2011/7/18

小出しにアップしていきます。
今回はどちらも文句なしの一押しです。

サンザシの樹の下で  監督:チャン・イーモウ  出演:チョウ・ドウユィ、ショーン・ドゥ
 2010年 中国映画
今週のイチ押し:文化大革命下の中国。町の高校に通うジンチュウは国家政策のため農村に派遣された。そこで彼女はスンという青年と出会い、一目で恋に落ちてしまう。しかし、ジンチュウの両親は反革命分子として国から迫害を受けて、まともな仕事もできないため、幼い妹と弟までが紙張りの内職をするくらい貧しかった。家族にためにしっかりと勉強をして仕事に就く事が最優先のジンチュウに、スンとの恋はご法度だった。それでも恋する気持ちは抑えられない。ふたりは密会を続けていたが、ひょんなことでジンチュウの母親に見つかってしまう。そしてスンはジンチュウの母親から「娘のためを思うなら、彼女が職に就くまで会わないで」と懇願され、スンはそれを承諾した。しばらく会えない日が続いたが、そんなある日、ジンチュウはスンが入院したこと知らされる。居ても立ってもいられなくなったジンチュウは母に内緒でスンのいる病院へと見舞いに出掛ける・・
私評:ぼくは一生待つよ・・・・「初恋のきた道」から10年。大作をメインに手掛けてきたチャン・イーモウ監督が久々に放った小さな小さな純愛ドラマです。70年代の中国の男女はたぶんそうだったのでしょうが、このふたりのもどかしいまでの純愛がなんとも可愛い。手を繋ぐのでさえ、恥じらう姿がなんとも初々しい。これが私にはすごく新鮮に映ったんですね~。しかし、この演出をリアルにするのは主人公のふたりです。おさげが似合うジンチュウ役はチョウ・ドンユイちゃん。ルックスでは「初恋のきた道」のチャン・ツィーイーに到底及びませんが、チョウちゃんのバージニティは国宝物です(笑)。映画の中で彼女が見せる体操着姿、時代遅れの水着姿がこれまた可愛いんですよ。スン役は爽やかだショーン・ドゥ。しかし、彼の役はある意味「ストーカー」です。このふたりが静かに、そして確実に紡いだ純愛が無残な姿で・・・。ラストはもう涙が溢れだして止りませんでした。それはそこまでのベタな演出が功を奏した瞬間でした。チャン・イーモウの演出の技に見事にはまった私でした・・・。監督は「HERO」「LOVERS」といった大作から「赤いコーリャン」「あの子を探して」のような小さな作品まで才能を如何なく発揮する中国の巨匠チャン・イーモウ。
あぜ道のダンディ  監督:石井裕也  出演:光石研、田口トモロヲ
 2011年 日本映画
今週のイチ押し:宮田淳一、50歳。妻とは死別し、現在浪人中の息子と高校生の娘の3人暮らし。今年はふたりとも受験で、もしもふたりとも大学に受かれば・・・。しかし、子供たちとは最近全くコミュニケーションが取れていない。そんな宮田の親友が真田。彼とは中学時代からの腐れ縁で、男としてツッパって生きている宮田が唯一弱みを見せられるのが彼だ。宮田の目下の不安は、ここ最近続いている胃の痛み。彼の妻も胃ガンで死んだので、宮田には自分の症状がそれと同じだという確信があった。そうなると心配なのがふたりの子供の事。宮田はもしもの時には子供たちを頼むと真田に頼み込んだ。そんな中、子供たちが大学に合格して、ふたりとも家を離れて東京に行く事になった。せめて、子供たちとも思い出を残したい!宮田は行動を起こすが・・・
私評:君のお父さんはダンディだよ。君も男なら分かってやって欲しい・・・・私も来年は50歳。この映画のふたりのおっさんたちの気持ちは手に取るように分かります。幸か不幸か、私は子供がいないので父親の気持ちは完全には把握できてはいないかもしれませんが・・・。私もある意味「ダンディ」に生きたいと常日頃から思っています。家族や友人の前で仕事の弱音は吐きません。愚痴も最小限にしか言いません。見栄を張って強がって見せています。だけど、これは私の父親の影響なんですね。私の父は公務員だったのですが、家では一切仕事の話はしませんでした。だから、私がある程度の年齢になるまで、父がどんな仕事をしているのかさえ知りませんでした。外の不満を家に持ち込まない・・、父のスタイルを今も私は踏襲しているわけです。そんな父の名言「愚痴や悪口は言い始めるととめどないから、最初から言わない」・・、私も努力してます。この映画の宮田はまさに見栄っぱり人生。だけど、そんな彼が愛おしくて・・・。奥歯をグッと噛みしめて頑張っているそんな姿は、愛する人たちにはちゃんと伝わるんです。それが叶った時・・・・、その巨大な感動で私は号泣でした。ちょっと退いてしまいそうになった「ウサギのダンス」のシーンでさえ、なんだかとっても優しく心に響きました・・・。主演は中年男の代表?光石研と田口トモロヲ。死んだ妻役は西田尚美。そして宮田の同僚役で藤原竜也が登場します。監督は若いのに貫禄充分な「川の底からこんにちは」の石井裕也。 


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