのシミュレーションもしてみたのですが・・。どれも彼らが試し、失敗に終わりました。(笑)ラストは言えませんが、1作目よりは落ち込まないかも??出演者はTV出身が多いので、知らない顔ばかりでしたが、それがまたこの映画をリアルに見せる要因かも?中でもブロンドのキャメロン・リチャードソンはかなりの美形。もうすぐ公開のルーシー・リュー主演の「ブラッド」に出ているらしいので、要チェックです。監督はドイツ人のハンス・ホーンです。
西遊記  監督:澤田鎌作  出演:香取慎吾、深津絵里、内村光良
 2007年 日本映画
三蔵法師一行は天竺を目指して旅を続けていた。彼らはフーチェンという小さな町を見つける。その国ではなんと三蔵法師を捜し求められていた。その時、彼らを赤いマントの兵士が襲い掛かる。しかし、それはこの国の姫、玲美だった。彼女に誘われ王宮を訪れた一行を待っていたのは2匹の亀。それは妖怪によって呪いをかけられたこの国の王と王妃。一向は玲美から妖怪退治を依頼される。かつて、ここは緑豊かな町であったが大妖怪の金閣と銀閣によって不毛の地に変えられてしまったのだ。玲美の案内で臥龍山に向かった一行を数々の罠が待ちうけていた。ちょうどその頃、金品の泥棒が目的で王宮に紛れ込んでいた凛凛は、王宮で金閣と銀閣を見かける。そして彼女は一行の元に、山には金閣銀閣がいないことを告げにいく。悟浄と八戒は落胆し、三蔵法師も山を降りようと一行に告げるが孫悟空は玲美と交わした「全員生きて帰る」と言う約束を守り通そうとする・・・・
私評:「なまか」との約束は最後まで通さなくちゃならね〜・・・テレビ版の「西遊記」は時々見ていたのですが、どうしても昭和版の堺正章の悟空のイメージが強すぎて、最初のうちはイマイチ乗れなかった。(しかも、三蔵法師は亡き夏目雅子だし・・)しかし、元のストーリーが面白い「西遊記」はやっぱり面白い。キャラクターにもだんだん慣れてきたし・・。しかも、今回は「西遊記」の中でもいちばんアクション色が強く面白い「金閣・銀閣」の話だし、映画ならではのスケールでけっこう面白かったです。まあ、子供だましと言えばそうもとれるのですが・・。孫悟空役はSMAPの香取慎吾、沙悟浄役は内村光良、猪八戒は伊藤淳史、三蔵法師は深津絵里(彼女は特にイイですよね〜)。玲美役はこれから出演作が目白押しの多部未華子、金閣は加賀丈史、銀閣は岸谷五朗。あと、凛凛役の水谷あさみ・・けっこう好きです。作品冒頭に出てくる偽三蔵法師一行の4人・・、笑えました。監督はフジテレビのTV番組を手掛けてきた澤田鎌作。家族で見るには安心マークの映画ですね!


前回の記事も読んでね〜!



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