2011/7/10

映画を見れてもレビューが書けない・・
このジレンマをぶっとばせ!今回は2つに分けてアップします。
まずは、人間の尊厳を問う問題作と問答無用のSF作品

ビューティフル  監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ  出演:ハビエル・バルデム
BIUTIFUL  2010年 スペイン・メキシコ映画
今週のイチ押し:スペインのバルセロナに暮らすウスバルは娘と息子の3人暮らし。妻とは別れていた。彼自身が両親の記憶がほとんどないため、子供たちには愛情を注いでいた。兄のティトとふたりでなんとか生き延びてきた幼少時代。彼は悪に手を染めながらもなんとか生きていた。そんなある日、彼は衝撃的な宣告を受ける。彼は前立腺がんに冒されていて余命幾ばくもない事を知らされたのだ。霊媒師でもあったウスバルは悔いを残してこの世を去った多くの霊を知っていたため、自分自身はそうありたくはないと日頃から思っていたが、いざ自分がその立場になった時、なにができるのかを考えた。そして彼は薬物依存症の妻と再度向かい合い、ひとときだけでも幸せだった家族を取り戻そうとする。家族だけの楽しい食事・・。そしてウスバルは子供たちのために少しでも金を残そうとする。そんなある日、工場で働いていた違法入国の中国人たちが多数死んだ。原因は、ウスバルが買い与えたストーブによる一酸化炭素中毒だった・・・
私評:「お父さん、ビューティフルのスペルは??」「読みのままだよ。B・I・U・T・I・F・U・L」・・久しぶりにずっしりとした人間の生死を問う重厚なドラマと出会った。人生のエンドマークが見えた時、人は何を残そうとするのか?もちろん、人によって様々ではあるけれど、制限時間が短ければ短いほどそれをなし得るのは難しい。主人公のウスバルはそれを知っていたからこそ先を急ぐのです。果たして彼は何をこの世に遺したのか??2時間30分のドラマの中には、楽しい映像もあるのですが、胸を掻きむしりたくなるような悲しい出来事も・・。そしてここに描かれているのはスペインが抱える問題でもあるのです。そのひとつが溢れかえる中国からの移民。彼らは生きるためにこの地に流れ着いたのですが、多くは虐待を受けているという。そんな事実を踏まえつつ、この映画の主人公たちはとてもリアルで、まるでドキュメンタリーを見ているようでした。話自体は暗いのですが、最後の最後に小さな光明を見いだせます。その小さな光は途方もなく明るく心を照らします・・・。主演は「ノー・カントリー」のハビエル・バルデム。前半で真っ赤な小便を苦悶の表情でひねり出す彼を見て、とにかく凄いと思いました・・・。その他、ウスバルの妻、子供たち、兄、ベビーシッター、そして中国人の工場経営者など、無名ではあるのですが、誰もが印象的な演技を見せます。監督は「アモーレ・ペロス」「21グラム」「バベル」と問題作を次々と世に送り出すアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトウ。
スカイライン 征服  監督:グレッグ&コリン・ストラウス  出演:エリック・バルフォー、スコッティ・トンプソン
SKYLINE  2011年 アメリカ映画
今週のイチ押し:ジャロッドとエレインのふたりはLAで成功をおさめ、高層マンションのペントハウスに住むテリーを訪ねた。その日はテリーの誕生日で多くのセレブが集まっていた。そして宴が終わり、朝を迎えた・・。ブラインドから強烈な光が差し込み、エレインは目を覚ました。そしてユ議の瞬間、隣の部屋からは悲鳴が聞こえた。その光に見入ってしまった友人のひとりが、一瞬にして光に吸い込まれてしまったのだ。ジャレッドもその光に見入ってしまうが、間一髪テリーに助けられた。彼らはブラインドの向こうの光景を見てあ然とする。そこには見た事もない飛行物体が飛び交っていた。しかも、その物体は無数の人間を吸い上げていたのだ。そして小型の機械生物が、とりこぼした人間を狩るためマンションの部屋をくまなくチェックしていた。ジャレッドたちはマンションから車で脱出を試みるが、前を走っていたテリーの車が巨大な金属の足に踏み潰されてしまう。マンションに留まる事を決めたジャレッドたちの目の前に、軍の戦闘機が現れる。しかし、最新鋭の戦闘機も無残な姿に・・・
私評:俺たちに何ができる??・・・・宇宙からの侵略者Vs.人類。しかし、今回の相手はかつてないほどの強敵。そして彼らは完膚なきまでに人類を叩き潰す。しかも、無数の人間を宇宙艇に吸い込み・・。吸い込まれた人間たちがどうなるのかはここでは言えませんが、その壮絶な最期にはあ然とさせられてしまいました。今までの宇宙人が襲ってくる映画ではありえなかったストーリー展開でした。また、宇宙船やロボットのような生物の映像がすごい!それもそのはず、この作品の監督兄弟は「アバター」「2012」などのVFXを手掛けた特撮のプロ。すごいはずです!!ジャロッド役は「テキサス・チェーンソー」のエリック・バルフォー。彼の顔の長さ、ハンパじゃないです。エレイン役はTVシリーズ「BONES」のスコッティ・トンプソン。監督は「AVP2 エイリアンズVSプレデター」のグレッグ&コリン・ストラウス兄弟。
127時間  監督:ダニー・ボイル  出演:ジェームズ・フランコ
127 Hours  2010年 アメリカ・イギリス映画
2003425日。アーロン・ラルストンはひとりブルージョン・キャニオンに向かった。そこは彼が心から愛するこの世の楽園だった。マウンテンバイクに跨りビッグ・ドロップへと向かったアーロンは途中で道に迷ったクリスティとミーガンに出会う。アーロンは洞窟へのガイドを買って出た。しばし、3人は楽しい時間を過ごした。ふたりと別れたアーロンは目的地へと向かうがその途中で落石とともに谷間に落ちて、右手を挟まれ身動きができなくなってしまう。大声で助けを呼ぶが周囲には人はいない。小さなナイフで岩を削ったり、ザイルで岩を持ち上げようとしたりするが、岩はビクともしなかった。なんとか脱出を試みるアーロンは、一方でその模様は事細かにビデオに撮影をした。しかし、彼はここに来る前に大きな間違いを犯していたのだ。彼はここに来る事を誰にも告げていなかったのだ。やがて、食料は尽き、ついには水も尽きてしまう。自分勝手に生きてきたアーロンはここにきて初めて湧き起こる大きな感情に突き動かされていた。「生きたい!」・・・・
私評:服を脱ぐんだったら、もっと楽しい事があるよ・・・今年のアカデミー賞でノミネートされ、すごく気になっていた作品がようやく公開されました。これは実際に起こった事件だといから驚きです。まあ、サバイバルの知識をある程度持っていた彼だから、127時間も戦う事ができたのであって、私だったら24時間でギブアップしていたことでしょう。しかし、この映画の面白さはその場での彼のサバイバルと、彼の回想シーンがうまく盛り込まれている事。そしてそれらをスタイリッシュな編集でガンガン見せつけてくれるのです。この辺りがオスカー候補に加わった所以でもあるのでしょう。もちろん、実際にあったこの事件こそが最高の映画の素材ではあるのですが・・・。主演はこの作品でオスカー候補にもなり、今年のアカデミー賞授賞式のホストも務めた「スパイダーマン」のジェームズ・フランコ。この映画はほとんど彼の独壇場ですが、ふたりの美女にも注目。彼と一時のバカンスを過ごすふたりには「呪怨 パンズミック」のアンバー・タンブリンと「ブロークバック・マウンテン」のケイト・マーラ。監督は「スラムドッグ&ミリオネア」「28日後・・・」のダニー・ボイルです。エンドクレジットでアーロン本人の写真も・・
エクソシズム  監督:マヌエル・カルバージョ  出演:ソフィー・ヴァヴァスール、スティーブン・ビリントン
Exorcismus  2010年 スペイン映画
イギリスに住む15歳の少女エマ。彼女は両親と弟の4人暮らし。人と違っているのは学校には通わずに自宅で父親から教育を受けている事。そんな彼女に異変が起こる。幻聴、幻覚が彼女を襲い、ついには痙攣を起こして倒れてしまう。病院で徹底的な検査が行われるが、体にはなんの異常もなかった。そんなある日、彼女は無意識に弟を浴槽に沈め、あやうく殺しそうになってしまう。そんな時、彼女の叔父のクリスは彼女に悪魔が憑いていると言い出し、悪魔祓いを申し出る。過去に悪魔祓いで少女を死なせてしまった過去があるクリスは儀式の全てを録画するという。しかし、彼は以前の儀式の際に背負った汚名を、今回の悪魔祓いで晴らそうとしていたのだ。そしてそこにはクリスのとんでもない画策が張り巡らされていた。一方、エマの中の悪魔は徐々に本性を現し始める・・・・
私評:お前に俺は倒せない・・・悪魔祓いの話と言えば、一番に浮かぶのが1973年の「エクソシスト」だが、この映画はその亜流作品と言えるかもしれません。低予算の映画ならではのアイデアが盛り込まれている。しかし、この映画の見所は悪魔憑きの事件の裏にある陰謀。なるほどね!と思わせる裏があるのです。しかも、悪魔(?)はしっかりエマの中に居着いていて、神父VS悪魔の戦いもしっかり描かれています。物語がどう転がって行くかは最後まで分かりません。エマ役は「バイオハザードⅡ アポカリプス」のソフィー・ヴァヴァスール。クリス神父役はスティーヴン・ビリントン。そしてこの映画の製作は「REC」「パフューム ある人殺しの物語」などのフリオ・フェルナンデス。なろほどね・・。監督はマヌエル・カルバージョ。
SUPER 8 / スーパーエイト  監督 :J.J.エイブラムズ  出演:ジョエル・コートニー、エル・ファニング
Super 8  2011年 アメリカ映画
1979年、オハイオ。ジョーは友人のチャールズ、ケアリー、プレストン、そしてマーティンと一緒に映画作りをしていた。監督のチャールズが持っている8mmカメラ“スーパー8”で本格的なゾンビ映画を作っていたのだ。ジョーはメイクと小道具の担当だった。その日も彼らは映画撮影のために駅に集っていた。しかし、いつもと違うのは紅一点のアリスがいたこと。ジョーは密かに彼女に思いを寄せていたのだ。撮影中、駅前を貨物列車が通り過ぎた。次の瞬間、ジョーは目を疑った。貨物列車をめがけて1台の車が突進していたのだ。そして彼らの前で列車が大事故を起こす。少年たちはカメラを投げ捨ててその場から逃げ去った。しばらくすると、軍のトラックが大挙して町にやって来る。しかし、彼らは事故の処理以外に大きなミッションを抱えていたのだ。ジョーの父親で保安官補佐のジャックは、彼らの秘密を探ろうとするが、軍は固く口を閉ざして何も語らない。ジョーたちは事故現場でカメラを取り戻すが、そこには信じられないような映像が映り込んでいた・・
私評:俺が許せないのは、彼女もお前を好きだってこと・・・・この映画はまさに、スピルバーグの映画。異星人の描き方はは「未知との遭遇」、なかなか見えそうで見えない演出は「ジョーズ」そして子供たちの冒険は「グーニーズ」・・・など彼が関わった映画のエッセンスがいっぱい入った映画です。それゆえにか、監督であるJJ・エイブラムズの個性がかき消されてしまっているような気がしたのは私だけでしょうか?上に書いた「スカイライン」がリアルな恐怖SF映画だとすれば、こちらはファンタジー。今までのスピルバーグの映画の冒険活劇の集大成とでもいうべきか・。しかし、この映画の前に観たのが「スカイラン 征服」だったといのがいけなかったのが、私は物足りなさがいっぱいでした。(しかも、同じ日に続けて観てしまったので・・)良い映画という事は認めますが、刺激が少なかったっす。一番印象に残ったのは、子供たちが撮影しているホラー映画かも??主演でジョー役はこの映画がデビューだというジョエル・コートニー君。(ちょっと「あの頃ペニーレインと」のパトリック・フュジットに似ている)みんなの憧れアリスを演じるのはダコタ・ファニングの妹エル・ファニング。ジョーの父親役は「キング・コング」のカイル・チャンドラー。監督は「スタートレック」「M:I:3」のJ.J.エイブラムズ。


前回の記事も読んでね~!



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