2016/7/10 

公私ともに忙しい・・・レビューはたまるばかり。1ヶ月遅れのアップです。

教授のおかしな妄想殺人  監督: ウディ・アレン  出演 : ホアキン・フェニックス、エマ・ストーン
Irrational Man  2015年 アメリカ映画
今回のイチ押し: 大学の哲学教師のエイブは人生の意味を見失い生きる希望も気力も失っていた。そんな彼に興味を抱いた教え子のジルは、恋人がいるのにだんだんとエイブに惹かれて行く。そんなある日、ふたりがカフェで話をしていると近くの席の女性が悪徳判事について話していた。ふたりはその話につい耳を傾けてしまう。その言葉に導かれるかのようにエイブは判事の素性を調べ始める。判事の数々の悪事を知ったエイブは彼の殺人を企て、実行してしまう。それは完全犯罪のはずだった。なぜならエイブと判事の間には何の繋がりもないのだ。しかし、ジルはなぜか釈然としなかった・・・
私評: やっと生きがいを見つけたんだ!!・・・ウディ・アレン作品はやっぱり面白い。彼の得意な人生を皮肉ったコメディです。過去には過激な事もしてきた哲学教師。しかし、彼の目下の悩みは生きる目的がない事。平坦な人生なんてつまらない。刺激が欲しい!!しかし、そんな彼に降りかかった思いもよらぬ刺激は殺人!そこで彼の人生は一気に開花するのですが・・・。しかし、ここで一筋縄にいかないのがウディ節。とんでもないラストに私は開いた口が塞がりませんでした。エイブ役は「her/世界でひとつの彼女」のホアキン・フェニックス。彼はウディ作品には初参加です。ジル役は「マジック・イン・ムーンライト」のエマ・ストーン、エイブの不倫中の同僚は「グレイス・オブ・モナコ」のパーカー・ポージー。この3人のアンサンブルが最高です。監督は御年80歳のウディ・アレン。まだまだ、健在です!
マネーモンスター  監督 : ジョディ・フォスター  出演 : ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツ
Money Monster  2016年 アメリカ映画
今回のイチ押し:人気テレビ番組「マネーモンスター」の放送が始まった。この番組は株式投資や資産運用についての情報番組だ。司会のリー・ゲイツの軽快なトークで番組が進行していくが、ディレクターのパティが不審な男を画面越しに発見した。すると男はリーに銃を向けて爆弾が装着されたベストを着させた。実は彼はこの番組を見て全財産をお勧めの株に投資したが、その株の急落によってすべてを失ってしまったのだ。男はリーを人質に取り番組をジャック。そして彼が投資した会社の社長に事情を説明するよう要求した。しかし、社長の居所は掴めずにいた。リーは彼が損失した分の株を取り戻すため、テレビを通じて視聴者に株を買うように依頼し、株価の向上を試みるが・・
私評:私を救うために株を買ってください。元の株価に戻してください・・・生放送中の事件という事で、映画はほとんどリアルタイムで進んでいきます。そこに色々な人たち(良い奴も悪い奴も・・)絡み合って最後まで怒涛の展開を見せます。映画の途中から大きく事件が動き始め、影の悪い奴らが暴かれていくさまが痛快です。ラストはちょっと切なかったけど・・・。しかし、この映画をグイグイ引っ張るのがふたりのオスカー俳優。まずは、リー役、「ゼロ・グラビティ」「ヘイル・シーザー!」のジョージ・クルーニー。軽快な話しぶり、軽率そうな性格、しかし・・・。そんな役が彼にピッタリでした。パティ役は「エリン・ブロコヴィッチ」のジュリア・ロバーツ。プロデューサーとして番組を、そして事件を仕切るできる女を好演。そして犯人のカイル役は「300」のジャック・オコンネル。彼が良いです!監督はこれまた2回もアカデミー主演女優賞を受賞した名女優ジョディ・フォスター!これはめっちゃ面白かったです!!
クリーピー  監督 : 黒沢清  出演 : 西島秀俊、竹内結子、香川照之
 2016年 日本映画
犯罪心理学者の高倉は、以前は警察勤務だったが、ある事件が発端で辞職していた。新しい生活をスタートするため引越しをした高倉と妻の康子は隣人に挨拶をして回るが近所はそっけない。特に西野という隣人は胡散臭い雰囲気を醸し出していた。高倉の妻の康子は当初、西野を嫌っていたが徐々に彼との距離を縮めていった。一方、高倉は警察時代の後輩の野上の依頼で過去のある事件の調査をしていた。一家3人が行方不明になった事件で唯一生き残った女性・早紀のインタビューを行った高倉は事件に興味を持ち更なる調査を進める。その時、彼は行方不明事件の現場と、いま自分が住んでいる家の配置が同じだという事に気付く。そんな時、野上は行方不明の家族が住んでいた家で複数の遺体を発見する・・
私評:ごめんなさい、あなた・・・全編に渡り何とも言えない重くていや~な雰囲気が漂う作品。しかし、これがこの映画の良さです。とにかく明るいシーンはほぼ無しです。そして真綿でジワリと首を絞められるかのように、徐々に圧迫感を増していくお隣さん。彼の掴み所のない、そしてとっても計算高い行動がとにかく怖い。私の家のご近所はみんな素性が知れた良い人たちですが、お隣付き合いのない所に住んでいる人たちにはさらに怖い映画かもしれませんね。高倉役は「脳内ポイズンベリー」「MOZU」の西島秀俊。彼の妻の康子役は「はやぶさ」「残穢 住んではいけない部屋」の竹内結子、そして不気味な隣人は「鍵泥棒のメソッド」の香川照之。彼の演技、すごいです・・・。その他、「寄生獣」の東出昌大、「マダム・マーマレードの異常な謎」の川口春奈、「ソロモンの偽証」の藤野涼子など。監督は「CURE」「回路」の黒澤清。やっぱり彼の作品は怖い!!
64(ロクヨン) 後篇  監督 :瀬々敬久   出演 : 佐藤浩市、瑛太、長瀬正敏
 2016年 日本映画
昭和64年に起こった少女誘拐事件、通称「ロクヨン」から14年。事件が間もなく時効を迎えようとしていた時、新たな誘拐事件が起こる。しかも、犯人の要求、被害者を引きずる回す経路など、「ロクヨン」と全く同じだった。広報官の三上は記者クラブのメンバーと交わした約束を守るため、被害者の実名を明かすため刑事部、警務部に張り付く。そしてようやく事件の全容が見えてくる。被害者はスポーツ用品店の長女。しかし、犯人との交渉中に事件はとんでもない結末を迎える。そしてその事件がフックとなり14年前の「ロクヨン」事件の犯人も浮かび上がるが・・
私評:あの声だけは忘れない・・・まさかの展開!と言うのも、原作ファンの私としてはどうも釈然としないのですが、映画としては面白い展開だったかも。全体としてもまとまった区品ではあるのですが前編が素晴らしすぎたかもしれません。あと、私が気になったのがラストの電話のシーン。あれはいらないでしょう!?しかし、この映画のすごさは日本を代表する映画俳優がわんさか出てくるところですね。三上役の佐藤浩市はこれだけのメンツの中で主役を張りプレッシャーもあったでしょうね。前作からいい味を出していた瑛太が後編でも光っていました。そしてもしかしたら瑛太と役を入れ替わっても面白いと思ったのが三上の部下役の綾野剛。彼も良い役者になってきました。その他、三浦友和、永瀬正敏、滝藤賢一、吉岡秀隆、柄本祐、夏川結衣、奥田瑛二、仲村トオル、榮倉奈々・・・。最強です。監督は前作に続き瀬々敬久。
貞子VS伽椰子  監督 : 白石晃士  出演 : 山本美月、玉城ティナ、佐津川愛美
 2016年 日本映画
女子大生の有里は友人の夏美の依頼で、彼女の良心の結婚式のVHSテープをDVDにダビングする事を請け負う。リサイクルショップで格安のデッキを買った有里は自宅で電源を入れると中には古いVHSテープが入っていた。テープを再生中、有里のスマホにメッセージが入り目をそらしてしまうが夏美は映像を全てを見てしまう。それは都市伝説にもなっている貞子の呪いのビデオだった・・・。女子高生の鈴花が引っ越してきた家の隣に不気味な家があった。ある日、鈴花がその家の前を通ると4人の小学生が屯していた。そして翌日、鈴花は彼らが行方不明になった事を知る。その屋敷に誘われるかのように鈴花は足を踏み入れる。そして彼女は伽椰子の呪いにかかってしまう。霊媒師の常盤は伽椰子の家で貞子のビデオを再生して、ふたつの悪霊を遭遇させようとするが・・
私評:化け物には化け物をぶつけるんだ・・・ついに日本が誇るホラーキャラクターが対決。しかし、なんとなく貞子と伽椰子ってかぶりませんか??映画の前半でどうやってビデオテープを出してくるのか?と考えていたのですが、見事な演出でビデオを登場させるまでは素晴らしかったのですが・・・。ビデオの呪いも今までは1週間の期限だったのに、今作では2日間になっているし中の映像もすごくシンプル。そして問題のオチが・・・。ビックリするくらい平凡で、エンドクレジットが出た瞬間、会場中が「これで終わりかよ!!」と声に出していました(笑)。私はとにかく怖さが全くなくて、最後まで乗れませんでした。有里役は「女子ーズ」の山本美月、鈴花役は「天の茶介」の玉城ティナ、夏海役は「ヒメアノール」の佐津川愛美、そして霊媒師の常盤役は「セラー服と機関銃」の安藤政信。監督「ノロイ」「口裂け女」「テケテケ」の白石晃士。この監督のホラー作品はけっこう好きなので期待していたのですが・・・。対決映画であと残っているのは「ゴジラVSガメラ」だな・・(^^;


前回の記事も読んでね~!



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