2005/7/3

スピルバーグ&トム・クルーズの「宇宙戦争」がついに公開。
しかし、今回の3作品はどれもがイチ押しでしょう。
そんな中で私のハートを射止めたのは「脱力系スパイ映画」。めっちゃ面白い。

亀は意外と速く泳ぐ  監督:三木聡  出演:上野樹里、蒼井優、ふせえり
Kame Wa Igai to hayaku oyogu  2005年 日本映画
今週のイチ押し:片倉スズメは平凡な主婦である。夫は単身赴任中、ひとりぼっちの単調な毎日をそれなりに過ごしているスズメは、この単調な毎日のままで一生が終わってしまうのでは??と不安を感じていた。親友のクジャクは同じ日に同じ病院で生まれた。しかし、彼女の人生は刺激に満ちていた。そんなある日、スズメは1枚の張り紙を見つけた。それはスパイの募集だった。居ても立ってもいられず電話を掛けるスズメ。そして彼女はクギタニ夫妻と出会い、500万円の軍資金を手に入れる。とにかく平凡に。そして目立たぬようにクギを刺されたスズメだったが、その日以来、彼女の周りで数々の事件が発生する。初恋のセンパイとの再会、意外なスパイ仲間の発見、そして福引で当てた「体験地引網」で死体がひっかったり・・。そしてついにスズメはスパイ活動の究極の意義を知らされる・・
私評:「何、そのヘアスタイル!?」「永久パーマ」・・・この映画を見て、あらためて上野樹里ちゃんの魅力を悟った。そして蒼井優ちゃんの限りない可能性を悟った。そしてこのふたりは究極のコメディエンヌであると悟った。とにかく幸せな時間を過ごせた映画です。この映画には「宇宙戦争」の緊迫感も、「マラソン」の涙と感動もない。あるのは日常のしらけた笑いと、シュールな会話。大爆笑はないけれど、最初から最後までクスクスと笑える映画でした。平凡な人生に飽き飽きしている貴兄には刺激的な映画かも??主演は「スウィングガールズ」の上野樹里ちゃん。女子高校生の次は主婦役で楽しませてくれました。彼女の秘められた可能性は無限大です。そして樹里ちゃんよりひとつ年上と聞いてビックリした蒼井優ちゃん、アヤシイ松重豊、こんなコンビは見たくない伊武雅刀と島田久作、不思議な魅力全開のふせえり・・。監督は(まだ見ていないのですが・・)「イン・ザ・プール」の三木聡。脱力系コメディというキャッチですが、まさに肩の力を抜いて楽しめる映画です。めちゃめちゃ面白かったです〜・・。
宇宙戦争  監督 :スティーブン・スピルバーグ  出演:トム・クルーズ、ダコタ・ファンニング
War Of The World  2005年 アメリカ映画
港湾労働者のレイは、その日別れた妻の依頼でふたりの子供を預かる事にした。息子のロビーは、レイに反発してばかり。そして娘のレイチェルも、すっかりレイを蔑んでいた。しかし、それは突然襲ってきた。見たこともない雷光と突風が街を走り抜けた。レイは子供たちを家に置いて近くの交差点の地割れを見に行く。すると地面から強大な3本足マシーンが現れ、それが発する光線は全てを灰にしてしまう。異星人による地球侵略が幕を開けたのだ。レイはパニックに陥りながらも子供たちを守るため、逃亡の旅を始める。しかし、彼らが行く先々でマシーンは猛威を振るい、地球上のあらゆるものを焼き尽くそうとしていた。果たしてレイは子供たちを守りきる事ができるのか??・・・・・
私評:ごめん、「お山の子守唄」は知らないんだ・・・H.G.ウェルズ原作のSFの名作「宇宙戦争」。ご存知の方も多いと思いますが、この作品は1952年に映画化されている。昨年、初めてその映画を見た私は、50年前に作られたSF映画のチープさに笑いながらも、思い切り見入ってしまった。この映画も当時の人たちにはすごく衝撃的な映像だったのでしょうね。そして今回のスピルバーグ版がどうだったかと言うと、あらかたは原作に忠実で(特に「トライポッド」はウェルズの原作のイメージそのまま)、しかも52年版への敬愛をこめた描き方も随所に見られた。それに21世紀の映像技術が加わり、本当に恐ろしいまでにリアルな映画になっていました。そして注目すべきはレイ役のトム・クルーズ。今回は劣等生の父親を好演。父親として何もしてやれなかったレイが、この絶体絶命の危機の中で子供を守りとおそうとする姿は感動物でした。そして驚くべき子役ダコタ・ファンニングがすごい演技を見せます。彼女のすごいところってセリフじゃなくて表情で演技ができる事です。本当にビックリ。その他に「トップガン」でもトムと共演しているティム・ロビンス、そして「ロード・オブ・ザ・リング」のミランダ・オットーが共演。監督はいわずと知れたスティーブン・スピルバーグ。私は彼の小粒な佳作も嫌いじゃないけど、やっぱりこういう超大作映画が好きです。
マラソン  監督 : チョン・ユンチョル  出演:チョ・スンウ、キム・ミスク
Marathon  2005年 韓国映画
自閉症の障害を持つ、20歳のチョウォンは母親のキョンスクの大きな愛に包まれて育ってきた。しかし、キョンスクはチョウォンの世話に全精力を傾けてきたため、必然的に夫や次男のジュンウォンを顧みなくなっていた。チョウォンはとにかく走る事が好きで、ハーフマラソンでは3位になった。そしてキョンスクが次に掲げた目標は、フルマラソンの完走だった。そのためには本格的なコーチが必要だった。そんな時、チョウォンが通う学校にかつてボストンマラソンで優勝したソンが、飲酒運転の罰として社会奉仕のためにやってきた。キョンスクの強引な依頼でコーチを引き受けはしたものの、ソンはまったくやる気を見せない。しかし、そんな彼もチョウォンの純粋な心に打たれ、いつしかソン自身もも走る事の楽しさを再び感じるようになっていた。そして仲良くなったふたりは競馬に行ったり、ビールを飲んだり・・。それがキョンスクには許せなかった。コーチの解任を言い渡されたソンは、強烈な言葉をキョンスクに浴びせた。しかし、キョンスクはその言葉を心から否定する事ができなかった。そしてついにマラソン大会の日がやってきた・・・・・
私評:「チョウォンの脚は?」「100万ドルの脚!!!」・・こういう映画にはめっぽう弱い私は、前半部分からウルウルしてしまった。しかも、この映画は実話がベースになっていると聞いて、余計にセンチメンタルになっていたのだと思います。それにしてもこの映画で私の胸を打ったのは、母親の愛情ですね。決してパーフェクトな子育てとは言いがたいのですが、チョウォンへの愛情の深さに感動してしまいました。劇中で彼女が言う「私の望みは、息子より1日だけ長生きする事」というセリフは、苦しいくらい悲しいけれど美しい言葉でした。しかし、彼女の信念が徐々に崩れていく。その辺りの描き方がすごく上手でしたね。つまり、この映画は単に障害者の青年のサクセス・ストーリーではなく、周りの人々を巻き込んで、感動を「共有」するドラマなのです。そしてその感動が多くの人に伝わり、韓国では記録的な大ヒットになったわけです。私もその「大きな感動」を分けてもらったひとりです。チョウォンを演じるのは「ラブ・ストーリー」で見事な笑顔を見せてくれたチョ・スンウ。(この映画でも彼がステキな笑顔を見せてくれますよ)そして母親役は映画は23年ぶりというキム・ミスク。コーチのソン役は「甘い生活」の殺し屋が印象的だったソン・チョンウク。監督はこの映画が長編デビューとなるチョン・ユンチョル。さあ、この映画を見て爽やかな涙ととも勇気と感動を貰いましょう!


前回の記事も読んでね〜!



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