週に3本くらいのペースでしか見れないのですが、
今回はどれも面白かった!イチ押し作品も迷いました・・
あるスキャンダルの覚え書き | 監督:リチャード・エアー | 出演:ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット | |
Notes on a Scandal | 2006年 アメリカ映画 | ||
今週のイチ押し:ロンドン郊外の中学校で歴史を教えるバーバラは、厳格な態度で、しかも歯に衣着せぬ話し方でみんなに疎まれている。そんな性格のせいか、彼女は老年になる年齢になってもひとり者だった。そんなある日、学校に美しい美術教師シーバが転任してくる。すぐに彼女に目をつけたバーバラは彼女の事を日記に書き綴る。やがてふたりは親しくなっていき、バーバラはシーバの自宅に招待される。年の離れた夫、反抗期の娘、ダウン症の息子・・。しかし、そんな家庭環境でもシーバは輝いていた。バーバラはシーバとの友情を勝手に誇大解釈していたが、ある日バーバラはとんでもない光景を目の当たりにする。あろう事かシーバが男子生徒と情事にふけっていたのだ。しかも男子生徒はまだ15歳。バーバラはシーバを呼び出し、全てを告白させる。しかし、バーバラはふたりの間に生まれた「秘密」を利用してシーバを拘束しようとする・・ | |||
私評:私は真面目に生きてきた。でも、心の声が私を誘惑するの。どうして快楽を求めてはいけないの?と・・・女同士の歪んだ友情を描いたこの映画。とにかく驚かされるのはジュディ・デンチのイヤラシ〜イ(というか気持ち悪い)演技と、そんな彼女とガップリ組んで理性を開放するケイト・ブランシェットの演技。とにかくこの映画はこの2大女優の演技に尽きます。もちろん、シナリオも(タイトルどおり)スキャンダラスで、しかも恐ろしい完璧な作品。映画の予告を見たときはケイト演じる女教師と男子生徒のセックスばかりが表に出ていたのですが、この映画の一番の見所は着々と獲物をコーナーに追い詰めていくような、バーバラの勘違いの友情と、知らず知らずのうちにバーバラに囚われ必死にもがくシーバの関係なのです。人間の歪んだ欲望を見事に抉り出し、画面に焼き付けています。それもそのはず、この映画の監督は「アイリス」のリチャード・エアー。ジュディ・デンチは「アイリス」とこの作品の両方でオスカーにノミネートされています。もちろんケイト・ブランシェットもこの作品で助演女優賞にノミネートされました。ショッキングなラストはあなたの心臓を抉る・・?? | |||
300 | 監督:ザック・スナイダー | 出演:ジェラルド・バトラー、レナ・へディ | |
300 | 2007年 アメリカ映画 | ||
今週のイチ押し:紀元前480年。ペルシャはアジア・ヨーロッパの国々を次々と倒し勢力を拡大していた。ペルシャ王クセルクセスの次なる標的はスパルタ。ペルシャ軍はスパルタの王レオニダスに遣いを送りセルクセスの前に跪く事を促した。しかし、レオニダスはそれを受け入れず遣いをひとり残らず葬ってしまう。スパルタの男に「屈する」事は許されなかったのだ。そしてレオニダスは屈強の300人の勇者を集め、100万人を擁するペルシャ軍に戦いを挑む。レオニダスには作戦があった。海岸線の狭い山間部で戦いを挑めば相手の数による優位を抑えることができると考えていたのだ。超人的なパワーで次々と相手を薙ぎ倒していく300人のスパルタの戦士たち。そしてペルシャ軍の屍はいつしか高い塀となっていった。しかし、圧倒的な数で勝るペルシャは次々と刺客を送り続ける・・ |
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私評:これがスパルタだ〜!!・・・最初この映画のタイトルを見たときは「300」を「ZOO」と読んでずっと勘違いしていました・・。元々は「シン・シティ」のフランク・ミラーがグラフィックノベルにした、いわばコミック作品。しかし、この映画はすごい。何がすごいってとにかく直球勝負の映画なのです。300人の戦士がとにかく殺しまくる。数々の残虐なシーンのためR15になってしまったのですが、逆にこれが柔な映像だと面白くも何ともない。皆様ご存知の通り、ホラー映画ファンの私にはこの上ない快感をもたらしてくれる映画でした。そしてスパルタの戦士たちの男気に痺れてしまいました。主演は「オペラ座の怪人」でファントムを演じたジェラルド・バトラー。彼ってこんなにマッチョだったのですね。彼の妻役は「地獄の変異」のレナ・へディー。スパルタは女も強い!そしてクセルクセスを演じるのは「ラブ・アクチュアリー」のロドリゴ・サントロ。映画の後でパンフを読むまで彼だとは思いもしませんでした。その他にもマッチョな男が大集結。監督は「ドーン・オブ・ザ・デッド」のザック・スナイダー。 | |||
しゃべれども しゃべれども | 監督:平山秀幸 | 出演:国分太一、香里奈 | |
2007年 日本映画 | |||
古典落語が大好きな二つ目の落語家・古今亭三つ葉は、やる気とは裏腹に思うように腕が上がらない。そんなある日、師匠のお供で出かけた大衆向けの話し方教室で三つ葉は無愛想で話すことが苦手な美女・十河五月と出会う。売り言葉に買い言葉で三つ葉は「落語教室」を開くことになる。その噂を聞きつけ大阪から転校してきて、大阪弁のせいでイジメにあっている少年・優、そして口下手な元プロ野球選手・元解説者の湯河原も加わることに。なかなか芳しくない落語教室だったが、いつしか4人の間には目に見えない絆が生まれ始めていた。そんな中で三つ葉が所属する古今亭一門による「一門会」が行われることになった。三つ葉は師匠の十八番である「火焔太鼓」を題目に選び、発表会に向けての猛練習が始まる。しかし、三つ葉の一番の欠点を師匠はすでに見抜いていた・・・・ | |||
私評:わかってねえな〜・・・落語の題材で、浅草がバンバン登場する映画。それだけで私はこの映画が観たくて仕方なかった。ハリウッドの大作がゾロゾロと公開される中、下町人情溢れる小粋なドラマが公開されました。話ベタの3人と話すことが商売の男。しかし、話すことが得意なはずの落語家が、3人から色んなことを学んでいく。日々、お客様との会話が商売の私にとっても、色々とためになる映画でした(笑)。また、浅草近辺に7年も住んでいた私には、地元映画のようで別の意味でも楽しめた映画です。主演はTOKIOの国分太一。彼の落語は素晴らしかったです。そして映画の中ではほとんど笑わない美女役を「深呼吸の必要」「輪廻」の香里奈。湯河原役は松重豊(なんと私のより年下だそうです。ちょっとショック)そしてこの映画の一番のサプライズは優役の森永悠希君。彼の「饅頭こわい」は天下一品。その他、師匠役を伊藤四郎、三つ葉の祖母役を八千草薫が演じています。監督は「OUT」「レディ・ジョーカー」の平山秀幸。面白かった!! | |||
プレステージ | 監督:クリストファー・ノーラン | 出演:ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル | |
The Prestige | 2007年 アメリカ映画 | ||
19世紀末のロンドン。奇術師のアルフレッドは、彼の長年のライバルだった「グレート・ダントン」ことロバートを殺した疑いで法廷に連れ出された。元々ふたりはミルトンという奇術師の元で修行する仲間だった。しかし、ロバートの妻であり水中脱出のヒロインであるジュリアの死がふたりの間に大きな溝を作ったのだ。水槽の中で溺死したジュリアの手の紐を結んだのはアルフレッドだったのだ。やがて、アルフレッドは美しい妻を娶り小さな幸せを育んでいた。そんな姿をロバートは憎々しげに眺め、復讐を誓う。ところがアルフレッドは「瞬間移動」という新しいマジックを披露し大盛況。一躍時の人になる。タネが分からないロバートは焦るが、彼の協力者のカッターはボディダブルを使っているに違いないと断言する。ロバートの元にやってきた美しいステージ助手のオリヴィアをアルフレッドの元に送り、タネを調べさせようとするが・・・・ | |||
私評:この映画の結末は決して誰にも話さないでください・・・・「バットマン・ビギニング」のクリストファー・ノーランの最新作。華やかなマジックの舞台としのぎを削りあうふたりの男。そして彼らを取り巻く女たちの壮絶な物語です。ドロドロとした人間ドラマとしても秀逸なのですが、やはり見せ場はマジック。しかし、タネのあるマジックを飛び越して「科学」に足を踏み入れていく展開は、まさに映画の醍醐味。そして後半は怒涛のどんでん返しで、まさにあっと驚くエンディングを迎えます。本当に壮大な手品を見せられた気分でした。主演は「バットマン・ビギニング」のクリスチャン・ベイルと「X-MEN」シリーズのヒュー・ジャックマン。このふたりの配役は最高です。そしてロバートを支えるカッター役はマイケル・ケイン。そして映画に華を添える美しいアシスタント役でスカーレット・ヨハンソン。小さな役でも彼女の存在感はピカイチ!!そしてエジソンをも脅かしたという希代の大発明家ニコラ・テスラ役はデビッド・ボウイ!!さあ、「瞬間移動」のタネをあなたは見抜くことができるでしょうか? | |||
ザ・シューター 極大射程 | 監督:アントワーン・フークア | 出演:マーク・ウォルバーグ、ダニー・グローバー | |
Shooter | 2007年 アメリカ映画 | ||
特殊部隊のスナイパー、ボブ・スワガーは偵察任務についていたが、突如武装車両が通りかかり、銃撃戦となってしまう。その戦いでボブは無二の親友でもあるパートナーを失ってしまう。それから3年後、ボブは世間とは縁を切りワイオミングの山の中でひっそりと暮らしていた。そんな彼の元に栄誉勲章を得たアイザック大佐が訪れる。全米を遊説する大統領を暗殺する動きがあるというのだ。800mの警戒網の外から狙撃を行う可能性を探って欲しいというのが大佐の依頼だった。検証の結果、ボブが想定したのはフィラデルフィアの広場だった。ボブが見守る中で大統領が広場へと近づいてくる。ボブの監視スコープにライフルが映り、指示を出すが突入部隊は動こうとしない。おかしいと思った瞬間、ボブに向けられた銃口が火を噴いた・・・・ | |||
私評:「どこで会う??」「どこからでもお前を見通せるところだ」・・・2000年の「このミステリーがすごい」で1位になったサスペンス・アクション作。私は映画を見た後に速攻で原作を読んだのですが、これがめちゃめちゃ面白かった。もちろん、映画も面白いのですが原作の面白さは桁外れ。ちょっとビックリでした。原作がこれだけ面白いのですから映画が面白くないわけがない。主演のボブを原作より若い設定にして、映画ならではのさらなる強烈なアクションシーンをバンバン盛り込んであります。そして作品の肝である狙撃シーンの迫力は最高。まさに手に汗握るシーンの連続でした。ボブ役は、はまり役を得たマーク・ウォルバーグ。そして悪役には「リーサル・ウェポン」のダニー・グローバーとネッド・ビーティ。ボブを助けるFBI捜査官役は「ワールド・トレード・センター」のマイケル・ペーニャ。監督は「トレーニング・デイ」のアントワン・フークア。この映画もシリーズになるかも?? | |||
ゾディアック | 監督:デヴィッド・フィンチャー | 出演:ジェイク・ギレンホール、ロバート・ダウニー・Jr | |
Zodiac | 2007年 アメリカ映画 | ||
1969年、デート中のカップルが男に銃で撃たれ、男は重症、女は死亡した。その1ヵ月後、新聞社にこの事件の犯人と名乗る男から手紙が届く。そしてそこに同封された暗号文を新聞のトップページに載せるよう脅しをかける。掲載がない場合は新たな殺人が・・。後に「ゾディアック」と名乗る犯人のゲームが開始された。新聞に掲載された暗号文にアメリカ中が熱狂した。中でもSFクロニコル誌の敏腕貴社エイブリーと風刺漫画化のロバートは暗号に並々ならぬ関心を示した。一般市民によって解読された暗号には、実はもっと奥があった。そしてゾディアックの更なる凶行と手紙による挑発は続いた。SF警察のふたりの警察官も事件の最前線でゾディアックに振り回される。そんな中である容疑者が浮上するが決定的な証拠が何もない。現場には幾つもの手がかりを残しながらも証拠は決して残さない天才的な犯人に男たちは振り回される。そんな間もゾディアックの犯行は続いていた・・・・ | |||
私評:人間はもっとも危険な動物だからだ・・・ゾディアックに関しては多少の知識はあったのですが、今回映画を観て上辺だけの知識だったと知りました。天才的な殺人犯は現場に数々の手掛かりを残したり、マスコミを挑発するような手紙を送ったりとまさに犯罪を楽しんでいるようにしか見えない。しかも、この犯人はいまだに捕まっていないのです。したがって映画の中でも事件は解決しない。そして事件に関わる4人の男たちはボロボロになっていく・・。ハンニバル・レクター、エド・ゲインらと並び称される(?)アメリカ犯罪史上に燦然と輝くゾディアックをぜひ知っておきましょう。映画のほうは今までのD・フィンチャーの映画とはかなり違う物になっています。とにかく忠実に史実を追いかけている感じ。それゆえ彼ならではの斬新な映像センスも、スタイリッシュさも感じられないのです。しかし、この映画はそんな斬新な部分を敢えて切り捨ててクラシックな映画風に作られているのです。2時間30分という長丁場ですが、じわじわと襲い掛かってくる緊張感に最後まで気を抜くことが出来ませんでした。主演は「ブロークバック・マウンテン」のジェイク・ギレンホール、「チャーリー」のロバート・ダウニー・Jr、「イン・ザ・カット」のマーク・ラファロ、「トップガン」のアンソニー・エドワーズ。監督は「パニック・ルーム」以来のデヴィッド・フィンチャー。 | |||