2008/7/21

ついに日本列島は夏本番!これからは映画館で涼むのが
一番でしょう!今回のイチ押しは最高のホームドラマ。
私情を思い切り交えて長々とレビューを書いちゃいました。これでも
短くしたんですよ・・・

歩いても 歩いても  監督:是枝裕和  出演:堤真一、夏川結衣、樹木希林
 2008年 日本映画
今週のイチ押し:横山家の台所では母のとし子と娘のちなみが立っている。ちなみは車のセールスマンの夫、信夫とふたりの子供の4人でやってきた。そして彼らに遅れて横山家の次男、良多が妻のゆかりと彼女の連れ子のあつしを連れて久々に実家に戻ってきた。頑固者の父親の恭平は開業医だったが、今はすでに引退している。今日は横山家の長男の純平の命日だった。いつもは老夫婦だけの横山家は、その日ばかりは活気に満ちていた。ちなみ夫婦はこの家に引っ越して、2世帯住宅に建て直すことを提案しているがとし子はなかなか「うん」と言わない。その日の午後、良多一家ととし子は純平の墓参りに出かける。海を見下ろす墓地は山の上にあり、とし子は「毎年来るのがつらくなる」とつぶやく。家に戻るとひとりの太った青年が来ていた。肥満の体から滝のような汗をかいている。純平は15年前に、彼を救おうとして海で溺れて死んだのだ・・
私評:いつもちょっとだけ間に合わないんだよな・・・・ネタバレあります。ドラッグしてみて下さ〜い・・。昨年死んだ父が、時々私の夢に出てきます。その時の父はもっと若くて、父の膝の上には幼い妹が座っている。母は果物の皮を剥いては皿にどんどん積んでいく。それを私たちはテレビを見ながら齧っている。これと言って事件は何も起きないのです。だけど、そこに居ることがなんだかとっても心地良いのです。でも、その頃の私と父はケンカばかりしていた。この映画を見た時、その夢がこの映画のデ・ジャ・ヴュだったかのように思えた。横山家の食卓と我が家の食卓がよく似ているのだ。しかし、この映画を見て同じ感慨を抱いた人は少なくないと思う。これって日本のホームドラマに出てくる風景なんですよね。そんな横山家の風景に吸い込まれるように私は映画の世界に入り込んでいった。しかし、この映画はそれだけでは終わらないのです。どの家族にも多かれ少なかれ問題があると思いますが、この横山家も同様。それらは婿、嫁、孫がいるため最初は本音を隠しているが、会話の端々に徐々に本音が見えてくる。言わなくても良い事を勢いで言ってしまうのが、この映画の場合だと母親たとし子。その演出、そして演技が抜群です。そして私が特に胸を打たれたのは、ずっと父親に対して意地を張ってきた良多が、1日家族と一緒にいて色々と悟るところ・・・。子供の頃の父親は「強くて、怖くて・・」というイメージだけど、いつしか父親より強くなっている自分がいるんです。そしてこちらから手を差し伸べて支えてあげる時が来るんです。良多もそれを噛み締めるんですね・・。主演の良多を演じるのは、ガラリと違う役を見事に演じきった阿部寛。彼の妻役は「結婚できない男」で阿部寛とバトルを繰り広げた夏川結衣。姉のちなみ役はYOU。そして素晴らしい演技を見せるのが母親役の樹木希林と父親役の原田芳雄。この5人のコラボは近年稀に見る最高の取り合わせです。そして監督は「誰も知らない」「花よりもなほ」の是枝裕和。最高の映画です。
築地魚河岸三代目  監督:松原信吾  出演:大沢たかお、田中麗奈、伊藤四郎
 2008年 日本映画
総合商社に勤める赤木旬太郎は30代半ばにして課長に昇格したエリート。しかし、その仕事は上司の使い走りばかり。しかも、彼は会社のリストラの陣頭指揮を任され、世話になった元上司に死刑宣告をする事に。そんなある日、早朝の街を恋人の明日香が走っているのを見つけた旬太郎は、彼女の後を追い、いつしか築地市場にやってきた。なんと彼女は中卸の名店「魚辰」の2代目のひとり娘だった。彼女は2代目の徳三郎が腰を痛め入院している間、店の手伝いをしにやってきたのだ。旬太郎は、昼間は別の仕事をしている明日香を気遣って、店の手伝いを買って出るが、ど素人の旬太郎は失敗ばかり。しかし、負けん気の強い旬太郎は自腹で店の魚を買い自分の舌で魚の良さを知ろうと努力をする。すっかり、築地を気に入ってしまった旬太郎は、徳三郎が退院の日に自分を雇ってくれと頼み込むが・・・・
私評:幸せってな、自分の気持ちにウソをつかないでいることなんだって、わかったよ・・・松竹が「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」に続くシリーズとして社運を賭けて送り出したのがこの映画。成績はそこそこでしたが、私はかなり気に入りました。松竹映画得意の人情味溢れるドラマです。登場人物も味わい深い人たちばかりで、また東京人の『粋』な風情を醸し出している。もちろん、築地ならではの美味しそうな料理も次々と登場。ぜひ、シリーズ化して欲しいですね。主演の旬太郎役は引く手数多の大沢たかお。コミックの旬太郎はもうちょっと若いのですが、爽やかでひたむきな主人公にピッタリ!!明日香役は田中麗奈。彼女もようやく良い役にめぐり逢えた感があります。そしてこれまた江戸っ子でピッタリのキャスティングが徳三郎役の伊藤四郎とすし屋の主人真田役の柄本明。その他にも癖のある役者たちがぞろぞろ出てきます。監督は1986年の「青春かけおち篇」以来の劇場作となる松原信吾。
ワン・ミス・コール  監督 : エリック・ヴァレット  出演 :シャニン・ソサモン、エド・バーンズ
One Miss Call  2008年 アメリカ映画
大学生のシェリーは自宅の池で溺死した。彼女の葬儀に出たベスは、シェリーが死ぬ前に奇妙なことばかり言っていたと聞かされる。そんな時、ベスの友人のレアンの携帯に着信が入る。しかし、いつもとは違う着メロ。そこに残されたメッセージを再生してみると、レアン自身の悲鳴が入っていた。しかも、着信の日時はちょうど2日後。その日からレアンは恐ろしい顔をした人の気配を感じ始める。そして2日後、携帯のメッセージと同じ言葉を言ってレアンは列車に飛び込んで死んでしまう。しかも、ベスの目の前で・・。ここ数日の間に2人の友人が奇妙な死に方をしたためベスはショックを受ける。それに追い討ちをかけるようにベスはレアンの元彼のブライアンが、呪いの着信を2日前に受けていた事を知らされる。そして、彼もベスの目の前で非業の最期を遂げる。ベスは警察に着信のことを話すが取り合ってもらえない。しかし、刑事のジャックだけは彼女の話に耳を傾けた。実はシェリーと同じ病院で研修を受けていた彼の妹が死体で発見されたのだ・・・・
私評:彼女は私をかばってくれたの??・・・・日本のホラー映画「着信アリ」がハリウッドでリメイクされた。Jホラーは本当にハリウッドで引っ張りだこですね。今回のハリウッド版は、大筋こそ日本版と変わりませんが、ラストに大きなどんでん返しを設けています。そして呪いの着信を受けたものが奇妙な(死神?)化け物を見るようになってしまう。そいつらは「ジェイコブス・ラダー」や「サイレント・ヒル」に出てきたような本当に不気味なクリーチャー。でも、何か物足りないんですよね〜。あまり、怖くないんです。私がホラー映画を見過ぎるからなのでしょうか??ちなみに、隣に座っていた女の子2人組みは、何かが出てくるたびに飛び上がっていました。主演は「ロック・ユー」「カタコンベ」のシャニン・ソサモン。ちょっと女子大生には見えないぞ!!ジャック刑事を演じるのは「プライベート・ライアン」のエド・バーンズ(前はエドワード・バーンズだった)。TVショーのプロデューサー役は「ツイン・ピークス」のレイ・ワイズ。そして本当にチョイ役ですがデイヴ・スペクターがTVディレクター役で登場します。監督はフランス人のエリック・ヴァレット。


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