連日の暑さで早くも夏バテ。こういうときは映画館がいちばん!
今回のイチ押しは宮崎アニメの傑作と韓国の超問題作!
風立ちぬ | 監督 : 宮崎駿 | 出演 : 庵野秀明、瀧本美織 | |||
2012年 日本映画 | |||||
今週のイチ押し:少年、堀越二郎は飛行機乗りになる事を夢見ていた。成績優秀で性格もまっすぐな二郎には唯一の欠点があった。それは飛行機乗りには最大の欠点となる近視である事。そんなある日、彼は夢の中でイタリアの著名人カプローニと出会い、啓示を受ける。それは飛行機を作る側に回るということだった。帝都大学に入学するため東京に出てきた二郎は汽車の中で美しい女性、菜穂子と出会う。その直後、彼らは関東大震災に襲われ、列車は立ち往生。人々はパニックに陥る。菜穂子のお付きの女性が足を怪我しているのを見て次郎は彼女を背負い避難所まで運び、そのまま姿を消した。数年後、日本の経済は復興の兆しさえ見えなかったが、二郎は三菱内燃機に入社。ついに彼の夢である飛行機作りが始まったのだ・・ | |||||
私評:誰が風を見たでしょう あなたも私も見やしない・・・この詩は「人間の証明」でも「母さん、ぼくのあの麦わら帽子・・」が引用された西条八十のものです。宮崎駿の最新作は実在の人物で日本の零戦の設計家として有名な堀越二郎の半生に、堀辰雄の「風立ちぬ」の悲恋を加えた物語。堀越二郎と飛行機の話も素晴らしいのですが、二郎と菜穂子の儚くもまっすぐな恋愛に感動。多くの制約を抱えたふたりが短くも美しく、そして強く愛し合う姿は近年のラブストーリーにはない感動を私にもたらしました。お互いを気遣うふたりの会話は気高く、そして心に響きました・・・。そして涙・・・。もちろん宮崎駿らしいファンタジーも存分に盛り込んでいて、従来の宮崎作品のファンの期待も裏切らない。特に夢の世界の描き方は大好きです。とにかく素晴らしかった!感動した!!声優陣は主役の二郎役を「新世紀エヴァンゲリヲン」の監督の庵野秀明。彼のチョイスは悪くはないと思うのですが・・??その他、瀧本美織、野村萬斎、西島秀俊、西村雅彦、大竹しのぶ、風間杜夫、志田未来など、錚々たる役者陣を揃えました。監督は日本が誇る世界の巨匠「崖の上のポニョ」「千と千尋の神隠し」の宮崎駿。 | |||||
嘆きのピエタ | 監督: キム・ギドク | 出演 :チョ・ミンス、イ・ジョンジン | |||
2012年 韓国映画 | |||||
今週のイチ押し:ソウルの下町で暮らすイ・ガンドは金融会社の借金の取り立てが仕事。債権者の多くは小さな町工場のオーナーで、とんでもない利子を払えずにいた。そのためガンドは彼らに酷い怪我を負わせ障害者にしてしまい、保険金で返済をさせていた。そんなある日、彼の前にひとりの女が現れる。彼女はガンドの母親で生まれて間もない彼を捨てたのだと言う。彼女の話など全く信用していなかったガンドだったが、彼女の真摯な眼差しと何をされてもじっと我慢する態度を見て徐々に彼女を受け入れ始める。それからというもの、ガンドの心に変化が現れる。人間味のかけらさえ持ち合わせていなかった彼の心に「温かさ」が宿ったのだ。しかし、生まれてくる子供のために進んで障害者になろうとする男、そして障害者になるくらいならとビルから飛び降りる男を彼は救えなかった。母の身を案じ、この仕事から足を洗おうとするガンド。彼はもはや母の愛なしでは生きていけなくなっていたのだ。しかし・・ | |||||
私評:なのに、どうしてこんなに悲しいの??・・・韓国映画界を牽引する名匠キム・ギドク監督の最新作。6月に公開されていたのですが、ようやく劇場で観てきました。これはすごい映画です。映画の中で何度か語られるのですが「金とは一体何なのか?」。貧困が生む悲劇の連鎖。ガンドの行く先々はまさに貧民たちばかりで、金に執着するあまり無理な借金をして逃げ場を失くしてしまう。そして、最後に行き着くところは・・・??愛情を知らずに育った男が母と名乗る女から愛を教わり、そして周りにも目を向けて行くのですが、これが不幸の始まり。母親の正体は途中からなんとなく分かるのですが、まさかの展開で心臓をギューッと握りつぶされたような衝撃を受けました。そして衝撃のラストもすごく印象的でした。母親役はチョ・ミンス。初めて彼女を見たのですが強烈な個性の持ち主です。この映画のこの役は彼女にしかできない。カンド役には「マルチュク青春通り」のイ・ジョンジン。彼もすごい存在感。そして映画の前半と後半とでは別人のように変わります。監督は「うつせみ」「絶対の愛」「弓」等で、過去に何度も私を唸らせてきたキム・ギドク。 | |||||
ショート・ピース | 監督 : 大友克弘、森田修平 他 | 出演 : 春名風花、山寺宏一 | |||
Short Peace | 2013年 日本映画 | ||||
九十九:嵐の夜、男は山中で道に迷うが小さな祠を見つけそこに身を寄せた。中に入るといきなり別世界へとトリップ。そこに現れたのは人間たちに捨てられた傘たち。男はその傘たちを見事な腕前で修理した。次に現れたのは着物たち。それらは捨てられた物たちの情念が生んだもののけたちだった・・・。火要鎮:江戸時代。商家のお嬢様のお若は幼なじみの松吉と相思相愛。しかし、松吉は家を勘当され町火消しとして生きる事になった。松吉を思うお若の情念は紅蓮の炎となり江戸の町を焼き尽くす。そして大火の中でふたりは再会を果たすが・・・・ | |||||
私評:♪あっちゃこっちゃで使い捨て!・・・世界中で莫大な数のファンを持つアニメ映画の金字塔「AKIRA」の原作者、大友克弘が現在の日本のアニメ界を牽引する新たな才能とタッグを組み、5つの「短編」作品を作り上げた。上映時間はわずか60分。しかし、その5つの作品は驚くべき映像でした。オープニング映像は一人の少女と白ウサギが迷宮へと誘う。この作品を手掛けたのは「アニマトリックス」の森本晃司。極彩色の映像がサイケな「九十九」の監督は「FREEDAM」の森田修平。続く「火要鎮」は大御所、大友克弘が監督。4作目の「GAMBO」は「鉄コン筋クリート」「STEAMBOY」のCGI監督を務めた安藤裕章、そしてトリを飾る「武器よさらば」の監督は、これまで多くの「ガンダム」シリーズに携わってきたカトキハジメ。彼らの個性と個性がぶつかり合う、まさに至福の60分。画面からあふれ出てくる「アニメ」と言う名のアートの洪水にどっぷり浸かりました。 | |||||
ハングオーバー 最後の反省会 | 監督 : トッド・フィリップス | 出演 : ブラッドリー・クーパー、ザック・カリフィアナキス | |||
Hangover Part 3 | 2013年 アメリカ映画 | ||||
タイはバンコクの刑務所からマフィアのボス、チョウが脱獄した・・・。一方、LAでは問題児のアランがハイウェイを、キリンを牽引して走り、まさかの大惨事を巻き起こす。これにはアランの父親もカンカン。しかし、父親の説教なんて馬耳東風のアランに対して心労のピークを迎えた父親は心臓発作で急死してしまう。葬儀の後、アランの義兄のダグは、友人のフィル、ステュを呼んで、アランを専門のリハビリ施設に入れる事を提案。アランを説得できるのは彼らを置いて他にはいないのだ。なんとかアランを説得し、4人は車に乗り込み病院へと向かった。しかし、その途中で謎の一味に襲われ、ダグが拉致されてしまう。犯人はマーシャルと言うギャングのボスで、チャウに金塊を盗まれたのだという。刑務所を脱獄したチャウがめっちゃ仲良しのアランにコンタクトをするとマーシャルは知っていたのだ。アランに届いたメールを頼りに、彼らはメキシコへと向かう・・・・ | |||||
私評:キリンを買っちゃった~!!!!・・・・このシリーズもこれで終わりらしい。だけど、今回はタイトルとは違い、彼らは二日酔いにはなりません!(笑)相変わらずのおバカなアランに振り回されるフィルとステュ。そこに超ハイテンションのチャウが入り、とにかくしっちゃかめっちゃかの大騒動が次から次へと起こります。しかし、相変わらず私のツボを押してくれるのがアラン。彼のあまりに常軌逸した行動や言動に私は大爆笑。今回も周りを気にせず大爆笑してしまった。しかし、ラストは「これで本当に終わり」って感じでしたね。もし、続編ができたら、きっと彼女(謎)もお騒がせメンバーになるのでしょう!?しかし、あの夫婦の私生活、覗いてみたい!!出演は「世界にひとつのプレイブック」でオスカー候補にもなったブラッドリー・クーパー、そしてシリーズの常連エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィアナキス、ジャスティン・バーサ、そしてケン・チョン。1作目から復帰のヘザー・グレアム(相変わらずキュートです)。そして今回、初登場はマーシャル役の「アルゴ」のジョン・グッドマン。貫禄の演技です!監督はこのシリーズ全てを監督するトッド・フィリップス。 | |||||